NHKEテレ・クラシック音楽館「フィルハーモニア管弦楽団演奏会」(2017年7月16日放送)
エサ・ペッカ・サロネンといえば、20世紀モノが得意な指揮者、
というイメージがありましたし、さほど期待していなかったのですが・・・
いい意味で、見事に裏切られた演奏でした。
2017年7月16日放送の、NHKEテレ「クラシック音楽館」。
2017年5月21日、横浜みなとみらいホールでの、
フィルハーモニア管弦楽団の演奏会を放映しました。
途中からリアルタイムで観ましたが、
改めて録画で最初から視聴しました。
曲目は、オール・ベートーヴェン・プログラムで、
以下の3曲でした。
1.序曲「命名祝日」ハ長調 作品115
2.ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
3.交響曲第7番 イ長調 作品92
指揮はエサ・ペッカ・サロネン。
ピアノは第17回ショパン国際コンクール(2015年)の覇者、
チョ・ソンジン。
1曲目の「命名祝日」の評はパスとします。
(曲自体がそれほどステキだとは思えないので・・・
ただし、フィルハーモニア管の音色がもう実に素晴らしい!)
2曲目、ピアノ協奏曲第3番。
出だしから、フィルハーモニア管の音色が、
実に高級感あふれる感じでした。
なんだろう、この感触・・・
そう、大袈裟な表現かもしれませんが、
クレンペラー時代のフィルハーモニア管の音のようです!
ゆったりと音楽そのものに浸っていられる感じというか・・・
指揮者、ピアノとも、「俺が、俺が」という個性やら自己主張を押し出すのではなく、
作曲家(スコア)の僕(しもべ)として、没我的に奉仕している、という感じで、
久々にベートーヴェンの音楽そのものを堪能したなぁ〜という幸福感、
満足感に浸ることができました。
アンコールのモーツァルトのピアノ・ソナタも実にステキで、
チョ・ソンジンはぜひモーツァルトのピアノ・ソナタを録音してほしいと思っています。
演奏評で言えば、☆4.0相当なのでは、と思っています。
交響曲第7番も佳演でした。
ナチュラル・トランペットを使うなど、響きにもこだわりがありましたが、
いわゆる古楽系の演奏ではなく、
中庸な響きが魅力的でした。
ただ、第4楽章冒頭の間のとり方だけは、
「???」という感じでした。
こちらは☆3.5相当だと思いました。
そういえば、どうして横浜みなとみらいホールでの収録なのだろうか、
と調べてみたら、
サントリーホールが改修中だからなのですね・・・
ただ、2017年6月18日放送の、NHKEテレ・クラシック音楽館での、
新日本フィルハーモニー管弦楽団の演奏と同じホールとは思えないほど、
今回の演奏は素晴らしい響きでした。
→NHKEテレ・クラシック音楽館「新日本フィルハーモニー交響楽団演奏会」(2017年6月18日放送)
※こちらは2017年5月12日の演奏でした。
やはりオケの差なのでしょうか・・・
サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団のベートーヴェンは探してみましたが、
現在CDはないようです。
サロネンのこれからのいっそうの成熟・巨匠化に期待したいです。
(参考)
アンコール
圧倒的だったマーラー6番 サロネン指揮フィルハーモニア管
2017年6月19日 (毎日新聞 小田島 久恵氏の評)
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影の王子様、コメントありがとうございます。
ベト7で盛り上がったところを、シベリウスでクールダウンさせるのは意外でしたね・・・
宴会がお葬式で終わったかのような・・・
投稿: てんしちゃん | 2017年7月19日 (水) 22時56分
こんにちは。
僕も「サロネンよ!ベートーヴェンじゃなくて
ストラヴィンスキーやバルトークが聴きたいんだ!」
でしたが、ピアノ協奏曲以外はブルーレイ保存しました。
サロネンが第7を振ると「春の祭典」の「先輩」なのかな?
と思えました。
アンコールのシベリウスの「メリザンドの死」も実に素晴らしかった
ですが、せっかく第7で盛り上がった後で、この選曲は???
いずれにしてもサロネンは素晴らしい指揮者ですね。
投稿: 影の王子 | 2017年7月17日 (月) 15時41分