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2020年5月22日 (金)

聴くアロマ?~ビーバー:ロザリオのソナタ2盤

香の煙は、天使の手から、聖なる者たちの祈りと共に神の御前へ立ち上った。

(新約聖書 ヨハネの黙示録8:4新共同訳)

 

最近入手して、繰り返し聴いているのが、

バロック期の作曲家、ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー(1644-1704)の、

ロザリオのソナタ」です。

(独:Rosenkranzsonaten 又は Rosenkranz-Sonaten 又はMysterien-Sonaten

(英:The Rosary Sonatas  又はMystery Sonatas

 

「ロザリオの祈り」は、カトリックの伝統的な祈りで、

ロザリオを用いながら、聖母マリアに同じ言葉で繰り返し祈る(ついでに黙想する)ものです。

(ごめんなさい・・・私はこれに対しては否定的な見解ですので、

これ以上の「ロザリオの祈り」へのコメントは遠慮しておきます。

色々余計なことをつい書きそうになるので・・・)

 

中立的な説明を、今回は心がけましょう・・・

ビーバーの「ロザリオのソナタ」は、独奏ヴァイオリンと、

チェロ、リュート、チェンバロ、オルガン(盤によって多少楽器は異なりますが)によって演奏される、

実に瞑想的、というよりは幻想的な曲集です。

ロザリオの3つの「神秘」(昔は「玄義」と訳されていました。

なお、日本語のブックレット等で、タイトルの"Mystery”を「秘蹟」と翻訳しているのは、

キリスト教の用語上、誤りです。

なぜなら、「秘蹟」とは、「洗礼」や「聖体拝領(聖体機密、聖餐)」などを指すからです。

カトリックと正教会では7つ、プロテスタントで2つのことに限られます。

もちろん、殺人事件とかの「ミステリー」とも違いますが(笑))に基づく、

15のソナタ(といっても、ビーバーより後のバッハやベートーヴェンの言う「ソナタ」よりも、

かなりおおらかなものです。)と終曲パッサカリアによって構成されています。

CD2枚組の長さになります。

 

ロザリオの祈りでは、「喜びの神秘(玄義)」、「苦しみの神秘(玄義)、「栄えの神秘(玄義)」の、

3つの神秘(玄義→どちらかというと、こちらの言葉の方が私にはなじみがあるので、

以下、カトリック教会が現在使っている「~の神秘」ではなく、「~の玄義」とあえて表記します。)を、

それぞれ「アヴェ・マリアの祈り」(これも私にとっては、「天使祝詞」の方がなじみがある・・・)を、

黙想しながら10回ずつ唱えて1連、×5の計50回唱えます。

(詳しい祈り方等は、ちょうどコンパクトにまとめているカトリック教会のサイトを見つけましたので、

そちらをご参照ください。)

ロザリオの祈り(京都市 カトリック聖ヴィアトール北白川教会)

 

その「1連」に、各ソナタが1曲ずつ対応している構造です。

たとえばソナタ第1番は、「喜びの玄義」の「お告げ」のタイトルがついています。

なお、余談ですが、20世紀までは、「ロザリオの祈り」といえば、

「喜び」「苦しみ」「栄え」の3つの玄義(神秘)のみでしたが、

2002年に当時の教皇ヨハネ・パウロ二世(現在は「聖ヨハネ・パウロ二世」スピード出世!)によって、

「光の神秘」というのが追加されました。

 

曲のことを書こうとして、相当余計な脱線をしてしまいました・・・

あえて言います。

タイトル、ロザリオ、黙想、宗教・・・

この曲集を聴くにあたって、それらの蘊蓄は、

一切忘れ去って、無視しても結構です。

事実、私は聴くにあたって、タイトルは全く考慮していません。

バッハやヘンデル、ヴィヴァルディといった、

いわゆる「バロックの巨匠」的なメジャーさはないし、

メロディもそれほど覚えやすくはありません。

しかし、ちょうど心地よいアロマオイルの香りのように、

お部屋を音でリフレッシュしてくれます。

いわば、「聴くアロマ」(日本風なら、「聴くお香」?)なのです!

上述のバッハやヘンデル、ヴィヴァルディの曲のように、

メロディについ聴き入るというよりは、

なんとなく「浸る」味わい方が適切なのではないでしょうか?

というわけで、自宅での業務のBGMにもピッタリです。

薬味程度の適度な宗教性(敬虔さ)と、幻想世界・・・

まさに流し聴きにうってつけです。

 

既にそれなりの盤数が発売されているようですが、

私が今回入手したのは、2盤だけです。

1つは、タワレコ限定の、ラインハルト・ゲーベル&ムジカ・アンティカ・ケルンによる盤。

もう1つは、レイチェル・ポッジャーによるSACD盤です。

特に気に入ったのは、通常CDのゲーベル盤の方ですが、

ポッジャー盤も捨てがたいです。

BMWか、ベンツか、みたいな感じかも・・・

 

作曲技法としては、「スコルダトゥーラ」が用いられているとか、

実演をコンサートで全曲通して演奏するのは難しいとか、

いろいろありますが、そんなのは頭の片隅にでもおいておけばOK。

ゆったりと流れる、不思議で心地よい音世界に、ぜひ浸ってみてください。

私としては、とりあえずは、上記2盤があれば十分かな・・・

 

ビーバー: ロザリオのソナタ<タワーレコード限定>

 

Rosary Sonatas CD, Hybrid SACD, インポート, SACD

(参考)

天女ポッジャーがついにビーバーの名作“ロザリオ・ソナタ”を録音!(タワレコの記事)

ビーバー/ロザリオのソナタ(レイチェル・ポッジャーほか 2015録音)(木曽のあばら屋)

ビーバー   ロザリオのソナタ (←全盤コンプリートしている方の記事らしいです。)  

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