ブーレーズ指揮による「春の祭典」聴き比べ3盤
2016年1月5日に、
作曲者・指揮者のピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez)が逝去しましたが、
それをきっかけに、ブーレーズ指揮の「春の祭典」(1969年録音・SONY)を、
SACDシングルレイヤー盤で聴いてみました。
正直なところ、「春の祭典」は、どちらかというと敬遠していた曲でした。
そもそも異教的ですし・・・
聴くところは「序奏(序曲)」、「春の兆しと乙女たちの踊り」のところまで。
ここまで聴けば十分でした。
迫力あるオーケストラ曲の代表ではあるものの、
聴いていて疲れる曲にすぎませんでした。
一番最初に聴いたのがドラティ指揮デトロイト交響楽団による演奏。
数年前に、NHKBSプレミアムで、
ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団による、
バレエ付の演奏を録画して保存してある程度でした。
(バレエは相当妙な作品ですが・・・)
参考(たぶんNHKで放送したものと同じ公演? Blu-ray)
しかし、ブーレーズ指揮クリーブランド管弦楽団による演奏(1969・SONY)の、
SACD盤を聴いて、この曲に対する評価が一変しました!
「なんて緻密で凄い曲なんだろう!しかも楽しい!」
この演奏を聴いて初めて、「春の祭典」の全体像と、音楽的価値に目が開かれました。
ブーレーズ指揮クリーブランド管弦楽団(1969・SONY・SACD)
実は、この演奏、数年前に、札幌の狸小路にある名曲喫茶「ウィーン」に行った時、
たまたま流れていました。
特大スピーカーから流れてくる音を聴いて思ったのは・・・
「迫力がなくてつまらない・・・」
もちろん音は大音響でしたが・・・
我が家のスピーカーは手のひらより少し大きいくらいで、
何万もするものではありません。
それでも、SACDの音の鮮明さが、
補ってあまりないほどの音の洪水を家中に氾濫させることができます。
1969年盤を一言で形容すれば、「音の大花火大会!」
どれだけ大音響になっても、聴きづらくなるようなところはありません。
(メータ盤やサロネン盤の通常CDでは、重低音でビリビリと振動が来ます・・・)
これに味をしめて、「春の祭典」だけで、今年2〜3月の間に、
13盤も手に入れてしまいました・・・(゚ー゚;
その中で、今回はブーレーズ盤の3枚だけを取り上げます。
ブーレーズ指揮の正規CDは3枚あります。前述の1969年盤の他に、
今年3月になって、1963年にフランス国立放送管弦楽団を指揮した録音が、
SACD(ハイブリッド盤)化されました。(DENON・タワレコ)
→タワレコで入手可能。
1991年にクリーブランド管弦楽団を指揮して再録音したものもあります(DG)。
こちらはエソテリックでSACDハイブリッド盤が出ていました(入手が難しいようですが・・・)。
1991年盤は、「古典」としての「春の祭典」という位置づけではないかと思います。
演奏・統率力は見事ですが、あまり印象に残りません。
(模範的すぎるというか・・・)
1991年盤
エソテリックのSACDハイブリッド盤
一方、最も古い1963年盤は、衝撃的でした!
こちらは「ゲンダイオンガク」としての「春の祭典」が際立っていました!
「理路整然」の1991年盤と対比するなら、「魑魅魍魎」という表現がピッタリかもしれません。
音の鮮明さに、戦慄と恐怖が入り混じった、すさまじい演奏です!
怪獣映画の音楽みたいな印象さえ抱きました。
「ゴジラ」(1954)や「サイコ」(1960)の、白黒映画故の恐怖感みたいなものが、
演奏からビシバシ伝わってきました。
「春の兆しと乙女たちの踊り」のところだけとれば、
1969年盤よりも迫力があり、奇っ怪です。
あえて言えば、ブーレーズ盤2枚(1963年盤、1969年盤のSACD)と、
ムーティ盤(WARNER)、
ロバート・クラフト盤(NAXOS)と、
もう1枚(ドラティ盤かメータ盤かゲルギエフ盤あたり)あれば、
「春の祭典」は十分だと思います。
参考
ムーティ盤
ロバート・クラフト盤(フィルハーモニア管弦楽団)
ところで、「レコード芸術」2016年4月号では、
「春の祭典」のベスト1CDとして、
最近の録音である、クルレンツィス指揮ムジカエテルナ盤(SONY)が挙げられていました。
この盤も持っていますが、ベスト1CDに挙げるまでのものではないと思いました。
(ジャケットは面白いですが・・・)
参考
クルレンツィス盤
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