【演奏会感想】第620回札幌交響楽団定期演奏会(2019年6月21日 札幌コンサートホールKitara)〜圧巻はプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番!
久々に札響定期演奏会へ妻と一緒に行きました。
(2019年6月21日 札幌コンサートホールKitara)
プログラムは、
(前半)
チャイコフスキー:組曲第4番ト長調op.60「モーツァルティアーナ」
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調op.63
(後半)
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調op.78「オルガン付き」
指揮:ユベール・スダーン(Hubert Soudant)
ヴァイオリン:竹澤恭子
今回このコンサートに是非行こうと思ったきっかけは、
新聞広告でした。
プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番、サン=サーンスの「オルガン付き」、
どちらもすごく好きな曲だからです。
特に、Kitara大ホールのあのパイプオルガンで、
「オルガン付き」が聴けるとあれば、ワクワクしないでいられなかったからです。
今回取った席は、そのパイプオルガンのすぐ近く、
オーケストラの後ろ側(P席)で、指揮者の真正面にあたりました。
客席は7割〜8割ぐらいの入りだったと思いました。
1曲目の「モーツァルティアーナ」、チャイコフスキーの曲ですが、
初めて聴きました。
きれいですが、少し退屈な感じでした。
(この曲へのコメントは以上・・・)
2曲目は、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。
数年前、一時期ハマって、聴き比べ記事まで書きました。
→プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番聴き比べ補遺
実演で聴くのはもちろん初めてです。
第1楽章からオケの響きが充実していました。
オケの後ろに席を取った関係で、打楽器と金管楽器が聴こえすぎる、
という難点があり、時折ソロ・ヴァイオリンが聴こえなくなるほどでしたが、
響きの充実さが見事でした。
指揮者の意図もよくわかりました。
この演奏で最も感動したのは、第2楽章でした。
私が以前記事で書いた表現では、
「美しい白銀の雪景色」でしたが、
この演奏は、19世紀末〜20世紀初頭のヨーロッパの避暑地のトキメキ・・・
そんなイメージが湧いてきました。
竹澤恭子さんがヴァイオリンを上向きにしてカンタービレを弾くところは、
甘く美しかったです。
第3楽章は、実際に奏者がいることによって、
終盤のソロ・ヴァイオリンと打楽器の掛け合いのところが、
本当にスペイン舞踏のイメージなんだな、ということが実感できました。
CD、SACDで聴いた名盤と比べても遜色がない名演奏だと思いました。
ところで、上記の通り、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番の
聴き比べ記事を書いておいて、なのですが・・・
先般、CD・SACDを大整理したので、
あれだけあったこの曲のCD・SACDも、
今では数盤だけになってしまいました。
生き残った4盤(正確に言うと、5盤ですが・・・)を紹介しましょう。
◯アラベラ・シュタインバッハー(Vn)、
ヴァシリー・ペトレンコ指揮ロシア国立管弦楽団
(カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ)
SACDハイブリッド(Pentatone classics)
◯ダヴィッド・オイストラフ(Vn)、
アルチェオ・ガリエラ指揮フィルハーモニア管弦楽団
(カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ヴァイオリン・ソナタ第2番)
SACDハイブリッド(Warner Classics)
◯ヤッシャ・ハイフェッツ(Vn)、
シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団
(カップリング シベリウス&グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲)
SACDハイブリッド(BMG)
◯ジャニーヌ・ヤンセン(Vn)、
ヴラディミール・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
(カップリング プロコフィエフ:2つのヴァイオリンのためのソナタ、ヴァイオリン・ソナタ第1番)
※国内盤には「3つのオレンジへの恋」が入っていますが、輸入盤にはありません。)
通常CD(下は国内盤)
竹澤恭子さんのアンコールはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタからでした。
休憩を挟んで、後半は、今宵のメインディッシュともいえる、
サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」でした。
オケの厚み、札響の弦の美しさはとても充実していました。
彫りが深く、少なくとも第2楽章前半までは名演だった、と断言します。
しかし・・・
第2楽章後半冒頭の、パイプオルガンが圧倒的な存在感を示して咆哮(?)するところ。
ここの音色が、私が頭に思い描くものとかけ離れていました。
聴こえてきたのは、音は大きいが、なんだかシンセサイザーでロックするような、
荘厳さのない、「なんだこれ?」と思うような音色でした。
(パイプオルガンに近すぎるせいだったのかもしれませんが・・・)
あと、第2楽章後半では、ブラスのミス(おそらく)もありました。
終演後すぐに拍手が沸き起こりましたが、
心なしか、少し気が抜けたような感じの拍手になっていたように感じました。
途中まで熱演で勝利間近だったのが、九回裏でまさかの逆転負け・・・
少し残念さが残りました。
サン=サーンスの「オルガン付き」の盤はいろいろあり、
私もいくつか持っています。
(つい最近までは10盤以上あったと思いますが、あまり聴かないものは手放しました。)
オススメをあえて2つだけ紹介します。
◯ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団
(下記はBlu-ray Audio)
(通常CD)
◯シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団
(通常CD)
※私はEsotericのSACDハイブリッド盤をもっています。
(参考)
ということで、このコンサートで、最も心に残ったのは、
プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番でした。
帰宅途中でも、ヴァイオリン協奏曲第2番の名旋律が何度も頭の中を駆け抜け、
つい口づさんでしまうほどでした・・・
最近のコメント