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2016年3月21日 (月)

アニメ映画「秒速5センチメートル」〜コーヒー牛乳からブラックコーヒーへ?

NHKBSプレミアムで、2016年3月8日に、
新海誠監督の「秒速5センチメートル」を放映していました。
録画して視聴しました。
アニメ作品としては有名なのは前から知っていましたが、
借りてまで観ようとは思っていなかったので、
ちょうどいい機会となりました。
録画してから観終わるまで、少し時間がかかりました。

秒速5センチメートル(Blu-ray)

第1話「桜花抄」では風景描写の緻密さに驚嘆しました。
冒頭の桜のシーンは特に美しいです。
駅や電車の車内など、実写版にした方がいいのでは、と思うぐらいの、
ここまでやるか!という徹底したリアルさがありました。
時間と距離というどうにもできないものへの焦燥感と、
ようやく再会出来た甘美さ・・・
ラストシーンは、やはりアニメならではの描写が生きていました。

第2話「コスモナウト」は、主人公・遠野貴樹への、
澄田花苗の片思いが実に切なかったです。

正直、風景描写の緻密さはともかくとして、
第2話までであれば、この作品を傑作とは思わなかったでしょう。
第3話「秒速5センチメートル」こそ、
この作品を「傑作」の名に値するものにならしめています。

主人公・遠野貴樹が社会人になって、東京で働いています。
(新宿駅近辺の描写がリアルすぎてスゴイ!)
一応、つきあっていた彼女はいたものの、
心の中では、篠原明里が忘れられない「永遠の女性」になっている・・・
そんな中で、貴樹と明里はある時、踏切のところですれ違います。
第1話、第2話と違って、主人公の部屋の薄汚さとか、
冷たい大都会とかの方が目立ちます。

この作品の白眉は、もちろんラスト5分ほどの、
山崎まさよしの「One more time, One more chance」が流れるところです。
そのシーンはセリフがなく、
主人公の心情を歌が見事に代弁しています。
そして、歌とともに、2人の過ぎ去った年月が巧みなカットで描かれます。
歌と映像のシンクロは驚異的!(桜木町とかは別として・・・)
その苦さは、フランス映画「シェルブールの雨傘」のラストシーンに比することができるのでは、
とさえ思いました。
あるいは、♪「あの素晴らしい愛をもう一度」・・・
永遠と思われるほどの恋でも、時間と距離には勝てなかった。
その残酷さ、無常さと、自分自身の過ぎ去った青春の日々を重ね合わせて、
不覚にも涙が出てきました・・・

One more time,One more chance 「秒速5センチメートル」Special Edition

第1話「桜花抄」はコーヒー牛乳、
第2話「コスモナウト」は砂糖入りミルクなしのコーヒー、
第3話「秒速5センチメートル」はブラックコーヒーのテイスト?
(変なたとえでゴメンナサイ・・・)
あるいは協奏曲の第1楽章、第2楽章、第3楽章にもたとえられるかもしれません。
ちなみに私は、ブラックコーヒー派デス(*^-^)
(よほどまずければ別ですが・・・)

この作品のコミック版、小説版が出ているのは知っていましたが、
あえて、映像作品だけで完結していると思うので、たぶん手にとることはないでしょうね・・・

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