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2019年1月の4件の記事

2019年1月25日 (金)

シベリウス:交響曲第3番Op.52聴き比べ(SACD&Blu-ray Audio編)

2018年年末〜2019年年始、一番よく聴いたクラシック音楽は、
シベリウスの交響曲第3番です。

ところで、みなさんは、シベリウスの交響曲で初めてハマったのは、第何番でしょうか?
私はたぶん人並みに(?)、交響曲第2番からです。
カラヤン&BPO盤(DG)ではピンと来なかったのが、
バーンスタイン&VPO盤を聴いて、一気に好きになりました。
(ただし、今聴くと、クドい気がします。)

(参考)バーンスタイン&VPO盤

それから、バーンスタイン&VPO盤で、第1番、第5〜第7番もステキだとわかり、
第3、第4番以外は好きになりました。
それから何十年かして、つい最近になってから、
苦手だった第4番もようやくその魅力がわかるようになりました。

(参考記事)
レイフ・セーゲルスタム(Leif Segerstam)指揮ヘルシンキ・フィルによるシベリウスの交響曲第4番〜聴く「視点」がようやく見えた!
シベリウス:交響曲第4番聴き比べ〜ベルグルンド(Berglund)盤3盤を中心に

これで、第3番以外の曲は全部気に入ったわけですが、
どういう訳か、第3番はイマイチピンと来なかったのです。

しかし、2018年年末に、
Blu-ray Audioのシベリウス交響曲全集(後述)をなんとなく聴き流しているうちに、
「交響曲第3番も、イイナ・・・」と思えるようになりました。
そこで、全集としてではなく、第3番だけ聴いてみると・・・
そう、第1楽章では、森の小動物がピョコピョコと木陰や切り株から顔を出しているような、
そんな光景が頭に浮かんできました。
シベリウス流の「田園」交響曲なんだなと、一気に好きになりました。
(「田園」というよりは、「森林」なんでしょうけど・・・)

ちなみに、膨大な録音を残したカラヤンでさえ、
なぜか第3番だけは録音を残していません。
The Archives of Herbert von Karajanという、
カラヤンのディスコグラフィーを網羅したサイトによると、
第1番は1回、第2番は2回、第4番と第5番に至っては4回、
第6番は3回、第7番は2回の正規録音があるとのことです。※ライブ録音は除く)
後述する、サー・サイモン・ラトル指揮BPO盤の解説によると、
ベルリン・フィルでのこの交響曲第3番初演は、
2010年2月9日で、初演者はサー・サイモン・ラトルとのこと。
他の交響曲は遅くとも1938年までにはBPOで初演されているそうです。

思うに、あのカラヤンでさえ取り上げなかったのは、
第2番までのポピュラー路線と、第4番以降の晦渋路線どちらでもない、
過渡期的な作風だから、なのかもしれませんね・・・
(これは私の憶測に過ぎませんが・・・)
私にとっても、やはりどっちつかずの作品、という評価でしかなったものです。
しかしその「どっちつかずさ」も、一度判れば魅力にさえ感じました。

もう一つ付け加えて言えば、第3番をさらに純化させていくと、
第6番の世界になるのかも・・・と思いました。
第3番と第6番がカップリングされている盤を聴くと、
あまり切れ目を感じさせません。
(これは余談ですね・・・)

それでは聴き比べです。
オススメ順に紹介します。
指揮者・オケ名・レーベル・録音年月・
スペック(SACD ハイブリッドorシングルレイヤー、Blu-ray Audio)、
2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
なお、今回、通常CDへの評は割愛しました。
(参考までには載せましたが・・・)

◯オスモ・ヴァンスカ指揮ミネソタ管弦楽団(BIS)
2015年5〜6月
SACDハイブリッド Surround/SACD Stereo/CD
カップリング シベリウス:交響曲第6番&第7番

☆4.5
第1楽章 10:41
第2楽章 10:40
第3楽章 08:47

この第3番を本当に「愉しい」「美しい」と思わせてくれた盤です。
特に第1楽章は、秋の野山を散歩していると、いろいろな小動物に出くわしたり、
可憐な花を見かけたりしたような気分的高揚を感じます。
第2楽章、第3楽章も同様です。
まず一番にオススメしたい演奏です。
オケがアメリカの団体だからといって、侮るなかれ!

なお、同じ指揮者で、ラハティ交響楽団を指揮した全集盤もあります。
交響曲第5番の初稿盤の録音といった、資料的価値は高いですが、
演奏・録音ともに、断然ミネソタ管弦楽団の方をオススメします。

(参考)ラハティ管弦楽団盤(全集)(BIS)

(☆3.5相当)
第1楽章 10:15
第2楽章 11:12
第3楽章 08:51


◯パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス交響楽団(WARNER)
1977年6月
SACDハイブリッド SACD Stereo/CD
シベリウス交響曲全集(※タワレコ限定)

※下のは通常CD盤です。

こちらがSACD盤です。タワレコ限定盤です。
シベリウス: 交響曲全集 (第1番-第7番), 管弦楽曲集<タワーレコード限定>

☆4.5
第1楽章 10:45
第2楽章 11:13
第3楽章 09:01

スケール雄大ですが、後述のバルビローリ盤のようなゆったり感はありません。
過不足なく響いており、極めて模範的・理想的な演奏といえます。
特に第3楽章は、大自然が鳴動しているかのような、
壮大な光景が見えてくるようです。
なお、一般的には、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団盤の方が、
評価が高いようですが、
私はボーンマス交響楽団盤の方を評価しています。
ヘルシンキ・フィル盤は、あまりにも「極北の」演奏すぎて、
理解と共感を拒んでいるかのような素っ気なさがあるからです。

(参考)パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団盤(WARNER)通常CD

(☆3.5相当)
第1楽章 10:16
第2楽章 09:48
第3楽章 08:31

◯サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(KING INTERNATIONAL)
2015年1〜2月
SACDハイブリッド Surround/SACD Stereo/CD
シベリウス交響曲全集

※可能であれば、SACDよりも、
Blu-ray&Blu-ray Audio盤付の方をオススメします。

☆4.0
第1楽章 10:13
第2楽章 09:21
第3楽章 08:43

カラヤン時代のベルリン・フィルとは違って、
力で押し切るような演奏ではなく、
「自然」を感じられる、穏やかな演奏となっています。
第1楽章は小動物が顔をひょこひょこのぞかせているような感じになっています。
第2、第3楽章は、しっとりと聴かせる演奏となっています。
(CD+Blu-ray&Blu-ray Audio付の盤を選んでおけばよかったと思いました・・・)
なお、私は未聴で、購入予定もありませんが、
バーミンガム市交響楽団を指揮した盤もあります。

(参考)交響曲全集(通常CD)

◯サー・ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団(WARNER)
1969年5月
SACDハイブリッド SACD Stereo/CD
シベリウス交響曲全集(※タワレコ限定で、既に廃盤扱いです。)

※下の全集は通常CD盤です。

分売盤(第6番とのカップリング)

☆4.0
第1楽章 12:16
第2楽章 11:16
第3楽章 09:23

他の演奏に比べて、テンポがゆったりとしており、
スケール感が雄大な印象を受けます。
それはまるで、大型の船に乗ってフィヨルドをクルーズしているかのようなイメージです。
一音一音慈しまれて奏でられるような響きが、シベリウスを超えて、
ブルックナーの大宇宙さえ感じさせるほどです。
あえて難点を言えば、第3楽章が少しもたれ気味かも・・・


◯ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団(ALTHAUS MUSIK)
2015年
Blu-ray PCM STEREO DTS-HD MASTER AUDIO 5.1ch
シベリウス交響曲全集

☆4.0
第1楽章 10:44
第2楽章 09:41
第3楽章 09:47

標準的な演奏。過不足なくフィンランドの大自然が音で描かれています。
このBlu-rayの交響曲全集では、演奏だけではなく、
● ドキュメンタリー「シベリウス、リントゥと7つの交響曲」(ナレーター:ハンヌ・リントゥ)
と、
● 「ソート・オブ・シベリウス!」
というドキュメンタリーやシベリウスについてまとめたバイオグラフィ映像がついており、
曲の理解を助けてくれます。

交響曲第3番の解説では、第3楽章に「神に祈る人」というコラール風の旋律がある、
と教えてくれました。

(→文章で読みたいのであれば、「シベリウスの交響曲第3番」という記事がオススメです。)

◯ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(DECCA)
1968年3月
Blu-ray Audio 2.0pcm 24-bit/96kHz 2.0dolby true HD 24-bit/96kHz
シベリウス交響曲全集(CD付)

☆4.0
第1楽章 09:26
第2楽章 08:15
第3楽章 08:46

金管が吠えまくる!
まるでブルックナーみたいです。
フィンランドとか田園風景というイメージはわきませんが、
まるでロッキー山脈みたいな岩でゴツゴツした岩肌や、
荒々しい荒涼とした自然が見えてくるようです。
あまり愉悦感はありませんが、ここまでやればGood!です。

こういう、CDとBlu-ray Audio付の長時間録音ものが、
最近DECCAやDGから出ていますが、
はっきりいって、CDは不要ですね・・・
しかも、CDは紙ジャケットで出し入れしにくいのもマイナスです。
Blu-ray Audioだけで販売してほしいものです。

◯サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団(LSO Live)
2003年10月
Blu-ray Audio 5.0/5.1 DTS-HD MA 24bit/96khz
2.0 DTS-HD 24bit/96khz
シベリウス交響曲全集(ハイブリッドSACD付)

☆3.5
第1楽章 11:26
第2楽章 11:05
第3楽章 08:26

全体的に控え目の演奏です。東洋的な高原の風景が見えてきそうです。
落ち着いて堪能できる感じ、でしょうか・・・

Blu-ray Audioがついていたら、はっきりいって、SACDでさえ不要ですね。
どっちかだけで十分ではないでしょうか。

◯オッコ・カム指揮ラハティ交響楽団(BIS)
2012年5月、2013年1月
SACDハイブリッド SACD 5.0 Surround /SACD Stereo /CD
シベリウス交響曲全集

☆3.5
第1楽章 10:11
第2楽章 10:05
第3楽章 08:55

静かで、穏やかで、温かいイメージです。
(温かい、といっても、冬の北海道程度ですが・・・)

今回評は書きませんが、我が家にある通常CDも紹介しておきます。
※紹介済のものは除きます。
(演奏時間も省略します。)

○オッコ・カム指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(DG)
※タワレコ限定、全集
シベリウス: 交響曲第1番-第3番, 他<タワーレコード限定>

○ヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団(DECCA)


※全集

○レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団(ONDINE)


※全集。
通常CDなら、この全集がオススメです。

2019年1月14日 (月)

NHKEテレ・こころの時代~宗教・人生~「外国人収容者と共にありて」(2019年1月12日再放送)

NHKEテレの「こころの時代〜宗教・人生〜」。
時々キリスト教関係の人が出てきます。
キリスト教関係の方が出演される場合は、
たいてい社会福祉関係か、人権活動家(沖縄の基地問題含む)です。
そういう方の場合、活動はすごく立派なのですが、
残念ながら、キリストを人権活動家か、
慈善家のレベルに下げて論じてしまうことが多いです。

今回登場する牧師さんも、そんな感じかな、と思いつつも、
一応、キリスト教関係者の出演ということで、録画して観ました。
しかし、期待はいい意味で裏切られました。
2019年1月12日再放送(本放送は2018年9月30日)の
外国人収容者と共にありて」です。
長崎県大村市の「大村入国管理センター」で、
収容されている外国人のためにセンター内で月1回礼拝を捧げている、
長崎インターナショナル教会の牧師、柚之原寛史(ゆのはら ひろし)牧師の活動と、
原動力となった体験についての番組でした。

録画した番組を観て数分で、私にとっては「おっ!」と思えるシーンが出てきました。
収容者のために、柚之原牧師がその手をとって祈るところです。
「主よ、癒やしを与えてください」
リベラル系の牧師サン達なら、たぶんそんな祈りはしないだろう・・・
この人は、どこ系(リベラル派?福音派?まさかまさかの聖霊派?)の牧師先生?
番組を一時停止して、柚之原牧師について調べてその経歴を見ると、
明らかに聖霊派系の方だというのがわかりました。
ライフ・ライン」といった明らかなキリスト教系の伝道番組ならいざ知らず、
NHKでこの系統の方が出るのは珍しいと思いました。
しかも、ストレートにキリストの御言葉を語っていました。

それにしても、刑務所でないのに、なぜ数年(長いと6年・・・)も収容され続けるのか?
番組を観ても、いろいろ調べても、正直に言って、よくわかりませんでした。
なにせ、収容年数は入管の恣意的な判断で決まるわけですから・・・
明らかなのは、日本政府による深刻な人権侵害だ、ということだけです。
イスラム教の人に対してハラル食を提供しないとか、結構問題だと思います。
私の妻はこの番組を通して現状を知った上で、
「典型的な、日本人の優柔不断な態度だ」と言っていました。

番組では、柚之原牧師の改心のきっかけになった、
クリスチャンの母の死と、そこからの変化についても、
きちんと時間を割いていました。

「地の塩、世の光」としてのキリスト者の活動と言動を、
しっかり描いていた番組だと思いました。

外国人労働者と不法滞在の問題は、
これからもっと深刻化してくると思います。
安い労働力は欲しいが、人間としてはみなさない、というのは、
先進国としてあるまじき態度だと思います。

今回の番組の内容については、
私の記事ではなかなか書ききれない内容ですので、
参考記事をいろいろ紹介しておきます。
興味がある方はリンク先をぜひご覧になってください。

外国人収容者と共にありて(番組の文字起こし記事)
難民問題、外国人支援に取り組みながらキリストの愛を伝える。
(大村インターナショナル教会HP掲載)
長期収容・病死・自殺・・・放置できない”入管地獄“(ブログ名「アリの一言」)
「外国人収容者と共にありて」(ブログ名「月の光で澄み渡る」)
集団暴力、無期限拘束……。あまりに酷い、入管収容所における外国人虐待の実態
(ハーバー・ビジネス・オンライン)

「死にたいほど苦しい」外国人、長期収容の実態 入国管理局、就労拡大の陰で インド人男性自殺の「悲劇」も
2018年06月16日 06時00分(西日本新聞)

そこで、王は右側にいる人たちに言う。『さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前たちのために用意されている国を受け継ぎなさい。 お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、 裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。』 すると、正しい人たちが王に答える。『主よ、いつわたしたちは、飢えておられるのを見て食べ物を差し上げ、のどが渇いておられるのを見て飲み物を差し上げたでしょうか。 いつ、旅をしておられるのを見てお宿を貸し、裸でおられるのを見てお着せしたでしょうか。 いつ、病気をなさったり、牢におられたりするのを見て、お訪ねしたでしょうか。』 そこで、王は答える。『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。
(新約聖書マタイによる福音書25:34〜40新共同訳)
兄弟としていつも愛し合いなさい。 旅人をもてなすことを忘れてはいけません。そうすることで、ある人たちは、気づかずに天使たちをもてなしました。 自分も一緒に捕らわれているつもりで、牢に捕らわれている人たちを思いやり、また、自分も体を持って生きているのですから、虐待されている人たちのことを思いやりなさい。
(新約聖書ヘブライ人への手紙13:1〜3新共同訳)
※下線は筆者による。

2019年1月13日 (日)

NHKBSプレミアム・玉木宏 音楽サスペンス紀行▽ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番(2019年1月2日放送)と、M・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管による「レニングラード」の名演

2019年1月2日に、NHKBSプレミアムで放送された、
玉木宏 音楽サスペンス紀行▽ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番」を、
正月明けに、録画で観ました。
再現ドラマを交えての2時間のドキュメンタリー番組でした。
年末年始の帰省中及び自宅に戻ってからも、
年末年始のいろいろなクラシック音楽の特別番組を観ましたが、
この番組は最も興味深いものとなりました。

番組HPから引用)
第二次世界大戦のさなか、ドイツ軍に包囲され過酷な状況にあったレニングラードで、ある演奏会が行われた。ショスタコーヴィチが故郷・レニングラードにささげた「交響曲第7番」。飢えや寒さと闘いながら、人々はどのようにして“奇跡のコンサート”を実現したのか?一方、作品の楽譜は密かにマイクロフィルムにおさめられ、遠路アメリカまで運ばれた。ソビエトとアメリカの大国同士が音楽で手を結んだ、驚くべき政治的背景とは?
(引用終)

作曲家のショスタコーヴィチに焦点を当てるよりは、
ドイツ軍に包囲されて地獄のような苦しみに喘いでいたレニングラード
(現:サンクトペテルブルク)で、
どのように奇跡の初演を行うことができたのか、というのが、
番組の中心でした。

うろ覚えでスイマセンが、以前(数年前?)、NHKBS1で、
再現ドラマなしのほぼ同内容(レニングラードでの初演に至るまでの部分)の
ドキュメンタリー番組を観たことがあります。
(番組名は忘れてしまいましたが・・・)
ただ、今回は、再現ドラマと、俳優の玉木宏さんによる生存者へのインタビューと、
指揮者パーヴォ・ヤルヴィのコメント、
アメリカでの初演に至るまでの経緯という新要素を加えているので、
新鮮な目で観ることができました。

飢餓の中で、人肉食まで行われた凄惨な飢餓の話は絶句でした・・・
(肉屋から、「もっといい肉があるよ」と誘われて肉屋の家へ行った人が行方不明になり、
衣服だけが残されていた・・・バラバラになった手足がたくさんあって・・・
その先は言うのも憚ります・・・)
人々は音楽よりも、日々食べるのでも精一杯。
(食べられるものなら、壁紙の糊すらも食べていたとか・・・)
世界初演、海外初演、アメリカ初演が既に行われていた上での、
この曲が捧げられたレニングラードでの初演。
飢餓とドイツ軍の攻撃の中、
なんとか初演に漕ぎ着けるまでの実話は感動的でした。
お正月だから、めでたい気分の中、
よくこんな重たい内容の番組を放送できたものだと感心しました。

番組を見終わってから、
早速「レニングラード」を全曲通して聴いてみようと思いました。
実は、私にとって、「レニングラード」は長いし、第3楽章と第4楽章は少々退屈ですので、
全曲聴き通すのはあまりしたことがありません。

その印象を私に植え付けたのは、この曲の名盤として知られる、
バーンスタイン指揮シカゴ交響楽団による演奏だと思います。

(参考)バーンスタイン&CSO盤

通常、第1楽章は27分前後で演奏されますが、
バーンスタイン盤は32分近くかかります。
第1、第2楽章だけで、45分以上になります。
(通常は40分以下)
確かに、昔バーンスタイン&CSO盤を聴いた時は、
第1楽章の迫力に感動したものです。
しかし、第1楽章でお腹いっぱいという感じで、
第2楽章はもう耳に残らない感があり、
第3楽章、第4楽章はCD2枚目に入るので、
「もういいや・・・」という感じで、あまり聴くことがありませんでした。

改めてバーンスタイン&CSO盤を聴いてみると、
出だしこそ音の迫力はいいですが、
そこからはすぐにお腹いっぱい感があり、
第1楽章でさえ、聴き通すのにウンザリしました。

家にあった他の盤では、
昔、アンドリス・ネルソンズ&バーミンガム市交響楽団のSACDがありましたが、
SACDなのに全然迫力がなかったので、すぐ売り払いました。

(参考)ネルソンズ盤

ネルソンズはボストン交響楽団による演奏による新録音が、
2019年2月に発売予定です。

(参考)ネルソンズ新盤

交響曲第12番で凄演を聴かせた、キタエンコ指揮の盤も、
この「レニングラード」ではイマイチでした・・・

(参考)キタエンコ盤
ショスタコーヴィチ:交響曲全集[SACD-Hybrid] SACD, Box set, Import

通常CDで合格は、ルドルフ・バルシャイ指揮WDR交響楽団によるものでした。

ショスタコーヴィチ:交響曲全集 (Shostakovish: Symphonies) Box set, CD, Import

ただ、やはりSACDでいい演奏を聴いてみたいな、と思ったので、
急いでマリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の
ハイブリッドSACDを買って聴いてみました。

マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団盤

こちらは各楽章の収録時間を書いておきます。

第1楽章 27:22
第2楽章 11:20
第3楽章 18:39
第4楽章 17:16

第1楽章、第2楽章の迫力は、バーンスタイン盤を超えます。
第3楽章、第4楽章は、私が元々それほど好きではないせいか、
少し迫力が落ちるように感じましたが、
バーンスタイン盤のように途中で聴くのをやめてしまう満腹感にはならなく、
最後まで聴き通すことができました。
この演奏で、ようやく全曲通して聴く道が開けたように思えます。
いい演奏に巡り会えたと思いました。

参考記事を挙げておきます。
・タワレコがNHKの番組放送後にまとめた記事
NHK BS「玉木宏 音楽サスペンス紀行」で話題!ショスタコーヴィチ:交響曲第7番“レニングラード”
カテゴリ : Classical掲載: 2019年01月08日 00:00

ショスタコーヴィチ 交響曲第7番
---「レニングラード」という標題を外して再評価を ! ---

レニングラード初演に関する詳しい本のようです。
ひのまどか著『戦火のシンフォニー: レニングラード封鎖345日目の真実』

2019年1月 4日 (金)

2018年12月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧 付:謹賀新年2019

2019年、新年明けましておめでとうございます。
本年も、当ブログをよろしくお願い致します。

さて、2018年12月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページ及びカテゴリを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.「カトリック」か「カソリック」か?~誤用に潜む軽蔑と無知
二位.インクルーシブ(インクルージョン)教育は子どもにとって本当に幸福なのか?
~おすすめブログ記事「脱インクルージョン教育」(ブログ名:斜に構えてみる)

三位.マーラー:交響曲第7番聴き比べ14種類
四位.気分が落ち込んだ時に聴いてみたくなるクラシック音楽(重症編)
五位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』

六位.クリスマスの讃美歌
The snow lay on the ground/雪はつもり(讃美歌第二編127)※私訳とmidi付

七位.SACDとBlu-ray Audio、どちらが優れているか?〜音響、価格、将来性・・・
八位.原点にして、もしかして終着点?
〜ショルティ(Sir Georg Solti)による、ベートーヴェン:交響曲全集(80年代録音)

九位.ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・
十位.シベリウスによるクリスマスの讃美歌~喜びはむねに(讃美歌21・271番)※midi付

先月の記事で、季節柄、クリスマスにちなむ記事がランクインしたのは、
嬉しく思いました。
六位の「クリスマスの讃美歌
The snow lay on the ground/雪はつもり(讃美歌第二編127)※私訳とmidi付
」と、
十位の「シベリウスによるクリスマスの讃美歌
~喜びはむねに(讃美歌21・271番)※midi付
」です。

年末年始には、シベリウスの交響曲第2、第3、第5、第6番をよく聴いていました。
凍てつくような寒さのこの時期に実にぴったりです。
特にオススメの演奏は、オスモ・ヴァンスカ指揮ミネソタ管弦楽団のものです。

シベリウス : 交響曲 第3番 第6番 第7番 (Sibelius : Symphonies Nos 3・6・7 / Minnesota Orchestra | Osmo Vanska) [SACD Hybrid] [輸入盤] [日本語帯・解説付] Hybrid SACD

シベリウス : 交響曲 第2番 | 交響曲 第5番 (Sibelius : Symphonies Nos 2 & 5 / Minnesota Orchestra , Osmo Vanska) [SACD Hybrid] [輸入盤・日本語解説付] Hybrid SACD

あと、Blu-ray Audio盤だと、第1番から第7番までディスクを変えずに、
なんとなく流し聴きができます。
演奏の質はだいたい合格点ぐらいですが、便利ですよ。
ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルの演奏による全集です。

Sibelius: the Seven Symphonies Box set, CD, Import


今年も、そして今月もご愛読よろしくお願いいたします。
皆様に神様の祝福が豊かにありますように!

主があなたを祝福し、あなたを守られるように。
主が御顔の光であなたを照らし
あなたに恵みを与えられるように。
主が御顔をあなたに向けて
あなたに平和を賜るように。

(聖書協会共同訳 旧約聖書 民数記6:24〜26)

(おまけ)
道東某所で2018年の年末に撮影した夕焼けの写真です。
こういう素晴らしい夕焼けを見ると、
頭の中に、シベリウスの交響曲第5番の終楽章が鳴り響いてきました。

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