シューマン:交響曲第4番ニ短調op.120聴き比べ(その3)1980年〜1990年代まで
シューマン:交響曲第4番ニ短調op.120聴き比べ、
第3回は、1980〜90年代の録音です。
80年代は、巨匠の時代の終わりという感じです。
90年代に入ると、ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックによる、
初稿版(original version 1841)の録音(後述)が出てきます。
我が家には、ガーディナー盤の他に、
トーマス・ダウスゴー指揮スウェーデン室内管弦楽団盤がありますが、
今回は初稿版(及びマーラー版)については取り上げません。
(参考)Syms 2 & 4 Hybrid SACD, SACD, Import
※こちらの第4番は、初稿版です。
それでは、聴き比べです。
録音年月順に紹介します。
指揮者・オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
なお、特記しない限り、モノラル録音ではありません。
◯バーンスタイン指揮ウィーン・フィル(DG)
1984年2月
通常CD
※シューマン交響曲全集(2枚組CD)
☆3.0
第1楽章 11:48
第2楽章 05:13
第3楽章 05:54
第4楽章 09:29
シューマン:交響曲全集
一般的には評価の高い盤ですが、あまり感銘を受けませんでした。
録音も、少しか細い感じがしました。
ただ、第4楽章のラストの熱狂は、
「さすが、レニー!!」という感じでした。
(汗だくで指揮したのでしょうね・・・)
◯チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(Altus)
1986年10月
SACDシングルレイヤー(SACD2chSTEREO)
カップリング ムソルグスキー(ラヴェル編曲):「展覧会の絵」、
ドヴォルザーク:スラブ舞曲第8番
☆4.0
第1楽章 11:30
第2楽章 05:07
第3楽章 06:42
第4楽章 09:18
シューマン : 交響曲 第4番 他 (Schumann : Symphony No.4, Mussorgsky : Pictures at an Exhibition / Celibidache, Munchner Philharmoniker) [SACD シングルレイヤー] SACD
日本でのライブ録音です。
クレンペラー盤とは違った意味での巨大なスケール感で、
全体的にはまるで象が踊っているかの印象さえ受けました。
クレンペラー盤やサヴァリッシュ盤のようなゴツゴツさは無く、
どこもかしこもふんわりしており、
どこにも(悪い意味で→耳をさすような)尖った響きはありません。
シューマンを聴くというよりは、チェリビダッケの至芸を聴くための盤です。
録音は優秀です。
時折指揮者のうなり声が聴こえてきます。
◯カラヤン指揮ウィーン・フィル(DG)
1987年5月
通常CD
※シューマン交響曲全集
☆4.0
第1楽章 11:00
第2楽章 04:50
第3楽章 05:51
第4楽章 08:54
Symphonies Box set, CD, Import
1971年のBPOとの録音のような、精悍さ、力強さ、
輝かしさは確かに減じていますが、
ギラギラしていた70年代にはない、
人生の最後の残照のようなものが全体的ににじみ出ているかのような演奏です。
ウィーン・フィルのふんわりとした響きもプラスに作用しています。
第3楽章から第4楽章にかけての橋渡しとなる部分での、
沈滞感は独特でした。
第4楽章は、「人生、これでよかったのだ!」と言わんばかりの、
おおらかな肯定感、微笑みが見えるようでした・・・
◯ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック(ARCHIV)
1997年5月、10月
通常CD
※シューマン交響曲全集
☆4.0
第1楽章 9:55
第2楽章 3:39
第3楽章 5:13
第4楽章 1:34+7:34
Collector's Edition: Schumann Box set, CD, Import
オリジナル楽器による演奏ですが、
モダン楽器かオリジナル楽器か、そんなことはどうでもいいです。
曲の美しさと愉しさを十分に教えてくれる演奏です。
耳にすんなりと入ってきます。
収録時間を見ると全体的に短いように思えますが、
実際聴いてみると、ちょうどいい長さと思います。
あっさりしていてしつこくないが、
細部の美しさは光っています。
次回は21世紀に入ってからの録音を取り上げる予定です。
→シューマン:交響曲第4番ニ短調op.120聴き比べ(その1)1950〜1960年代まで
→シューマン:交響曲第4番ニ短調op.120聴き比べ(その2)1970年代
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