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2017年6月28日 (水)

ブラームス:大学祝典序曲op.80聴き比べ

ブラームスの「大学祝典序曲」op.80。
中学生、高校生の時、早朝に民放のラジオを聴いたら、
この曲の一部がオープニング曲としてかかっていました。
(正確には、第2主題とのこと。)
「大学受験ラジオ講座」という番組です。
オープニングのユーモラスな(?)メロディの後は、
当時の自分には関係のない番組内容だったので、
その後はすぐ違う番組に切り替えていました。
ラジオで耳にした当時は曲名をしりませんでしたが、
その後、ブラームスの作品をよく聴くようになってから、
この曲のタイトルを知りました。
昔は、クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルの演奏(後述)が、
圧倒的な名演だと思っていました。
今回、聴き比べを思い立ったのは、
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による、
ブラームスの交響曲全集(こちらも後述)のSACDを入手し、
手っ取り早く、パッと聴いてみた「大学祝典序曲」が、
あまりにも素晴らしかったからです。

ちなみに、我が家にいくつもある、
ブラームスの交響曲全集のカップリング曲として、
「悲劇的序曲」op.81は結構含まれていますが、
大学祝典序曲の方がないものもあります。
(有名指揮者で言えば、ザンデルリンク、カラヤン、朝比奈隆。
この3人の全集は新旧2セットずつもっていますが、
どちらにも大学祝典序曲は収録されていません。)

それでは、聴き比べです。
録音年月順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。

◯クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(WARNER)
1957年3月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
ブラームス交響曲全集

☆4.0
10:08

ブラームス:交響曲全集(SACDハイブリッド) Original recording remastered, SACD


冒頭の厳しい響きは、中世から続く大学の門の威容を思わせます。
全体的にテンポはゆっくりめに感じます
(といっても、後述のクナッパーツブッシュ盤よりは速いテンポなのですが・・・)
まさに19世紀頃の大学生の姿が浮かんでくるようです。
最後のスケールの巨大さがとても素晴らしいです。


◯クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィル(DECCA)
1957年6月
通常CD
カップリング:ハイドンの主題による変奏曲、アルト・ラプソディ、悲劇的序曲
※タワレコ限定品

☆3.5
11:30

ブラームス: 大学祝典序曲, ハイドンの主題による変奏曲, アルト・ラプソディ, 悲劇的序曲<タワーレコード限定>

昔聴いた時はもっと凄い演奏だった気がしますが、クレンペラー盤とくらべても、
おとなしい感じがしました。


◯ワルター指揮コロンビア交響楽団(SONY)
1960年1月
通常CD
ブラームス交響曲全集

☆4.5
9:57

Bruno Walter Conducts Brahms (Sony Classical Masters) Limited Edition, Import

(国内盤・1枚モノなら・・・)
ブラームス:交響曲第1番/大学祝典序曲/悲劇的序曲

温かみを感じる演奏です。
多少、金管がジャカジャカ賑やかにやっている感じがありますが、
聴いていて愉しいです。
ブラームスのモジャモジャ髭から笑みがこぼれているかのよう・・・


◯ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団(SONY)
1966年10月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
ブラームス交響曲全集

☆4.5
10:55

ブラームス:交響曲全集(完全生産限定盤) Limited Edition, SACD

今回紹介した盤の中で最も響きがよく、均整がとれています。
すべてのパートが過不足なく響き合い、理想的な演奏といえましょう。
SACDハイブリッド盤全集はお高いですが、オススメです。
ジョージ・セルといえば、従来は完璧主義かつ冷たい、というイメージでしたが、
SACD化されたことでその芸術的価値が再評価されることになってほしいな、
と思っています。


◯オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(WARNER)
1976年(詳細不明)
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
ブラームス交響曲全集

☆4.0
10:08

ブラームス: 交響曲全集, 大学祝典序曲, 悲劇的序曲<タワーレコード限定>

冒頭はかなりセカセカ始まります。
しかし聴いているとあっという間に時が過ぎ、
愉しい一時は堂々としたフィナーレに流れこみます。

ちなみに、セル指揮のブラームス:交響曲全集と、
ヨッフム指揮の交響曲全集のSACD、同日(2017年6月21日)に販売されました。
それぞれ特徴がありますが、私としては、セル指揮の方に軍配をあげます。
理由は録音の鮮明さです。
(SONYとEMIの録音傾向の差、ともいえますが・・・)


◯バーンスタイン指揮ウィーン・フィル(DG)
1982年9月
通常CD
ブラームス交響曲全集

☆3.5
10:22

Brahms: The Symphonies / Haydn Variations / Violin Concerto / Double Concerto Box set, CD, Collector's Edition, Import

全体的に腰が軽い感じを受けました。
明るいブラームスです。
クレンペラー盤を中世から続く大学だとすれば、
バーンスタイン盤は、20世紀アメリカの近代的なキャンパスというイメージです。
☆3.5としましたが、演奏として落ちる、ということではなく、好みの問題かも・・・
暑苦しくなく、聴きやすいです。

◯ジェイムズ・ジャッド指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(Rpo)
1994年9月
SACDハイブリッド(SACD Multi,SACD STEREO、CD)
カップリング:交響曲第2番

☆3.5
10:22

Brahms: Symphony No. 2; Academic Festival Overture [Hybrid SACD] [Germany] SACD, Import

※タワレコかHMVで買った方が安いです(2017年6月28日現在)。

まさに「ニュートラルな」演奏。スコアそのものを味わいたいならいいのかも・・・
録音は良好です。


◯ズデニェク・マーツァル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(EXTON)
2010年12月
SACDハイブリッド(SACD Multi,SACD STEREO、CD)
ブラームス交響曲全集

☆4.0
10:07

ブラームス:交響曲全集・大学祝典序曲・悲劇的序曲 Limited Edition

録音がとても優秀です。
響きの素晴らしいホールでゆったりと演奏に浸っているかのような気分を味わえます。
SACDサラウンドで聴くならこの盤はオススメです。
(高いですが・・・)
マーツァルといえば、マーラーの方が有名ですが、
このブラームスもなかなか魅力的です。

※カテゴリー「クラシック音楽・ブラームス」を新設しました。

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コメント

影の王子様、コメントありがとうございます。
「悲劇的序曲」、そのうち聴き比べ記事を書いてみたいと思います。
(いつになるかはわかりませんが・・・)

こんにちは。

上記の中ではクナッパーツブッシュとバーンスタインを聴いています。
同じウィーン・フィル(年代は離れていますが)でも
「こうも違うのか」と思うのが面白いです。

加齢のせいか?「悲劇的序曲」の方により惹かれるようになりました。

この記事へのコメントは終了しました。

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