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2016年2月17日 (水)

NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「銃社会アメリカ ある牧師の挑戦」(原題:The Armor of Light)(2016年2月16日放送)

キリスト教の教えの代表といえば、
「汝の敵を愛せ」ですね。
ところで、キリスト教が盛んな国であるはずの米国は、銃社会です。
「汝の敵は殺せ」???

今回観た「銃社会アメリカ ある牧師の挑戦」というドキュメンタリーは、
中絶反対運動の急先鋒であった福音派の牧師、
ロブ・シャンク牧師の「信仰と行動」という組織の活動と、
信仰的理由に基づく銃規制の活動推進についてのものです。

番組HPから番組の概要を引用します。
(引用)
福音派の思想的支柱として中絶反対運動の急先ぽうだったロバート牧師。ある時、中絶を行っていた医師が射殺される事件が起きたことで、殺人の扇動者として非難を浴びた。保守派の信者は「銃の所持は神から与えられた自分を守る権利」と考え、全米ライフル協会の会員も多い。しかし事件をきっかけに銃による死亡者数の多さに気づいた牧師は「神は暴力を肯定しない」というある女性信者の言葉に心を動かされ、行動を起こし始める。
(引用終)

アメリカの汚点ともいうべき、
「合衆国憲法」修正第2条にある、
「武器で身を守る権利」と、
それを強力に擁護する、全米ライフル協会(NRA)の支持者の多くが、
福音派の信者であるという悲しい現実が、
否応なく視聴者につきつけられます。

「銃で身を守る権利」と、「生きる権利」どちらが大切でしょうか。
(後半で、銃で息子を殺された父親が、涙ながらに、
NRAを非難するコメントの中で、こんなセリフがありました。
「彼ら(NRA)は”銃を持つ権利”を主張するが、
息子の”生きる権利”はどうなる?」
ここのところには心うたれました・・・)
最近では少し物騒な事件が多少あるとはいえ、
一般の人が銃を手に取ることのない日本では、
まったく考えられないほど明白な事実です。
アメリカでは、銃犯罪が増えているから、
さらに武装が必要である、とNRAは巧みに煽っています。
まさにマッチポンプです。

「私たちに必要なのは、主イエスと福音、そして銃」
これが福音派の信仰なのでしょうか?
高名なビリー・グラハム牧師の後継者である、
フランクリン・グラハム牧師が、「銃保持の権利を守る会」に賛同して、
集会でお祈りしている姿には失望しました。
「天にまします我らの父よ・・・」
主の祈りは、「善人」だけではなく、「悪人」をも、
「我らの父よ」と包み込むものです。
「銃をもった善人」と「銃をもった悪人」という、
変な二元論をもって銃保持の権利を主張するクリスチャンたち・・・
アメリカって変な国だと思いました。

聖書に出てくる「神の武具」(新約エフェソ6章)が、
アメリカ市民にとって、いつの間にか銃になっているのが、
実に嘆かわしいことです。

番組最後で、ロブ・シャンク牧師が、
「銃で身を守る権利」とキリスト教の倫理観とは相容れない主張だ、
と明確に指摘し、
「全教会の教え、聖書66巻の教えを要約しましょう。
神を愛せ、隣人を愛せ」
と会衆に向かって叫んでいるところも心に残りました。

夜は更け、日は近づいた。
だから、闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けましょう。

(新約聖書ローマの信徒への手紙13:12新共同訳)

下線部の「光の武具」が、原題の”The Armor of Light”です。
牧師の説教の終わりにこの御言葉が出てきます。
字幕でも「光の武具」にわざわざ「The Armor of Light」とルビを振っていました。
もちろん、ピカピカに光る銃では決してありませんね。
信仰から来る本当の強さです。

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