カテゴリー「クラシック音楽・モーツァルト」の10件の記事

2021年12月10日 (金)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番おすすめ5盤

モーツァルトのピアノ協奏曲全27曲のうち、

ベスト3はどれかと聞かれたら、

私は間違いなく第24番を必ず入れると思います。

(あとは、第9番、第15番、第17番~第18番、

第20番~第27番のどれか。)

モーツァルトのピアノ協奏曲第24番は、私にとっては、

第1楽章で荒んだ心を表出させ、

第2楽章で癒し慰め、

第3楽章で共に立ち上がって前に進んでいくような、

いわば心の良薬、無言のカウンセラーのような存在です。

一番聴いていたのは、これも後述の、

バレンボイム旧盤でした。

 

今回この記事を書いてみようと思ったきっかけは、

後述の、ゲザ・アンダ(P)による、DG録音全集を入手したことによります。

CD全17枚の目玉は、バルトークのピアノ協奏曲全集と、

そしてモーツァルトのピアノ協奏曲全集です。

最近少しずつ全曲を聴くようにしています。

 

ドイツ・グラモフォン録音全集

 

さて、我が家には、調べてみると、

9盤ありました。

(以前は、アシュケナージやペライアのピアノ協奏曲全集がありましたが、

手放してしまいました。)

改めて全部聴いてみました。

聴くポイントは、やはりオーケストラのシンフォニック感と、

それに応えるピアノの存在感、特に孤独と憂愁を超えて、

「あえて(trotzdem)※ドイツ語」進んでいこうとする姿。

そして、ピアノのカデンツァ部です。

 

9盤のうち、4盤は今回オススメなしです。

 

〇ハイドシェック(P)、

アンドレ・ヴァンデルノート指揮パリ音楽院管弦楽団(WARNER タワレコ限定)

1957年12月録音

SACDハイブリッド盤(ただしモノラル録音)

カデンツァ:ハイドシェック

 

モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)<タワーレコード限定>

 

☆2.5

第1楽章 12:17

第2楽章 8:16

第3楽章 8:52

 

音が貧弱すぎて、よほどのハイドシェック・ファンでないと、

聴くに堪えません。

 

〇ペーター・レーゼル(P)、

ヘルムート・ブラニー指揮ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団(KING RECORDS)

2014年1月録音

SACDハイブリッド盤(マルチチャンネル)

カデンツァ:記載なし

 

モーツァルトピアノ協奏曲集4

 

☆3.0

第1楽章 13:04

第2楽章 7:06

第3楽章 8:29

 

ピアノは素晴らしいですが、

オケの非力感でマイナスです。

 

〇内田光子(P)、

ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団(現DECCA)

1988年5月録音

通常CD

カデンツァ:内田光子

 

Mitsuko UChida - Mozart Piano Concertos

 

☆3.5

第1楽章 14:14

第2楽章 8:17

第3楽章 9:14

 

内田ーテイトのコンビは、

モーツァルトのピアノ協奏曲集で、

バレンボイム盤と並んでファースト・チョイスで間違いないのですが、

第24番に限っては、オケがやや非力だと思いました。

 

〇バレンボイム(P、指揮)、ベルリン・フィル(EUROARTS)

1986-1989年に収録(詳細不明)

Blu-ray(PCM STEREO)

カデンツァ:記載なし

 

Mozart's Last 8 Piano Concertos [Blu-ray]

 

☆3.5

第1楽章 13:50

第2楽章 8:13

第3楽章 9:33

 

さすがのバレンボイムも、

まだ80年代ではベルリン・フィルに圧倒されてしまった感があります。

そういう意味で、少しだけ惜しいかも・・・

なお、現在廃盤のようです。

CDも出ていましたが、こちらも現在は廃盤のようです。

 

(参考)

 

 

さて、ここからはオススメ盤です。

どの演奏も、オーケストラが雄弁です。

最後に取り上げる、バレンボイム旧盤を除けば、

どれも優劣つけがたい感じです。

 

〇ゲザ・アンダ(P、指揮)

ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ(DG)

1966年4月録音

通常CD

カデンツァ:ゲザ・アンダ

 

ドイツ・グラモフォン録音全集

 

☆4.0

第1楽章 12:47

第2楽章 7:04

第3楽章 8:32

 

優雅なモーツァルト像を示しつつ、

オケもしっかりと響いています。

カデンツァが不思議な感じです。

愛聴盤になりそうかも・・・

 

〇クララ・ハスキル(P)、

イーゴリ・マルケヴィチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団(現DECCA、タワレコ限定)

1960年11月録音

SACDハイブリッド盤

カデンツァ:記載なし

 

ベートーヴェン、ショパン、モーツァルト: ピアノ協奏曲集 他 (旧PHILIPS協奏曲録音集成)<タワーレコード限定>

☆4.0

第1楽章 13:15

第2楽章 7:15

第3楽章 9:03

 

オケが暗い情念で燃えている・・・

曲想にピッタリでした。

古くからの名盤として知られていますね。

 

〇ロベール・カサドシュ(P)、

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団(のメンバー)(SONY、タワレコ限定)

1961年11月録音

SACDハイブリッド盤

カデンツァ:サン=サーンス(!)

 

モーツァルト: ピアノ協奏曲第15・17・21~24・26・27番 (2017年 DSDリマスター)<完全生産限定盤>

※現在廃盤のようです。

 

☆4.0

第1楽章 13:02

第2楽章 7:52

第3楽章 8:42

 

オーケストラの鮮明さ、雄弁さに拮抗する、

ピアノの存在感!

これはカサドシュよりもセルに期待して購入したのですが、

どちらもその期待に応えてくれました。

カデンツァがサン=サーンスというのも珍しいです。

モーツァルトのピアノ協奏曲第20番のカデンツァがベートーヴェンのもの、

みたいな感じですが、それほど印象には残りませんでした。

 

〇内田光子(P)、

クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団(harmonia mundi)

2002年5月録音

通常CD

カデンツァ:記載なし

 

Various Symphonies/Concertos

 

☆4・0

第1楽章 14:41

第2楽章 8:07

第3楽章 9:25

 

クルト・ザンデルリンクの引退コンサート。

内田光子とザンデルリンクの共演盤では、

ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集も名演ですが、

この演奏も、期待にたがわず、

ピアノ、オケ双方とも一体となって深淵なる世界を見せてくれます。

内田光子のピアノは、モーツァルトというよりは、

シューベルトのピアノ・ソナタの世界の感じでした。

随所に「あれ、こんな装飾音あったっけ?」というのが出てくるのが、

プラスととるか、マイナスととるか評価が分かれるかもしれません。

(私はプラスにとりました。)

なお、現在廃盤のようです。

 

〇バレンボイム(P、指揮)イギリス室内管弦楽団(WARNER)

1973年録音

通常CD

カデンツァ:バレンボイム

 

Mozart: Complete Piano Concertos 1-27

 

☆4.5

第1楽章 14:08

第2楽章 8:39

第3楽章 9:19

 

これは別格の演奏といえます。

まさに、現代にモーツァルトが蘇って、

ピアノと指揮をして演奏しているかのような・・・

ピアノとオケのバランス、そして力強さ!

何回聴いても感動する演奏です!!!

2020年3月23日 (月)

エソテリックから、デュメイ&ピリスによる、フランクのヴァイオリン・ソナタ他のSACD化

東京五輪の聖火が日本に到着するちょうど前日(2020年3月19日)に、

北海道知事による、緊急事態宣言が解除されました。

一応、3月20日からは、通常生活に戻っていい感じのようだったので、

約1か月ぶりに、札幌中心部である、大通駅や札幌駅の方へ行ってきました。

いろいろ買うものがありましたが、既に予約していた、

エソテリックのSACD、デュメイ&ピリスによる、

フランクのヴァイオリン・ソナタ他(後述)もようやく入手することができました。

 

モーツァルト、フランク&ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集

 

収録曲は、

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第28番、

フランク:ヴァイオリン・ソナタ

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番

の3曲です。

 

(以下は、通常CDです。)

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集

 

フランク/ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ 他 

 

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集

 

この3曲のうち、当然お目当ては、

フランクのヴァイオリン・ソナタです。

たぶん、あらゆるヴァイオリン・ソナタの演奏の録音の中で、

最も好きなのが、このデュメイ&ピリス盤です。

 

SACD化されて、気のせいか、CDよりも少し音が引っ込んだ感じがしましたが、

やはり何度聴いても感動する、非の打ちどころがない名演奏です!

 

意外にも、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番の演奏も素晴らしかったです。

(CDで聴いた時はさほど感銘を受けなかったのですが・・・)

3種の盤からの抜粋ではなく、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集だけで、

1枚モノにした方がよかったのでは、とも考えましたが・・・

ともあれ、少し値は張りましたが、買ってよかったと思った1枚でした!

 

ちなみに、自分のブログ内で、フランクのヴァイオリン・ソナタについて書いた記事が、

何と4つもありましたので、一応紹介しておきます。

フランクのヴァイオリン・ソナタ(2009.10.27)

NHKBSプレミアム「名曲探偵アマデウス」・フランク「ヴァイオリン・ソナタ」(2012.2.22)

デュメイ&ピリスのフランク:ヴァイオリン・ソナタ〜やっぱりこの盤が一番!(2013.6.12)

NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部 「堤&萩原デュオ」(2018年3月14日放送)(2018.3.18)

2019年6月 4日 (火)

イタリア交響楽団 コンサート(2019年6月3日 札幌Kitara大ホール)

すごく行きたいコンサート、というわけではなかったのですが・・・

北海道新聞の「道新ぶんぶんクラブ」経由のメルマガで、

通常の半額で聴ける、というので、応募してみました。

(C席4000円→2000円)

見事当選してしまいました。

妻と一緒に行きました。

(応募した人はもしかすると全員当選なのかも?)

 

ところで、みなさんは「イタリア交響楽団」というオケ名、知っていましたか?

世界のいろいろなオケの録音を聴いている私でさえ、実は初耳でした。

Wikipediaでも実は「イタリア交響楽団」では出てきません。

それもそのはず、本当の正式名称は、

「ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団」(Orchestra Haydn di Bolzano e Trento)

とのことです。

たとえて言うなら、海外で、札幌交響楽団を「日本交響楽団」と称するようなものでしょうか・・・

(もちろん札響はそんなことしないでしょうが・・・)

 

 

(引用)

イタリア交響楽団(道新プレイガイド)

イタリア交響楽団(ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団)

イタリア交響楽団(正式名称:ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団)は、1960年にイタリアのトレンティーノ=アルト・アディジェ州にイタリア政府文化省の援助で創立された。
イタリア国内の主要なホールやハイドン・フェスティバル(エステルハージ)、ブレゲンツ音楽祭、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ音楽祭(ブレーシャ、ベルガモ)、モーツァルト音楽祭(ロヴェレート)、グスタフ・マーラー音楽週間(ドッビアーコ)、アントニオ・ぺドロッティ指揮者コンクール(トレント)、チロル・エール音楽祭やフルッチョ・ブゾーニ・ピアノコンクール(ボルツァーノ)などの著名な音楽祭等に参加。また、アメリカ、オーストリア、ドイツ、ハンガリー、オランダ、スイス等へも演奏旅行をしている。2008年、ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバル公演で来日、東京と大津で演奏した。
オーケストラは、アバド、ムーティ、シャイー、インバル、ロンバール、ゼッダ、テイト、ロペス‐コボス、マリナー等の著名な指揮者や有名なソリストとの共演も数多い。50年以上の歴史の中でアンドレア・マスカーニなどによる30年間の統括ののち、2003~12年、グスタフ・クーンが芸術監督に就任。2013年3月より、音楽学者のダニエレ・スピーニが芸術顧問を担い、2014年にはアルヴォ・ヴォルマーが首席指揮者に就任した。
2005~6年シーズンには、グスタフ・クーンの指揮でベートーヴェンの交響曲全曲演奏を行った。
また、Agorá, Arts, col legno, cpo, Dynamic, Multigram, Naxos, RCA, Universal, VMC Classics and Zecchini等より多くの録音をリリース。イタリア放送協会(RAI)のテレビ、ラジオ出演も数多い。

(引用終)

 

この団体、最近ベートーヴェンとシューマンの交響曲全集をリリースしたそうです。

(参考)

ベートーヴェン:交響曲全集+ クーン&ヴィンター:交響曲を語る

 

 

 

 

シューマン:交響曲全集 クーン(指揮)


 

 

今回のプログラムは、

モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番

(ソリスト:イヴァン・クルパン)→この人も残念ながら私は知りませんでした。

ベートーヴェン:交響曲第7番

指揮:チョン・ミン(チョン・ミョンフンの息子らしいです・・・)

 

客席は結構空席が目立ちました。6〜7割の入りというところでしょう。

オケの配置はヴァイオリン両翼配置でした。

 

前半のプログラムはまあまあでした。

後半の、ベートーヴェンの交響曲第7番の方が良い演奏だったと思います。

ただし、規模がこじんまりとしている関係で、

もう少し弦の厚みが欲しいな、というところがいくつもありました。

第7番の第4楽章は、少し息切れ状態な感じがしましたが、

なんとかフルマラソンを完走!みたいな感じでした。

 

アンコールは、今回初めて聴くことになった、

ロッシーニの「ブルスキーノ氏」序曲(弦の弓で譜面台を叩く、という特殊奏法?があります。)と、

メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」の第4楽章でした。

ロッシーニのは、「クレッシェンドの使い方がロッシーニかな?」と思いましたが、

まさにそのとおりでした。

「イタリア」の第4楽章は熱演でした。

 

たぶん、一番安いC席4000円だとしても、おそらく行かなかったでしょうが、

2000円だったので、十分堪能できたと思います。

 

2019年5月 2日 (木)

モーツァルト:交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」"Prague" 〜SACD等聴き比べ8盤

モーツァルトの交響曲で、

今(2019年5月現在)最も好きで、よく聴いているのが、

交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」です。

第1楽章の出だしこそ、

重苦しい雰囲気(ちょうど、「ドン・ジョヴァンニ」のような・・・)に包まれますが、

その闇を抜けると、まばゆいばかりの太陽が拡がって、

馬車で颯爽と駆け抜けていくような爽快さがあります。

闇から光へ・・・

そのカタルシスと、ひたすら拡がる幸福感と愉悦感!

演奏時間25分間程度があっという間に過ぎ去っていきます。

 

今回、聴き比べのために、違う演奏で連続して「プラハ」を聴きましたが、

全然聴き疲れることなく、否、何度聴いても改めてステキだな、と思ったほどです。

 

それでは聴き比べです。

指揮者・オケ名・レーベル・録音年月・

スペック(SACD ハイブリッドorシングルレイヤー、Blu-ray Audio)、

2ch Stereo or Surround etc...) 、カップリング曲の順です。

☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。

☆低→☆高の順で取り上げます。

 

あらかじめ言っておきますが、今回取り上げた8盤、

どれも文句なしの名盤だと言えます。

評価が難しく、あとは好みの問題でしょうか・・・

あと、今回、通常CDはありません。

(タワレコ限定盤の時のみ、通常CDの紹介がありますが・・・)

 

◯カール・ベーム指揮ベルリン・フィル(DG)(1959年10月)

Blu-ray Audio(LPCM2.0)

モーツァルト交響曲全集

 

Mozart: The Symphonies (10CD+Blu-Ray) 

 

☆3.5

第1楽章 10:22

第2楽章 8:34

第3楽章 6:17

 

ベーム指揮では、後述するウィーン・フィル盤と、

このベルリン・フィル盤を所有していますが、

こちらのベルリン・フィル盤は若干硬いイメージがあります。

ただ、このBlu-ray Audio盤は、モーツァルトの交響曲全部を、

1枚のディスクですべて聴ける、というメリットがあります。

(朝から晩までモーツァルト漬け、なんていうこともできちゃいますが・・・)

私にとっては、はっきり言って、付属のCD10枚組は不要で、

Blu-ray Audioがあれば十分です。

輸入盤ですが、珍しく、日本語解説が一部付いています。

 

◯オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(WARNER)※タワレコ限定盤

1962年3月  SACDハイブリッド(SACD Stereo/CD)

モーツァルト: 交響曲集、アイネ・クライネ・ナハトムジーク(2種)、他<タワーレコード限定>

 

(通常CDなら・・・)

Mozart: Symphonies / Serenades / Overtures

 

(2019年5月2日現在、HMV Onlineで買った方が安いです・・・)

 

☆3.5

第1楽章 10:50

第2楽章 8:55

第3楽章 5:55

 

クレンペラーも2盤取り上げます。

後述の1956年録音の方が若干好みです。

しかし基本は変わっていません。スケールの大きな演奏です。

こちらの方が少し肩の力が抜けた演奏になっているように思いました。

この1962年録音、そして1956年録音共に、

プロデューサーはワルター・レッグ(Walter Legg)です。

タワレコ限定盤5枚組で、2種類の「プラハ」が収録されていました。

 

◯小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団(SONY)2005年7月

SACDハイブリッド(SACD 5.0channel/SACD Stereo/CD)

カップリング モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」/

モテット「エクスルターテ・イウビラーテ」K.165

 

モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」&第38番「プラハ」

 

 

☆3.5

第1楽章 13:03

第2楽章 10:23

第3楽章 5:57

 

淡い色彩のモーツァルトで、クレンペラーやベーム、カラヤンらの指揮の後で聴くと、

やはり東洋的なのだな、と思わされました。

しかし、薄味にはなっておらず、爽やかな風のように演奏が流れていきます。

 

演奏とは別に、このディスク、

「エクスルターテ・ユビラーテ」(普通はこう日本語表記されますが・・・)の再生が一苦労です。

交響曲第36番、第38番はマルチチャンネルですが、

「エクスルターテ・・・」はなぜかSACD Stereoのみ・・・

我が家のユニバーサルプレイヤーでは、マルチチャンネル設定にしてあるので、

その場合だと、「エクスルターテ・ユビラーテ」の再生ができません。

一旦マルチチャンネルの再生設定をオフにしないと、ディスクが認識しないのです・・・

(SONYはなぜこういう設定にしたのでしょうか・・・)

 

◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)1977年2月、10月

SACDシングルレイヤー(SACD Stereo)

モーツァルト後期交響曲集(SACD3枚組)

 

モーツァルト:後期交響曲集 限定版, SACD

 

 

☆4.0

第1楽章 10:20

第2楽章 9:02

第3楽章 5:45

 

ある意味、ブラームスを演奏するかのような、

重厚な編成ですが、

壮麗さと、愉悦感が補って余りあります。

音楽が微笑んでいて、聴いていて心地よいものがありました。

 

◯ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団(SONY)1959年12月

SACDシングルレイヤー(SACD Stereo)

カップリング モーツァルト:交響曲第40番

 

モーツァルト : 交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」 SACD

 

 

☆4.0

第1楽章 10:55

第2楽章 9:07

第3楽章 4:10

 

SACD最初期に発売されたものの一つですが、未だに販売されているようです。

音楽そのものが微笑みかけてくる、ステキな演奏です。

 

◯オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(WARNER)※タワレコ限定盤

1956年7月  SACDハイブリッド(SACD Stereo/CD)

モーツァルト: 交響曲集、アイネ・クライネ・ナハトムジーク(2種)、他<タワーレコード限定>

※前述と同じ。

 

☆4.5

第1楽章 13:10

第2楽章 8:03

第3楽章 5:36

 

スケールが極めて大きな演奏です。

音楽の力強さ、構成感、どちらも前述のクレンペラー盤を凌駕しています。

モーツァルトの愉悦感はそれほどでもない感じはしますが、

何度聴いても、高貴で雄大で美しい、と思わされます。

特に細部の美しさにハッとすることが多いです。

 

◯サー・チャールズ・マッケラス(Sir Charles Mackerras)指揮

スコットランド室内管弦楽団(LINN RECORDS)

2007年8月

SACDハイブリッド(SACDマルチ/SACD Stereo/CD)

カップリング モーツァルト:交響曲第39〜41番(SACD2枚組)

 

Mozart: Symphonies 38 Hybrid SACD, インポート

 

 

☆4.5

第1楽章 17:44

第2楽章 11:18

第3楽章 7:45

 

今回紹介した中では、最も演奏時間が長いですが、

弛緩は見られず、そういう時間の長さを感じさせません。

この演奏は、古楽的なアプローチの演奏です。

(でも「古楽の」演奏ではありません。)

モダンオケの厚塗りから解放された、

極めて身ごなしの軽い、爽やかで細部が光る演奏と言えます。

 

◯カール・ベーム指揮ウィーン・フィル(DG)※タワレコ限定

1979年3月

SACDハイブリッド(SACD Stereo/CD)

モーツァルト交響曲集(SACD3枚組)

 

【SACDハイブリッド】モーツァルト: 交響曲集(第29, 35, 38, 39, 40, 41番), フリーメイソンのための葬送音楽, アイネ・クライネ・ナハトムジーク<タワーレコード限定>

 

☆4.5

第1楽章 13:44

第2楽章 8:54

第3楽章 6:32

 

ベームの指揮がどうのこうの、というよりは、

ウィーン・フィルの美音に酔いしれるべき演奏、といえます。

ただただ美しく、愉しい!

音楽が満面の微笑みで包み込んでくれます。

今まで紹介した中で、どれか1枚だけ選べ、と言われれば、

やはりこの演奏をとります。

2018年1月 8日 (月)

2017-2018 年末年始によく聴いたCD2盤

2017年末から2018年お正月にかけて、
帰省先に8枚のCD(ほとんどがSACD)を持って行きました。
その中で最もよく聴いた2盤を紹介します。

最も聴いたのが、
チャールズ・マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団による、
モーツァルトの後期交響曲(第38番〜第41番)集です。
2枚組で、第38番と第39番で1枚、第40番と第41番でもう1枚です。
そのうち、もっぱら聴いていたのが(実家で借りた車内等で)、
第38番「プラハ」と第39番が収録された盤です。
特に好きなのが「プラハ」の方。
冒頭は「ドン・ジョヴァンニ」みたいな重苦しい響きですが、
「トンネルを抜けたら雪国」ならぬ、きらめく青い海が拡がっているかのような、
実に爽やかな曲です。
マッケラス盤は、録音がとても鮮明で、細部がよく聴こえます。
オリジナルか、モダンか、といった野暮な議論が不要なほど、
この曲の愉しさが満開に溢れている演奏だと思います。
何回繰り返して聴いても飽きがきません。

Mozart: Symphonies 38 Hybrid SACD, Import

もう1枚は、上記の盤よりは聴く頻度は少なかったです。
上岡敏之指揮ヴッパータール交響楽団による、
シューマンの交響曲第4番
(カップリングは、ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」)でした。
※この盤、Amazonとタワレコでは新品なし、HMVでは取り寄せ扱いとなっていました。
(2018.1.8現在)

シューマンの交響曲第4番も、「闇から光へ」といった感じの曲ですね。
シューマンの交響曲第4番は、以前聴き比べ記事を書きました。
その中では、クレンペラー盤やフルトヴェングラー盤に高評価をつけていましたが、
今回はなぜか上岡敏之盤で聴きたいと思って持っていきました。
正解だったと思います。

シューマン:交響曲第4番 Hybrid SACD

2018年も、光溢れる1年となりますように・・・

2015年1月20日 (火)

モーツァルト:ディヴェルティメント(Divertimento)第17番ニ長調K.334聴き比べ〜ウィーン八重奏団員盤とカラヤン&ベルリン・フィル2種

モーツァルトのディヴェルティメント第17番K.334を、
今月(2015年1月)になってから愛聴しています。
第3楽章が有名ですが、全曲どこから聴いても優美な旋律に満ちあふれています。
宇野センセイは第2、第5、第6楽章のみを愉しむ、と書かれていますが、
私は通しで聴いています。
第3楽章以外では、第6楽章が一番好きです。

 

今回の聴き比べCDです。

 

ウィーン八重奏団員盤(1956)DECCA
※Amazonでは輸入盤2枚組ですが、
私が持っているのはタワレコ限定販売の国内盤4枚組です。

 

第1楽章;7:02
第2楽章;8:41
第3楽章;4:31
第4楽章;6:02
第5楽章;7:00
第6楽章;8:34

 

カラヤン指揮ベルリン・フィル(1965)DG国内盤

 

第1楽章;7:02
第2楽章;8:40
第3楽章;5:55
第4楽章;7:55
第5楽章;9:30
第6楽章;8:32

 

カラヤン指揮ベルリン・フィル(1987)DG国内盤

 

第1楽章;7:08
第2楽章;8:52
第3楽章;5:20
第4楽章;6:51
第5楽章;8:44
第6楽章;8:58

 

 

ウィーン八重奏団員盤は、
宇野センセイがこの曲の決定盤として挙げているものです。
聴いているだけで、
ウィーンのカフェでゆったりくつろいでいるかのような、
優雅な時間を味わうことができます。
コーヒー片手にスイーツを食べながら聴くとベストかもしれません。

 

カラヤン盤2種は、弦楽合奏版です。
ウィーン八重奏団員盤がカフェ気分だとしたら、
カラヤン盤は王宮にいるかのような気分です。
どちらかというと、カラヤン盤の方を好んで聴いています。
旧盤は、サンモリッツでの録音、とのことですが、
少しだけひんやりした感じがします(いい意味で)。
新盤は、カラヤン最晩年の録音ですが、
弛緩は微塵もなく、温かみがある演奏となっています。
どちらか一枚だけ取るなら、新盤の方ですが、
双方とも甲乙つけがたい甘美で見事な演奏です。
極上のBGMです。

2014年2月 9日 (日)

アルゲリッチ&アバドのモーツァルト:ピアノ協奏曲第25番&第20番(DG)

つい先日(2014年1月21日)、
指揮者クラウディオ・アバドの訃報を聞きました。
世界的指揮者クラウディオ・アバド氏 80歳で死去 私自身はそれほどアバドの指揮に思い入れはないですが、
それでも彼の指揮によるDVD・Blu-rayは数枚持っています。
訃報を知ってつい買ってしまったのが、
2013年のルツェルン音楽祭でアルゲリッチと共演した、
モーツァルトのピアノ協奏曲第25番&第20番のCDです。
巨匠アバド指揮、『モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第25番』2/19緊急発売! 今日(2014年2月9日)ようやく届きました。

 

(輸入盤)

 

 

(国内盤)

 

 

CDジャケットの両面を見て、感慨深いものがありました。
表は現在(2013年)の2人(アルゲリッチとアバド)の姿、
裏側は若かりし頃の2人の姿です。
美女と好青年が、どちらもすっかり銀髪になってしまいました・・・
思わず写真に撮ってしまいました。

 

Abbado_argerich

 

さて、肝心の演奏に移りましょう。
聴く前の予想では、モーツァルトよりもアルゲリッチ色が強い演奏かな、
と思っていましたが、意外と控えめでした。
第20番の方は、名演が多いので、合格点に達するかどうかもアヤシイかも・・・
(オーケストラが軟弱すぎるかな・・・)
ちなみに私のオススメの演奏は、
バレンボイムの弾き振り旧盤と、内田光子の弾き振り盤(DVD)です。

 

 

バレンボイム盤(ピアノ協奏曲全集)
Mozart: Complete Piano Concertos 1-27 [Box Set, CD, Import]

 

 

内田光子盤(DVD)

 

 

内田光子盤(旧盤)※指揮はテイト。

 

 

内田光子盤(引き振り新盤)
買ったけど、早くに手放してしまいました。
CDなら旧盤の方をとります。

 

さて、アルゲリッチ&アバドのこのCDでオススメは、
第25番の方です。
もともとあまり愛好者が少ない曲ですね。
ピアノ協奏曲第20番〜24番と、第26番〜第27番は傑作であると、
誰しも認めるわけですが、
第25番はというと、???かもしれません。
私もそんなに好きではなく、食わず嫌いしていました。
しかしこの演奏で聴くと、
実にチャーミングな魅力あふれる曲なんだと実感しました。
いい意味で、余計な力が抜けきって、
音楽そのものが楽しげに、軽やかに鳴り響いている・・・
そんな感じでした。
愛聴盤になるかもしれません・・・

2012年9月12日 (水)

モーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノーム(Jeunehomme)」聴き比べ~内田光子新旧2盤、ペライア、アシュケナージ&バレンボイム(旧盤)

モーツァルトのピアノ協奏曲は、
第20番以降はいずれも傑作ですね。
(ただし、第25番は除きますが・・・)
では、第20番以前の傑作といえば・・・
私なら、第9番と第15番、第17番、第18番を選びます。
この中で一番好きなのは、第9番です。
第15番ならバーンスタイン指揮・ピアノによるウィーン・フィルの名盤がありますし、
第17番、第18番なら、ペライアの名盤があり、
かなり前から好きでした。

 

バーンスタイン盤(SACD)

 

一方、第9番は、特に好きになったのが数年前でした。
東京方面へ長旅した後、北海道に戻ってから、
なにげなく内田光子/テイトのモーツァルトピアノ協奏曲全集のCDを順番に聴いていて、
非常に心の琴線に触れたのが、この第9番でした。
音楽の天使が戯れているような・・・(うまく表現できませんが・・・)
それから集中的に何度も聴き、
以来、モーツァルトのピアノ協奏曲の中で最も聴く頻度が多い曲となっています。
今では私にとっては、第20番とかの一般的な人気曲よりも好きな曲です。

 

今回この記事を書いてみようと思ったのは、
内田光子がクリーブランド管弦楽団を弾き振りした新しいCDが出たからです。
ピアノ協奏曲第9番と第21番のカップリングです。

 

内田盤(新盤)※国内盤

 

同※輸入盤

 

このCDと聴き比べしたのは、我が家にある以下のCDです。
どれも、ピアノ協奏曲全集にある1枚です。

 

アシュケナージ盤(旧盤)

 

バレンボイム盤(旧盤)

 

ペライア盤

 

内田光子盤(旧盤)

 

なお、アシュケナージとバレンボイムはピアノ協奏曲第9番を2回録音しています。
(我が家にはありませんが・・・)

 

(参考)
アシュケナージ(新盤)NHK交響楽団

 

バレンボイム(新盤)ベルリン・フィル※廃盤?

 

 

それぞれの録音時間を書きます。
第1楽章
アシュケナージ盤 
10:36
バレンボイム盤
10:39  
ペライア盤
10:02
内田旧盤
10:19
内田新盤
11:08

 

第2楽章
アシュケナージ盤
12:29
バレンボイム盤
13:32
ペライア盤
11:31
内田旧盤
11:46
内田新盤
11:47

 

第3楽章
アシュケナージ盤
10:36
バレンボイム盤
10:32
ペライア盤
9:58
内田旧盤
9:31
内田新盤
10:08

 

演奏のカデンツァ部が一番印象的なのは、ペライア盤です。
アシュケナージ盤は水準以上の演奏ですが、この中では印象が薄いです。
バレンボイム盤は、いつもの彼らしい、きわめて男性的なモーツァルト像を提示しています。
どれも合格点の演奏といえます。

 

さて、内田光子の新旧2盤こそが、この曲の名盤を語る上で本命となります。
新盤は、全体的にゆったりとした印象を受けます。
特に第1楽章が顕著です。
内面的な演奏としては、すばらしいのですが、
いまひとつ愉悦感が乏しいように思えます。
まるで、シューベルト晩年のピアノ・ソナタみたいな感じでしょうか・・・
その点、旧盤は愉悦感があり、停滞した感じはみじんもありません。
内田光子ファンならどちらも持っていて損はありませんが、
どちらか1枚というなら、断然旧盤の方をとります。

 

内田光子の旧盤は国内盤のバラ売りがまだありますよ。

 

※今回、アーティスト名はすべて敬称略としました。

2012年3月 2日 (金)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番の名盤~グリモー、ペライア、内田光子、バレンボイム、アシュケナージ・・・

先日、マレイ・ペライアのピアノと指揮によるモーツァルトのピアノ協奏曲全集を、
タワーレコードのサイトで予約購入しました。
初回限定版のみの発売、
12枚組の正規盤でなんと2190円!という激安価格でした。
(現在品切れ中・・・)
ペライアのピアノと指揮によるモーツァルトのピアノ協奏曲のCDとしては、
以前から第17番・第18番のアルバムを愛聴していました。
26番の演奏も名盤として名高いです。
どちらもオススメできるCDです。
(単品CDならコチラ↓)

 

ピアノ協奏曲第17番・第18番(輸入盤)

 

ピアノ協奏曲第26番他(輸入盤)

 

購入したピアノ協奏曲全集はそのうち全部聴いてみるつもりではいますが、
現在までに聴いた中で、上記以外の名盤を見つけました。
それが、今回取り上げるピアノ協奏曲第23番です。

 

(全集・通常版)※輸入盤

 

ペライアの演奏はかなりゆったりとしていて優雅です
遅すぎると思えるぐらいですが、その分細部がモノを言うような演奏といえます。

 

改めて、既にあるバレンボイムのピアノ・指揮による全集と、
内田光子/テイトの全集にある同曲、
さらには、昨年購入したエレーヌ・グリモーのピアノ・指揮による演奏とも比較してみました。
各楽章の演奏時間を列記します。

 

(いずれも輸入盤)
バレンボイムによる全集

 

内田光子/テイトによる全集

 

グリモー盤 (ピアノ協奏曲第19番、第23番他)

 

 

第1楽章
グリモー盤 10:42
バレンボイム盤 11:02
内田光子盤 11:23
ペライア盤 11:43

 

第2楽章
グリモー盤 7:38
バレンボイム盤 7:34
内田光子盤 7:19
ペライア盤 8:34

 

第3楽章
グリモー盤 7:56
バレンボイム盤 7:27
内田光子盤 7:45
ペライア盤 8:52

 

どの楽章をとっても、ペライア盤はダントツの遅さですね。

 

改めて聴き直してみると、印象深いのは、
グリモー盤とペライア盤です。
名演が多いバレンボイムと内田光子による全集盤でのこの曲はの演奏は、
合格点には達しているものの、スゴイとは思えません。
(他ではいろいろオススメできるのに・・・)

 

グリモー盤は速いテンポでこの曲をリフレッシュさせています。
第1楽章はブゾーニのカデンツァ使用や
標準的な演奏よりも速いスピードが賛否分かれるところですが、
第2楽章以降は名演といえます。
なお、このCDのカップリングは、あまり人気のない第19番と、
あまり知られていない、
劇唱「どうしてあなたを忘れられようか」とロンド「恐れないで、愛する人よ」 K.505 (ソプラノ:モイカ・エルトマン)です。
K.505は実にすばらしい演奏です。
声とピアノとオーケストラの饗宴・・・

 

DGによるグリモー盤のピアノ協奏曲第23番第2楽章の動画がありますので紹介します。

 

この曲を初めて聴いたCDは、
アシュケナージのピアノと指揮による演奏です。
中庸かつロマンティックで、標準的な演奏といえます。
現在手元にありませんが、改めて試聴すると結構イイ演奏なのでは、
と再認識しました。

 

アシュケナージ盤(国内盤)

 

アシュケナージによる全集盤(輸入盤)

 

モーツァルトのピアノ協奏曲全集は、
名演奏のもの(バレンボイム、内田光子、アシュケナージ、ペライア・・・)でも
かなり安く買えるようになってきています。
全集だけでも2、3組持っていても損はないと思いますよ。

 

(2012年3月8日追記)
CDの棚を整理していたら、
昨年買ってあまり聴いていなかった、
ファジル・サイのCDが出てきました。
演奏時間を書いておきます。
第1楽章:10:14
第2楽章:6:09
第3楽章:7:53

 

どの楽章もグリモー盤よりも短いですね。
しかし実際に聴いてみると、そんなに早さは感じません。
むしろ、オーソドックスな演奏かな、と思いました。
ファジル・サイらしさはあまり出ていない演奏で、
むしろ、模範的とさえいえるようなものといえます。
難点を言えば、オーケストラの方で、
一部首をかしげたくなるような箇所がいくつかあります。
このCD、輸入盤3枚組の中の1枚ですが、
国内盤CD1枚分よりも安い!というオトクなものです。
モーツァルトのピアノ協奏曲のCDよりも、
ベートーヴェンのピアノソナタ集の方がオススメです。
他のCDはハイドンのピアノ・ソナタ集です。

 

Fazil Say Boxed Set

2009年9月15日 (火)

気分が落ち込んだ時に聴いてみたくなるクラシック音楽(重症編)

今回は、
「気分が落ち込んだ時に聴いてみたくなるクラシック音楽」の
「重症編」です。
「適量」使うと、クスリになりますが、「多用」しますと、
「中毒」になるかもしれませんよ。
音楽の「麻薬」みたいなものでしょうか・・・

 

絶望的な思いのときに、なぜか聴いてみたくなるのが、マーラーの曲です。
一番毒が強いのは、やはり「大地の歌」でしょう。
作曲家自身、「この曲を聴いたら自殺者が出るのでは」などと話していたそうです。
ワルター/VPOの1952年盤がやはりベストですね。
ただ、今私はこの盤を持っていません。
持っているだけで、何か虚無がささやいてくるような気がします。
今まで何回も買っては、しばらくすると、手放してしまいました。
次買うときは、おそらく、よほど精神的に混迷の時ではないか、と思います。

 

ワルター盤

 

次が、交響曲第9番。
現在は、ワルター/VPOの1938年盤で聴いています。
以前は、バーンスタインのグラモフォン盤で聴いていましたが、
今ではこちらの方がいいです。
70年前の録音とは思えないほど、音がはっきりとしています。

 

 

私にとって、マーラーの作品は、長大で、分裂的なので、
あまり好きなものではありません。
しかし、この2曲だけは、別格です。

 

続いて、シェーンベルクの「浄夜」。
カラヤン指揮BPOのがすばらしいです。
前半の重苦しさから、
後半の、すべてを受け入れるような愛の場面、
そのカタルシスがすばらしいです。

 

 

R・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」もすばらしいです。
これも、カラヤン指揮BPOのがいいです。
今私が持っているのは、1969年録音のものです。
(カラヤンは2回この曲を録音しています。
どちらもすばらしい録音です。
この曲については、他の指揮者のもいろいろ聴いてみましたが、
やはりカラヤン指揮のが一番いいです。
R・シュトラウスのような外面的な音楽には、
カラヤンの指揮が一番ぴったりです。)
現在の苦悩、過去の甘美な記憶、
そして、絶望的な現実に立ち戻る・・・
私はR・シュトラウスの交響詩は全然好きではありませんが、
晩年の諸作品(特に、この「メタモルフォーゼン」と「4つの最後の歌」)は、
クラシック音楽の中でも最高のものでは、と考えます。

 

 

「メタモルフォーゼン」を聴いた後に、クラシック音楽の至宝の一つ、
「4つの最後の歌」を聴くと、すばらしいカタルシス効果になります。
演奏は、これもカラヤン指揮BPO、ヤノヴィッツのソプラノがすばらしいです。
(この曲も、いろいろな盤を聴きましたが、満足できるのは、
この盤だけです。
ただし、伴奏がピアノ版なら、バーバラ・ボニーのがいいです。
※ピアノ版は、ほとんど出ていないはずですが・・・)
最近、実に久しぶりに聴いてみましたが、
美しさのあまり、涙がでました。
(美しさに慣れてしまう、というのは、実にもったいないことです。)
だからこそ、滅多に聴かないようにしています。

 

あと、マイケル・ナイマンの「ピアノ協奏曲」
(映画「ピアノ・レッスン」の曲を再構成して、
ピアノ協奏曲にしたもの)
もオススメです。
作曲者が指揮している盤か、NAXOS盤どちらもすばらしいです。

 

 

モーツァルトのピアノ協奏曲第24番。
モーツァルトには珍しく、苦悩する音楽です。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に近いかな、とも思います。
内田光子/ザンデルリングのがすばらしいですが、
手に入れやすいなら、バレンボイム盤(旧盤、新盤)がオススメです。

 

旧盤

 

旧盤・全集

 

新盤

 

 

最後に、最高のカタルシス効果がある曲といえば、
やはり、ベートーヴェンの「第9」でしょう。
(※バッハの『マタイ受難曲』はさらに別格ですが・・・
これは、またの機会に書きたいと思います。)
"Durch Leiden Freude!"(苦悩を超えて歓喜へ!)
この曲はあまりに有名ですので、オススメ盤はいっぱいあるでしょう。
私が一番よく聴くのは、カツァリスによるピアノ版のCDです。
ピアノを聴きながら、頭の中で、
自分なりのオーケストラや合唱の音を奏でています。
普通の、オーケストラ版なら、ジンマン指揮のが今では一番好きです。
思い入れが深いのは、ショルティ指揮シカゴ交響楽団の盤です。
高校生のときの、希望の光となった盤でした。
(もちろん、フルトヴェングラー指揮のものとか、
もっとすばらしいのはいっぱいありますし、
それ以上に、多少レベルは落ちても、実演はすばらしいです。)

 

 

 

私は、上記の曲は、実はあまり聴きません。
それは、「慣れっこ」にならないためです。
それらの曲を聴くときは、「非日常」、
「精神的な『非常事態』」と位置づけています。
本当にすばらしい曲ならば、秘儀的な位置づけの聴き方にしたほうが、
「ありがたいもの」になると思いますよ。

 

苦悩する音楽を聴いた後に、希望の音楽を聴けば、
まさに自分でできる、ミュージック・セラピー(音楽療法)となります。
参考になれば幸いです。

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