ラヴェル:ボレロ聴き比べ〜演奏時間長→短順に・・・
ラヴェルの代表作といえば・・・
「マ・メール・ロワ」や「ダフニスとクロエ」、あるいはピアノ協奏曲や、
「ラ・ヴァルス」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」いろいろ挙げるかもしれませんが、
やはり「ボレロ」を挙げるのが妥当ですよね。
高校生の時に初めてラヴェルのCDを買って、最も気に入ったのが、
「ボレロ」と「ダフニスとクロエ」でした。
ちなみに、演奏はシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団でした。
(後で取り上げます。)
あと、「愛と哀しみのボレロ」(原題:Les Uns et les Autres→直訳すると「自己と他者)
という映画で、
最後に主要登場人物が一堂に会して、
ジョルジュ・ドン振付のボレロを踊るシーンが記憶に残っています。
(3時間もの上映時間で、観るのにくたびれましたが・・・)
愛と哀しみのボレロ Blu-ray
今回どうして聴き比べしてみようかと思ったかと言えば、
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、「海」の聴き比べのついでに、
よく聴いたからです。
(カップリングで「ボレロ」が収録されていることが多いです。)
ボレロといえば、最後の2小節を除いて、同じメロディ、リズムが執拗に繰り返される作品ですね。
ともすると、メカニック的なので、誰が指揮しても同じになるのかな、
と思ってしまいますが、やはり指揮者ごとの個性や受ける感銘が違ってきます。
今回は、いつもの録音年代順、あるいはオススメ度順ではなく、
録音時間の長→短という順で紹介します。
それでは、聴き比べです。
録音時間の長→短順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
ちなみに、この曲の評価ポイントは、
①冒頭、最も音量が小さいところもはっきり聴こえる。
(残念ながら、なんとなくいつの間にか始まっている、というのが多いです・・・)
②全体的なバランス
③クライマックスの迫力
の3つです。
◯チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(WARNER)
1994年6月
通常CD
※”French & Russian Music"
☆3.5
18:11
French and Russian Music Box set, Import
今回紹介する盤中、最もゆったりとした展開です。
重戦車が通っていくかのよう・・・
「ボレロ」にヒントを得た作品である、
ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」の第1楽章を
なんとなく想起してしまうほどでした・・・
しかし、極端にノロい、という感じは受けませんでした。
ただ、上記評価ポイントの①は弱すぎでした。
◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1977年1月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ
☆3.5
16:13
ドビュッシー:海 牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:ボレロ
チェリビダッケ盤よりは足取りが軽いですが、
フランスのエスプリよりもドイツ的重厚さを感じさせます。
(それがお好みならOKなのでしょうけど・・・)
クライマックスはさすがカラヤン!
ただ、チェリビダッケ盤同様、①冒頭部が弱すぎです。
◯ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団(LSO LIVE)
2009年12月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:「ダフニスとクロエ」(全曲)、亡き王女のためのパヴァーヌ
☆3.5
15:46
VALERY GERGIEV - RAVEL DAPHNE ET CHLOE CD, Hybrid SACD, Import, SACD, Special Edition
思ったより正統派の演奏でした。
これも①が弱すぎ・・・
録音はマルチチャンネルですが、あまり効果が出ていないかも・・・
◯ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
1974年12月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング:ラ・ヴァルス、スペイン狂詩曲、道化師の朝の歌、
ダフニスとクロエ第2組曲
☆5.0
15:37
ラヴェル:管弦楽曲集 SACD
冒頭からハッキリ、クッキリ!!!
最弱音や、今まで聴き逃していたパートもよく聴こえます。
ラストでは、音の波に飲み込まれてしまうかのようなド迫力!
ボレロはこうでなくちゃ!と言いたくなる名演です。
SACDとしての優秀録音もすばらしいです。
ブラボー!!!
◯デュトワ指揮モントリオール交響楽団
1981年7月
通常CD
※ラヴェル:管弦楽曲集 2枚組CD
☆4.0
15:05
ラヴェル:管弦楽曲集
※私が持っているのは輸入盤ですが、上記国内盤と同じ収録曲です。
輸入盤の方は2017年8月現在、Amazonでは入手不可のようです。
最も標準的、模範的な演奏といえます。
ファースト・チョイスにはぴったりかも・・・
(私もこの演奏で、ボレロを初めて聴きました。)
◯ブーレーズ指揮ベルリン・フィル
1993年3月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:マ・メール・ロワ、海原の小舟、道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲
※SACDは2枚組。Amazonでは現在品切れ。
☆4.0
14:58
ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、他
※通常CDを紹介しています。
こちらも標準的な演奏といえます。
旧盤の方が感銘度が高いです。
なお、今手持ちのSACDハイブリッド盤ですが、
SACDとしての超優秀録音・・・というわけでもなさそうでした。
通常CDで十分なのでは、と思います。
◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団
1976年5月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」、「海」
☆4.5
14:47
ドビュッシー:交響詩「海」、ラヴェル:ボレロ、他 Limited Edition, SACD
今回紹介した盤の中で、最も演奏時間が短いです。
メカニックなまでの正確さが痛快に感じます。
ブーレーズ旧盤と同様、
最初からハッキリ、クッキリ聴こえるところが高評価のポイントです。
演奏の迫力も見事です。
ということで、「ボレロ」どれか1盤、というなら、
迷わずブーレーズ旧盤、
ついでショルティ盤、
中庸ならデュトワ盤をオススメします。
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コメント
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影の王子様、コメントありがとうございます。
クリュイタンス盤は手元になかったので、揃えようかなとも思いましたが、試聴を聴いて「それほどでも?」と感じたので、パスしました。
実演では聴いたことがありませんが、年末の東急ジルベスターコンサートのTV中継で、カウントダウン曲として使われたのは印象的でした。
投稿: てんしちゃん | 2017年8月 5日 (土) 23時44分
こんばんは。
ブーレーズ旧盤の高評価、納得です。
ドビュッシーに加え、ラヴェルの3枚組も聴いたのですが
「安心して聴けます」ね。
「名盤なんとか」でトップ常連のクリュイタンスは「危うい」感じですが。
チェリビダッケは期待が大きかった分、残念でした。
この曲はコンサートで聴いたことがありますが
コーダは「音の波」が「押し寄せる」感じでした。
投稿: 影の王子 | 2017年8月 5日 (土) 00時14分