英隆一朗(著)『黙示録から現代を読み解く』(女子パウロ会)
先日、札幌のキリスト教書店「オアシス札幌店」に行き、
新刊本をあれこれ見ているうちに、見つけた本です。
2020年2月20日初版発行の、
英隆一朗(著)『黙示録から現代を読み解く』(女子パウロ会)について書きます。
著者はイエズス会の司祭です。
黙示録から現代を読み解く (日本語) 単行本 – 2020/2/20
オアシス札幌店は、いのちのことば社系の書店で、
当然プロテスタント的立場の本がメインですが、
時折、こういうカトリック系の本も置いています。
英 隆一朗(はなふさ りゅういちろう)神父の名は、
以前お世話になったカトリックの方が信奉していたので、
聞いたことがありましたが、
(どちらかというとカトリックのカリスマ系?)
著作を読むのはたしか今回が初めてでした。
カトリックで、黙示録からのメッセージというと、
意外と珍しいのではないのでしょうか?
せいぜい、聖母被昇天(8月15日)の第1朗読として読まれる、
ヨハネの黙示録12章のところに出てくる「女」が聖母マリアを指すのでは?
程度でしょう。
一応、引用しておきましょう。
第1朗読 ヨハネの黙示録 11章19a、12章1~6、10ab節
天にある神の神殿が開かれて、
その神殿の中にある契約の箱が見え〔た〕。
また、天に大きなしるしが現れた。
一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、
頭には十二の星の冠をかぶっていた。
女は身ごもっていたが、
子を産む痛みと苦しみのため叫んでいた。
また、もう一つのしるしが天に現れた。
見よ、火のように赤い大きな竜である。
これには七つの頭と十本の角があって、
その頭に七つの冠をかぶっていた。
竜の尾は、天の星の三分の一を掃き寄せて、地上に投げつけた。
そして、竜は子を産もうとしている女の前に立ちはだかり、
産んだら、その子を食べてしまおうとしていた。
女は男の子を産んだ。
この子は、鉄の杖ですべての国民を治めることになっていた。
子は神のもとへ、その玉座へ引き上げられた。
女は荒れ野へ逃げ込んだ。
そこには、神の用意された場所があった。
わたしは、天で大きな声が次のように言うのを、聞いた。
「今や、我々の神の救いと力と支配が現れた。
神のメシアの権威が現れた。」
引用元:女子パウロ会HPより(聖書本文は聖書新共同訳)
当該箇所への本文での言及がありますが(P.100~104)、
この「女」を直接、聖母マリアとしていないのは好感をもちました。
一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた。(黙示12・1)
カトリック教会では、この女を聖母マリアと解釈することが多い。もちろんそのような解釈も成り立つであろうが、第二バチカン公会議文書『教会憲章』第八章にあるとおり、聖母マリアは教会の模範であると宣言されている。つまり、この女は聖母マリアを模範にした理想的な教会の姿を表しているとも考えられており、その方が解釈の余地が広まるように思う。つまり女を集合人格として解釈するのである。
(同書P.100~101より引用。下線は筆者による。)
本書全体を通して、ヨハネ黙示録の世界を、今を読み解くカギとして、
いろいろあてはめて考えているのは一読に値します。
もしかすると、リベラルの牧師さんの政治的な説教みたいな印象を受けるかもしれません。
しかし、本全体から、決して揺るがない霊的な確信というものを、
強く感じました。
(どこがどうの・・・という感じではないのですが・・・)
こういうときだからこそ、福音の種を蒔こう、という揺るがぬ決意は、
本文のあちこちにみられます。
カトリック教会の現状を嘆きつつ、黙示録の状況にあてはめて読み込む、
というのは、聖書を生きたメッセージとして扱うのに好材料だったのでしょうね。
全体的に読みやすく、全135ページを30分もかからずに一気に読み終えてしまいました。
英 隆一朗神父の他の著作も機会があれば読んでみたいと思いました。
HPもありましたので、紹介しておきます。
(公式なものかどうかは不明ですが・・・)
→キリスト教カトリック教会の聖書の話を聞いてみませんか?福音書朗読とイエズス会英隆一朗神父のお話です
本書そのものとは関係ありませんが、
英 隆一朗神父の著作をAmazon等で調べていたら、
ヴァスーラ・リデンの著作の監修もされているのですか・・・
この点は???かもしれません。
(私もかなり前に、ヴァスーラ・リデン(当時は「ライデン」)の本を読んだことがあります。)
(参考までに・・・正統キリスト教というよりは、スピリチュアル系の本に分類した方がいいと思います。)
一応、紹介しておきますが、私は支持していません。自己判断で・・・
(参考)
ヴァッスーラへの預言
(参考)
天国は現実、しかし地獄も現実 来たるべきことについての目撃者の証言
(参考)
私の天使ダニエル 『神のうちの真のいのち』の夜明け
これらのことを聞き、また見た者は、私ヨハネである。聞き、また見終わったとき、私は、これらのことを示してくれた天使の足元にひれ伏して、拝もうとした。すると、天使は私に言った。「やめよ。私は、あなたや、あなたのきょうだいである預言者たちや、この書の言葉を守っている人たちと同じく、仕える者である。神を礼拝せよ。」
(新約聖書ヨハネの黙示録22:8~9聖書協会共同訳)
あなたがたは、自分を卑下したり、天使を礼拝したりする者から、不利な判断を下されてはなりません。彼らは、幻で見たことを頼りとし、肉の思いによっていたずらに誇っているだけで、頭であるキリストにしっかりと付くことをしません。この頭が基になり、体全体は節と節、筋と筋によって支えられ、結び合わされ、神に育てられて成長してゆくのです。
(新約聖書コロサイの信徒への手紙2:18~19聖書協会共同訳)
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