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2017年11月 6日 (月)

SACDとBlu-ray Audio、どちらが優れているか?〜音響、価格、将来性・・・

SACDとBlu-ray Audio、どちらが優れているか?
なんとなく、Yahoo!知恵袋的な見出しになってしまいましたね。
結論から申しますと、私はBlu-ray Audioの方が、
音響、価格、将来性のいずれにおいても優れていると思います。

先日、所有CD等の整理をしていた時に、
前からやってみたかった、
SACD(シングルレイヤー)と、Blu-ray Audioの聴き比べをすることとなりました。
たまたま、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルによる、
ブルックナーの交響曲第4番の演奏が、
SACDシングルレイヤーとBlu-ray Audioどちらもありました。
今まではとりあえず買っておけ、と、比較しようとは思いませんでした。
(そうこうしているうちに、次から次へと新しい盤に埋もれていまい・・・)

基本は同じ演奏ですし、一応、この曲の名盤の一つなので、
演奏そのものについては今回は触れません。
ひたすら、響き、特に冒頭のブルックナー開始や、
トゥッティの響きなど、第1楽章の聴いた感じについて述べます。

ブルックナー:交響曲第4番<ロマンティック> Limited Edition, SACD

SACDシングルレイヤー(2ch Stereo)
価格:3741円(Amazon 2017.11.5現在)※定価4629円

ブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》 形式: Blu-ray Audio

リニアPCM 96kHz/24bit
DTS master Audio(96kHz/24bit)
Dolby True HD(96kHz/24bit)
価格:1080円(Amazon 2017.11.5現在)※参考価格3600円

最初に、SACDで聴きました。
冒頭のブルックナー開始、もちろん通常CDよりはっきり聴こえます。
素晴らしい録音ですが・・・
冒頭の1分間ほどで一旦聴くのを止めました。
続いて、Blu-ray Audioで聴いてみました。
モードは、Dolby True HD(96kHz/24bit)を選択しました。
こちらも最初の1分間ほどで止める予定でした。
すると・・・
Blu-ray Audioの方が、冒頭のブルックナー開始が、
ハッキリ、クッキリ、しかもまろやかに聴こえてきます!
盛り上がってからのトゥッティも決してうるさくありません。
なんとなくそのまま聴き続けてしまい、あっという間の約20分間でした。
(第1楽章だけ聴きました。)
ブルックナーの「ロマンティック」はしばらくぶりに聴くことになりました。
久々に、聴く喜びが湧き上がりました。

これはもしかして、私の今までのSACDへの偏執は、間違いだったのかも・・・
思い切って、AmazonでDGやDECCAのBlu-ray Audioを安売りしているうちに、
何本も買い占めてしまいました。

続いて、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。
チョン・キョンファ(Vn)、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の名盤です。
SACDの方は、私の父にプレゼントして、大変喜ばれたものです。
(ついでに私自身のためにも買ってしまいましたが・・・)

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 Limited Edition, SACD

SACDシングルレイヤー(2ch Stereo)
価格:4241円(Amazon 2017.11.6現在)※定価4629円

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(形式: Blu-ray Audio)

リニアPCM 96Khz/24bit(ステレオ)/ 192Khz/24bit(ステレオ)
価格:1134円(Amazon 2017.11.6現在)※参考価格3780円

この曲は、ブルックナーの原始霧みたいに、幽かなオケ伴奏から、
まさに香の煙が立ち上るかのごとく、ヴァイオリン独奏が聴こえてきます。
オケの最弱音がどう聴こえるかが、オーディオ的には一番のポイントでしょう。

SACDも通常CDではよく聴こえないようなところまで、しっかりと捉えていますが、
Blu-ray Audioではさらにはっきりくっきり鮮明に聴こえます。
しかも変に強調したところは皆無です。

これは軍配がまたもやBlu-ray Audioにあがりました。
ただし、このBlu-ray Audio、
カップリングのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で、
第2楽章と第3楽章の区切るところが間違っています。
(SACDとBlu-ray Audioで、第2楽章、第3楽章の演奏時間が違っています!)
※通して聴くと何の支障もありませんが・・・

ただ、カラヤン指揮ウィーン・フィルによる、
ホルストの惑星では、もしかすると互角か、
下手するとSACDの方が聴きやすいかもしれません。

ホルスト:組曲「惑星」 Limited Edition, SACD

SACDシングルレイヤー(2ch Stereo)
価格:3772円(Amazon 2017.11.6現在)※定価4629円

ホルスト:組曲《惑星》(形式: Blu-ray Audio)

リニアPCM 96Khz/24bit(ステレオ)/ 192Khz/24bit(ステレオ)
価格:1134円(Amazon 2017.11.6現在)※参考価格3780円

DG、DECCAのBlu-ray Audioを取り扱っているのは、
「ハピネット」という会社です。
Blu-ray Audioでは、
リニアPCM 96Khz/24bit(ステレオ)/ 192Khz/24bit(ステレオ)
という規格のものよりも、
リニアPCM 96kHz/24bit
DTS master Audio(96kHz/24bit)
Dolby True HD(96kHz/24bit)
」となっている盤の方は断然オススメです。
特にホームシアターシステム(サラウンドが聴ける環境)を導入しているならば、ぜひ!
1000円ちょっとで買えるなら、まずはGetした方がいいかもしれません。
音の迫力が違いますよ。

SACDという規格自体、確かに通常CDと比べると格段に音質がいいですが、
やはり、SACDが再生できるプレーヤーが一般的ではない、というのが、
大きな欠点です。
対して、Blu-ray Audioは基本、Blu-rayと同じなので、
1万円以下のBlu-rayプレイヤーでもお手軽に再生できるわけです。
汎用性・経済性では完全にSACDを上回っています。
なおかつ、大容量です。
(SACDは4.7GB、Blu-ray Audioは25GB)

たとえば、カラヤン指揮ベルリン・フィルによる、
1960年代録音のベートーヴェン:交響曲全集。
6枚組のSACDハイブリッド盤をもっていましたが、
よく調べると、Blu-ray Audio盤が出ているではありませんか!
しかも、DISKは1枚!
こちらも、SACDを手放して、Blu-ray Audioに切り替えることにしました。

(参考)
Symphonies (Bonus CD) (Hybr) (Ms) CD, Hybrid SACD, SACD, Import

参考価格 10700円(Amazon 2017.11.6現在)

9 Symphonien Import(形式: Blu-ray Audio)

参考価格 2316円+送料350円(Amazon 2017.11.6現在)


近日、カール・リヒターによる、バッハの4大宗教曲の名録音が、
Blu-ray Audio(+CD11枚、DVD4枚 計16枚)で発売予定です。
私も予約しました。
マタイ受難曲、ヨハネ受難曲、クリスマス・オラトリオ、ミサ曲ロ短調の4作品が、
Blu-ray Audio1枚で聴ける、というのは、すごいとは思いませんか?
こちらも、マタイ受難曲とミサ曲ロ短調のSACDシングルレイヤーを持っていましたが、
手放すことにしました。
(ただ、このセット、通常CDは不要かな、と思いましたが・・・)

Bach: Sacred Works (11CD+4DVD+BLU-RAY) Box set, CD+DVD, Import

参考価格 8593円(Amazon 2017.11.6現在)

以下はいずれもSACDシングルレイヤー、2chステレオです。

(参考)
バッハ:ミサ曲 ロ短調 Limited Edition, SACD

参考価格 5199円(Amazon 2017.11.6現在)定価6912円

バッハ:マタイ受難曲 Limited Edition, SACD

参考価格 9096円(Amazon 2017.11.6現在)定価10368円

バッハ:クリスマス・オラトリオ Limited Edition, SACD

参考価格 9424円(Amazon 2017.11.6現在)定価10368円

バッハ:ヨハネ受難曲 Limited Edition, SACD

参考価格 5918円(Amazon 2017.11.6現在)定価6912円

最近では、通常CD何枚か組に、Blu-ray Audioがセットされるものがいくつも出ています。
私としては、通常CDはおまけで、大していらないと思います。

ロンドン交響楽団の自主レーベル、LSOでは、
サー・ジョン・エリオット・ガーディナー指揮による、
メンデルスゾーンの交響曲集や、
サー・コリン・デイヴィス指揮によるシベリウスの交響曲全集が、
SACD+Blu-ray Audioのセットで販売されています。
こうなると、結局聴くのはBlu-ray Audioの方ばかりになり、
SACDすら不要だったのでは、とも思ってしまいましたが・・・

(参考)
Symphony No. 5 'Reformation' (Hybrid SACD+Audio BLU-RAY) CD, CD+Blu-ray, Hybrid SACD, Import, Limited Edition, SACD

Sibelius Symphonies Nos 1-7 Box set, CD, Hybrid SACD, SACD, Import

ということで、今回の記事、結論としては、
高いSACDシングルレイヤー(ハイブリッドも含めて)に手を出す前に、
まずはBlu-ray Audioで出ていないか、一度調べた方がお得ですよ、
ということでした。
参考になれば幸いです。

もちろん、再生環境によっては、もしかするとSACDの方がすばらしいのかもしれません。
あくまで今回の記事は、我が家のホームシアター的再生環境
(何十万もお金をかけるようなレベルではありませんが・・・)での結論ですので、
悪しからず・・・

ちなみに、今ではダウンロードのハイレゾ音源の方が、
おそらくさらに高スペックなのですが、
私はどうも、形がないものよりも、目に見えるディスクがあった方が、
気持ち的に満足です。
ダウンロードでないと手に入らない廃盤を別とすれば、
たぶんそちらには、手を出さない予定です・・・

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コメント

影の王子さま、コメントありがとうございます。
「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」を市立図書館で利用できるのですね。なかなかいい公共サービスですね。
あと、Amazonの有料配達サービス(Amazon Prime 年会費3900円)に加入していると、オマケとして、DGやDECCAの名盤が無料で聴き放題とか、Blu-rayやDVDで販売されている、EUROARTS系の映像コンテンツも無料で視聴できます。(その他に、映画やドラマも!)
わざわざDVDやBlu-rayで入手したものが、無料で視聴できるのを知った時は、少し複雑な心境でしたが・・・

おはようございます。

返信ありがとうございます。

僕は現在、通常CDを買うのをストップしています。

ナクソス・ミュージック・ライブラリーが市立図書館のサイトで
無料で聴ける(いつまで聴けるのかはわかりませんが)
のが最大の理由なのですが

「1982年当初の規格のまま」の通常CDを買うこのに抵抗感を覚えます。
いくら格安BOXであっても・・・

かといってSACDは専用プレイヤーを買わなければならないし
何よりソフトがバカ高!

プレイヤーを買わなくてすむBlu-ray Audioで
お気に入りの音源のソフトを見つけたら、買おうかな?と思います。

影の王子さま、コメントありがとうございます。
Blu-ray Audioはもちろん一般的なBDレコーダーでも再生できます。Blu-rayが再生できる環境なら、たとえばBD-ROMを読み込めるパソコンや、(我が家にはありませんが)ゲーム機PS4でも再生可能なわけです。

こんにちは。

とても参考になりました。

>Blu-ray Audioは基本、Blu-rayと同じなので、
1万円以下のBlu-rayプレイヤーでもお手軽に再生できるわけです

通常のBlu-rayレコーダーでも再生できるのでしょうか?

SACDはずっと眼中にありませんでしたが
手を出さなくて「正解」ということですね。

本当にありがとうございました。
今後ともご教授をよろしくお願いいたします。

この記事へのコメントは終了しました。

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