ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」をSACDで〜3枚聴き比べ
日本の年末の音楽といえば、ベートーヴェンの「第9」。
これは日本だけの現象なのですね。
(私としては、国際的に、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」とか、
ヘンデルの「メサイア」を聴く方が好きですが・・・)
ベートーヴェンの「第9」の名盤はたくさんあり、
まさに百家争鳴状態ですが、
(過去記事がいくつかありますが、
一つだけ紹介しておきます。
→ベートーヴェンの第九聴き比べ〜シュミット=イッセルシュテット、ハイティンク、シューリヒト、ケンペ・・・)
今回は我が家にあるSACDハイブリッド盤限定で、
3盤の聴き比べをしてみました。
録音の古い順に、
指揮者、オケ、レーベル、録音年月、各楽章の演奏時間、
コメントを書きます。
第1楽章〜第4楽章をそれぞれ①〜④と略記します。
◯バーンスタイン指揮ウィーン・フィル(DG)
1979年9月
①15:19
②11:15
③17:49
④7:46+18:43
恰幅のいい、いかにも「第9」らしい演奏です。
特に第4楽章の祝祭感は、今回の3盤の中で最高です。
誰にでもオススメできる盤といえましょう。
廉価盤であることもプラスです。
SACD、CD合わせても、たぶん名盤ベスト10には必ず入るのでは、
というぐらいの充実した演奏だと思います。
◯マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団
(Sfs Media)2012年6月
①16:23
②11:45
③16:27
④26:08
丁寧で、落ち着いた演奏です。
過不足はなく、全体的におとなしい印象。
音は鮮明ですが、指揮者の明確な意図があまり見えず、
ガラス越しに(ちょうど博物館の展示ケースのように)、
「第9」を骨董品か美術品のように眺めているような感じです。
ただし、指揮者の解釈ではなく、
曲そのものをニュートラルに堪能するにはもってこいの盤といえましょう。
合唱・ソロも優秀です。
(ソロはあまり印象に残りませんでしたが、
個性よりも曲の美しさに奉仕している、ともいえます。)
◯上岡敏之指揮ヴッパータール交響楽団(DENON)
2012年9月
①14:11
②10:47
③12:41
④22:57
トータルでは60分ぐらい
(バーンスタイン盤、ティルソン・トーマス盤は共に約70分)。
上記2盤とは約10分の差がありますが、
せかせかした印象はなく、
弛緩しないで最後まで駆け抜けていく感じです。
今回の聴き比べの中では、第1楽章の迫力が最も凄かったです。
荒れ狂う、まさにフルトヴェングラーが現代に甦ったかのような印象さえある、
あるいは、まさに「第9」が初演されているかのような、
聴いたことのないようなところが多く出てくるのが印象的でした。
第3楽章は時間だけみるともっとゆったり歌わせてほしい気がしますが、
聴いている時には違和感はありません。
第4楽章の最後の追い込みもまた凄まじく、
安全運転に終止する現代の多くの指揮者の中でも異彩を放っています。
これでオケも猛スピードになれば、
まさにフルトヴェングラーの指揮そのものになりますが、
さすがに音楽を崩壊させていないところは、かえって賞賛に値します。
「第9」もSACDで楽しむ時代となりましたね・・・
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