NHKEテレ・素顔のギフテッド(2020年3月12日放送)~日本には2つの特別支援教育が必要なのかも・・・
「ギフテッド」(Gifted)とは、いわゆる「天才」です。
あるサイトによると、
ギフテッドとは、同世代の子どもと比べても並はずれた成果を出せるほどの突出した才能を持つ子どものことであると定義されています。学問、言語能力、記憶力、芸術性、創造性など多岐にわたる分野において彼らは高い潜在能力を持っています。彼らの能力をフルに開発するためには通常の学校教育とは異なる特別な教育や接し方が必要になります。
→ギフテッドとは?特徴と判定法、能力を発掘して育む6つの教育法を紹介 2016/05/26 更新(LITALICO発達ナビ)
英語の”Gifted”は、神から与えられた特別な贈り物(才能)、というニュアンスがあるようです。
2020年3月12日に、NHKEテレで、
女優の、のんさんをナビゲーターに、
「素顔のギフテッド」という番組を放送していました。
録画で視聴しました。
番組HPから内容を引用します。
みなさん、「ギフテッド」ってご存じですか?
生まれながらに才能を与えられた、でもちょっと不思議な人たちなんです。与えられた才能はさまざま。数学が得意な人もいれば、言語の才を持った人、中には美術の感性が飛び抜けている人も。欧米では、アインシュタインやビルゲイツなどギフテッドとされる人たちが社会に多くのイノベーションを起こしてきました。統計的には日本国内にも250万人いるとされていますが、同様の概念はまだ根づいていません。
昨年8月、NHK「クローズアップ現代+」で国内のギフテッドたちを取材し放送したところ、SNSのトレンド3位に入るなど大きな反響を得ました。取材を通して浮かび上がったのが、“ギフテッドゆえの生きづらさ”。彼らの多くが周囲から浮いてしまったり、不登校を経験していたのです。生まれながらに飛び抜けた知性や才能を持っていながら、なぜ生きづらいのか?
番組には、さまざまな年代・境遇のギフテッドが登場、彼らの内面を見つめます。
番組では、IQが130以上の人を「ギフテッド」と定義して、
(正確には、
「一般には「130を超えるIQスコア」を持つ方を“ギフテッド”と定義する例が多く見られます。
しかし専門家の間では「IQスコアだけでギフテッドかどうか判定することは難しい」とも考えられています。
今回の番組は、専門家の知見をもとに「IQ130以上、もしくは先天的に突出した様々な能力・才能をお持ちの方」をギフテッドと考えて制作しました。 」(番組HPより)とのこと。)
7歳から59歳までのさまざまな人(すべて男性でしたが・・・)6名を取り上げて、
その凄さと、生きづらさを抱えている面、
つまり光と影をうまく取り上げていました。
番組最初に出てくる数学の天才少年(小5)は本当にスゴイと思いました。
彼が話している数学のこと、わかる人が日本にどれだけいるでしょうか・・・
大人の数学研究者に交じって数学の定理を説明しているところは、
驚嘆以外ありませんでした。
さらに、ピアノの腕前もかなりのもの・・・
しかし一方、小学校には不登校のようです。
彼にとって、普通の小学校の教科書の算数なんて、
シェイクスピアやチャーチルが、
日本の英語の教科書(小学校の「外国語」)を学ばされているようなものです。
そんな内容を学ぼうという気にならないでしょう。
我々大人が、「あいうえお」の本を学ぼうという気にならないのと同じです。
番組の中で最年少の子は、絵がとてもうまい子ですが、
おそらく、「特別支援」の情緒学級相当と判断されそうな感じの子でした。
理由は、集団行動が苦手だからです。
自分の思うようにならないと、教師を蹴るなどの行動も映されていました。
番組中、その「ギフト」が最も活かされていた、といえるのが、
昨年(2019年)12月からIAEAに勤務、という方でしょう。
その才能が人々の幸せにいつかつながるはずです。
一方、IQ175の、「200万人に一人」の天才芸術家は、
発想がユニークながら、社会にとっては作品が「イタズラ、落書き」という扱いを受け、
引きこもる日々。
一番最後の、番組最高齢59歳の方は、
働きすぎて、鬱病で早期退職・・・
番組では、そのずば抜けた才能故の生きづらさ、というのも、
きちんと取り上げられていました。
日本の義務教育では、飛び級と留年は認められていません。
こういう「ギフテッド」を生かしきれないから、
最高の頭脳が海外(たいていアメリカ)に流出か、
あるいは、単に「不登校」「引きこもり」の烙印を押されてしまうか・・・
(番組の中でも、IQが135の子が「不登校」になっていました。)
一方、日本の義務教育では、小学1年生から1日も登校しなくても、
年齢が来たら、一応、卒業証書がもらえます。
(中学生でも同様です。)
不登校の原因は多々ありますが、必ずしもいじめだけが原因ではなく、
才能・能力がありすぎて(その反対も)、というのもあります。
今、日本の特別支援教育は、
どちらかというと知的障がいがある子と、集団行動不適応の子がメインです。
(中には天才的な子もいるようですが・・・)
たいていは、学年相応か、下の学年の内容を学習することになります。
(つまり、小6の子が「あいうえお」や「3+4=」、「2×9=」などを学習すること)
一方、番組の中で取り上げられた子たちは、まったくの対象外です。
私としては、こういうギフテッドの人たち
(人口で言えば、単純計算で250万人いるそうですが・・・)のその才能を花開かせるため、
飛び級を制度として認めてはと考えています。
そのために、年齢によって学年が上がるのではなく、
履修した学習内容に応じて、飛び級、進級、留年の判断を、
学校ができるようにした方がいいと考えます。
そういう意味で、知的障がいの人(及び極度の集団不適応)向けの、
一般的な特別支援教育と、
ギフテッド向けの特別支援教育(飛び級及び場合によっては大学入学まで可)の、
2つの特別支援教育が必要だと考えさせられました。
数学や美術、科学分野での素晴らしい才能は「ギフテッド」ですが、
私にとっては、知的障がいがある人や、様々な障がいがある人だって、
「ギフテッド」だと考えます。
いや、実は人間ひとりひとり、誰もが「ギフテッド」なのです!
神様の目から見れば・・・
わたしの目には、あなたは高価で尊い。
わたしはあなたを愛している。
(旧約聖書イザヤ書43:4新改訳2017)
(才能があるから、能力があるから尊い、という価値観ではなく、
生きているそれ自体が無条件で尊い、という当たり前の事を、改めて認識したいものです。)
なお、この番組、再放送は2020年3月15日(日)です。
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