映画「天気の子」〜本当の主役は「東京」?
新海誠監督の最新作「天気の子」を、
2019年8月1日(映画の日)に、妻と一緒に観に行きました。
今回は、初めて「IMAXシアター」で観ました。
既にいろいろな人がそれこそ玉石混交な意見を述べられているし、
ネタバレは書きたくないので、そこには触れません。
私としては、この映画の本当の「主役」は、
帆高と陽菜ではなく、
実は「東京」(特に新宿)ではないのか、と思ってしまいました。
新宿駅近辺の様々な風景(それと「空模様」と「雨」)、これこそ、
セザンヌが飽きもせずサント=ヴィクトワール山を描いたかのように、
監督があたかも「絶世の美女」のように描きたかったものなのか・・・
天気を変える能力を使う少女(陽菜)といった設定すら、
実はそういうのこそ「背景」なのかな、とさえ思ってしまいました。
ただ、前々作「言の葉の庭」、前作「君の名は。」で描かれた新宿と、
今作「天気の子」で描かれた新宿は、少し様相が違いました。
「言の葉の庭」では、雨を伴っての、詩的・幻想的な新宿。
「君の名は。」では、田舎から出てきた人にとっての、
輝かしい夢の街としての新宿。
光り輝くような新宿が見事に描かれていました。
では、「天気の子」では?
特に前半、あえて見たくないアンダーグラウンドな街としての新宿が、
目の前に突きつけられます。
ついでに言えば、あまり聞きたくない音まで・・・
(水商売の求人募集の歌まで・・・)
「東京って、こわいところだ・・・」(引用間違っていたらゴメンナサイ)
というセリフが何度も出てきます。
しまいには、アンダーグラウンドの最たるものの一つである、
拳銃まで出てきます。
(その他のアンダーグラウンド的なものとしては、
ラブホテルや歌舞伎町、雑誌「ムー」など・・・)
意識的に、「君の名は。」で描かれたものとは別な新宿を提示しようとしている、
と思いました。
鉛色のトーンで描かれる雨の新宿・・・
しかし、その美しさを隠しきれるものではなく、
雨が上がって日がさすところなどは、「絶景」といえました。
主人公の選択が賛否両論を呼ぶものであるとか、
帆高の家出や陽菜と凪の「子ども」だけの世帯、
その他結構触法モノの設定がいろいろあり、
そこにツッコミを入れたくなる人も多いようですが、
実はあまり気にしなくてもいいのでは、とさえ思っています。
絶世の美女(?)「新宿」のミュージック・ビデオと割り切ったら、
すんなり楽しむことができると思います。
音楽の使い方は「君の名は。」同様すごく絶妙だと思いました。
ちなみに、最後のシーンの東京、あれは、居住不能だな、と思いました。
下水道とか電気とかのインフラが壊滅的・・・
ゴジラ襲来よりも大打撃かもしれません・・・
(あっ、これはネタバレになってしまう・・・)
それと、「君の名は。」の主要登場人物である、
立花瀧、宮水三葉の登場シーンはすぐにわかりましたが、
テッシー、さやちん、四葉は見分けられなかったです。
再度観る機会があればよく注視してみたいと思います。
(あと、「ふたりはプリキュア」のコスプレをした人とか、
よく見るといろいろ小ネタがありました。)
→(ネタバレ注意)新海誠「天気の子」の「とあるキャラクター」について。
妻は帆高の選択や、
触法モノシーンが多いところにあまり賛同できなかったようですが、
私は感動しました。
やはり、「愛こそすべて」なのです!
(少なくとも、私にとっては・・・)
小学生などの「お子様連れ」にはオススメできませんが、
恋がわかる年代ならばオススメできます。
(「君の名は。」と比べてどちらが好きか、と言われれば、
「君の名は。」の方が好きですが、
「天気の子」も傑作だと思います。)
謎が謎のまま未解決で終わってしまうところが多々ありますが、
だからこそ、何度も観る価値があるのかもしれませんね。
余談ですが、最後の救出劇のあたり(これ以上書くとネタバレ・・・)は、
なんとなく「交響詩篇エウレカセブン」とか、
「天空の城ラピュタ」へのオマージュがあるのでは、などと思ってしまったのは、
考えすぎでしょうか?
できれば小説版も読んでみたいと思いました。
小説版『天気の子』
映画サウンドトラック
公式ビジュアルガイド
【Amazon.co.jp 限定】【プライムデー記念発売】『新海誠監督作品 天気の子 公式ビジュアルガイド』+高精細複製画1枚(A4/額装あり) 付限定版 大型本 – 2019/10/31
(参考記事)
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