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2020年5月18日 (月)

Netflix映画「2人のローマ教皇」(原題:The Two Popes)

Netflixオリジナル映画「2人のローマ教皇」を観ました。

2人のローマ教皇

 

オリジナル映画、といっても、日本の2時間ドラマみたいなものではなく、

なんと、2020年のアカデミー賞に3部門ノミネートされているほどのレベルなのです。

(受賞は逃しましたが・・・)

 

内容は、前教皇(現:名誉教皇)ベネディクト16世が、退位を決める前年(2012年)に、

アルゼンチン出身のベルゴリオ枢機卿(現:教皇フランシスコ)とヴァチカンで会い、

対話をする、というものです。

もちろんこれはフィクションです。

 

対話そのものはフィクションながら、

ベネディクト16世(演:アンソニー・ホプキンズ)を通して、

ベルゴリオ枢機卿(→現:教皇フランシスコ)のアルゼンチン時代の働き、

そして、新旧の教皇の考え方の違い、

さらには、現在のカトリックの諸問題

(司祭による小児性的虐待、司祭の独身性を維持するか否か、

離婚者への聖体拝領・・・)を、

生きた対話を通して言及していきます。

ちょうど、ドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』で描いたような、

人物に語らせる思想劇といえます。

 

映画中、ほとんどが2人の対話か、ニュース映像の引用で終わります。

悪役までとはいきませんが、プロレスの覆面レスラーみたいな役割で、

ベネディクト16世を演じたアンソニー・ホプキンスが存在感を光らせていました。

映画「アマデウス」におけるサリエリのような役割、といった感じでした。

 

ちなみに、ベネディクト16世名誉教皇は2020年5月18日現在まだご存命で、

体は衰えても知的には健在で、

残念ながら(?)現教皇へのブレーキになっているようです。

(「ブレーキ」は言い過ぎかもしれませんが・・・)

ローマ教皇が2人? 退位から7年、バチカンを悩ます前教皇の影  発信地:バチカン市/バチカン市国(AFPBBニュース)

 

ところで、上にあげたカトリック教会の諸問題とは別に、

カトリック教会は新型コロナで危機に直面しています。

 

一般的なミサ聖祭では、前半30分が、賛美と聖書朗読と説教、共同祈願、

後半30分で、聖体拝領までの儀式と祝祷をします。

しかし、新型コロナで、まず聖堂に集まることができない、

さらには、カトリック信徒の最高の喜びである、聖体拝領もできない・・・

プロテスタント教会の礼拝なら、賛美と説教がほとんどなので、

オンライン礼拝でもかなり代用できます。

むしろ、今まで教会に来ない方に広く開かれる契機となっているかもしれません。

しかし、カトリック教会(及びハリストス正教会)は、

目、耳、口、匂い、触覚すなわち五感すべてを使う礼拝です。

インターネットのミサで、賛美と祈り、説教だけ聞いても、

半分の満足しか得られないようなものです。

 

(参考)

カトリック関口教会(東京カテドラル聖マリア大聖堂)

2020年5月17日復活節第6主日ミサ

(途中まで視聴しました。)

 

 

カトリック・正教会・プロテスタント教会あわせてキリスト教会は、

過去2000年間で、幾多の危機を乗り越えてきました。

古代ローマ帝国や共産党、他宗教、いろいろな国家体制による迫害、

中世のペストを始めとする疫病、戦争、

そして数多くの異端と、聖職者によるスキャンダル・・・

今では、「世俗化」とか、インターネットによる価値のフラット化とか、

同性愛をどう見るかなど、諸々の問題があります。

しかし、必ずや、この新型コロナ危機さえ乗り越えられると信じています。

ただ、いろいろな意味で、変革が必要なのは確かですが・・・

 

2時間以上の作品で、大事件が起こるわけではないし、

ある程度カトリック教会の内部における社会問題に関心がある人向けの渋い作品ですが、

なかなか見ごたえがありました。

妻に途中解説しながら観ていました。

 

Netflixで観るにあたり、

言語選択は少し考えた方がいいかもしれません。

日本語吹き替えでは、

セリフとして少し変なところ(固有名詞や、カトリック独特の用語の使い方等)が散見されました。

日本語字幕は少し情報量が少なくなるとはいえ、こちらの方が正確かも。

 

余談ながら、

2020年3月から、私は教会に通わず、毎週日曜日はオンライン礼拝をしています。

カトリック・プロテスタント問わず、幾つかの教会の礼拝・ミサのライブ中継を拝見しています。

一番ユニバーサル・デザインになっているのは、

やはり上述のカトリック関口教会(東京大聖堂)のものでした。

賛美、祈り、説教、典礼文すべての(一部例外はありますが)字幕表示があるのはステキです。

プロテスタントでも、手話通訳つき、賛美は字幕つきというところがいくつかありましたが、

説教まで字幕表示、というところはさすがにまだ観たことがありません。

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