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2015年11月10日 (火)

NHKEテレ・ETV特集「それはホロコーストの"リハーサル"だった ~障害者虐殺70年目の真実~」(2015年11月7日放送)

障がい者福祉の対極を行く、非常に陰惨な内容でした。
2015年11月7日放送の、
NHKEテレ・ETV特集
それはホロコーストの"リハーサル"だった ~障害者虐殺70年目の真実~
では、優生学思想に基づく、
ナチスによる障がい者虐殺の経緯について放送していました。
これは決して過去の問題ではなく、
今日的、あるいは近未来的な問題ともいえるものだと思いました。
録画して途中かなり早送りしながら妻と観ました。
(陰惨な内容が多いので・・・)

ナチス時代に行われていた、障がい者(特に精神障がい)の強制断種に始まり、
「民族の血を純粋に保つ」といった名目と、
社会の経済的負担を強調して、
ついには医師が、治る見込みのない不治の患者に、
安楽死を下す権限が与えられる、ということが可能となり、
病院にガス室や死体焼却施設が作られるようになった・・・
そういった負の歴史を直視する内容でした。

そんな中でも、カトリック司教のフォン・ガーレンが、
説教の中で公然とこの政策について批判した、というのが、
番組中でのわずかな光といえました。

その内容を、ある雑誌記事から引用します。
(引用)
「家畜や機械ならば、役に立たなくなったら処分するということも許されるが、人間には許されない・人間は、有用な間だけ、生きる権利があるというのか。もし『非生産的人間』は殺していいというなら、高齢になったもの、労働事故や戦傷による廃疾者などはどうするのか」。
「もし精神疾患患者を初めとして、「非生産的人間』を殺害する権利があると認めるなら、それはすべての「非生産的人間』を自由に殺害できることになる。そうなると、誰もが安全ではなくなる。なにかの委員会が『非生産的人間」と判定し、そうすれば一生きるに値しない命」となってしまい、なにも私たちを殺害から守ってくれないからだ」。

(※引用は『精神疾患患者・遺伝性疾患患者に対するナチスの「安楽死」作戦とミュンスター司教フォン・ガーレン』泉彪之助

ともすると、「有用性」という基準だけで、
私たちは人を見てしまいますが、
「非生産的な人々」の生きる権利の大切さということを、
この説教はきちんと指摘しています。
まさに命を賭した説教といえましょう。
障がい者福祉(特に精神障がい者)なんてやって意味あるのか、
といった問いは、人間が人間らしく生きる保障を否定するものです。

フォン・ガーレン司教の猛抗議もむなしく、
障がい者の安楽死で培われたノウハウが、
やがてユダヤ人の大量虐殺につながっていく、という、
なんとも陰惨な歴史を紹介して、番組は終わりました。
これは過去の話ではなく、現代や近未来にも起こりえることなのです・・・
障がい者福祉は、決して税金の無駄などではなく、
人間が人間らしく生きるために、
社会に必要不可欠なものなのではないでしょうか?

それどころか、体の中でほかよりも弱く見える部分が、かえって必要なのです。 わたしたちは、体の中でほかよりも恰好が悪いと思われる部分を覆って、もっと恰好よくしようとし、見苦しい部分をもっと見栄えよくしようとします。 見栄えのよい部分には、そうする必要はありません。神は、見劣りのする部分をいっそう引き立たせて、体を組み立てられました。 それで、体に分裂が起こらず、各部分が互いに配慮し合っています。 一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです。
(新約聖書コリントの信徒への手紙一 12:22〜26新共同訳)

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