モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番おすすめ5盤
モーツァルトのピアノ協奏曲全27曲のうち、
ベスト3はどれかと聞かれたら、
私は間違いなく第24番を必ず入れると思います。
(あとは、第9番、第15番、第17番~第18番、
第20番~第27番のどれか。)
モーツァルトのピアノ協奏曲第24番は、私にとっては、
第1楽章で荒んだ心を表出させ、
第2楽章で癒し慰め、
第3楽章で共に立ち上がって前に進んでいくような、
いわば心の良薬、無言のカウンセラーのような存在です。
一番聴いていたのは、これも後述の、
バレンボイム旧盤でした。
今回この記事を書いてみようと思ったきっかけは、
後述の、ゲザ・アンダ(P)による、DG録音全集を入手したことによります。
CD全17枚の目玉は、バルトークのピアノ協奏曲全集と、
そしてモーツァルトのピアノ協奏曲全集です。
最近少しずつ全曲を聴くようにしています。
ドイツ・グラモフォン録音全集
さて、我が家には、調べてみると、
9盤ありました。
(以前は、アシュケナージやペライアのピアノ協奏曲全集がありましたが、
手放してしまいました。)
改めて全部聴いてみました。
聴くポイントは、やはりオーケストラのシンフォニック感と、
それに応えるピアノの存在感、特に孤独と憂愁を超えて、
「あえて(trotzdem)※ドイツ語」進んでいこうとする姿。
そして、ピアノのカデンツァ部です。
9盤のうち、4盤は今回オススメなしです。
〇ハイドシェック(P)、
アンドレ・ヴァンデルノート指揮パリ音楽院管弦楽団(WARNER タワレコ限定)
1957年12月録音
SACDハイブリッド盤(ただしモノラル録音)
カデンツァ:ハイドシェック
モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)<タワーレコード限定>
☆2.5
第1楽章 12:17
第2楽章 8:16
第3楽章 8:52
音が貧弱すぎて、よほどのハイドシェック・ファンでないと、
聴くに堪えません。
〇ペーター・レーゼル(P)、
ヘルムート・ブラニー指揮ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団(KING RECORDS)
2014年1月録音
SACDハイブリッド盤(マルチチャンネル)
カデンツァ:記載なし
モーツァルトピアノ協奏曲集4
☆3.0
第1楽章 13:04
第2楽章 7:06
第3楽章 8:29
ピアノは素晴らしいですが、
オケの非力感でマイナスです。
〇内田光子(P)、
ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団(現DECCA)
1988年5月録音
通常CD
カデンツァ:内田光子
Mitsuko UChida - Mozart Piano Concertos
☆3.5
第1楽章 14:14
第2楽章 8:17
第3楽章 9:14
内田ーテイトのコンビは、
モーツァルトのピアノ協奏曲集で、
バレンボイム盤と並んでファースト・チョイスで間違いないのですが、
第24番に限っては、オケがやや非力だと思いました。
〇バレンボイム(P、指揮)、ベルリン・フィル(EUROARTS)
1986-1989年に収録(詳細不明)
Blu-ray(PCM STEREO)
カデンツァ:記載なし
Mozart's Last 8 Piano Concertos [Blu-ray]
☆3.5
第1楽章 13:50
第2楽章 8:13
第3楽章 9:33
さすがのバレンボイムも、
まだ80年代ではベルリン・フィルに圧倒されてしまった感があります。
そういう意味で、少しだけ惜しいかも・・・
なお、現在廃盤のようです。
CDも出ていましたが、こちらも現在は廃盤のようです。
(参考)
さて、ここからはオススメ盤です。
どの演奏も、オーケストラが雄弁です。
最後に取り上げる、バレンボイム旧盤を除けば、
どれも優劣つけがたい感じです。
〇ゲザ・アンダ(P、指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ(DG)
1966年4月録音
通常CD
カデンツァ:ゲザ・アンダ
ドイツ・グラモフォン録音全集
☆4.0
第1楽章 12:47
第2楽章 7:04
第3楽章 8:32
優雅なモーツァルト像を示しつつ、
オケもしっかりと響いています。
カデンツァが不思議な感じです。
愛聴盤になりそうかも・・・
〇クララ・ハスキル(P)、
イーゴリ・マルケヴィチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団(現DECCA、タワレコ限定)
1960年11月録音
SACDハイブリッド盤
カデンツァ:記載なし
ベートーヴェン、ショパン、モーツァルト: ピアノ協奏曲集 他 (旧PHILIPS協奏曲録音集成)<タワーレコード限定>
☆4.0
第1楽章 13:15
第2楽章 7:15
第3楽章 9:03
オケが暗い情念で燃えている・・・
曲想にピッタリでした。
古くからの名盤として知られていますね。
〇ロベール・カサドシュ(P)、
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団(のメンバー)(SONY、タワレコ限定)
1961年11月録音
SACDハイブリッド盤
カデンツァ:サン=サーンス(!)
モーツァルト: ピアノ協奏曲第15・17・21~24・26・27番 (2017年 DSDリマスター)<完全生産限定盤>
※現在廃盤のようです。
☆4.0
第1楽章 13:02
第2楽章 7:52
第3楽章 8:42
オーケストラの鮮明さ、雄弁さに拮抗する、
ピアノの存在感!
これはカサドシュよりもセルに期待して購入したのですが、
どちらもその期待に応えてくれました。
カデンツァがサン=サーンスというのも珍しいです。
モーツァルトのピアノ協奏曲第20番のカデンツァがベートーヴェンのもの、
みたいな感じですが、それほど印象には残りませんでした。
〇内田光子(P)、
クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団(harmonia mundi)
2002年5月録音
通常CD
カデンツァ:記載なし
Various Symphonies/Concertos
☆4・0
第1楽章 14:41
第2楽章 8:07
第3楽章 9:25
クルト・ザンデルリンクの引退コンサート。
内田光子とザンデルリンクの共演盤では、
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集も名演ですが、
この演奏も、期待にたがわず、
ピアノ、オケ双方とも一体となって深淵なる世界を見せてくれます。
内田光子のピアノは、モーツァルトというよりは、
シューベルトのピアノ・ソナタの世界の感じでした。
随所に「あれ、こんな装飾音あったっけ?」というのが出てくるのが、
プラスととるか、マイナスととるか評価が分かれるかもしれません。
(私はプラスにとりました。)
なお、現在廃盤のようです。
〇バレンボイム(P、指揮)イギリス室内管弦楽団(WARNER)
1973年録音
通常CD
カデンツァ:バレンボイム
Mozart: Complete Piano Concertos 1-27
☆4.5
第1楽章 14:08
第2楽章 8:39
第3楽章 9:19
これは別格の演奏といえます。
まさに、現代にモーツァルトが蘇って、
ピアノと指揮をして演奏しているかのような・・・
ピアノとオケのバランス、そして力強さ!
何回聴いても感動する演奏です!!!
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