ヘンデル:組曲「水上の音楽(Water Music,Suite)」&組曲「王宮の花火の音楽(Music for the Royal Fire Works, Suite)」聴き比べ5種
先日、許光俊の『世界最高のクラシック』(光文社知恵の森文庫)を読みました。
その中で、あのブーレーズが、
ヘンデルの「水上の音楽」を録音していることを知りました。
20世紀の「ゲンダイオンガク」の騎手とでも言うべきブーレーズと、ヘンデル・・・
なんともミスマッチな気がしましたが、興味をそそられました。
というのも、最近ブーレーズ指揮のマーラーが結構好きだからです。
そこで、物は試しで、ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルによる、
「水上の音楽」と「王宮の花火の音楽」のSACDを買ってみることにしました。
ちょうど、某サイトでポイントが結構あったので、
定価の半値以下で購入することができました。
この演奏について、上記『世界最高のクラシック』では、
次のようにコメントされています。
(引用)
ブーレーズは同楽団(注:ニューヨーク・フィル)とはヘンデル「水上の音楽」も録音している。これまた一点の曇りもないような透明感ある響きがたまらない。ちょっと昔の人が想像した未来都市のような、無機的な美しさである。これを聴いていると、次々と贅沢な、でもひんやりした感触の建物や空間が作られていったバブル時代の空気が懐かしく思い出されてきて、もの悲しい。
(同著PP.140より引用終)
実際、ブーレーズ盤を聴いてみると、バロックとはほど遠い響きですが、
ものすごく高級な響きがします。
「豪奢な」という形容詞の方がぴったりかもしれません。
妻も気に入ってくれました。
そこで、私のいつもの悪いクセですが、
聴き比べをしてみようと思い立ちました。
実は既に「水上の音楽」だけなら、
ムーティ指揮ベルリン・フィルのCDを所有していました。
今回はその他に、
『世界最高のクラシック』の中でもブーレーズ盤の他に言及があった、
ジョージ・セル指揮ロンドン交響楽団による盤と、
古楽演奏盤2枚の計3枚を新たに購入してみました。
ところで、「水上の音楽」、「王宮の花火の音楽」は、
共にBGM的に聴けばいい作品なので、
必ずしも、通して全部聴く必要はないのでは、と考えています。
今回も、「水上の音楽」の中で一番好きな、組曲第2番の「(アラ)ホーンパイプ」と、
「王宮の花火の音楽」の「歓喜」のみで聴き比べています。
なお、今回は、演奏時間の記載は省略します。
録音の古い順に記載します。
◯ジョージ・セル指揮ロンドン交響楽団(1961)DECCA
重量級の演奏です。ハーティ/セルによる編曲盤です。
もはやバロックというよりはワーグナーという感じさえしますが、
これはこれで好きな人がいてもおかしくありません。
◯ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィル(1973〜74)SONY
※SACDシングルレイヤー盤
バロック演奏として適切かをさておけば、最も美しい演奏といえます。
高級感あふれる、凛とした演奏です。
◯ムーティ指揮ベルリン・フィル(1984)EMI
※「王宮の花火の音楽」は収録されていません。
まさに標準的な演奏といえます。
初めてこの曲を聴くならオススメかも・・・
長年手放さないでいるCDの一つです。
◯ジョルディ・サヴァール指揮LE CONSERT DES NATIONS(1993)ALIAVOX
※SACDハイブリッド盤
ジャケットが美しいですね。
古楽演奏です。
まさに、王宮の中をカツラをつけた貴人が、
悠々と闊歩している光景が見えてきそうな、雅な演奏です。
◯エルヴェ・ニケ指揮LE CONSERT SPIRITUEL(2002)GLOSSA
※SACDハイブリッド盤
古楽奏者をたくさん集めて収録されたものだそうです。
音の響きがユニークですので、一聴の値はあります。
「水上の音楽」、「王宮の花火の音楽」が好きなら、
どれも持っていていいと思いますが、あえてオススメ順をつけるなら・・・
1位:ブーレーズ盤
2位:サヴァール盤
3位:ムーティ盤
4位:ニケ盤
5位:セル盤
といったところでしょうか・・・
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