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2017年1月21日 (土)

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番聴き比べ14盤

2016年12月中旬から、現在(2017年1月下旬)にかけて、
最も聴いているのが、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番、第2番です。
つい最近(ホントに、先月から・・・)その美しさに開眼したばかりです。

きっかけは・・・
いつもよく読んでいるブログ「クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~」で、
プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を取り上げて、
7盤(2017年1月21日現在→今後増えるかもしれませんね・・・)紹介していたからです。
そこで私も何盤か購入して聴いてみました。
たまたま家には既に(後述の)フィッシャー盤、オイストラフ(新)盤があったので、
まずフィッシャ−盤で聴いてみたところ、あまり魅力には感じませんでした。
続いて、オイストラフ盤で聴いてみたところ・・・
ようやく曲の美しさと構造がよくわかりました!
それから、夢中になって一気に盤をかき集めた次第デス・・・

聴きどころは、第1楽章の終盤と第3楽章の終盤の幻想的な響きです。
ここで天上的な世界(白昼夢の世界?)にまで連れて行ってくれるかが、
評価の大きなポイントです。
なお、第1楽章冒頭が霧の中からスッとヴァイオリン独奏が出て来る感じなのが、
一般的な演奏ですが、
私はオケが「聴こえる」ブルックナー開始みたいに、
明確に聴こえた方を評価しています。

それでは、聴き比べです。
オススメ順に紹介します。
ソリスト名、指揮者・オケ名、
レーベル・録音年月・
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
(今回は盤数が多いので、「とりあえず1枚」なら、
☆4.0以上の盤をオススメします。)

◯エディト・パイネマン(Edith Peinemann)(Vn)、
ギュンター・ヴァント指揮バイエルン放送交響楽団(Profil)
1983年1月
通常CD
カップリング ストラヴィンスキー:「火の鳥」バレエ組曲(1945年版)、
ストラヴィンスキー「プルチネッラ」バレエ組曲

L'Oiseau Du Feu / Violin Concerto

☆4.5
第1楽章 9:28
第2楽章 4:04
第3楽章 7:53

この盤で特筆すべきは、独奏よりもオケです。
ヴァントの指揮といえば、ブルックナーのが有名すぎて、
他はあまり印象にないか、厳格すぎる指揮という感じですが、
その厳格さが、プロコフィエフ演奏では最大限のプラスに働いています。
冒頭のオケパートがこの盤のように鮮明に聴こえるのは、
今回紹介した中では他にありません。
さながら、
バルトークの「管弦楽のための協奏曲」にヴァイオリン独奏が紛れ込んだ(?)かのような、
見事なオケさばきです。
ヴァイオリンの繊細さ、可憐さも絶品です。
第3楽章終盤の美しさも息をのむばかりです・・・
独奏のエディト・パイネマン(Edith Peinemann)は、この盤で初めて知りました。
あまり録音は多くないようですね。
この盤があまりにもすばらしかったので、
パイネマンが演奏する他のCDも買ってみました。
凛とした演奏です。

(参考)
ドヴォルザーク: ヴァイオリン協奏曲; ラヴェル: ツィガーヌ (1965) / エディット・パイネマン(vn), ペーター・マーク指揮, チェコ・フィルハーモニー管弦楽団<タワーレコード限定>

なお、この盤のメインは、ストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲(1945年版)です。
こちらも超名演!!!
お正月前後に何度も聴いていました。
(そのうち聴き比べ記事を書きたいな・・・)

◯ダヴィッド・オイストラフ(Vn)、
クルト・ザンデルリンンク指揮ベルリン交響楽団(現:ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)
(harmonia mundi)
1971年4月
通常CD
※5枚組CD”Berliner Sinfonie-Orchester KURT SANDERLING"のうちの1枚。

Various Symphonies/Concertos Box set, Import

☆4.5
第1楽章 9:13
第2楽章 4:00
第3楽章 7:42

この曲の素晴らしさに開眼させられた盤です。
10年くらい前から持っていましたが、プロコフィエフ=難解、というイメージだったので、
全然聴いていませんでした。
(このセットの売りはザンデルリンクのショスタコ&引退コンサート)
決して愉しい演奏ではありませんが、モスクワの冬景色が見えてきそうです・・・
第1楽章、第3楽章の終わらせ方も理想的です。

◯ダヴィッド・オイストラフ(Vn)、
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮ロンドン交響楽団(WARNER)
1954年11月
SACDハイブリッド(2chモノラル)
カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、ヴァイオリン・ソナタ第2番

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番他(SACDハイブリッド)

☆4.5
第1楽章 9:47
第2楽章 3:50
第3楽章 7:49

とてもモノラルとは思えないほどの音の迫力があります。
SACD効果なのでしょうね。
上のステレオ盤に負けない魅力があり、優劣つけがたいぐらいです。
作品を完全に手中に収めている、という感じですね。
プロコフィエフ本人の姿が浮かんでくるかのようです。
まどろんでいるような・・・
(カップリングのヴァイオリン協奏曲第2番もこの時代の録音としてはすばらしいです。
ヴァイオリン・ソナタの方は年代相応ですね・・・)

◯チョン・キョンファ(Vn)、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団(DECCA)
1975年10月
通常CD
カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、
ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲集

☆4.0
第1楽章 9:50
第2楽章 3:48
第3楽章 7:49

第1楽章冒頭から、ヴァイオリンの美しさが別格です!
それに寄り添うオケも繊細で夢心地の世界を共に紡いでいます。
ヴァイオリン独奏の燃焼感は、さながら巫女かシャーマンのよう・・・

◯フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)、
ロリン・マゼール指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1987年6月
通常CD
カップリング チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

ツィンマーマン盤(”チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ツィンマーマン”で検索)

☆4.0
第1楽章 9:28
第2楽章 3:41
第3楽章 7:47

独奏もすばらしいですが、オケの雄弁さと繊細さが魅力です。
特に第1楽章のオケパートが美しいです。
第3楽章終盤は光が溢れていくかのよう・・・

◯マキシム・ヴェンゲーロフ(Vn)、ロストロポーヴィチ指揮ロンドン交響楽団(TELDEC)
1994年7月
通常CD
カップリング ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番

プロコフィエフ&ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番

☆4.0
第1楽章 9:57
第2楽章 3:45
第3楽章 8:56

ソロの美しさ、オケの雄弁さともに理想的です。
第2楽章の不気味さも特筆に値します。
荒々しさ、グロテスクさは、今回紹介した中で最高(最凶?)です。
一番の聴きどころはやはり第3楽章。
終盤の手前では、
繊細なヴァイオリンの音色が重厚な壁をよじ登っていくかのような印象を受けました。
終盤はまさに夢の世界のよう・・・

◯アラベラ・シュタインバッハー(Arabella Steinbacher)(Vn)、
ヴァシリー・ペトレンコ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団(PentaTone)
2012年1月
SACDハイブリッド(SACD Multi-ch、SACD Stereo、CD)
カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

2 Violin Concertos Hybrid SACD, SACD, Import

☆4.0
第1楽章 10:22
第2楽章 3:59
第3楽章 9:09

同じPentaToneレーベルから出ている、フィッシャー盤と比較すると、
独奏、オケ共にこちらの方が骨太な感じがします。
第3楽章終盤の幻想性、終わらせ方は見事です。

◯テディ・パパヴラミ(Tedi Papavrami)(Vn)、
アントニ・ヴィト指揮ポーランド国立放送交響楽団(Naxos)
1996年1月
通常CD
カップリング:プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

Violin Concertos 1 & 2 CD, Import

☆4.0
第1楽章 9:32
第2楽章 3:54
第3楽章 8:57

第1楽章冒頭が鮮明に聴こえます。
第3楽章のヴァイオリン独奏の甘美さはまさに妖艶な感じです。
第3楽章終盤のオケとソロの絡みの部分も実に美しい!
どこか別の世界にゆらゆらと上っていくかのよう・・・
なお、昨年(2016年)に、ソリストのパパヴラミの自叙伝が日本でも出版されました。
興味のある方はどうぞ・・・

テディ・パパヴラミ『ひとりヴァイオリンをめぐるフーガ』(藤原書店)

※私は未読です。かなり値が高いのが難点・・・

◯リディア・モルドコヴィッチ(Lydia Mordkovitch)(Vn)、
ネーメ・ヤルヴィ指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
(現:ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団)(CHANDOS)
1988年9月
通常CD
カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、ヴァイオリン・ソナタ第1番

Violin Concertos Nos 1 & 2 / Violin Sonata No 1

☆4.0
第1楽章 9:32
第2楽章 3:48
第3楽章 8:28

冒頭が10秒ほど、無音に近いのが残念ですが(pしすぎ!)、
後は第1楽章、第3楽章の聴かせどころを美しく響かせています。


◯ギル・シャハム(Vn)、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団(DG)
1995年6月
通常CD
カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

Violin Concertos / Solo Sonata Op 115 CD, Import

☆3.5
第1楽章 9:24
第2楽章 3:52
第3楽章 8:16

ヴァイオリンの美音がすばらしいです。
第3楽章終盤は幻想的な響きがします。

◯ユリア・フィッシャー(Vn)、
ヤコフ・クライツベルク指揮ロシア・ナショナル管弦楽団(PentaTone)
2004年5月
SACDハイブリッド(SACD Multi-ch、SACD Stereo、CD)
カップリング ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲、グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

Russian Violin Concertos : Khachaturian / Prokofiev / Glazunov Hybrid SACD, SACD, Import

☆3.0
第1楽章 10:09
第2楽章 3:37
第3楽章 8:14

この曲を一番最初に聴いた盤です。
この盤はグラズノフやハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲目当てに買いました。
プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番もカップリングされていたので、
試しに聴いてみたら、あまり印象に残らなかったので、
つい最近まで聴く機会はほとんどありませんでした。
第2楽章が特に美しいですが、第1、第3楽章は標準的かな・・・
このアルバムでのプロコフィエフは標準的程度ですが、
カップリングのハチャトゥリアン、グラズノフのヴァイオリン協奏曲は名盤といえます。
プロコはオマケと考えればいいかな・・・

◯ヴァディム・グルズマン(Vadim Gluzman)(Vn)、
ネーメ・ヤルヴィ指揮エストニア国立交響楽団(BIS)
2015年7月
SACDハイブリッド(SACD Multi-ch、CD)
カップリング プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

Prokofiev: Violin Concertos Hybrid SACD, SACD, Import

☆3.0
第1楽章 9:05
第2楽章 3:51
第3楽章 7:34

独奏は標準的。この盤はオケの方が聴きものです。
冒頭部は合格点。オケパートの細部の美しさが随所に光りますが・・・
もう少し独奏に存在感があれば、間違いなく☆4.0か☆4.5になったと思います。

◯ジェイムズ・エーネス(James Ehnes)(Vn)、
ジャナンドレア・ノセダ指揮BBCフィルハーモニック(Chandos)
2012年6月、2013年2月
通常CD
※プロコフィエフヴァイオリン作品全集(2枚組)

Complete Works for Violin CD, Import

☆3.0
第1楽章 9:46
第2楽章 3:40
第3楽章 8:32

ヴァイオリン独奏はきわめて冷静な感じです。
第3楽章終盤のソロとオケの絡みの部分はとても美しいです。

◯ヴィルデ・フラング(Vilde Frang)(Vn)、
トーマス・セナゴー(スペル難しい・・・)指揮ケルンWDR交響楽団(WARNER)
2009年3月
通常CD
カップリング シベリウス:ヴァイオリン協奏曲、ユモレスク№1,2,5

ヴィルデ・フラング盤("sibelius prokofiev"で検索)

☆3.0
第1楽章 10:07
第2楽章 3:52
第3楽章 8:01

標準的な演奏です。オケが少し弱いかな・・・
なお、CDジャケットは今回紹介した中では最美デスネ(*^.^*)

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コメント

影の王子様、コメントありがとうございます。
パイネマン盤へのコメント、まさしくその通りですね。
ギル・シャハム盤はもう少し期待していたのですが・・・
パイネマン&ヴァント・バイエルン放送響で、
プロコフィエフのVn協奏曲第2番も録音があれば、
さぞ素晴らしいのに、残念です。
シゲティ盤は私も未聴です。

こんにちは。
パイネマン盤、最高に美しいですね。
シャハム盤では曲の良さがサッパリ分かりませんでしたが
この盤ではむせるような美を感じます。
おそらく?編集されていない放送録音なのが幸いしているのでしょう。

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲では第2をやっても第1をやらない人が多いですが
もったいないはなしです。

あと、ヨゼフ・シゲティのステレオ盤を宇野芳功氏が推薦してたと思いますが未聴です。

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