カテゴリー「クラシック音楽・シュトラウス(R)」の6件の記事

2022年1月 9日 (日)

R・シュトラウス:アルプス交響曲~SACD6盤

2021年12月に、SONYから、ケンペ指揮ロイヤル・フィルによる、

アルプス交響曲の新譜SACDハイブリッド盤が出ました(後述)。

とても素晴らしい録音・演奏だったので、思い切って、

我が家にあるアルプス交響曲の盤全部を聴いて比べてみることにしました。

以前は小澤征爾指揮VPO盤とかも持っていましたが、

現在では、SACDのみ6盤だけとなっていました。

低⇒高の順で紹介します。

 

ショルティ指揮バイエルン放送交響楽団(DECCA※タワレコ限定)

1979年9月録音

SACDハイブリッド盤

録音タイム 44:18

☆3.5

R.シュトラウス: ツァラトゥストラはかく語りき、英雄の生涯、アルプス交響曲、ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯、ドン・ファン<タワーレコード限定>

今回紹介する盤の中で最も録音時間が短い盤。

アルプスをスタスタ登っていくような感じです。

嵐のところなど、聴かせ所の暴力的な力強さは見事!

 

ティーレマン指揮ウィーン・フィル(DG)

2000年10月録音

SACDシングルレイヤー

録音タイム 52:55(各トラックの時間を合算して算出)

☆3.5

R.シュトラウス:アルプス交響曲、組曲<ばらの騎士>

上品な演奏ですが、あまり印象に残りませんでした・・・

 

ダニエル・ハーディング指揮サイトウ・キネン・オーケストラ(DECCA)

2012年8月録音

SACDシングルレイヤー

録音タイム 51:59

☆4.0

 

R.シュトラウス:アルプス交響曲

全体的には、淡白な水彩画のような演奏ですが、

いざという時には力強い響きを堪能できます。

ヨーロッパアルプスというよりは、日本アルプスという感じです。

なお、このSACDは廃盤ですので、

通常CDを紹介しておきます。

R.Strauss: Alpine Symphony


 

ルドルフ・ケンペ指揮シュターツカペレ・ドレスデン(WARNER※タワレコ限定)

1971年9月録音

SACDハイブリッド

録音タイム 49:35(各トラックの時間を合算して算出)

☆4.0

 

R.シュトラウス: 管弦楽作品全集(シリアルナンバー無再発盤)<タワーレコード限定>


※ちなみに、我が家のはシリアルナンバー付のものです。

再発盤も廃盤、品切れに近いようですので、

通常CDを紹介しておきます。

 

Strauss - Complete Orchestral Works

後述の、ロイヤル・フィル盤と甲乙つけがたい演奏ですが、

あとは、録音の問題でしょう。

渋い演奏ですが、アルプスの雄大な景色が広がってきます。

演奏だけなら、わずかながら、こちらの方が上だと思います。

 

ルドルフ・ケンペ指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(SONY)

1966年4月録音

SACDハイブリッド

録音タイム 48:52

☆4.0

 

R.シュトラウス:アルプス交響曲(1966年録音) (2021年 DSDリマスター)<完全生産限定盤>

前述の、シュターツカペレ・ドレスデンと甲乙つけがたいですが、

録音ではこちらの方が上です。

思わず聴き惚れてしまう演奏です。

 

カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG※エソテリック)

1980年12月録音

SACDハイブリッド

録音タイム 51:03

☆4.5

 

エソテリック盤

 

入手が難しいので、通常CD

後光が射すような神々しい演奏です。

演奏にすっかり圧倒されてしまいました・・・

アルプス交響曲を聴くなら、カラヤンかケンペ盤を押さえておけば十分です。

R. シュトラウス:アルプス交響曲 & 変容 SACD

参考までに・・・

実演は、札幌交響楽団の演奏で一度聴いたことがあります。

【演奏会感想】第608回札幌交響楽団定期演奏会〜マティアス・バーメルト首席指揮者就任記念(2018年4月27日)〜アルプス交響曲は、見て愉しい!

2020年9月20日 (日)

R・シュトラウス「英雄の生涯」~カラヤン指揮3盤を中心に・・・

エソテリックで2020年9月に発売された、

カラヤン指揮ベルリン・フィルの「英雄の生涯」「死と浄化」のSACDを入手しました。

Super Audio CD Ein Heldenleben, op. 40

 

通常CD

 

 

エソテリックのSACDハイブリッド盤、元々定評ある録音をSACD化したものが多いので、

SACD化することで特段感動することがない場合が多いのですが、

今回の「英雄の生涯」には、久々感動しました。

 

80年代のカラヤン録音といえば、60年代、70年代ほどのギラギラさがなくなり、

衰えを感じるものが多いのですが、

この「英雄の生涯」は夕映えの最後の美しさのようでした。

 

中でも、「英雄の戦場」の場面の音での描写、

この迫力は凄まじかったです!

試しに、家にあるすべての「英雄の生涯」を聴いてみました。

特に、カラヤンの60年代の録音(DG)、

70年代の録音(旧EMI=WARNER)と比較しても、

圧倒的でした。

 

カラヤン/BPO(DG)※通常CD。我が家にあるのは、Blu-ray Audio版

 

CD+Blu-ray Audio

 

カラヤン/BPO(WARNER)※SACDシングルレイヤー

 

カール・ベーム指揮ウィーン・フィル

R.シュトラウス: 管弦楽曲集(ツァラトゥストラはかく語りき, 祝典前奏曲, ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら, ドン・ファン, 英雄の生涯, 他)<タワーレコード限定>

 

ケンペ指揮シュターツカペレ・ドレスデン

R.シュトラウス: 管弦楽作品全集<タワーレコード限定>

 

ショルティ指揮ウィーン・フィル

R.シュトラウス: ツァラトゥストラはかく語りき、英雄の生涯、アルプス交響曲、ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯、ドン・ファン<タワーレコード限定>

 

※「英雄の戦場」の部分だけなら、ショルティ盤が、

カラヤン82年盤の次に迫力があります。

 

「英雄の生涯」には、少し苦い思い出があります。

第1回のPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)(=1990年)の時、

会場の一つとなった千歳市での、

マイケル・ティルソン=トーマス指揮ロンドン交響楽団の演奏で、

「英雄の生涯」を初めて聴きました。

(CDで聴くよりも先に!)

しかし、当時はまだR・シュトラウスの価値があまりわからず、

それこそ先ほど絶賛した「英雄の戦場」のところで、

金管が咆哮するような場面でさえ、居眠りしてしまいました・・・

それ以来、R・シュトラウスの交響詩=退屈、というイメージで、

つい最近まで敬遠していました・・・

(実際、そういう面は否めませんが・・・)

年をとって、新たに曲の価値を知るのはステキなことです。

 

2019年11月 9日 (土)

NHKEテレ・ららら♪クラシック「リヒャルト・シュトラウス“夕映えに”」(2019年11月8日放送)

2019年11月8日放送の、NHKEテレ「ららら♪クラシック」は、

リヒャルト・シュトラウス“夕映えに”」と題して、

R・シュトラウスとその妻パウリーネとの夫婦関係を、

落語にしながら特集し、最後のシメとして、

「4つの最後の歌」の終曲「夕映えに」を、ソプラノ歌手森麻季さんの独唱と、

ピアノ伴奏で聴かせる、という内容でした。

 

番組HPから放送内容を転載します。

ららら♪クラシック「リヒャルト・シュトラウス“夕映えに”」

(引用)

リヒャルト・シュトラウスの「夕映えに」。落語家柳家三三がシュトラウスの人生を振り返る。(1)シュトラウスは恐妻家(2)妻は創作の源泉(3)ひばりの音のヒミツ

出演者ほか
【司会】高橋克典,石橋亜紗,【出演】柳家三三,音楽学者…広瀬大介,ソプラノ歌手…森麻季,ピアニスト…山岸茂人,【語り】勝生真沙子
詳細
リヒャルト・シュトラウスの「夕映えに」。歌曲集「4つの最後の歌」の中の1曲で、別名「辞世の歌」とも言われています。大作曲家でもあり、恐妻家でもあったシュトラウス。夫婦で歩んだ作曲家人生よりぬきのエピソードを落語家・柳家三三さんが高座で振り返ります。歌劇「インテルメッツォ」の落語化は必見。スタジオでは、「夕映えに」のひばりの音にこめられた思いに迫ります。【演奏】ソプラノ:森麻季/ピアノ:山岸茂人
楽曲
「歌劇「インテルメッツォ」から4つの交響的間奏曲~4.よろこばしい結末~」
リヒャルト・シュトラウス:作曲
(指揮)ジャナンドレア・ノセダ、(管弦楽)NHK交響楽団
(2分30秒)

「「夕映えに」」
アイヒェンドルフ:作詞
リヒャルト・シュトラウス:作曲
(ソプラノ)森 麻季、(ピアノ)山岸 茂人
(6分19秒)
~NHK放送センター CT102~

(引用終)

 

なお、NHKでは、「夕映えに」と訳していますが、

一般的なCDでは、「夕映えの中に」(原題:Im Abendrot)となっています。

今回の記事では、以下、やはり「夕映えの中に」で統一表記します。

 

落語、という形式で、R・シュトラウス夫妻の夫婦関係をうまく伝えられたのかは、

ちょっとビミョーなところでしたが、

ユーモアを交えてソフトに伝えたのはよかったと思います。

 

さて、肝心の「夕映えの中に」での森麻季さんの歌唱。

もちろん美しいですが、やはりピアノ伴奏では曲の色彩感、法悦感までは伝わらず、

カラー映画を、ぼんやりとした白黒テレビで見ないといけないようなもどかしさがありました。

ただ、ピアノ譜でのスコア解析を示してくれたのはよかったです。

 

番組の録画を観終わってからすぐさま、

カラヤン指揮ベルリン・フィルと、グンドラ・ヤノヴィッツのソプラノ独唱による、

「4つの最後の歌」の「夕映え」を聴きました。

この曲をチョイスするなら迷わず選ぶべきベスト盤です。

ここまで人間離れした美声で歌われてしまうと・・・・

カラヤンのオケ伴奏も究極の機能美といえる素晴らしさです。

番組でも取り上げられていた、”zwei Lerchen"(2羽のひばり)のところの、

2つのフルートによるさえずりの美しさ!!!

 

我が家にあるのはSACD盤ですが、

既に入手は難しいようなので、通常CDで紹介します。

 

R.シュトラウス:交響詩「死と変容」、4つの最後の歌(国内盤)

 

R.シュトラウス:死と変容/4つの最後の歌(国内盤)

 

 

番組で出ていた、森麻季さんも、この曲の録音を出していますので、

参考までに紹介します。

私は・・・

試聴で「へぇ〜・・・」で終了しましたが・・・

 

(参考)

4つの最後の歌

 

原曲は大オーケストラ(3管編成)による伴奏ですが、

ピアノ伴奏もそれなりにステキです。

以前、バーバラ・ボニーのソプラノ独唱による、

ピアノ伴奏版(マックス・ヴォルフ編曲)のCDを持っていましたが、

いつの間にか、売り飛ばしていました・・・

2019年11月9日現在、Amazonでは、

新品(国内盤)が31000円、中古でも10000円となっていました・・・

 

R.シュトラウス:歌曲集

 

一般的には、エリザベート・シュヴァルツコップ独唱、

ジョージ・セル指揮ベルリン放送交響楽団の演奏もオススメなのですが、

私は・・・

でも、一応は紹介しておきますね。

 

R.シュトラウス:歌曲集≪クラシック・マスターズ≫

 

ところで、先日、世界的なソプラノ歌手の、

ジェシー・ノーマンさんが死去した、というニュースがありました。

稀有なる大ソプラノ、ジェシー・ノーマンの訃報に寄せて(2019.10.2)

 

ジェシー・ノーマンのCDはいくつか聴きましたが、

やはり代表は、「4つの最後の歌」が含まれる、

R・シュトラウスのオーケストラ伴奏歌曲集でしょう。

(あとあえて1枚といえば、カラヤン&VPOによる、

ザルツブルク音楽祭での、「イゾルデの愛の死」が入ったワーグナー・アルバムかな・・・)

タワレコさんかエソテリックさんかで、SACD化してほしいなぁ・・・

グンドラ・ヤノヴィッツの人間離れした天上の声とはまた違った、

熱い脈打つような響きがあります。

ヤノヴィッツ盤に次いでオススメできる盤です。

(いや、この2盤があれば、他は要らないのでは?)

 

VIER LETZTE LIEDER/ORCHES

 

 

(参考)

ワーグナー・ライヴ・イン・ザルツブルク

 

最初にこの曲を聴いたのは、確か高校生のときでした。

孤独だった私が愛読していた作家の一人が、ヘルマン・ヘッセでした。

そのヘッセの詩が3つも使われてる、というだけでも感激モノでした。

 

「4つの最後の歌」の、ヘッセ詩による最初の3つの曲は、すぐに夢中になりましたが、

最後の「夕映えの中に」は、詩の内容に共感できるようになるまで、

ある程度年数が必要でした。

今ならしみじみと共感できます。

また、R・シュトラウスがテキストと音楽に込めた、

夫婦愛にも・・・

 

(参考)

ヘッセ詩集 (新潮文庫) 

 

以前にも、「4つの最後の歌」について記事を書いていますので、

よろしければお読みください。

数年前の記事ですが、改めて「4つの最後の歌」を、

ヤノヴィッツ&カラヤン・BPOで聴いてみて、

やはり変わりはありませんでした。

グンドゥラ・ヤノヴィッツ(Gundula Janowitz)の天上的な美声!〜

カラヤン指揮ベルリン・フィルとともにSACDで

(ベートーヴェン:第9、R・シュトラウス:4つの最後の歌)・・・

2018年4月28日 (土)

【演奏会感想】第608回札幌交響楽団定期演奏会〜マティアス・バーメルト首席指揮者就任記念(2018年4月27日)〜アルプス交響曲は、見て愉しい!

第608回札幌交響楽団定期演奏会〜マティアス・バーメルト首席指揮者就任記念

札幌交響楽団の新しい首席指揮者に就任した、
マティアス・バーメルトの、就任記念コンサートでした。

R・シュトラウスの「アルプス交響曲」の実演を聴ける、というので、
期待していましたが、いろいろあって、4月まで結局チケットを買っていませんでした。

ところで私は、
道新ぶんぶんクラブ」(北海道新聞が行っている、会員サービス事業)の会員なので、
数週間前に、このコンサートの券を優待料金で購入できる、
という抽選に応募しました。
「これで当選しなかったら、縁がなかったのだろう」と思っていました。
しかし、見事当選させていただきました。
(神様に感謝!)
券種、座席は指定できないものの、
当日1枚1000円で2枚まで購入できるとあって、
妻と一緒にコンサートに行きました。

席種は全然期待していなかったのですが(一番最低のP席でも十分だと思っていました。)、
券をよく見ると、「S席」と書いてありました。
Kitara2階のRBブロックでした。
後で座席料金を調べてみると、
S席の料金は5500円でした。
かなりお得でした!

さて、曲目は
モーツァルトの交響曲第29番と、
R・シュトラウスの「アルプス交響曲」だけ。

モーツァルトの交響曲第29番は、無難な(手堅い?)演奏でした。
ただ、あまり印象に残るものではなく、
私は途中で少し寝ていたようです・・・

プログラム後半は、メインの「アルプス交響曲」!
Kitara大ホールのステージが楽器と演奏家で埋め尽くされました。
「アルプス交響曲」ならではの大規模な編成と、
特殊楽器、特にサンダーマシーンと、ウインドマシーン!
ハープも2台あるし、パイプオルガンも使用されます。
始まる前からワクワクしました。

バーメルトの指揮、札響の演奏は、どちらかというと、
荒削りな印象で(金管群がもうちょっと精度が欲しいかも・・・)、
ヨーロッパ・アルプスの氷河が残る3000m級の山々というよりは、
北海道の2000m級の夏山という感じでした。

それでも、今までCDやSACDの「音」だけで聴いていたものが、
目の前で大掛かりなオーケストラ演奏されるのですから、
聴くよりも見ていて愉しかったです。
パイプオルガンはサン=サーンスの交響曲第3番のような、
派手な活躍はせず、地味な低音を担当するのですが、
やはりKitara自慢のパイプオルガンで聴くと、格別でした!
実演を見て「なるほど!」と思った最初が、
「登り道」のところで、途中から金管奏者の一部が、
そそくさと舞台裏に引き下がるところでした。
舞台裏からファンファーレが聴こえてくる効果のためでした。
とても効果的な響きになっていました。

カウベルやその他の打楽器も効果的に響いていました。
やはり見せ場は、「雷雨と嵐、下山」のところです。
ウインドマシーンの実演と、
巨大なサンダーマシーン!
しかしサンダーマシーンは、たった1回しか出番がありません・・・
打楽器奏者の一人がサンダーマシーンのところに近づき、
鳴らす準備が出来ていたので、
妻とアイコンタクトで、「出るぞ、出るぞ」と楽しみにしていました。
聴いて愉しい、見て愉しい曲なんだな〜とつくづく思いました。

「アルプス交響曲」のCD・SACDは何枚も所有していますが、
今のところまだ聴き比べをしていないので、
どれが決定版だ、とまでオススメはできないです。
今のところ、通常CDでは、
カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏を、
SACDでは、ティーレマン指揮VPO盤(シングルレイヤー)と、
ダニエル・ハーディング指揮サイトウ・キネン・オーケストラ盤(シングルレイヤー)を
オススメしておきます。
(そのうちきちんと聴き比べ記事を書いてみたいと思っていますが・・・)

カラヤン盤

ティーレマン盤(SACDシングルレイヤー)

ハーディング盤(※私が持っているのは、SACDシングルレイヤー盤ですが、
現在入手が難しいようなので、SHM-CD盤を紹介しておきます。)

なお、2018年4月27日の演奏は、
2018年5月27日(日)のNHK-FMで、放送される、とのことです。
(札響HPより)
4月27日開催のマティアス・バーメルト指揮、第608回定期演奏会(R.シュトラウス/アルプス交響曲ほか)の模様が、NHK-FMで放送されます。ぜひお楽しみください。

2017年9月23日 (土)

NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部 「堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル」(2017年9月22日放送)

親子ほど離れたチェロとピアノのデュオ。
さながらクラシック音楽版「マイ・フェア・レディ」?
(ヴィジュアルだけで判断してゴメンナサイ・・・)
2017年9月22日放送の、NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部」。
2017年7月8日東京のハクジュホールでの、
「堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル」から、
以下の曲を放映していました。

三善晃:「母と子のための音楽」
R・シュトラウス:「チェロ・ソナタ」Op.6
(アンコール)
カサド:「愛の言葉」
ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」

実際のコンサートでは、
ベートーヴェン:モーツァルトの「魔笛」の“娘か女か”の主題による12の変奏曲 ヘ長調 op.66
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
三善晃:「母と子のための音楽」
R・シュトラウス:「チェロ・ソナタ」Op.6
というプログラムだったとのこと。
ハクジュホールのHPに出ていました。
堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル
チェロ界の重鎮ときらめく感性のピアニスト、極上のデュオ

チェリストの堤剛さんのファンには申し訳ないですが、
私は萩原麻未さんの方に惹かれているので、
チェロよりもピアノの方にどうしても注目がいきました。

実は、今回のコンサートのプログラムのうち、
ベートーヴェンの曲を除いた3曲でのCDが、コンサートに先立って発売されています。

フランク& R. シュトラウス:ソナタ

私は発売されてすぐ購入して聴きました。
フランクのチェロ・ソナタ(ヴァイオリンパートをチェロで弾いているもの)は、
チェロが小粒かつ地味ですが、何度も聴くとその素晴らしさがわかります。
やはりピアノパートが煌めいています!
萩原麻未さんは、「日本のアルゲリッチ」に成れそうな感じですね。
実は、このCDが、萩原麻未さんにとってのデビュー盤となりました。
2010年にジュネーブ国際音楽コンクール・ピアノ部門で優勝、
という輝かしい経歴があるにも関わらず、
CDデビューまでかなり時間が経ってしまったのは少し残念です。
「題名のない音楽会」などで実演を視聴して以来、
いつCDが出るのだろうか、と楽しみにしていたところでした。

今回のNHKでの放送は、残念ながら、
フランクのチェロ・ソナタが割愛されていたので、
残る2つの地味な曲だけとなったのは残念です。

三善晃、R・シュトラウスの曲どちらが良かったかといえば、
三善晃の方でした。
ブラームスの「子守唄」みたいな旋律から始まる、
美しい小品です。
R・シュトラウスの曲はそれなりにきれいですが、
ちょっと退屈でした。

ピアノが大活躍だったのは、アンコールの2曲の方でした。
特にラフマニノフの「ヴォカリーズ」!
むしろ、彼女のソロだけで聴きたいぐらいでした。
NHKさん、ぜひ前半のベートーヴェンとフランクの分も放映してください!

2009年9月15日 (火)

気分が落ち込んだ時に聴いてみたくなるクラシック音楽(重症編)

今回は、
「気分が落ち込んだ時に聴いてみたくなるクラシック音楽」の
「重症編」です。
「適量」使うと、クスリになりますが、「多用」しますと、
「中毒」になるかもしれませんよ。
音楽の「麻薬」みたいなものでしょうか・・・

 

絶望的な思いのときに、なぜか聴いてみたくなるのが、マーラーの曲です。
一番毒が強いのは、やはり「大地の歌」でしょう。
作曲家自身、「この曲を聴いたら自殺者が出るのでは」などと話していたそうです。
ワルター/VPOの1952年盤がやはりベストですね。
ただ、今私はこの盤を持っていません。
持っているだけで、何か虚無がささやいてくるような気がします。
今まで何回も買っては、しばらくすると、手放してしまいました。
次買うときは、おそらく、よほど精神的に混迷の時ではないか、と思います。

 

ワルター盤

 

次が、交響曲第9番。
現在は、ワルター/VPOの1938年盤で聴いています。
以前は、バーンスタインのグラモフォン盤で聴いていましたが、
今ではこちらの方がいいです。
70年前の録音とは思えないほど、音がはっきりとしています。

 

 

私にとって、マーラーの作品は、長大で、分裂的なので、
あまり好きなものではありません。
しかし、この2曲だけは、別格です。

 

続いて、シェーンベルクの「浄夜」。
カラヤン指揮BPOのがすばらしいです。
前半の重苦しさから、
後半の、すべてを受け入れるような愛の場面、
そのカタルシスがすばらしいです。

 

 

R・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」もすばらしいです。
これも、カラヤン指揮BPOのがいいです。
今私が持っているのは、1969年録音のものです。
(カラヤンは2回この曲を録音しています。
どちらもすばらしい録音です。
この曲については、他の指揮者のもいろいろ聴いてみましたが、
やはりカラヤン指揮のが一番いいです。
R・シュトラウスのような外面的な音楽には、
カラヤンの指揮が一番ぴったりです。)
現在の苦悩、過去の甘美な記憶、
そして、絶望的な現実に立ち戻る・・・
私はR・シュトラウスの交響詩は全然好きではありませんが、
晩年の諸作品(特に、この「メタモルフォーゼン」と「4つの最後の歌」)は、
クラシック音楽の中でも最高のものでは、と考えます。

 

 

「メタモルフォーゼン」を聴いた後に、クラシック音楽の至宝の一つ、
「4つの最後の歌」を聴くと、すばらしいカタルシス効果になります。
演奏は、これもカラヤン指揮BPO、ヤノヴィッツのソプラノがすばらしいです。
(この曲も、いろいろな盤を聴きましたが、満足できるのは、
この盤だけです。
ただし、伴奏がピアノ版なら、バーバラ・ボニーのがいいです。
※ピアノ版は、ほとんど出ていないはずですが・・・)
最近、実に久しぶりに聴いてみましたが、
美しさのあまり、涙がでました。
(美しさに慣れてしまう、というのは、実にもったいないことです。)
だからこそ、滅多に聴かないようにしています。

 

あと、マイケル・ナイマンの「ピアノ協奏曲」
(映画「ピアノ・レッスン」の曲を再構成して、
ピアノ協奏曲にしたもの)
もオススメです。
作曲者が指揮している盤か、NAXOS盤どちらもすばらしいです。

 

 

モーツァルトのピアノ協奏曲第24番。
モーツァルトには珍しく、苦悩する音楽です。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に近いかな、とも思います。
内田光子/ザンデルリングのがすばらしいですが、
手に入れやすいなら、バレンボイム盤(旧盤、新盤)がオススメです。

 

旧盤

 

旧盤・全集

 

新盤

 

 

最後に、最高のカタルシス効果がある曲といえば、
やはり、ベートーヴェンの「第9」でしょう。
(※バッハの『マタイ受難曲』はさらに別格ですが・・・
これは、またの機会に書きたいと思います。)
"Durch Leiden Freude!"(苦悩を超えて歓喜へ!)
この曲はあまりに有名ですので、オススメ盤はいっぱいあるでしょう。
私が一番よく聴くのは、カツァリスによるピアノ版のCDです。
ピアノを聴きながら、頭の中で、
自分なりのオーケストラや合唱の音を奏でています。
普通の、オーケストラ版なら、ジンマン指揮のが今では一番好きです。
思い入れが深いのは、ショルティ指揮シカゴ交響楽団の盤です。
高校生のときの、希望の光となった盤でした。
(もちろん、フルトヴェングラー指揮のものとか、
もっとすばらしいのはいっぱいありますし、
それ以上に、多少レベルは落ちても、実演はすばらしいです。)

 

 

 

私は、上記の曲は、実はあまり聴きません。
それは、「慣れっこ」にならないためです。
それらの曲を聴くときは、「非日常」、
「精神的な『非常事態』」と位置づけています。
本当にすばらしい曲ならば、秘儀的な位置づけの聴き方にしたほうが、
「ありがたいもの」になると思いますよ。

 

苦悩する音楽を聴いた後に、希望の音楽を聴けば、
まさに自分でできる、ミュージック・セラピー(音楽療法)となります。
参考になれば幸いです。

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