ブラームス:間奏曲集Op.117聴き比べ〜グールド、グリモー、田部京子、レーゼル、アファナシエフ・・・
2015年もあと僅かになりましたね。
クリスマスも過ぎ、もうすぐお正月・・・
ということで、クリスマスやお正月といった、
みんなで祝うおめでたい行事とは対極の、
「孤独のグルメ」ならぬ「孤独のミュージック」として、
ブラームス晩年のピアノ作品、間奏曲集Op.117を紹介します。
(前フリまったく関係ないデスネ・・・)
3曲で構成される名曲です。
2015年12月下旬現在、我が家にあるのは、
以下の5枚です。
演奏者、レーベル、録音年月、演奏時間と、
コメントを書きます。
録音の古い順に紹介します。
曲は第1曲 変ホ長調、第2曲 変ロ短調・・・という表記が正しいのですが、
略して①、②、③という表記にします。
◯グレン・グールド(SONY)
1960年9月
①5:39
②5:27
③5:18
上記で紹介したのは、2012年に発売された盤で、
「4つのバラード」から2曲と、
「2つのラプソディ」がカップリングされています。
我が家にあるのは、2007年に発売された、
間奏曲集(全10曲)だけのアルバムです。
このアルバムは、間奏曲集Op.117だけを取り出して聴くのではなく、
全体を通して聴くのをオススメします。
アルバム全体を通して、何か一つの物語のようになっているからです。
グールドのCDは、ブラームス晩年のピアノ曲(Op.117に限らず)を
初めて聴いたCDでした。
後述のアファナシェフ盤と並んで、もっともオススメできる盤です。
一番音楽的にしっくりくる、とでもいいましょうか・・・
曲への思い入れ、愛情・・・
何度でも聴きたくなるような演奏です。
ブラームス最晩年の孤独感、やるせなさ、憧れ、ロマン・・・
まさに理想的な演奏といえましょう。
◯ペーター・レーゼル(edel classics)
1974?
ピアノ独奏曲集・5枚組です。
①4:36
②3:55
③5:42
過度な思い入れがなく、すっきりと響いてきます。
ブラームス本人が弾いたら、こんな感じかもしれません。
もっともニュートラルな演奏といえましょう。
◯ヴァレリー・アファナシエフ(DENON)
1992年3月
①7:08
②4:38
③7:24
この演奏は、もはや音楽というより、
文学なのかもしれません。
遅く沈滞するテンポから、
何か、日本の私小説の世界がにじみ出てくるような感じです。
寂しさ、憧れ、ささやかなときめき、恨み・・・
大音量ではなく、少し小さめのボリュームで、
夜遅くにひっそりと聴くのをオススメします。
10代後半〜20代前半の時によく聴いていましたが、
一旦手放しました。
今回、聴き比べのために改めて購入しなおしました。
やはり素晴らしい演奏でした!
なお、「6つのピアノ曲Op.118」の「第2曲 間奏曲 イ長調」は、
今回紹介するCDの中で最も感動的な演奏であることも、
付け加えておきます。
青春の思い出(甘きも、苦きも・・・)が走馬灯のように浮かんでくるようです。
余談ですが、このCDの思い出もあって、
アファナシエフのKitaraでのコンサートを聴いたことがありますが・・・
実演はあまり感銘を受けませんでした。
(アファナシエフファンの方、ゴメンナサイ・・・)
◯エレーヌ・グリモー(Erato)
1995年11月
※現在廃盤?
①4:33
②4:24
③6:02
ジャケットからして、「燃えるような」印象を受けます。
諦めた、悟った境地のように演奏されることが多いこの作品を、
秘めた情熱をもって、熱く演奏しています。
「枯れた」演奏の対極といえます。
◯田部京子(DENON)
2011年8月
SACDハイブリッド盤
①5:12
②4:54
③6:08
この盤を買ったことにより、今回の聴き比べ記事を書いてみようと思いました。
ところで、ジャケットの写真は、なんとなく、松田聖子に似ていませんか?
それはともかくとして・・・
静謐で、ささやきかけるような演奏です。
ただ、SACDらしさはあまり感じませんでした。
グールド盤とアファナシエフ盤の2枚があれば十分だと思いますが、
他の3盤も好みで聴くに値するものだと思います。
なお、アファナシェフ盤のところでも書きましたが、
この曲を聴くときは、あまり音量を挙げない方がいいと思います。
孤独な男のささやかな幻想のようなものですから・・・
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