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2021年12月17日~18日。
札幌では、1999年以降での記録的大雪となった、とのことでした。
もっとも、バスなどの公共交通機関は渋滞で遅れ気味とは言え、
運行できましたから、「記録的」という言葉には少し違和感がありました。
大雪の「宴」の後には、美しい光景が広がっていました。
まさに「雪化粧」。
枯れ木や、ありふれた松の木などが、
美しく彩られていました。
まずは、昼間の風景から。
撮影場所は、札幌市南区です。
そして、ホワイトイルミネーション。
撮影場所は札幌市中央区です。
冬は寒いけど、とても美しい季節です。
恵みに感謝!
リムスキー=コルサコフの交響組曲《シェエラザード》。
有名な曲ですが、実のところ、
つい最近まで、好きではありませんでした。
R・シュトラウスの交響詩と同様、音楽で物語を紡ぐ、というのが、
どうも苦手だからです。
歌付きの曲や、映画音楽の類を除いて、
音楽は、何かを描写するのではなく、聴き手の自由な想像に委ねる方が好きです。
そういう意味で、《シェエラザード》のような物語付きの作品は、
敬遠していました。
(今では、R・シュトラウスの交響詩も、ある程度好きになりましたが・・・
少し年をとったから、許容範囲が広くなったのでしょうね。)
何年か前、1度何盤か集めて聴いてみようとしたのですが、
結局、たいして聴かないで、売り飛ばしてしまいました。
そんな私が、《シェエラザード》を好きになったきっかけは・・・
たまたま、家に残っていた最後の《シェエラザード》、
フリッツ・ライナー指揮シカゴ響のSACDで、
カップリングの「ナイチンゲールの歌」ってどんな作品だったかを確認するために聴きました。
ついでだから、《シェエラザード》も聴いてみよう、ということになりました。
すると・・・
壮絶な音響に圧倒されてしまいました!!!
それから、「これはスゴイ作品だ!」ということで、
あっと言う間に、さらに8盤集めて、現在9盤所有となりました。
今回は、その全盤を紹介しますが、9盤のうち、おすすめは5盤です。
曲の構成は、以下の通りです。
CDによって、第〇楽章となっていたり、第〇曲となっていたりします。
第1楽章(第1曲):海とシンドバッドの船
第2楽章(第2曲):カランダール王子の物語
第3楽章(第3曲):若い王子と王女
第4楽章(第4曲):バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲。
便宜上、以下では、第〇曲・・・で表記します。
まずは低評価(おすすめなし)から。
〇サー・トーマス・ビーチャム指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(WARNER※タワレコ限定)
ヴァイオリン独奏:スティーヴン・スターリク
1957年3月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー=コルサコフ: シェエラザード、ボロディン: だったん人の踊り<タワーレコード限定>
☆3.0
第1曲 10:02
第2曲 12:01
第3曲 10:41
第4曲 12:55
標準的な演奏。
〇シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団(DECCA)
ヴァイオリン独奏:リチャード・ロバーツ
1983年5月録音
通常CD
R=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》、スペイン奇想曲 (SHM-CD)
☆3.0
第1曲 10:32
第2曲 11:31
第3曲 10:33
第4曲 12:24
繊細な演奏ですが、音圧が弱いのが残念です。
淡い水彩画のような印象・・・
〇キリル・コンドラシン指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(DECCA※タワレコ限定)
ヴァイオリン独奏:ヘルマン・クレバース
1979年6月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー・コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」; チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番<タワーレコード限定>
☆3.0
第1曲 10:10
第2曲 12:09
第3曲 09:36
第4曲 12:31
名盤として知られていますが、音圧が弱いのが残念でした。
〇ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮
パリ管弦楽団(WARNER※タワレコ限定)
ヴァイオリン独奏:ルーベン・ヨルダノフ
1974年7月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー=コルサコフ: シェエラザード, スペイン奇想曲; ムソルグスキー: はげ山の一夜; グリンカ: 「ルスランとリュドミラ」序曲<タワーレコード限定>
☆3.5
第1曲 11:27
第2曲 12:54
第3曲 10:28
第4曲 12:55
宇野センセイ推薦の、重量級の演奏。
後述の演奏群と比べると、超厚塗りの油彩か、
マジックで描いたような絵のような感じです。
実はこの盤、1度買って聴いたのですが、
全然ピンと来ないので、売却の憂き目にあいました。
今回改めて買いなおして聴いてみることになりました。
相当この曲を聴いた上で、この演奏を聴いてみると、
それなりの価値を感じることができますが、
やはりそれほどオススメできる盤ではないな、というのが実感です。
ただし、やりすぎ系(後述のストコフスキー盤など)が好きなら、
揃えておいて損はないと思います。
さて、ここからはオススメ盤の紹介です。
(=☆4.0以上)
〇レオポルド・ストコフスキー指揮ロンドン交響楽団(DECCA)
独奏ヴァイオリン:エーリヒ・グルーエンバーグ
1964年9月録音
通常CD
☆4.0
第1曲 10:03
第2曲 11:40
第3曲 11:52
第4曲 12:06
ロストロポーヴィチと同じくやりすぎ系の代表的な演奏ですが、
こちらは成功した例といえます。
ロストロポーヴィチ盤はくどさを感じますが、
こちらはそういうのを感じさせないのがプラスです。
〇ズデニェク・マーツァル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(EXTON)
ヴァイオリン独奏:ボフミル・コトメル
2005年4月録音
SACDハイブリッド盤
リムスキー=コルサコフ:「シェエラザード」ムソルグスキー:「展覧会の絵」
☆4.0
第1曲 09:55
第2曲 12:09
第3曲 11:26
第4曲 12:50
繊細な演奏で、絵画に例えると、
緻密な色鉛筆画のようです。
繊細さを求めるのなら、この演奏はオススメです。
録音優秀です。
〇カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)
ヴァイオリン独奏:ミシェル・シュヴァルベ
1967年1月録音
通常CD
R.コルサコフ:シェエラザード、他
☆4.0
第1曲 10:01
第2曲 12:51
第3曲 10:41
第4曲 12:56
マーツァル盤と同じく、緻密な演奏でありながら、
ここぞ!というところの迫力は素晴らしいです。
特筆すべきは、シュヴァルベのヴァイオリンソロです。
全9盤のうち、最も優美です。
カラヤンはこの曲をコンサートで取り上げることなく、
この録音以外は指揮しなかったそうですが・・・
これはSACD化を望みたい盤です。
〇フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(BMG)
ヴァイオリン独奏:シドニー・ハース
1960年2月録音
SACDハイブリッド盤
Scheherazade / Song of the Nightingale (Hybr)
☆4.0
第1曲 09:06
第2曲 11:35
第3曲 12:02
第4曲 11:47
私が《シェエラザード》を好きになったきっかけの盤です。
1960年録音なのに、とにかく音響がスゴイ!!!
音の迫力では、この盤が断トツでしょう。
迫力ある油彩画のようです。
〇ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団(DECCA)
ヴァイオリン独奏:セルゲイ・レヴィーチン
2001年11月録音
通常CD
リムスキー=コルサコフ: 交響組曲《シェエラザード》(SHM-CD)
☆4.5
第1曲 10:27
第2曲 12:31
第3曲 10:55
第4曲 12:13
トータルと、入手しやすさを考慮すると、
この盤がファースト・チョイスと言えます。
惜しむらくは通常CDだ、ということぐらいですが、
SACDに劣らぬ迫力の音響を楽しめます。
繊細さとダイナミックさを合わせもつところが素晴らしいです。
モーツァルトのピアノ協奏曲全27曲のうち、
ベスト3はどれかと聞かれたら、
私は間違いなく第24番を必ず入れると思います。
(あとは、第9番、第15番、第17番~第18番、
第20番~第27番のどれか。)
モーツァルトのピアノ協奏曲第24番は、私にとっては、
第1楽章で荒んだ心を表出させ、
第2楽章で癒し慰め、
第3楽章で共に立ち上がって前に進んでいくような、
いわば心の良薬、無言のカウンセラーのような存在です。
一番聴いていたのは、これも後述の、
バレンボイム旧盤でした。
今回この記事を書いてみようと思ったきっかけは、
後述の、ゲザ・アンダ(P)による、DG録音全集を入手したことによります。
CD全17枚の目玉は、バルトークのピアノ協奏曲全集と、
そしてモーツァルトのピアノ協奏曲全集です。
最近少しずつ全曲を聴くようにしています。
ドイツ・グラモフォン録音全集
さて、我が家には、調べてみると、
9盤ありました。
(以前は、アシュケナージやペライアのピアノ協奏曲全集がありましたが、
手放してしまいました。)
改めて全部聴いてみました。
聴くポイントは、やはりオーケストラのシンフォニック感と、
それに応えるピアノの存在感、特に孤独と憂愁を超えて、
「あえて(trotzdem)※ドイツ語」進んでいこうとする姿。
そして、ピアノのカデンツァ部です。
9盤のうち、4盤は今回オススメなしです。
〇ハイドシェック(P)、
アンドレ・ヴァンデルノート指揮パリ音楽院管弦楽団(WARNER タワレコ限定)
1957年12月録音
SACDハイブリッド盤(ただしモノラル録音)
カデンツァ:ハイドシェック
モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)<タワーレコード限定>
☆2.5
第1楽章 12:17
第2楽章 8:16
第3楽章 8:52
音が貧弱すぎて、よほどのハイドシェック・ファンでないと、
聴くに堪えません。
〇ペーター・レーゼル(P)、
ヘルムート・ブラニー指揮ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団(KING RECORDS)
2014年1月録音
SACDハイブリッド盤(マルチチャンネル)
カデンツァ:記載なし
モーツァルトピアノ協奏曲集4
☆3.0
第1楽章 13:04
第2楽章 7:06
第3楽章 8:29
ピアノは素晴らしいですが、
オケの非力感でマイナスです。
〇内田光子(P)、
ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団(現DECCA)
1988年5月録音
通常CD
カデンツァ:内田光子
Mitsuko UChida - Mozart Piano Concertos
☆3.5
第1楽章 14:14
第2楽章 8:17
第3楽章 9:14
内田ーテイトのコンビは、
モーツァルトのピアノ協奏曲集で、
バレンボイム盤と並んでファースト・チョイスで間違いないのですが、
第24番に限っては、オケがやや非力だと思いました。
〇バレンボイム(P、指揮)、ベルリン・フィル(EUROARTS)
1986-1989年に収録(詳細不明)
Blu-ray(PCM STEREO)
カデンツァ:記載なし
Mozart's Last 8 Piano Concertos [Blu-ray]
☆3.5
第1楽章 13:50
第2楽章 8:13
第3楽章 9:33
さすがのバレンボイムも、
まだ80年代ではベルリン・フィルに圧倒されてしまった感があります。
そういう意味で、少しだけ惜しいかも・・・
なお、現在廃盤のようです。
CDも出ていましたが、こちらも現在は廃盤のようです。
(参考)
さて、ここからはオススメ盤です。
どの演奏も、オーケストラが雄弁です。
最後に取り上げる、バレンボイム旧盤を除けば、
どれも優劣つけがたい感じです。
〇ゲザ・アンダ(P、指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ(DG)
1966年4月録音
通常CD
カデンツァ:ゲザ・アンダ
ドイツ・グラモフォン録音全集
☆4.0
第1楽章 12:47
第2楽章 7:04
第3楽章 8:32
優雅なモーツァルト像を示しつつ、
オケもしっかりと響いています。
カデンツァが不思議な感じです。
愛聴盤になりそうかも・・・
〇クララ・ハスキル(P)、
イーゴリ・マルケヴィチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団(現DECCA、タワレコ限定)
1960年11月録音
SACDハイブリッド盤
カデンツァ:記載なし
ベートーヴェン、ショパン、モーツァルト: ピアノ協奏曲集 他 (旧PHILIPS協奏曲録音集成)<タワーレコード限定>
☆4.0
第1楽章 13:15
第2楽章 7:15
第3楽章 9:03
オケが暗い情念で燃えている・・・
曲想にピッタリでした。
古くからの名盤として知られていますね。
〇ロベール・カサドシュ(P)、
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団(のメンバー)(SONY、タワレコ限定)
1961年11月録音
SACDハイブリッド盤
カデンツァ:サン=サーンス(!)
モーツァルト: ピアノ協奏曲第15・17・21~24・26・27番 (2017年 DSDリマスター)<完全生産限定盤>
※現在廃盤のようです。
☆4.0
第1楽章 13:02
第2楽章 7:52
第3楽章 8:42
オーケストラの鮮明さ、雄弁さに拮抗する、
ピアノの存在感!
これはカサドシュよりもセルに期待して購入したのですが、
どちらもその期待に応えてくれました。
カデンツァがサン=サーンスというのも珍しいです。
モーツァルトのピアノ協奏曲第20番のカデンツァがベートーヴェンのもの、
みたいな感じですが、それほど印象には残りませんでした。
〇内田光子(P)、
クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団(harmonia mundi)
2002年5月録音
通常CD
カデンツァ:記載なし
Various Symphonies/Concertos
☆4・0
第1楽章 14:41
第2楽章 8:07
第3楽章 9:25
クルト・ザンデルリンクの引退コンサート。
内田光子とザンデルリンクの共演盤では、
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集も名演ですが、
この演奏も、期待にたがわず、
ピアノ、オケ双方とも一体となって深淵なる世界を見せてくれます。
内田光子のピアノは、モーツァルトというよりは、
シューベルトのピアノ・ソナタの世界の感じでした。
随所に「あれ、こんな装飾音あったっけ?」というのが出てくるのが、
プラスととるか、マイナスととるか評価が分かれるかもしれません。
(私はプラスにとりました。)
なお、現在廃盤のようです。
〇バレンボイム(P、指揮)イギリス室内管弦楽団(WARNER)
1973年録音
通常CD
カデンツァ:バレンボイム
Mozart: Complete Piano Concertos 1-27
☆4.5
第1楽章 14:08
第2楽章 8:39
第3楽章 9:19
これは別格の演奏といえます。
まさに、現代にモーツァルトが蘇って、
ピアノと指揮をして演奏しているかのような・・・
ピアノとオケのバランス、そして力強さ!
何回聴いても感動する演奏です!!!
2021年11月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページ及びカテゴリを除く)
ベスト3までと、先月書いた記事(があれば)にはリンクを張っています。
一位.「カトリック」か「カソリック」か?~誤用に潜む軽蔑と無知
二位.SACDとBlu-ray Audio、どちらが優れているか?〜音響、価格、将来性・・・
四位.小6の将来の夢~「生活保護を受けて楽に暮らしたい」
五位.友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。
(ヨハネ15:13)~あるカトリック神父の、愛ゆえの死
六位.映画「ピノキオ」に隠された神学~附:ヨナ書からの教会学校説教案
.友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。
(ヨハネ15:13)~あるカトリック神父の、愛ゆえの死
七位.ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ4盤
〜マツーエフ、アルゲリッチ、ユジャ・ワン、アシュケナージ・・・
八位.マーラー:交響曲第7番聴き比べ14種類
九位.ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・
十位.「ポリアンナ症候群」と「ポリアンナ効果」~あるスポーツニュースから
先月の記事数は、7本。
ランクインは0でした。
ちなみに、
最近は言論・主張をツイッターで行っています。
2021年12月1日現在、ツイート数約15.5万、
フォロワー数3505となっています。
前回(11月1日)の記事から、なんと830人もフォロワー様が増えています。
8月15日以降の加速度的フォロワー様増が今も続いています。
感謝!
札幌の平地での積雪はまだですが、もうじきかもしれませんね。
今月もご愛読よろしくお願いいたします。
皆様に祝福と平安が豊かにありますように・・・
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