モーツァルト:交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」"Prague" 〜SACD等聴き比べ8盤
モーツァルトの交響曲で、
今(2019年5月現在)最も好きで、よく聴いているのが、
交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」です。
第1楽章の出だしこそ、
重苦しい雰囲気(ちょうど、「ドン・ジョヴァンニ」のような・・・)に包まれますが、
その闇を抜けると、まばゆいばかりの太陽が拡がって、
馬車で颯爽と駆け抜けていくような爽快さがあります。
闇から光へ・・・
そのカタルシスと、ひたすら拡がる幸福感と愉悦感!
演奏時間25分間程度があっという間に過ぎ去っていきます。
今回、聴き比べのために、違う演奏で連続して「プラハ」を聴きましたが、
全然聴き疲れることなく、否、何度聴いても改めてステキだな、と思ったほどです。
それでは聴き比べです。
指揮者・オケ名・レーベル・録音年月・
スペック(SACD ハイブリッドorシングルレイヤー、Blu-ray Audio)、
2ch Stereo or Surround etc...) 、カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
☆低→☆高の順で取り上げます。
あらかじめ言っておきますが、今回取り上げた8盤、
どれも文句なしの名盤だと言えます。
評価が難しく、あとは好みの問題でしょうか・・・
あと、今回、通常CDはありません。
(タワレコ限定盤の時のみ、通常CDの紹介がありますが・・・)
◯カール・ベーム指揮ベルリン・フィル(DG)(1959年10月)
Blu-ray Audio(LPCM2.0)
モーツァルト交響曲全集
Mozart: The Symphonies (10CD+Blu-Ray)
☆3.5
第1楽章 10:22
第2楽章 8:34
第3楽章 6:17
ベーム指揮では、後述するウィーン・フィル盤と、
このベルリン・フィル盤を所有していますが、
こちらのベルリン・フィル盤は若干硬いイメージがあります。
ただ、このBlu-ray Audio盤は、モーツァルトの交響曲全部を、
1枚のディスクですべて聴ける、というメリットがあります。
(朝から晩までモーツァルト漬け、なんていうこともできちゃいますが・・・)
私にとっては、はっきり言って、付属のCD10枚組は不要で、
Blu-ray Audioがあれば十分です。
輸入盤ですが、珍しく、日本語解説が一部付いています。
◯オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(WARNER)※タワレコ限定盤
1962年3月 SACDハイブリッド(SACD Stereo/CD)
モーツァルト: 交響曲集、アイネ・クライネ・ナハトムジーク(2種)、他<タワーレコード限定>
(通常CDなら・・・)
Mozart: Symphonies / Serenades / Overtures
(2019年5月2日現在、HMV Onlineで買った方が安いです・・・)
☆3.5
第1楽章 10:50
第2楽章 8:55
第3楽章 5:55
クレンペラーも2盤取り上げます。
後述の1956年録音の方が若干好みです。
しかし基本は変わっていません。スケールの大きな演奏です。
こちらの方が少し肩の力が抜けた演奏になっているように思いました。
この1962年録音、そして1956年録音共に、
プロデューサーはワルター・レッグ(Walter Legg)です。
タワレコ限定盤5枚組で、2種類の「プラハ」が収録されていました。
◯小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団(SONY)2005年7月
SACDハイブリッド(SACD 5.0channel/SACD Stereo/CD)
カップリング モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」/
モテット「エクスルターテ・イウビラーテ」K.165
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」&第38番「プラハ」
☆3.5
第1楽章 13:03
第2楽章 10:23
第3楽章 5:57
淡い色彩のモーツァルトで、クレンペラーやベーム、カラヤンらの指揮の後で聴くと、
やはり東洋的なのだな、と思わされました。
しかし、薄味にはなっておらず、爽やかな風のように演奏が流れていきます。
演奏とは別に、このディスク、
「エクスルターテ・ユビラーテ」(普通はこう日本語表記されますが・・・)の再生が一苦労です。
交響曲第36番、第38番はマルチチャンネルですが、
「エクスルターテ・・・」はなぜかSACD Stereoのみ・・・
我が家のユニバーサルプレイヤーでは、マルチチャンネル設定にしてあるので、
その場合だと、「エクスルターテ・ユビラーテ」の再生ができません。
一旦マルチチャンネルの再生設定をオフにしないと、ディスクが認識しないのです・・・
(SONYはなぜこういう設定にしたのでしょうか・・・)
◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)1977年2月、10月
SACDシングルレイヤー(SACD Stereo)
モーツァルト後期交響曲集(SACD3枚組)
モーツァルト:後期交響曲集 限定版, SACD
☆4.0
第1楽章 10:20
第2楽章 9:02
第3楽章 5:45
ある意味、ブラームスを演奏するかのような、
重厚な編成ですが、
壮麗さと、愉悦感が補って余りあります。
音楽が微笑んでいて、聴いていて心地よいものがありました。
◯ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団(SONY)1959年12月
SACDシングルレイヤー(SACD Stereo)
カップリング モーツァルト:交響曲第40番
モーツァルト : 交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」 SACD
☆4.0
第1楽章 10:55
第2楽章 9:07
第3楽章 4:10
SACD最初期に発売されたものの一つですが、未だに販売されているようです。
音楽そのものが微笑みかけてくる、ステキな演奏です。
◯オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(WARNER)※タワレコ限定盤
1956年7月 SACDハイブリッド(SACD Stereo/CD)
モーツァルト: 交響曲集、アイネ・クライネ・ナハトムジーク(2種)、他<タワーレコード限定>
※前述と同じ。
☆4.5
第1楽章 13:10
第2楽章 8:03
第3楽章 5:36
スケールが極めて大きな演奏です。
音楽の力強さ、構成感、どちらも前述のクレンペラー盤を凌駕しています。
モーツァルトの愉悦感はそれほどでもない感じはしますが、
何度聴いても、高貴で雄大で美しい、と思わされます。
特に細部の美しさにハッとすることが多いです。
◯サー・チャールズ・マッケラス(Sir Charles Mackerras)指揮
スコットランド室内管弦楽団(LINN RECORDS)
2007年8月
SACDハイブリッド(SACDマルチ/SACD Stereo/CD)
カップリング モーツァルト:交響曲第39〜41番(SACD2枚組)
Mozart: Symphonies 38 Hybrid SACD, インポート
☆4.5
第1楽章 17:44
第2楽章 11:18
第3楽章 7:45
今回紹介した中では、最も演奏時間が長いですが、
弛緩は見られず、そういう時間の長さを感じさせません。
この演奏は、古楽的なアプローチの演奏です。
(でも「古楽の」演奏ではありません。)
モダンオケの厚塗りから解放された、
極めて身ごなしの軽い、爽やかで細部が光る演奏と言えます。
◯カール・ベーム指揮ウィーン・フィル(DG)※タワレコ限定
1979年3月
SACDハイブリッド(SACD Stereo/CD)
モーツァルト交響曲集(SACD3枚組)
【SACDハイブリッド】モーツァルト: 交響曲集(第29, 35, 38, 39, 40, 41番), フリーメイソンのための葬送音楽, アイネ・クライネ・ナハトムジーク<タワーレコード限定>
☆4.5
第1楽章 13:44
第2楽章 8:54
第3楽章 6:32
ベームの指揮がどうのこうの、というよりは、
ウィーン・フィルの美音に酔いしれるべき演奏、といえます。
ただただ美しく、愉しい!
音楽が満面の微笑みで包み込んでくれます。
今まで紹介した中で、どれか1枚だけ選べ、と言われれば、
やはりこの演奏をとります。
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