« 第66回さっぽろ雪まつりの夜の写真〜白いダース・ベイダー(Darth Vader)?など | トップページ | 書評:森本梢子『アシガール』1〜5巻 »

2015年2月 8日 (日)

映画「バベットの晩餐会」(英題:Babette's Feast)と、ベタニアの香油〜無駄遣いという「美徳」?

NHKBSプレミアムで、2015年2月6日に、
デンマーク映画「バベットの晩餐会」(英題:Babette's Feast)
(※原題は「Babettes g※stebud」※に、aとeの合字が入りますが、
文字化け防止のため記載しません。)が放映されていました。
1987年のアカデミー外国語映画賞を受賞した作品です。
録画して妻と一緒にみました。

あらすじを、NHKBSプレミアムの映画カレンダーから転載します。
(引用)
19世紀後半のデンマークの小さな漁村。牧師であった父の遺志を継いで伝道者として暮らす老姉妹のもとへ、フランスから亡命してきた女性バベットが訪れる。それから長い年月が経過し、家政婦として姉妹に仕えてきたバベットは、宝クジで大金を当てる。かつて、パリで女性シェフだった彼女は、そのお金で食材を集め、村人たちを招いて晩さん会をひらく。バベットが腕によりをかけた超一流の料理が並ぶ食事シーンが圧巻。
(引用終)

映画前半は、荒涼としたユトランドの漁村で質素な生活をする、
信仰を中心にした人々の暮らしと、中心人物である姉妹の過去が描かれます。
若い時は、美しさが魅力だった姉妹。
姉にも妹にも、唯一のロマンスが実はありました。
(モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の曲が効果的に使われていました。)
それから50年後・・・
かつて美しかった姉妹もすっかり年老いていました。
運営する信仰共同体の中に不平不満が絶えませんでした。
そんな中、姉妹に仕えるメイド、フランスからやってきたバベットに、
宝くじがあたった、という知らせがフランスから来ます。
バベットは姉妹と信者たちのために、くじで当たった1万フラン全部を使い、
最高の晩餐会を開きます・・・
(当時の1万フランは、今なら1000万円、という記事もありました。)
料理が出てくるシーンは圧巻です。
(どんなメニューかというと・・・
以下のブログ記事に詳しく書かれていましたのでご覧ください。
「バベットの晩餐会」のフランス料理とワイン(Food Watch Japan)
頑なな信仰故に、
「料理の話はしないでおこう」という取り決めになっていた信者達も、
料理のことには触れませんでしたが、
あふれるばかりの味の饗宴の前に、
お互いのいざこざや小さな不平不満がみな吹き飛び、
笑顔のうちに和解しあえる環境ができていました。

単なるグルメ映画、というよりは、
むしろ、心の気高さこそが主題だと思いました。

映画を観終わってすぐ思い出したのは、
新約聖書のある記事でした。
イエス様が捕らえられ、十字架につけられる前に、
ベタニアにある重い皮膚病の人シモンの家にいた時に、
ある女(マタイ、マルコは無記名、ヨハネではマリア)から、
高価なナルドの香油を(たぶんたくさん)注ぎかけられます。
(マタイ、マルコは頭に、ヨハネでは足に)
香油は売れば300デナリオンになったと書かれています。
(当時、1デナリオンが1日分の給料、ということは、
ほぼ1年間分の収入に等しい、ということになります。
単純に考えれば、みなさんの年収分全部、と考えてもいいと思います。)
香油は香りをある時間残すだけで、あとは使い物になりません。
「そこにいた人の男人か」と「弟子たちが」憤慨した、
と聖書には書かれています。

「なぜ、こんなに香油を無駄遣いしたのか。この香油は三百デナリオン以上に売って、貧しい人々に施すことができたのに。」そして、彼女を厳しくとがめた。
(新約聖書マルコによる福音書14:4〜5新共同訳)

バベットの1万フラン食材による晩餐会と、
ベタニアの香油の話、どちらも無駄遣いの話です。
どちらも、時間にしてたかだか1〜2時間のために、
ものすごい出費をしたことになります。

映画のバベットであれば、フランスに戻って優雅な生活ができたことでしょう。
イエス様に香油を注いだ女だってそうです。
しかし、無駄遣いを通して、惜しみなく愛を表現することが、
まさに真の信仰(物質にとらわれない豊かさ)を実現していました。

考えてみれば、太陽の恵みだって、壮大なエネルギーの無駄遣いです。
自然界そのものが、気の遠くなるほどの無駄遣いともいえます。
我々は惜しみない気前良さの中で暮らしているのです。

もっといえば、キリストの十字架こそ、神様の最大の浪費ともいえます。
愛に値しない、愛される値のない我々を愛するために、
神の独り子であるイエス様を十字架につけられたのですから・・・
神様の愚かといえるまでの激しい愛!

神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。
(新約聖書ヨハネによる福音書3:16新共同訳)

関連するオススメ記事も紹介します。
二つのブログ記事に教えられた後藤健二さんが体現した「神の愛の愚かさ」
(命と性の日記~日々是命、日々是性)

DVD

原作

※イサク・ディーネセン作。原作はまだ読んでいませんが、
そのうち読んでみようかな・・・

« 第66回さっぽろ雪まつりの夜の写真〜白いダース・ベイダー(Darth Vader)?など | トップページ | 書評:森本梢子『アシガール』1〜5巻 »

おすすめサイト」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

聖なる言葉」カテゴリの記事

NHK」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2025年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28  

カテゴリー

にほんブログ村

  • クラシックCD鑑賞
  • にほんブログ村
無料ブログはココログ