カテゴリー「クラシック音楽・ドビュッシー」の6件の記事

2021年10月 1日 (金)

2021年9月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

2021年9月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:

(※トップページ及びカテゴリを除く)

ベスト3までと、先月書いた記事(があれば)にはリンクを張っています。

 

一位.主の祈り(その6)「みこころが天に行われるとおり・・・」

二位.「カトリック」か「カソリック」か?~誤用に潜む軽蔑と無知

三位.SACDとBlu-ray Audio、どちらが優れているか?〜音響、価格、将来性・・・

四位.映画「ピノキオ」に隠された神学~附:ヨナ書からの教会学校説教案

五位.アンパンマンとイエス・キリスト

〜友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。(ヨハネ15:13)

六位.友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。

(ヨハネ15:13)~あるカトリック神父の、愛ゆえの死

七位.百合が原公園のダリア(2021年9月20日)

八位.ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ の魅力に開眼!

九位.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番オススメ3盤

十位.ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ の魅力に開眼!

(次点)

11位.「スイートプリキュア」とシェーンベルクの「浄夜」

 

先月の記事数は、7本。

そのうち4本がランクインというのは久しぶりです!

一位の記事の初ランク入りは、すごい驚異的なPV数でした。

二位以降のすべての記事のPV数を合わせた数よりも多いものでした・・・

なぜそんなに読まれたのか、例のごとくまったくわかりません。

かなり前(2009年6月)の記事です。

 

ちなみに、

最近は言論・主張をツイッターで行っています。

2021年10月1日現在、ツイート数約13.6万、

フォロワー数1850となっています。

前回(9月1日)の記事から、なんと461人もフォロワー様が増えています。

8月15日以降の加速度的フォロワー様増が今も続いています。

感謝!

 

札幌では紅葉が始まっています。

もう雪虫が飛んでいました。

川には赤黒い鮭が遡上してきています。

すっかり秋ですね・・・

今月もご愛読よろしくお願いいたします。

皆様に祝福と平安が豊かにありますように・・・

2021年9月11日 (土)

ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ の魅力に開眼!

前回、ラヴェルのヴァイオリン・ソナタの記事を書きました。

ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ の魅力に開眼!

今度は、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタについて書きます。

 

ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタは、長年愛聴している、

デュメイ(vn)&ピリス(p)のDGアルバムに含まれていますが(後述)、

どうも苦手で、冒頭1分も聴かずに、聴くのを拒否していました。

つかみどころのない抽象画のような・・・

 

それが、先日、これまた後述の、正戸里佳(vn)&菅野潤(p)のアルバムで、

ラヴェルについで流して聴いていたら、「こんなにステキな曲だったのか!」と、

突然その価値がわかってしまいました。

みずみずしい感性と、録音の優秀さの勝利とも言えます。

 

さて、ラヴェルのヴァイオリン・ソナタに次いで、あわてて2枚追加で揃えて、

家にあるドビュッシーのヴァイオリン・ソナタが含まれるアルバムは5盤となりました。

低評価⇒高評価の順に紹介します。

 

 

●マイケル・バレンボイム(vn)、ダニエル・バレンボイム(p)(DG)

(カップリング;ドビュッシー:ピアノと管弦楽のための幻想曲、チェロ・ソナタ、「海」

☆3.0

第1楽章 4:48

第2楽章 3:57

第3楽章 4:11

 

無難な演奏・・・

 

●ジャン=ジャック・カントロフ(vn)、ジャック・ルヴィエ(p)(ERATO)

(カップリング;ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ、ピアノ三重奏曲、

ヴァイオリンとチェロのためのソナタ、フォーレの名による子守歌、ツィガーヌ)

☆3.5

第1楽章 4:41

第2楽章 4:32

第3楽章 4:07

 

音圧が低いですが、よく聴きこむと、

なかなかの演奏であることがわかりました。

少なくとも、カップリングのラヴェルのヴァイオリン・ソナタよりは高評価です。

 

さて、ここからはオススメ盤です。

●アルテュール・グリュミオー(vn)、イシュトヴァン・ハイデュ(p)(DECCA)

(カップリング;フランク:ヴァイオリン・ソナタ、

ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ)

☆4.0

第1楽章 4:10

第2楽章 3:55

第3楽章 4:00

 

このアルバムの中で、一番素晴らしいのが、

ドビュッシーのソナタでした。

少し絵画的な感覚がありました。

 

●デュメイ(vn)、ピリス(p)(DG)

(カップリング;フランク:ヴァイオリン・ソナタ、

ラヴェル:フォーレの名による子守歌、ハバネラ形式の小品、ツィガーヌ)

 

☆4.0

第1楽章 4:53

第2楽章 4:16

第3楽章 4:11

 

この盤でドビュッシーのヴァイオリン・ソナタを聴くのに、

25年以上かかってしまいました・・・

まるで『青い鳥』のようです・・・

夢見心地の世界にいざなってくれます。

しかし、これでも、後述の正戸盤には及ばないかな・・・

 

●正戸 里佳(vn)、菅野 潤(p)(KING RECORDS)

(カップリング;ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ、フォーレの名による子守歌、

ドビュッシー:星の夜、亜麻色の髪の乙女、

プーランク:愛の小径、ヴァイオリン・ソナタ、平和のためにお祈りください)

 

☆4.5

第1楽章 4:57

第2楽章 4:31

第3楽章 4:34

 

たぶん、この盤に巡り合っていなかったら、

ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタの素晴らしさを、

一生理解できなかったかもしれません。

それぐらい、この盤は別格です。

録音を通して、フランスにいるかのような、

不思議な音体験ができるかもしれません。

印象派やモダンアートの美術館を散策して、カフェに立ち寄っておしゃべり・・・

そんなイメージかもしれません。

薫りと気品が漂う、素晴らしい演奏・録音です!

このコンビで、ぜひフランクのヴァイオリン・ソナタの録音を聴いてみたいものです。

2019年12月31日 (火)

エソテリックのSACD「ドビュッシー:《海》、牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲、亡き王女のためのパヴァーヌ、ボレロ シャルル・デュトワ(指揮)モントリオール交響楽団」~2019年のシメとして

2019年12月に発売された、

エソテリックのSACD「ドビュッシー:《海》、牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲、亡き王女のためのパヴァーヌ、ボレロ シャルル・デュトワ(指揮)モントリオール交響楽団」を購入し、聴きました。

エソテリックのHP

楽天市場のHP

収録曲及び演奏者は、タイトルにある通りです。

ちなみに、ジャケットに使われている絵は、

オディロン・ルドンの「オルフェウス」です。

私の妻が、ジャケット絵を見て、「この絵ステキね」と言ってくれました。

(滅多にない発言でした・・・)

 

Amazonでは取り扱いなしですが、ジャケットの写真があります。

 

デュトワ指揮モントリオール交響楽団による、ドビュッシーの「海」他

(通常CD)

 

デュトワ指揮モントリオール交響楽団による、ラヴェル:ボレロ他

(通常CD)

 

さて、私にとって、ラヴェルの「ボレロ」や「ダフニスとクロエ」、

「亡き王女のためのパヴァーヌ」を初めて聴いたのが、

デュトワ指揮モントリオール交響楽団の演奏のCDでした。

その音の美しさに驚嘆したものです。

今回SACDを聴いてみて、改めてこの演奏は素晴らしいと思いましたし、

また、初めて聴いた時のような感動が蘇ってきました。

ドビュッシーの「海」をデュトワ指揮モントリオール交響楽団で聴いたのは、

ここ数年のことですが、

こちらも満足のいく演奏でした。

 

欲を言えば、このSACD、ラヴェルかドビュッシーどちらかに絞った方がよかったのでは、

とも思いました。

まぁ、どちらもおいしいとこだけ詰め込みました・・・という感じにはなっていますが・・・

 

エソテリックのSACD、ここ数年は発売予定が出ると、予約して買っています。

私は札幌市中央区にある、CAVIN大阪屋、という店で予約をしています。

ただ、高い割には、それほど満足していないものが多いのも現実です。

しかし、今回のSACDは久々に満足がいく内容だったといえます。

 

さて、今回の記事で、2019年のブログ執筆は「打ち止め」です。

ご愛読ありがとうございました。

2020年もよろしくお願いいたします。

 

主があなたを祝福し、あなたを守られるように。

主が御顔の光であなたを照らし

あなたに恵みを与えられるように。

主が御顔をあなたに向けて

あなたに平和を賜るように。

(旧約聖書 民数記6:24~26新共同訳)

2017年7月10日 (月)

ドビュッシー:「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描」(La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre)聴き比べ

ドビュッシーの「海」。
ドビュッシーの代表作ですね。
よく、「交響詩」と題されることが多いですが、
正確には誤りです。
「「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描
(La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre)
"esquisse"(エスキス)とは、「下絵、スケッチ」を意味するフランス語です。

曲は三部構成です。
第1曲:海の夜明けから正午(真昼)まで
第2曲:波の戯れ
第3曲:風と海(と)の対話
※CDによって多少の訳の違いがあります。
以下、便宜上、以下、第1曲を①、第2曲を②、第3曲を③と略記します。

この曲を初めて聴いたのは(ただし、全曲ではなく、部分的に)、
1990年頃でした。
当時、CD店で貰った、マイケル・ティルソン・トーマスのCDサンプルに、
「海」が含まれていました(確か③)。
何か掴みどころがなく、茫漠として、
その当時の私にとってはイマイチ理解しがたい響きでした。
そのあたりから、ドビュッシーは敬遠すべき作曲家になっていきました。

それから約27年、2017年になってから、
ようやく「海」の素晴らしさに開眼できました。
きっかけは、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏のDVDでした。
メインは、ホルストの「惑星」で、「海」はオマケの扱いでした(私にとっては・・・)
(経緯と演奏の感想は後述・・・)

ちょうど、今年の5月に、
札響の演奏による「海」の実演も聴くことができました。
【演奏会感想】第599回札幌交響楽団定期演奏会(2017年5月20日)〜ラトヴィア放送合唱団の天上の声!
「海」は20世紀前半の重要な管弦楽曲の1つだと確信しました。

それでは、聴き比べです。
録音年月順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
(なお、モノラル録音はありません。)


◯シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA→SONY)
1956年12月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:サン=サーンス:交響曲第3番”オルガン”、イベール:寄港地

☆4.0
①08:37
②06:15
③07:58

サン=サーンス:交響曲第3番 Hybrid SACD

雄大な演奏です!
音の迫力が凄く、録音がとても60年以上も前のものとは思えません。
③に限って言えば、「海」(荒れ狂う海)というよりは、
ストラヴィンスキーの「春の祭典」みたいな音の饗宴になっているかのようです。


◯フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(RCA→SONY)
1960年2月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:レスピーギ:ローマの噴水、ローマの松

☆3.5
①10:22
②06:31
③08:20

Pines of Rome / Fountains of Rome / La Mer (Hybr) Hybrid SACD, SACD, Import

自然界の「海」を感じさせるような演奏ではないかもしれませんが、
オーケストラの名人芸を堪能できます。
③の最後の部分は、まさにレスピーギの「ローマの祭」みたいな音響が炸裂します。


◯ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団(SONY)
1963年1月
通常CD
カップリング ラヴェル「ダフニスとクロエ第2組曲」、亡き王女のためのパヴァーヌ

☆4.0
①08:43
②06:24
③07:38

ドビュッシー:海&ラヴェル:ダフニスとクロエ第2組曲他

少しも曖昧なところがない、光が降り注ぐような明快な演奏です。
普通だと、メカニックな演奏に陥ってしまうところ、
曲のダイナミックさと繊細さをうまく引き出し、
美しい海の情景が拡がります。
特に①、②が秀逸です。
③の最後のところの迫力も凄いです。


◯ブーレーズ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(SONY)
1966年12月
通常CD
※ドビュッシー:管弦楽曲集

☆4.5
①08:50
②07:16
③07:40

ドビュッシー:管弦楽曲集

今回紹介した盤の中では、最もジャケットが美麗ですし、
演奏・録音もダントツです。
前述の、ミュンシュ&ライナー盤のマッチョで力づくの響きとは一線を画した、
柔らかくて繊細な、まさにノーブル(高貴)な響きになっています。
どんなにフォルテの部分でも、絶叫にならず、汗一つかかない(?)・・・
そういう涼しげなところが、この曲には実にマッチしています。
③の冒頭はまるで海鳴りのようです。
③のラストはオーケストラの咆哮になりがちですが、
そういうところでもうるさくならず、それでいて迫力に不足はありません。

ブーレーズの指揮といえば、クラシック音楽を聴き始めてからつい最近まで、
どちらかというと敬遠してきましたが(宇野教に洗脳されていたから?)、
最近は結構好きな指揮者の一人です。
特に20世紀の作品演奏は、スタンダード又は頂点といったものばかりです・・・


◯シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団(Altus)
1967年11月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ベルリオーズ:幻想交響曲、
ストラヴィンスキー:レクイエム・カンティクルス

☆3.0
①09:38
②06:41
③08:55

ベルリオーズ : 幻想交響曲 Op.14 他 (Berlioz : Symphonie Fantastique | Stravinsky : RequiemCanticles | Debussy : La mer / Charles Munch , Orchestre de Paris (1967 Paris Live)) [SACDシングルレイヤー] SACD

ライブ録音です。
ボストン響との録音よりはおとなしい響き・・・
時折指揮者のうなり声が聴こえます。
③の中盤あたり(4:40〜)のゆったりさは、特異な感じです。
終盤の追い込みは、少し雑な感じで、しかも迫力がありません。
この演奏は、
力演であるベルリオーズの幻想交響曲のオマケと割り切った方がいいかも。


◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団(DECCA)
1976年5月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ

☆4.0
①08:34
②06:33
③07:50

ドビュッシー:交響詩「海」、ラヴェル:ボレロ、他 Limited Edition, SACD

ショルティ、といえば「パワフル」という印象ですが、
ここでは繊細な響きを堪能できます。
録音が優秀です。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1977年1月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ

☆3.5
①09:45
②06:44
③08:53

ドビュッシー:海 牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:ボレロ

ジャケットがサイケデリック風でイマイチ・・・(ユニークですが)
SACDの音質としては、あまり通常CDと変わらない気がします。
③のラストは、「海」というよりも、
「花火」というタイトルをつけた方がいいぐらいの迫力があります。


◯オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(EUROARTS)
1977年6月
DVD(PCM STEREO、DD5.1、DTS5.1)※映像付
カップリング ホルスト:惑星

☆4.0
①08:35
②06:40
③09:04

Planets / La Mer [DVD] [Import]

今回の聴き比べのきっかけとなった演奏です。
元々、ホルストの「惑星」のオマケと考えていました。
実際、買ってからしばらくは、「惑星」の方しか聴いていませんでした。
(映像はありますが、あえて観ていません。)
たまたま、「惑星」が終わってから止めずに、
流し聴きしていたところ、「素晴らしい曲だ!」と思ったわけです。
音の張り、迫力が凄いです。
③は嵐の海のように荒れ狂った様子になっています。
ライブとしては圧倒的です。
(映像としては年代相応)

◯シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団(DECCA)
1989年5月
通常CD
カップリング 牧神の午後への前奏曲、バレエ「遊戯」、夜想曲

☆3.5
①08:49
②06:11
③07:57

ドビュッシー:海/牧神の午後への前奏曲/夜想曲/遊戯

「曖昧模糊」たる典型的な演奏といえましょう。
「曖昧模糊」なドビュッシー像こそ理想的な演奏、というなら、
この盤は最高にオススメです。
全体的にふわっとした感じがします。
ただ、私としては、ブーレーズやセルの明快な演奏の方が好みなので、
少し低い評価になってしまいました・・・


◯チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(WARNER)
1992年8月
通常CD
※”French & Russian Music"

☆3.5
①13:09
②08:42
③11:17

French and Russian Music Box set, Import

保有盤中最遅。
(通常の演奏が22〜24分程度に対して、
チェリの演奏は30分以上!)
「海」は「海」でも、この世の海ではなく、
「あの世」の「海」なのかも・・・
テンポは極めて遅いですが、弛緩した感じはしません。
聴き逃していた細かなパッセージなどがよく聴こえてきます。
いざという時の迫力は凄いです。
ただ、「海」の理想的な演奏かと言われれば、
やはり「否」ではないでしょうか。
ドビュッシーよりチェリを聴くべき演奏です。


◯ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団(DG)
1993年3月
通常CD
※Boulez Conducts Ravel and Debussy

☆3.0
①08:45
②07:05
③07:41

Boulez Conducts Ravel and Debussy Box set, CD, Import

旧盤のシャープさが薄れ、少しぼやけた感じです。
スケールも小さいです。
SONY旧盤があれば所有不要かも・・・

2017年7月 6日 (木)

ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」聴き比べ

ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」。
昔から知ってはいましたが、
なんともいえないけだるげな(官能的な)感じがそれほど好きではありませんでした。
ドビュッシーの作品自体、あまり好きではなかったです。
曖昧模糊、まさに「雲」のようなとらえがたい音楽とでもいいましょうか・・・

しかし最近ようやく、ドビュッシーの「海」が好きになり、
「海」のCDやSACDを集めるようになりました。
(後日、聴き比べ記事を書く予定です。)
その中の1枚、ショルティ指揮シカゴ交響楽団の演奏(SACDシングルレイヤー、後述)で、
もともと敬遠していた、「牧神の午後への前奏曲」が冒頭に収録されていました。
なんとなく、ついでだから聴いてみたのですが・・・
結構、ステキな曲なのだな、と実感しました。
そこで、家にあるドビュッシー関連のCDや、
カラヤン、ムラヴィンスキーのオムニバス盤などをいろいろ調べたら、
7盤(2017年7月5日現在)に収録されていました。
(もともと10分程度の曲ですので、
この曲のために新たに盤を集めることはしませんでした・・・)

ところで、ドビュッシーがこの曲を作曲する際に、
感銘を受けたというのが、
マラルメの詩「半獣神の午後」という詩です。
(「牧神」も「半獣神」も、どちらも原語(フランス語)では、
"Faune"ですが、慣習的に、ドビュッシーは「牧神」、
マラルメでは「半獣神」と訳される、とのことです。)
その詩の訳文を掲載しているブログ記事を見つけましたので、
興味のある方はどうぞ。
「牧神の午後」(ブログ名:ムッシュKの日々の便り)

なお、本記事では、タイトルの「牧神」あるいは、
元となった詩の「半獣神」を使わず、
原語のカタカナ読みの「フォーン」で統一表記します。
(タイトルは別ですね・・・)

話を戻して・・・
それでは、聴き比べです。
録音年月順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。


◯ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(SCRIBENDUM)
1965年2月
通常CD
※The Art of Mravinsky in Moscow 1965 & 1972(7枚組CDBOX)

☆3.0
09:54

ムラヴィンスキー・イン・モスクワ (The Art of Mravinsky in Moscow 1965 & 1972) Box set

通常のイメージで言えば、緑がうっそうと茂る中でフォーンがまどろんでいる、
という感じですが、
この演奏だと、氷に閉ざされたようなイメージでした・・・
1965年2月28日のコンサートの記録です。
このCDBOXのオマケと考えた方がいいかも・・・


◯ブーレーズ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(SONY)
1966年12月
通常CD
※ドビュッシー:管弦楽曲集

☆4.0
09:41

ドビュッシー:管弦楽曲集

醒めた演奏ですが、細部が明晰なので、
まるで陽光降り注ぐような明るい森で、
フォーンがまどろんでいるかのようです。
ただ、この曲については、あまりに明晰すぎるよりは、
後述のデュトワ盤のような曖昧模糊の演奏や、
カラヤン盤のようなムード音楽にしてしまう方が、
味わいがあるのかもしれませんね・・・


◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団(DECCA)
1976年5月
SACDシングルレイヤー(SACD 2CH)
カップリング: 「海」、ラヴェル「ボレロ」

☆4.0
10:50

ドビュッシー:交響詩「海」、ラヴェル:ボレロ、他 Limited Edition, SACD

ブーレーズ盤と同じく、細部が明晰ですが、
ブーレーズ盤よりは淡い感じがします。
この曲の良さを改めて認識させてくれた演奏です。
今回の聴き比べのきっかけになりました。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1977年1月
通常CD
※Monumental Karajan!(カラヤンの演奏のオムニバス盤)

☆4.0
10:11

Monumental Karajan!(CD3枚組)

※1枚モノならこちら↓
ドビュッシー:海 牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:ボレロ(SACDハイブリッド)

カラヤンらしい優美なレガートで甘美に聴かせる名演です。
ムード音楽としては最高峰かも?


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)
1985年12月
通常CD
※「アダージョ・カラヤン」

☆4.0
09:52

アダージョ・カラヤン DX(2枚組)

1枚ものならコチラ↓
ドビュッシー:交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲/ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、ダフニスとクロエ

上記で紹介したのは、2枚組になったバージョンですが、
元々は1枚モノのCDでバカ売れしたアルバムでしたね・・・
「いかにも・・・」のムード音楽で、耽美的です。
演奏そのものは、WARNER盤の方が優れていると思いますが、
聴かせどころタップリです。


◯デュトワ指揮モントリオール交響楽団(DECCA)
1989年5月
通常CD
カップリング:「海」、「遊戯」、「夜想曲」

☆4.5
10:44

ドビュッシー:海/牧神の午後への前奏曲/夜想曲/遊戯

今回紹介した盤の中で、最も「曖昧模糊さ」を感じる演奏です。
作品のタイトルと最もマッチしています。
ファースト・チョイスとしてオススメですが、
曖昧模糊がニガテなら、ブーレーズ盤かショルティ盤をオススメします。
あるいは、ムード音楽系なら、カラヤン盤か・・・

◯ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団(DG)
1991年3月
通常CD
※Boulez Conducts Ravel and Debussy Box set, CD, Import

☆3.5
08:54

Boulez Conducts Ravel and Debussy Box set, CD, Import

明晰さは旧盤よりイマイチ・・・
旧盤が「前衛」、「モダン」としてのドビュッシーを強く感じるのと対称的に、
新盤は、「古典」としてのドビュッシーを安心して聴ける、という違いでしょうか。

2017年5月21日 (日)

【演奏会感想】第599回札幌交響楽団定期演奏会(2017年5月20日)〜ラトヴィア放送合唱団の天上の声!

2ヶ月ぶりに、札幌交響楽団定期演奏会に行きました。
(前回は第597回。→【演奏会感想】第597回札幌交響楽団定期演奏会(2017年3月11日)〜エリシュカ指揮のブラームス:交響曲第1番は凄演!!!
第599回 札幌交響楽団定期演奏会
2017年5月20日、札幌コンサートホールKitaraにて。マチネーです。
札幌に所用で来ていた私の両親に、
初めてKitara大ホールの響きを聴かせることができたのは嬉しかったです。
(もちろん妻も一緒にいました。)

指揮はオーボエ奏者として知られるハインツ・ホリガー。
(オーボエ奏者としてはスーパースターですが、
指揮者としてはあまり知りませんでした・・・)
ゲストはラトヴィア放送合唱団(Latvian Radio Choir)。

プログラムは、
(前半)
1.シューマン:ミサ・サクラOp.147
(休憩)
(後半)
2.マーラー:アダージェット(交響曲第5番第4楽章)
3.夕映えのなかで〜無伴奏合唱のための
(交響曲第5番よりアダージェット 編:C.ゴットヴァルト 詞:J.v.アイヒェンドルフ)
(transcription:Clytus Gottwald(1925-),
text:Joseph von Eichendorff(edition:Carus))
4.ドビュッシー:海〜3つの交響的素描
(アンコール:なし)

今日のメイン・メインプログラムは、1曲あたりの長さでいえば、
シューマンの「ミサ・サクラ」、
オーケストラの響きとしては、ドビュッシーの「海」ですが、
私にとってのこのコンサートの白眉は、
3曲目の「夕映えの中で」でした。
これは後で述べます。

1曲目の「ミサ・サクラ」。
シューマンが宗教曲を作っていた、程度の知識はありましたが、
「シューマンの宗教曲」というカテゴリ自体、あまり興味がなかったので、
この「ミサ・サクラ」は初めて聴くものでした。
ラトヴィア放送合唱団の美しさ
(特にソプラノ独唱の方!→イヴェタ・ロマンツァーネさん、とのこと)は光りましたが、
部分部分は耳当たりがいいものの、心に残るメロディに欠ける感じでした。
演奏がどうこう、というよりは、作品そのもののイマイチさなのでしょうね・・・
かなりの回数、睡魔に襲われました・・・

後半のプログラム、マーラーの「アダージェット」なので、
弦パートとハープだけの編成がステージ上にありました。
なかなかの演奏でした。
オケの「アダージェット」が終わると同時に、オケは鳴りを潜め、
ラトヴィア放送合唱団の美質が全開しました!
ア・カペラで、マーラーの「アダージェット」のメロディ、和声を、
テキスト付の16声で響かせました!
札響の先程の「アダージェット」が全く霞んでしまうほど、
ラトヴィア放送合唱団の声は信じられないほど美しかったです!
もはや「天上の声」のよう・・・
テキストに関係なく、響きだけでも美しすぎ・・・
これだけ美しい合唱は、実に久しぶりに聴きました。
(スウェーデン放送合唱団と、バッハ・コレギウム・ジャパンも美しかったなぁ・・・)

実は、合唱のテキストに使われているのは、
R・シュトラウスの「4つの最後の歌」の終曲「夕映えの中で」と全く同じです。
(参考→歌曲対訳「四つの最後の歌」(ブログ名:ワーグナー聴けば聴くほど)

テキストの表現、というところだけを考えると、
R・シュトラウスの「4つの最後の歌」に軍配をあげますが、
テキストに関係なく響きだけでいえば、
今回の「夕映えのなかで」も素晴らしいと思いました。

プログラム最後の曲「海」は、
「Ⅰ 海の上の夜明けから真昼まで」が最も素晴らしい響きでした。
曲の終盤では、煌々と輝く陽光が見えてくるようでした・・・
「Ⅲ 風と海との対話」は、豪快に響きましたが、
少しだけ息切れ状態のような印象も受けました。
とはいえ、実演で聴くのは初めてだったので、
響きを堪能することができました。
実演で聴けて幸せ!

ちょうど、ドビュッシーの「海」を好きになってきているので、
そのうち聴き比べ記事を書きたいな、と考えています。
今のところの「海」のオススメ盤は、
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団による演奏(DVD)と、
ブーレーズ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団によるものです。
(ブーレーズはクリーヴランド管弦楽団を指揮した新盤もありますが、
旧盤の方がすばらしいです。)

ブーレーズ盤(旧盤、SONYの方)

オーマンディ盤(DVD)

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