マーラー:交響曲第8番聴き比べ18盤〜ただし、第1部に限る・・・
マーラーの交響曲第8番、通称「千人の交響曲」。
高校生の頃、マーラーという作曲家のことを初めて知り、
その中で、通称「千人の交響曲」という作品があることも知りました。
「千人の交響曲」!ベートーヴェンの第9でさえ、スゴイ作品なのに・・・
いったい、どんな響きがするのだろうか・・・
初めてCDを買った時は、ワクワク感がMAXでした。
たしか、当時一番手頃な価格で手に入れたのが、
インバル指揮フランクフルト放送響の演奏(後述)でした。
しかし・・・
第1部こそ、すごい響きが「時々」ありましたが、
第2部はなんだか室内楽みたいなしょぼい響きが連続・・・
おまけに退屈・・・
ショルティかバーンスタイン(どちらか忘れましたが)のCDも、
市の図書館で聴いてみましたが、
やっぱり第2部が長すぎて退屈(しまいに途中で寝ていました・・・)、
という印象を覆すことはできませんでした。
第2部は、だいたい50分ぐらい切れ目なしで演奏されます。
交響曲というよりは、オラトリオか、カンタータといった方がいいと思います。
私は映像なしで音だけでオペラを聴くのは苦手です。
(マタイ受難曲やメサイアは例外中の例外ですが・・・)
マーラーのこの作品も、第1部はともかく、第2部はパスです・・・
(マタイ受難曲は全部聴けば3時間ですが、結構切れ目があります。
しかし「千人の交響曲」第2部は50〜60分ノンストップ!
ベートーヴェンの「エロイカ」が丸ごと入る時間ですよ・・・)
とはいえ、第1部は文句無しに傑作だと思います。
というわけで、今回はマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」の、
第1部のみを聴き比べしてみました。
我が家に現在(2015年9月20日)あるのは全部で18盤です。
18盤の第1部のみを聴き終わるまでに4日間かかりました。
今回は、録音年代順ではなく、おすすめ順に記載します。
第1部のみの合計タイムも記載しておきます。
”SACD”の記載がない限り、通常CDです。
第1位
◯ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団(1991)旧EMI
※マーラー交響曲全集
トラック数:6 計21:55
録 音:☆☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆☆
東京のサントリーホールでのライブ録音。
今回の聴き比べ中、最も短い演奏時間ながら、
最も理想的な演奏だと思いました。
聴き比べで1番最初に聴いたのがこの演奏でしたが、
いきなり本命!という感じでした。
中間部はまさに「怒涛のごとく」という圧倒的迫力でした。
第2位
◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団(1971)DECCA
※マーラー交響曲全集
トラック数:6 計23:22
録 音:☆☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆☆
ソリストは今回聴き比べの中で最強・豪華キャスト。
合唱もすばらしい!
フィナーレは歓喜の嵐!
第3位
◯インバル指揮東京都交響楽団(2014)EXTON
トラック数:8 計22:35
ハイブリッドSACD
録 音:☆☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆☆
SACDでマラ8を聴くなら、この盤がオススメです!
まさに音の洪水!
日本のオケでもここまでやれる!
インバル・都響・EXTONはもう1枚あるのですが、
こちらの方が完成度が高いです。
第4位:
◯バーンスタイン指揮ロンドン交響楽団(1966)SONY
※マーラー交響曲全集
トラック数:1 計24:04
録 音:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
細部のディティールこそ、最新の録音にはかないませんが、
熱狂さは同じくバーンスタインのDG盤と並んでトップクラス!
難点を言えば、オルガンの音が不必要に大きすぎるぐらいか・・・
第5位
◯インバル指揮フランクフルト放送交響楽団(1986)DENON
※マーラー交響曲全集
トラック数:1 計23:18
録 音:☆☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
初めて聴いた時は、あまり迫力がない演奏だと思いましたが、
改めて聴いてみると、録音が優秀で、結構メリハリがあり、
すばらしさがようやくわかりました。
第6位
◯インバル指揮東京都交響楽団(2008)EXTON
トラック数:8 計22:10
ハイブリッドSACD
録 音:☆☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
この盤も完成度は高いのですが、2014年盤の方がやや上です。
インバル/都響のマラ8なら、前述の2014年盤があればOKです。
第7位
◯シノーポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団(1992)DG
※マーラー交響曲全集
トラック数:8 計25:07
録 音:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
なかなかの迫力!
輝かしさと力強さがあります。
第8位
◯バーンスタイン指揮ウィーン・フィル(1975)DG
※マーラー交響曲全集
トラック数:8 計24:14
録 音:☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
冒頭のオルガン音はいただけませんが、
終盤近くのクレッシェンドは圧倒的!
ただし、聴いていて疲れます・・・
ドラマティックさを求めるならこの盤をオススメしますが・・・
第9位
◯アバド指揮ベルリン・フィル(1994)DG
※マーラー交響曲全集
トラック数:8 計23:25
録 音:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
ゆったりとした感じで始まりますが、
後半から迫力が増してきます。
最後は圧倒的!
第10位
◯ブーレーズ指揮シュターツカペレ・ベルリン(2007)DG
※マーラー交響曲全集
トラック数:8 計23:44
録 音:☆☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
私がマラ8を再評価するきっかけとなった盤です。
普通のCDなのですが、低音部がスゴ過ぎ!
スピーカーの音が割れてしまうほどですので、
重低音は少し抑えた方がいいと思います。
アバド盤かブーレーズ盤あたりを聴けば、
この曲の標準的な演奏と、美しさがよくわかります。
トップ10以下は順位なし、ということで・・・
◯マゼール指揮フィルハーモニア管弦楽団(2011)SIGNUM CLASSICS
トラック数:6 計30:18
録 音:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆
今回聴き比べの中で、最長の第1部の演奏です。
さながら鈍行列車?
後述のVPO盤よりも長いですが、不思議ともたれ感はありません。
のんびりと景色を眺めるような感じがありますが、
勢いはほとんど感じられません。
ハイテンションではないけどマラ8第1部を聴きたいなら、
オススメかもしれません。
「あの世」から響いてくるマラ8?
◯ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(2011)RCO LIVE
※Blu-ray付属
ハイブリッドSACD
トラック数:6 計24:39
録 音:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆
SACDとしては少し魅力が薄いかも・・・
ただし、付属のBlu-rayは絶賛に値します。
(もしかすると、この中で一番音が圧倒的かもしれません。)
◯ギーレン指揮南西ドイツ放送交響楽団(1998)ヘンスラー
※マーラー交響曲全集
トラック数:6 計22:47
録 音:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆
合唱、ソリスト共にすばらしいです。
特に児童合唱は天使の声のよう・・・
◯ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(2009)旧RCA
ハイブリッドSACD
トラック数:8 計24:31
録 音:☆☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆
細部は光るが・・・
標準的な演奏・・・
◯シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(2001)DECCA
※マーラー交響曲全集
トラック数:6 計24:27
録 音:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆
ゆったりとした演奏。
◯ラトル指揮バーミンガム市交響楽団(2005)旧EMI
※マーラー交響曲全集
トラック数:6 計23:46
録 音:☆☆
おすすめ度:☆☆
祝祭的で特別なイメージのこの曲を、
「普段着の」カジュアルに演奏しているように感じました。
ただし、後半の盛り上がりは評価できます。
◯テンシュテット指揮ロンドン・フィル(1986)WARNER
※マーラー交響曲全集
トラック数:6 計21:55
録 音:☆☆
おすすめ度:☆
合唱がすごく遠く感じます。
録音のせいか、オケも含めて音が前に出てこないような・・・
(どうもテンシュテット盤と私の耳の相性が悪いのかもしれませんね・・・)
◯マゼール指揮ウィーン・フィル(1990/92)SONY
※マーラー交響曲全集
トラック数:8 計26:24
録 音:☆☆☆
おすすめ度:☆
テンポが遅くてもたれ気味・・・
しばらくマラ8は聴かなくてもいいかな・・・
マーラーの交響曲聴き比べ、
次は第2番「復活」か、第5番を取り上げようと考えています。
(全部聴くだけでも相当時間がかかりそうですね・・・・)
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