シベリウス:交響曲第4番聴き比べ〜ベルグルンド(Berglund)盤3盤を中心に
シベリウスの交響曲の中で、最も難解と言われる、交響曲第4番。
私もつい最近まで、よくわからないので敬遠していました。
しかし・・・
今月初めに記事を書いた通り、
(→レイフ・セーゲルスタム(Leif Segerstam)指揮ヘルシンキ・フィルによるシベリウスの交響曲第4番〜聴く「視点」がようやく見えた!)
レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィルの演奏で、
ようやくこの曲の美しさや「愉しさ」さえ、ひしひしとわかるようになりました。
私にとっての「シベリウス・ルネサンス」となりました。
(ただし交響曲に限りますが・・・)
今年の2月末から現在に至るまでに、
あっという間に所有盤が増えました。
現在(2016年3月下旬)、交響曲全集だけで10種類あります。
録音の古い順に名前だけ挙げておきましょう。
(いくつかは今後処分するかもしれませんが・・・)
・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団(WARNER)1966〜70
・ザンデルリンク指揮ベルリン放送交響楽団(BERLIN Classics→edel)1971〜79
・ベルグルンド指揮ボーンマス交響楽団(WARNER)1972〜78
・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィル(WARNER)1984〜87
・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団(DECCA)1989〜95
・コリン・ディヴィス指揮ロンドン交響楽団(SONY)1992〜94
・オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団(BIS)1995〜97
・ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団(FINLANDIA→タワレコ)1995〜97
・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィル(ONDINE)2002〜04
・オッコ・カム指揮ラハティ交響楽団(BIS)2012〜14※SACD
今回取り上げる、交響曲第4番は、上記の全集に含まれる他に3枚あります。
・カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)1965
・ザンデルリンク指揮ベルリン放送交響楽団(avex)1977※SACD
※上記全集盤と同じ録音ですが、SACD化されたものです。
・オスモ・ヴァンスカ指揮ミネソタ管弦楽団(BIS)2012※SACD
それでは、1枚ずつ取り上げていきましょう。
録音年代順ではなく、上からオススメの順です。
セーゲルスタム盤からコリン・ディヴィス盤まではオススメ盤です。
(1枚ものなら、ヴァンスカ/ミネソタ管盤か、
ベルグルンド/ヘルシンキ・フィル盤がオススメです。
全集のファーストチョイスとしては、
ベルグルンド/ボーンマス響盤及びブロムシュテット盤がコストパフォーマンス高です。)
①・セーゲルスタム盤(交響曲全集&ヴァイオリン協奏曲、フィンランディア)ONDINE 2003
第1楽章11:13
第2楽章04:54
第3楽章11:25
第4楽章10:17
37:50
既にこの盤については記事を書いていますので今回はコメントを割愛します。
②・ブロムシュテット盤(交響曲全集)DECCA 1989
第1楽章10:31
第2楽章4:41
第3楽章10:59
第4楽章10:09
特筆すべきは、第4楽章に、
作曲者が意図した通りの「鐘(チューブラー・ベル)」を使っていることです。
ただし、どうしてもNHKの「のど自慢」を連想してしまいます・・・
アメリカのオケながら、凍てついた響きを北欧のオケと見紛うほどに醸しだしています。
それでいて、第1楽章の雄弁さも見事です。
③・ヴァンスカ・ミネソタ管盤(交響曲第1番&第4番)※SACD BIS 2012
第1楽章11:59
第2楽章04:17
第3楽章13:10
第4楽章08:48
38:28
SACDで聴くならこれがオススメです。
過不足ない、模範的な演奏といえます。
ラハティ響のものよりも一層北欧らしさを感じます。
④・ベルグルンド/ヘルシンキ・フィル盤(交響曲第4番&第7番) WARNER 1984
第1楽章09:38
第2楽章04:41
第3楽章09:55
第4楽章09:47
シベリウスの交響曲第4番の名盤として挙げられることの多い盤ですが、
セーゲルスタム盤などで一度「わかった!」体験をしてから聴くと、
価値がわかると思います。
入門盤としてはオススメできませんが、
極北のシベリウス演奏としての価値はゆるぎません。
⑤・オッコ・カム/ラハティ響盤(交響曲全集)※SACD BIS 2014
第1楽章11:16
第2楽章04:50
第3楽章11:46
第4楽章09:51
38:07
今回聴き比べた中で、第3楽章が最も秀逸でした。
録音も優秀です。
少し温かなシベリウス?
⑥・ベルグルンド/ボーンマス響盤(交響曲全集)WARNER 1975
第1楽章10:52
第2楽章04:47
第3楽章11:17
第4楽章10:26
ベルグルンド盤では、
ヘルシンキ・フィルとヨーロッパ室内管の演奏の中間ぐらいにあたります。
この曲の入門編としては、案外最適なのかも・・・
⑦・ザンデルリンク盤(交響曲全集) BERLIN Classics→edel 1977
同一録音のSACDもあります。
ザンデルリンク盤(交響曲第4番他※SACDハイブリッド)avex
通常CDの時間で書きます。
第1楽章10:48
第2楽章04:47
第3楽章10:05
第4楽章10:23
36:14
北欧というよりは、ドイツ音楽のがっしりとした感じがします。
(ザンデルリンクが指揮すると、ショスタコーヴィチもドイツ音楽風に聴こえます・・・)
SACDハイブリッド盤は既に入手が難しいかも・・・
⑧・コリン・ディヴィス/ロンドン響盤(交響曲全集) SONY 1994
第1楽章10:55
第2楽章04:53
第3楽章12:17
第4楽章09:13
第4楽章に、鉄琴と鐘(チューブラー・ベル)を併用しています。
カラヤン盤よりも雄弁ですが、シベリウスの本質を踏み外していません。
なお、コリン・ディヴィスの指揮では、他にボストン響や、
ロンドン響との再録音(SACD)がありますが、
私はまだ聴いていません。
・カラヤン/BPO盤(交響曲第4番〜第7番他)DG 1965
第1楽章10:01
第2楽章04:46
第3楽章12:00
第4楽章09:21
金管の強奏はチャイコフスキーの曲並になっているので、
部分的にはシベリウスらしさが吹っ飛んでいますが、
ベルリン・フィルのうまさには脱帽です。
北欧よりもロシア音楽と割りきって聴いてみたらいいのかも?
・ベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団(交響曲全集)FINLANDIA 1995
第1楽章09:18
第2楽章05:02
第3楽章09:11
第4楽章09:29
ベルグルンド盤ではこの演奏をイチオシにする方も多いようですが・・・
フィンランドらしさや、北欧風情を期待するには向いていません。
純粋音楽としてのシベリウスを堪能するにはオススメかも。
・バルビローリ盤(交響曲全集)WARNER 1969
第1楽章09:56
第2楽章04:46
第3楽章11:08
第4楽章10:27
温かいシベリウスです。
・ヴァンスカ/ラハティ響盤(交響曲全集)BIS 1997
第1楽章11:36
第2楽章04:29
第3楽章14:04
第4楽章09:04
39:27
全体的に録音が小さめです。
ミネソタ管盤の方をオススメします。
第4楽章を聴くと、私は雪融けの野を、野うさぎが駆けていく様子が目に浮かびます。
ただ、最後は、こっそり忍び寄る狐か他の肉食獣に、
あっけなくやられてしまう(静かで悲劇的な響きで終わるので)・・・
第1楽章の冒頭は確かに暗鬱な響きですが、
そこを乗り越えれば、きれいな雪景色(?)が待っています。
(第1楽章の最初と第4楽章の最後をつなげてみれば、
作曲者の夢オチなのかもしれませんね・・・)
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