リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》おすすめ5盤
リムスキー=コルサコフの交響組曲《シェエラザード》。
有名な曲ですが、実のところ、
つい最近まで、好きではありませんでした。
R・シュトラウスの交響詩と同様、音楽で物語を紡ぐ、というのが、
どうも苦手だからです。
歌付きの曲や、映画音楽の類を除いて、
音楽は、何かを描写するのではなく、聴き手の自由な想像に委ねる方が好きです。
そういう意味で、《シェエラザード》のような物語付きの作品は、
敬遠していました。
(今では、R・シュトラウスの交響詩も、ある程度好きになりましたが・・・
少し年をとったから、許容範囲が広くなったのでしょうね。)
何年か前、1度何盤か集めて聴いてみようとしたのですが、
結局、たいして聴かないで、売り飛ばしてしまいました。
そんな私が、《シェエラザード》を好きになったきっかけは・・・
たまたま、家に残っていた最後の《シェエラザード》、
フリッツ・ライナー指揮シカゴ響のSACDで、
カップリングの「ナイチンゲールの歌」ってどんな作品だったかを確認するために聴きました。
ついでだから、《シェエラザード》も聴いてみよう、ということになりました。
すると・・・
壮絶な音響に圧倒されてしまいました!!!
それから、「これはスゴイ作品だ!」ということで、
あっと言う間に、さらに8盤集めて、現在9盤所有となりました。
今回は、その全盤を紹介しますが、9盤のうち、おすすめは5盤です。
曲の構成は、以下の通りです。
CDによって、第〇楽章となっていたり、第〇曲となっていたりします。
第1楽章(第1曲):海とシンドバッドの船
第2楽章(第2曲):カランダール王子の物語
第3楽章(第3曲):若い王子と王女
第4楽章(第4曲):バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲。
便宜上、以下では、第〇曲・・・で表記します。
まずは低評価(おすすめなし)から。
〇サー・トーマス・ビーチャム指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(WARNER※タワレコ限定)
ヴァイオリン独奏:スティーヴン・スターリク
1957年3月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー=コルサコフ: シェエラザード、ボロディン: だったん人の踊り<タワーレコード限定>
☆3.0
第1曲 10:02
第2曲 12:01
第3曲 10:41
第4曲 12:55
標準的な演奏。
〇シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団(DECCA)
ヴァイオリン独奏:リチャード・ロバーツ
1983年5月録音
通常CD
R=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》、スペイン奇想曲 (SHM-CD)
☆3.0
第1曲 10:32
第2曲 11:31
第3曲 10:33
第4曲 12:24
繊細な演奏ですが、音圧が弱いのが残念です。
淡い水彩画のような印象・・・
〇キリル・コンドラシン指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(DECCA※タワレコ限定)
ヴァイオリン独奏:ヘルマン・クレバース
1979年6月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー・コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」; チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番<タワーレコード限定>
☆3.0
第1曲 10:10
第2曲 12:09
第3曲 09:36
第4曲 12:31
名盤として知られていますが、音圧が弱いのが残念でした。
〇ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮
パリ管弦楽団(WARNER※タワレコ限定)
ヴァイオリン独奏:ルーベン・ヨルダノフ
1974年7月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー=コルサコフ: シェエラザード, スペイン奇想曲; ムソルグスキー: はげ山の一夜; グリンカ: 「ルスランとリュドミラ」序曲<タワーレコード限定>
☆3.5
第1曲 11:27
第2曲 12:54
第3曲 10:28
第4曲 12:55
宇野センセイ推薦の、重量級の演奏。
後述の演奏群と比べると、超厚塗りの油彩か、
マジックで描いたような絵のような感じです。
実はこの盤、1度買って聴いたのですが、
全然ピンと来ないので、売却の憂き目にあいました。
今回改めて買いなおして聴いてみることになりました。
相当この曲を聴いた上で、この演奏を聴いてみると、
それなりの価値を感じることができますが、
やはりそれほどオススメできる盤ではないな、というのが実感です。
ただし、やりすぎ系(後述のストコフスキー盤など)が好きなら、
揃えておいて損はないと思います。
さて、ここからはオススメ盤の紹介です。
(=☆4.0以上)
〇レオポルド・ストコフスキー指揮ロンドン交響楽団(DECCA)
独奏ヴァイオリン:エーリヒ・グルーエンバーグ
1964年9月録音
通常CD
☆4.0
第1曲 10:03
第2曲 11:40
第3曲 11:52
第4曲 12:06
ロストロポーヴィチと同じくやりすぎ系の代表的な演奏ですが、
こちらは成功した例といえます。
ロストロポーヴィチ盤はくどさを感じますが、
こちらはそういうのを感じさせないのがプラスです。
〇ズデニェク・マーツァル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(EXTON)
ヴァイオリン独奏:ボフミル・コトメル
2005年4月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー=コルサコフ:「シェエラザード」ムソルグスキー:「展覧会の絵」
☆4.0
第1曲 09:55
第2曲 12:09
第3曲 11:26
第4曲 12:50
繊細な演奏で、絵画に例えると、
緻密な色鉛筆画のようです。
繊細さを求めるのなら、この演奏はオススメです。
録音優秀です。
〇カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)
ヴァイオリン独奏:ミシェル・シュヴァルベ
1967年1月録音
通常CD
R.コルサコフ:シェエラザード、他
☆4.0
第1曲 10:01
第2曲 12:51
第3曲 10:41
第4曲 12:56
マーツァル盤と同じく、緻密な演奏でありながら、
ここぞ!というところの迫力は素晴らしいです。
特筆すべきは、シュヴァルベのヴァイオリンソロです。
全9盤のうち、最も優美です。
カラヤンはこの曲をコンサートで取り上げることなく、
この録音以外は指揮しなかったそうですが・・・
これはSACD化を望みたい盤です。
〇フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(BMG)
ヴァイオリン独奏:シドニー・ハース
1960年2月録音
SACDハイブリッド盤
Scheherazade / Song of the Nightingale (Hybr)
☆4.0
第1曲 09:06
第2曲 11:35
第3曲 12:02
第4曲 11:47
私が《シェエラザード》を好きになったきっかけの盤です。
1960年録音なのに、とにかく音響がスゴイ!!!
音の迫力では、この盤が断トツでしょう。
迫力ある油彩画のようです。
〇ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団(DECCA)
ヴァイオリン独奏:セルゲイ・レヴィーチン
2001年11月録音
通常CD
リムスキー=コルサコフ: 交響組曲《シェエラザード》(SHM-CD)
☆4.5
第1曲 10:27
第2曲 12:31
第3曲 10:55
第4曲 12:13
トータルと、入手しやすさを考慮すると、
この盤がファースト・チョイスと言えます。
惜しむらくは通常CDだ、ということぐらいですが、
SACDに劣らぬ迫力の音響を楽しめます。
繊細さとダイナミックさを合わせもつところが素晴らしいです。
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