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2015年1月の9件の記事

2015年1月28日 (水)

NHKBSプレミアム・もうひとつのニュー・シネマ・パラダイス~トルナトーレ監督のシチリア~(2015年1月28日放送)

映画「ニュー・シネマ・パラダイス」(原題:Nuovo Cinema Paradiso)は、
私の好きな映画の1つです。
映画ベスト5には確実に入れたい作品です。

「ニュー・シネマ・パラダイス」の映画監督、ジュゼッペ・トルナトーレさんが、
生まれ故郷シチリア島で実家や撮影現場を訪ね、
作品の背景や撮影当時の話を語る、という番組が、
NHKBSプレミアムで2015年1月28日放送の、
「もうひとつのニュー・シネマ・パラダイス~トルナトーレ監督のシチリア~」です。

「ニュー・シネマ・パラダイス」を撮影した当時、
トルナトーレ監督は32歳でした。
それから26年。
トルナトーレ監督は映画の中のトト(ラストシーン)と同じ年齢になったそうです。
それにしても、あの名作を30代前半で作り上げてしまうとは・・・

映写室に入り浸りだった幼少期、
カメラに夢中になり、演劇や映画の自主上映に明け暮れていてた高校時代・・・
監督の人生の歩みや、日常的に接していた人たちの生活が、
色濃く「ニュー・シネマ・パラダイス」に反映されていることが、
この番組を通してよくわかりました。

映画の中のリアリティあふれる映像は、
番組中の監督の言葉を借りれば「想像する必要がない」ほど、
監督の日常で見聞きしていたことから結実したのですね。

番組の中では、
トトの少年時代を演じたサルヴァトーレ・カシオさんと、
トルナトーレ監督が再会するシーンが出てきます。
撮影当時は8歳の少年が、今では35歳になっていました。
映画俳優の夢は諦め、実家のスーパーの手伝いをしているそうです。

「ニュー・シネマ・パラダイス」はストーリー、セリフとも素晴らしいですが、
最も素晴らしいのは、やはりエンリオ・モリコーネの音楽です。
番組の中でも頻繁に使われていて、しばしば泣きそうになりました・・・
(私にとっては、映画音楽№1です!)

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2015年1月25日 (日)

映画「アイス・プリンセス」(原題:Ice Princess)〜Dlife・2015年1月25日放送

Dlifeで、2015年1月25日(日)に、
ディズニー映画「アイス・プリンセス」(原題:Ice Princess)が放映されていました。
2005年の作品で、フィギュアスケートを題材としたものです。

DVD

こういう映画があるということを、今回初めて知りました。

あらすじは・・・
ハーバード大学奨学金入学を狙う物理学オタクの秀才ケーシー(ミシェル・トラクテンバーグ)は、フィギュアスケートと物理学的観点からとらえたレポートを執筆すべく、(キム・キャトラル)の下でフィギュアを習い始め、いつしかその魅力に取り付かれていく。しかし、カタブツの母(ジョーン・キューザック)はそんな娘の心境の変化に反発し…。
(Amazonレビューより引用)

物理学オタクの高校女子(フィギュアスケートを多少やっていたとはいえ・・・)が、
研究のためとはいえ、フィギュアスケートを習い始め、
いつの間にかのめりこみ、ついには全米選手権出場権までつかむ、
というサクセスストーリーです。

とはいえ、どんなに素質の良さや練習熱心さがあったとしても、
高校生から本格的にフィギュアスケートを始めて、
全米選手権レベルに達するほど、現実は甘くありませんね・・・
そんなことは重々承知ですが、
主人公のフィギュアスケートに対する一生懸命さに引き込まれ、
ついつい観続けてしまいました。

途中まではトントン拍子で主人公がフィギュアスケートの道を邁進しますが、
その後は、やはり現実甘くない、というところがきちんと描かれます。
謀略、スポンサーの問題などなど・・・

フィギュアスケートの採点方法は一昔前の6.0システムのものでした。
「(現実には)ありえない・・・」と何度も口にしながらも、
主人公のひたむきさに負けて、楽しめてしまう佳作です。
実際のフィギュアスケートのシーンも魅力です。
なお、日本では劇場未公開とのことです。

2015年1月21日 (水)

シベリウス:交響曲第6番ニ短調Op.104聴き比べ4種〜ベルグルンド、セーゲルスタム、カラヤン、バルビローリ・・・

シベリウスの交響曲全7曲のうち、
どれか1曲選べと言われたら、クラシック好きの皆様なら、
どれを選びますか?
聴きやすい、わかりやすいのは第1番、第2番ですね。
(私も好きですが・・・)
最も難解なのが第4番。
時折聴くこともありますが、未だにその真価がわかったとはいえません。
(憂鬱さではベストを争うものですが・・・)
私が一番聴く機会がないのが第3番です。
シベリウスの真骨頂はやはり第5番、第6番、第7番の3曲でしょう。
今回取り上げるのは、真ん中をとって第6番です。
人っ子一人いない森の奥深く、鹿とかリスとかが動き回っているぐらいで、
人の手の及ばない大自然の詩が響き渡っているようです。
森の中を空中を飛びながら散策しているかのような感じです。

今回の聴き比べCDです。録音の古い順に並べます。

カラヤン指揮ベルリン・フィル(1967)DG
※カップリング:交響曲第4〜5番、第7番他 2枚組

第1楽章;9:17
第2楽章;6:20
第3楽章;3:31
第4楽章;9:41

バルビローリ指揮ハレ管弦楽団(1970)WARNER
※交響曲全集他 5枚組

第1楽章;9:22
第2楽章;6:55
第3楽章;3:43
第4楽章;9:52

パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィル(1986)Warner
※カップリング:交響曲第5番、第7番他

第1楽章;8:14
第2楽章;5:31
第3楽章;3:55
第4楽章;11:12

レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィル(2002)Ondine
※交響曲全集&ヴァイオリン協奏曲、フィンランディア

第1楽章;9:27
第2楽章;6:08
第3楽章;3:57
第4楽章;10:39

あえて順位をつけるとすれば・・・
1.ベルグルンド盤
2.セーゲルスタム盤
3.カラヤン盤
4.バルビローリ盤
でしょうか・・・

バルビローリ盤では、第1楽章などで、
ベルグルンド盤ではあっさりと過ぎ去ってしまう響きに思わずハッとしました。
(たとえば6:50頃のハープなど・・・)
北欧風の響きはしませんが、温かみがあります。
まだ森の中に人が散歩している感じでしょうか・・・

カラヤン盤は、オーケストラの雄弁さが見事です。
この中では最も色彩感豊かな演奏といえます。
大自然というよりは、よく手入れされた広大な庭園という感じでしょうか・・・

セーゲルスタム盤は、後述のベルグルンド盤に極めて近いものの、
ベルグルンド盤よりは迫力があるところも多いです。
セーゲルスタム盤は、第6番よりも、
ヴァイオリン協奏曲お目当てで購入したものです。
カラヤン盤と並んで最近よく聴いています。
ベルグルンド盤もカラヤン盤もちょっと・・・という方には一番いい選択です。

ベルグルンド盤は、一聴しただけなら、
この中で一番あっさりとした演奏に聞こえるかもしれません。
自然そのものが鳴り響いている、としか形容できないほどです。
もはやバラバラのオーケストラというのを超えて、
切れ目なく一つになっているかのようです。
極北の演奏・・・
人の気配はまったくなく、
ただ大自然が広がっているかのような感じを受けます。
ベルグルンド盤は聴く人をかなり選ぶと思います。
この曲の入門用なら、カラヤン盤あたりをオススメした方がいいかも・・・

2015年1月20日 (火)

モーツァルト:ディヴェルティメント(Divertimento)第17番ニ長調K.334聴き比べ〜ウィーン八重奏団員盤とカラヤン&ベルリン・フィル2種

モーツァルトのディヴェルティメント第17番K.334を、
今月(2015年1月)になってから愛聴しています。
第3楽章が有名ですが、全曲どこから聴いても優美な旋律に満ちあふれています。
宇野センセイは第2、第5、第6楽章のみを愉しむ、と書かれていますが、
私は通しで聴いています。
第3楽章以外では、第6楽章が一番好きです。

 

今回の聴き比べCDです。

 

ウィーン八重奏団員盤(1956)DECCA
※Amazonでは輸入盤2枚組ですが、
私が持っているのはタワレコ限定販売の国内盤4枚組です。

 

第1楽章;7:02
第2楽章;8:41
第3楽章;4:31
第4楽章;6:02
第5楽章;7:00
第6楽章;8:34

 

カラヤン指揮ベルリン・フィル(1965)DG国内盤

 

第1楽章;7:02
第2楽章;8:40
第3楽章;5:55
第4楽章;7:55
第5楽章;9:30
第6楽章;8:32

 

カラヤン指揮ベルリン・フィル(1987)DG国内盤

 

第1楽章;7:08
第2楽章;8:52
第3楽章;5:20
第4楽章;6:51
第5楽章;8:44
第6楽章;8:58

 

 

ウィーン八重奏団員盤は、
宇野センセイがこの曲の決定盤として挙げているものです。
聴いているだけで、
ウィーンのカフェでゆったりくつろいでいるかのような、
優雅な時間を味わうことができます。
コーヒー片手にスイーツを食べながら聴くとベストかもしれません。

 

カラヤン盤2種は、弦楽合奏版です。
ウィーン八重奏団員盤がカフェ気分だとしたら、
カラヤン盤は王宮にいるかのような気分です。
どちらかというと、カラヤン盤の方を好んで聴いています。
旧盤は、サンモリッツでの録音、とのことですが、
少しだけひんやりした感じがします(いい意味で)。
新盤は、カラヤン最晩年の録音ですが、
弛緩は微塵もなく、温かみがある演奏となっています。
どちらか一枚だけ取るなら、新盤の方ですが、
双方とも甲乙つけがたい甘美で見事な演奏です。
極上のBGMです。

2015年1月12日 (月)

映画「サン・オブ・ゴッド」(原題:SON OF GOD)〜イエス・キリストの生涯を2時間弱で描くのはやっぱり無理?

2015年1月10日から公開の、
映画「サン・オブ・ゴッド」(原題:SON OF GOD)を、
妻と一緒に観てきました。
教会で、前売券を大量に売っていました。
1枚1100円でした。
教会の人には飛ぶように売れていました。

映画館に行ったのは1月12日(祝日)だったので、
座席は指定でした。
私の前には何人か、この映画の前売券を持ったオバサマ方が・・・
おそらくどこかの教会の人なのでしょうね。

映画館に入ると、前の数列を除いて、かなりびっちり人が入っていました。
年配の方が多かったですが、子どももいくらかいました。

さて、映画の感想に移りましょう。
イエス役のディオゴ・モルガド(Diogo Morgado)は、
「イケメンすぎるイエス」(Hot Jesus)として昨年から話題だったようです。
セクシーすぎるキリストに非難の声? 全米でサプライズヒット『サン・オブ・ゴッド』
確かに、そうかもしれませんね・・・

冒頭で年老いた使徒ヨハネが、
ヨハネ福音書冒頭の「初めに言があった・・・」を唱えるところから、
キリストの物語が始まります。
アダムとイヴ、アブラハムとモーセ、ダビデの話もちょびっと出てくるので、
聖書知識がない人にはちょっと取り残された感があるかも?
東方の博士たちが産まれたての幼子イエスを礼拝し、
聖母マリアに預言する・・・
(ちょっと聖書と違いますね・・・)

もともとは、アメリカのTVドラマ「ザ・バイブル」全10話のうち、
後半の5話を再編集して映画化したとのこと。
6時間ぐらいかけてストーリーを展開した方がいい作品を、
無理やり2時間ちょっとにまとめた感がありました。
「聖書を忠実に映画化」なる宣伝文句が、
劇場パンフレットにありましたが、
この面は期待していたとおり(?)「期待はずれ」でした。

時系列がグチャグチャな感じと、
キリスト教・聖書知識に疎い人にとっては、
なぜこうなってしまうのかがよくわからないところが多いかもしれません。
初歩的な聖書知識が観る前提となっていると思います。

キリストの描かれ方ですが、
全世界の罪を贖う救い主、という描き方よりは、
心の革命を目指したが当時の宗教的指導者たちの嫉妬・陰謀により、
殺されてしまった革命家(チェ・ゲバラのような・・・)、
という感じに描かれているように思えました。

私の妻は、「十字架にかけられるまでのシーンが長くて残酷・・・」
「復活されてからのところがあっさりしすぎている」
という感想を述べていました。
2時間ちょっとのうち、
確か1時間以上が最後の晩餐〜十字架のシーンに費やされていました。
メル・ギブソン監督の「パッション」よりは残酷さはソフトですが、
痛々しいシーンが後半多いのも確かです。

映画が終わった直後、周りでは、すすり泣きが少し聞こえてきました。
敬虔なキリスト教関係者の方々なのでしょうね・・・

私としては、もうすぐ公開される映画「エクソダス:神と王」の方が期待大かな・・・
旧約聖書の出エジプト記を描いたものです。
映画「十戒」の最新映像版みたいなものでしょうか?

イエス・キリストの生涯を描いた作品なら、
「Jesus」と、
フランコ・ゼッフィレッリ監督の「ナザレのイエス」をオススメします。
とはいえ、キリスト教関係者の方なら、
この「サン・オブ・ゴッド」は一見の価値があると思います。

(参考)
サン・オブ・ゴッド(シネマトゥデイ)
【映画レビュー】世界一有名な物語が映画化『サン・オブ・ゴッド』
(クリスチャントゥディ)

教会関係者の満足度97% 全米大ヒット映画『サン・オブ・ゴッド』日本で公開間近
(クリスチャントゥディ)

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※こちらが「サン・オブ・ゴッド」の元ネタとなったTVドラマのようです。
英語、フランス語、スペイン語の字幕はあるそうです。

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ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・

2014年12月〜2015年1月のマイブームは、
ブラームスの交響曲第1番ハ短調Op.68です。
ただし・・・
今回のマイブームは、従来のような、
いろんな指揮者による演奏ではなく、
カラヤンの演奏、という限定がありました。
たぶん5、6年前なら、カラヤン指揮の演奏など、
R・シュトラウスとか一部を除いて、見向きもしなかったはずですが、
最近は、評価が変わってきました。
ブラームスの交響曲第1番とカラヤンの指揮は、
結構相性がいいのかもしれませんね・・・
今回は、カラヤン指揮の5種類のブラームス:交響曲第1番と、
他の演奏7種類の聴き比べについて書きます。
中心はカラヤン盤5種です。

まずは、カラヤン盤5種のそれぞれの録音、レーベル、カップリング、
発売年月日、演奏時間を書きます。
※カラヤン盤以外は発売年月日は省略します。

ウィーン・フィル盤(1959)DECCA
カップリング;ブラームス:悲劇的序曲
発売:2013.05.15(国内盤)
第1楽章;13:57
第2楽章;09:10
第3楽章;04:58
第4楽章;17:34

ベルリン・フィル盤(1963)DG
カップリング;ハンガリー舞曲集
発売:1996.12.02(国内盤)
第1楽章;13:48
第2楽章;09:11
第3楽章;04:54
第4楽章;17:57

ベルリン・フィル盤(1977-1978)DG
カップリング;ブラームス:交響曲第3番
発売:2012(輸入盤)
第1楽章;13:15
第2楽章;08:57
第3楽章;04:43
第4楽章;17:36

※入手しやすい、1970年代の全集盤を紹介します。

ベルリン・フィル盤(1987)DG
カップリング;ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲Op.56a
発売:13.3.20(国内盤)
第1楽章;13:22
第2楽章;08:23
第3楽章;04:47
第4楽章;17:38

ベルリン・フィル盤(1988)Testament
カップリング;シェーンベルク:浄夜
発売:2012(輸入盤)
第1楽章;13:37
第2楽章;08:50
第3楽章;04:57
第4楽章;18:14

クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(1956-1957)WARNER
※ブラームス:交響曲全集他(4枚組)(輸入盤)
第1楽章14:06
第2楽章;09:25
第3楽章;04:42
第4楽章;16:00

ワルター指揮コロンビア交響楽団(1959)SONY
※ブラームス:交響曲全集他(5枚組)輸入盤
第1楽章;14:04
第2楽章;08:28
第3楽章;04:45
第4楽章;16:51

ミュンシュ指揮パリ管弦楽団(1968)WARNER
※カップリング;なし(国内盤)
第1楽章;14:44
第2楽章;09:51
第3楽章;05:07
第4楽章;18:22

クルト・ザンデルリンク指揮ドレスデン・シュターツカペレ(1971)DENON
※カップリング;なし(国内盤)
第1楽章;14:35
第2楽章;10:00
第3楽章;05:05
第4楽章;17:25

クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団(1990)CAPRICCIO
※ブラームス:交響曲全集他(4枚組)(輸入盤)
第1楽章;16:33
第2楽章;10:23
第3楽章;05:36
第4楽章;18:01

ジュリーニ指揮ウィーン・フィル(1991)DG
※ブラームス:交響曲全集他(5枚組)(輸入盤)
第1楽章;15:49
第2楽章;10:49
第3楽章;05:18
第4楽章;19:46

ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(2010)SONY
※Great Symphonies - The Zurich Years 1995-2014(50枚組)(輸入盤)
第1楽章;15:24
第2楽章;08:37
第3楽章;04:26
第4楽章;16:30
※3枚組のブラームス:交響曲全集も出ています。

Great Symphonies.The Zurich Years 1995-2014

ブラームス:交響曲全集


この曲は全部聴くと44〜52分になります。
ちなみに上記で最も短いのはワルター盤、長いのはジュリーニ盤です。
1枚平均45分だとしても、12枚あれば、全部聴くのに9時間ぐらいかかります。
普段は第1楽章から順番にきちんと聴いていますが、
それでせっかくの休日を潰すのはもったいので、
今回は第3楽章、第4楽章だけで聴き比べをしました。
短いので20分、長いので25分、平均22〜23分ぐらいです。
(それでも、4時間以上かかりましたが・・・)
この曲を手っ取り早く味わいたいなら、第4楽章だけ聴くことがよくあります。

以下は第3、第4楽章だけの評ですのでご了承願います。
まずはカラヤン盤5種から。
感銘度から言うと、
1987年盤→1988年盤→1959年盤→1978年盤→1963年盤
となりました。

1987年盤は、響きが充実していながらも、
角がとれた、まろやかな演奏となっていて、
それでいて明るさがあります。
カラヤン指揮のでどれか1枚買うなら、迷わずこの盤をオススメします。

1988年盤は、カラヤン嫌いの宇野先生もオススメしたというものです。
ライブ盤です。
力強さがあり、過去のブラームス演奏の集大成のような感があります。
こちらも捨てがたい魅力があります。
ライブならではの独特の緊迫感、臨場感があります。
カラヤンの指揮がお好きなら、こちらも持っていて損はないでしょう。

1959年盤は、明るいブラームス(矛盾した言い方ですが・・・)でしょうか。
ウィーン・フィルの美感が聴きモノです。
1978年盤は、よくも悪くもカラヤン色満開の演奏です。
ブラームスよりは、カラヤンを堪能する演奏といえます。
1963年盤は、模範的な演奏です。力づくでドライブする感じでしょうか・・・

あとは、残り7種類について・・・

クレンペラー盤は、あっさりとしながらも、
スコアそれ自体が見事に語りかけてくるかのような演奏です。

ワルター盤は、あたたかみのあるやわらかい演奏です。
癒し系ブラームス?

ミュンシュ盤は、よくこの曲のベスト1として挙げられる名盤です。
私も20代の頃まではこの盤で聴いていました。
(というよりは、この盤しか聴かなかった、というのが正しいですが・・・)
ベートーヴェンの「第9」的な、苦悩から歓喜へ、
というイメージにピッタリの雄弁な演奏です。
荒れ狂うような感じがあります。
フルトヴェングラーとかの往年の巨匠の指揮がお好きなら、
かなりハマると思います。

ザンデルリンク旧盤は、たぶん今回挙げた盤の中で最もスタンダードな演奏といえます。
過不足なく、ブラームスのスコアを忠実に再現しているのではないのでしょうか。

ザンデルリンク新盤は、今回聴いた中で最も感動した演奏でした。
味わい深さでは断トツでした。
第3楽章は、森の中のようなイメージが頭に浮かびました・・・
細部の響きも、後述のジンマン盤に次いでよく聴こえてきました。

ジュリーニ盤は、前述のワルター盤よりもいっそうやわらかい演奏で、
まさに「慈愛」という表現がぴったりだと思います。
真綿でくるまれるような・・・
ゆったりした気持ちでブラームスの交響曲第1番を聴きたいなら、
ジュリーニ盤はオススメですね。

ジンマン盤は、50枚組CDの中にあったものです。
正直言って、ジンマンとブラームス・・・というだけで、
あまり期待していませんでした。
実は今回初めて聴くことになりました。
他の指揮者のような、独特な思い入れというのは、
ほぼないと思いますが、
その代わり、厚ぼったい響きが透明化されて、
普段は埋もれているような細かいパートまでよく聴こえてきました。
交響曲第1番を感動して聴きたい、というのには不向きですが、
まさに「解剖する」ように聴きたいなら、とても参考になると思います。
第4楽章の一部で、弦パートの甘美な響きがあります。
その部分に限って言えば、上記の盤の中で最高といえるかもしれません。
「大穴」的な盤といえます。

ということで・・・
私のベスト3を挙げると、
1.ザンデルリンク新盤
2.カラヤン1987年盤
3.ジュリーニ盤
でしょうか・・・

2015年1月 6日 (火)

映画「世界の果ての通学路」(2012年仏)〜NHKEテレ2015年1月3日放送

2013年度の日本の小中学校での不登校者数は、
約12万人とのことでした。
一方、世界では、学校に行くのがとても困難なのにも関わらず、
まさしく命がけで「学校に行きたい!」と、
目を輝かせている子たちが大勢います。
NHKEテレで、2015年1月3日に、
映画「世界の果ての通学路」
(原題:SUR LE CHEMIN DE L’ECOLE)を放映していました。
※ecoleの冒頭のeにはアクサンテギュがつきます。
昨年2014年春に映画館で上映されていたそうです。
調べてみると、冒頭部分は24時間テレビでも放送されたとか・・・
日本語吹替版です。

動物園でゾウやキリンを見ると、子どもたちは歓声をあげますが、
実際の野生のゾウやキリンに遭遇したら、さぞかし恐怖を感じることでしょう。
なにせ、踏み潰されたらオシマイなのですから・・・
そんな野生動物がたくさん生息しているサバンナを、
学校めがけて片道15㎞を2時間かけて駆け抜けていく兄と妹・・・
女子には教育など不要!というイスラム社会の中、
週1度、片道22㎞を4時間かけて歩く少女・・・
パタゴニアの大平原の中、片道18㎞を馬に乗って通う兄と妹・・・
足に障害があり、オンボロな車いすに乗せられて、
2人の弟に連れていってもらう片道4㎞の旅・・・
もちろんスクールバスなんてありません。

どれも困難なものばかりですが、
子どもたちは学校に通うことが希望なのです。
「かなえたい夢があるから!」

観ていて、日本の子どもたちとの落差を痛烈に感じました。
せっかく何不自由なく学べる環境があるのに、
それを無駄にしているもったいなさ・・・

最近、子どもたちに、
ノーベル平和賞を受賞したマララさんの話をする機会がありました。
女の子だから、ということで学校に行けない、という話は信じられないようでした。
イスラム教世界や、紛争地ばかりでなく、
地理的に学校に通うのが困難な子が世界中にたくさんいるけど、
学校に通うことは自分や家族の将来に必ず役に立つのだ!
この単純な事実を、映像で知ることができるのは、
子ども達ばかりでなく、オトナの生き方をも変えるかもしれません。
ぜひこういう映画を、多くの人たちに見せる必要がある、と思いました。

2015年1月23日に、DVDとBlu-rayが発売されるとのことです。

DVD

Blu-ray

2015年1月 5日 (月)

年末年始に読んだ本2014-2015

私は地下鉄や列車の中で本を読むのが好きです。
家で読むのよりも、たぶん3倍ぐらいのスピードで、
なぜか一気に読むことができます。
通勤や旅行の時はまさに読書タイム!
ことに、年末年始の帰省では、
「青春18きっぷ」を使って、普通列車の旅を楽しみ(?)ますので、
かなり長い読書時間をとることができます。
(今回は旭川まではL特急スーパーカムイを使いましたが・・・)

ということで、今回の年末年始の帰省の際に読んだ本を紹介します。
なお、紹介の順は読んだ順、ということではありません。

オグ・マンディーノ『世界最強の商人』(角川文庫)

旭川のジュンク堂書店でふと見かけて、すぐさま買ってしまったものです。
全189頁。1時間足らずで読了しました。
なぜ即座に買ったかというと・・・
確かこの本、従来は1万円もするはずでした。
それが今や、たったの500円ちょっととは・・・

(参考)『地上最強の商人』

オグ・マンディーノの著作は何冊か読んでいます。
『キリスト・コミッション』(絶版らしい?)に見られる、
独特な形でのキリスト教信仰が、この『世界最強の商人』にも垣間見えています。
キリストの降誕と、使徒パウロが物語の重要なところで絡んできます。
(特に使徒パウロのところは・・・おっと、ネタバレになるのでストップ!)
しかしこの本で重要なのは、第8章〜第17章の、巻物の中身のところでしょう。
数ある自己啓発本のエッセンスが実に見事に書かれています。


松岡圭祐『万能鑑定士Qの探偵譚』、『特等添乗員αの難事件』(角川文庫)

「人の死なないミステリ」として有名なシリーズ。
新作が出ているのは前から知っていましたが、
しばらく小説からは遠ざかっていたので、
久々にシリーズを読むことができました。
どちらも1時間弱ぐらいで読了できました。
2作とも、主人公の弱さが出る一方で
パートナーとの絆が深まるという内容でした。
万能鑑定士Q・・・の方では、P.360で、
紅茶のラプサンスーチョンについて「正露丸のような香り」
と書いてあったのには思わず苦笑・・・
(参考過去記事)
ラプサンスーチョン(Lapsang souchong,拉普山小種)は正露丸の香り?
〜鬱な気分を吹き飛ばした一杯


山口瞳/開高健『やってみなはれみとくんなはれ』(新潮文庫)

NHKの朝ドラ「マッサン」の、「鴨居の大将」のモデルになった、
サントリー創業者(当時は寿屋)、鳥井信治郎とサントリーの黎明期を、
同社宣伝部出身の山口瞳が戦前編を、開高健が戦後編を書くという、
豪華な「サントリー社史」です。
2人の作家が在籍したサントリーの宣伝部もスゴイですが、
鳥井信治郎という豪放な人物の、
ウラもオモテもコンパクトに描いているところも見事です。
(戦後編は2代目の佐治敬三についても描かれています。)
ちなみに、「マッサン」では主人公のマッサンよりも鴨居の大将の方に惹かれます。
「マッサン」を観ていると、
モデルとなった竹鶴政孝、鳥井信治郎は本当はどんな人だったのだろうか・・・
こういう疑問が出てきます。
特にマッサンの方・・・
ドラマではあまり魅力的な人物ではないのですが、
実際はもっと才能があって魅力的な人物だったようです。
年末年始のちょっと前、12月前半に、
川又一英『ヒゲのウヰスキー誕生す』(新潮文庫)を読みました。
ドラマはドラマと割りきって見たほうがいいようですね・・・
私はウイスキーを飲みませんが、ウイスキーにかける情熱には感銘を受けました。


和田秀樹『世界一騙されやすい日本人〜演技性パーソナリティ時代の到来』
(ブックマン社)

帯には、2014年に日本を騒がせた「演技性人間」3名のイラストが・・・
(あえて誰とは言いませんが・・・)
この本を読み終えると、日本は1億総マインドコントロール時代に突入しているのでは、
と危惧しました。
情報リテラシー、セカンドオピニオンの必要性を痛烈に感じました。
NHKとか東大教授、ノーベル賞受賞者といったブランド、肩書だけで、
すべて正しいと思い込むのは大きな間違いというわけです・・・

奥田健次『世界に1つだけの子育ての教科書―子育ての失敗を100%取り戻す方法』
(ダイヤモンド社)

全編、「なるほど!」と思える内容に満ちあふれています。
同じ著者の近著『拝啓、アスペルガー先生 ―私の支援記録より』(飛鳥新社)
と併せて読むことをオススメします。
(これも素晴らしい内容なのですが、ついつい書評を書きそびれてしまいました・・・)
子育て中の方、教育関係者、
特に発達障がい傾向のある子に接する機会がある人はぜひ読んでみてください。
『拝啓、アスペルガー先生・・・』の方は、近々マンガ版が出るそうです。

マンガ版(2015.1.29発売予定)

長谷川博之『生徒に『私はできる! 』と思わせる超・積極的指導法』(学芸みらい社)

中学校の生徒指導で「ここまでできるのか!?」とオドロキの一冊でした。
感動の1冊です・・・
私があれこれ書くよりも、ぜひ書店で手に取るか、ネットで即注文してみてください。
教育関係者なら必読です!
中学校だけでなく、小学校の教育についても実践記録と提言が書かれています。
TOSSの教育実践が、小学校のみならず中学校でも非常に有効、
という見事な証明となっています。

上記のうち、数冊は旅行前から読み始めていましたが、
やはり集中的に読んだのは車中でした・・・
私にとっては、列車や地下鉄は、「動く書斎」なのかもしれません。
(ちなみに、バスではイマイチ・・・)

2015年1月 4日 (日)

謹賀新年2015&2014年12月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

謹賀新年!
あけましておめでとうございます。
本年、そして今月もご愛読よろしくお願いします。

さて、2014年12月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.学力低下・二極化は安倍政権の責任?!
〜北海道新聞のトンデモ記事「それ、本当の強さですか?(2014衆院選)」
(2014年12月7日朝刊)

二位.ウコンは肝臓に悪い?~NHK・ためしてガッテン「肝臓の健康を守れSP」
(2011年6月29日放送)

三位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』
(MSN産経ニュース2012年11月24日掲載)

四位.NHK総合・クローズアップ現代「子どもの性同一性障害 ~揺れる教育現場~」、
「広がる“読書ゼロ” ~日本人に何が~」(2014年12月9日、10日放送)

五位.NHKBSプレミアム・プレミアムシアター
「プロムス2014 ラスト・ナイト・コンサート」(2014年12月15日放送)

六位.NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「ピアノマニア ~調律師の“真剣勝負”~」
(2014年12月16日放送)

七位.インクルーシブ(インクルージョン)教育は子どもにとって本当に幸福なのか?
~おすすめブログ記事「脱インクルージョン教育」(ブログ名:斜に構えてみる)

八位.NHKBSプレミアム・プレミアムドラマ「お母さま、しあわせ?」
(2014年12月21日放送)

九位.ピアノ五重奏曲の甘口辛口〜ドヴォルザーク、シューマン、フォーレ、
ショスタコーヴィチ、ブラームス、フランク・・・

十位.フジテレビ系「素敵な選TAXI」とTBS系「ごめんね青春!」
〜2014年秋期のお気に入りドラマ!


先月は教育関係の記事が5本ランクインしました。
九位の記事は昨年2月のものですが、なぜかランクイン・・・

ここ数年、正月3が日の間に、
道東の鶴居村に行って鶴を見ています。
鶴居村で撮った1枚です。
場所は鶴居村役場の近く、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリです。
望遠レンズをつけた高そうなカメラが並ぶ中、
記念撮影用のデジカメで撮るのは少し気が引けましたが・・・(^-^;

20150102_at_tsuruimura


1月3日に札幌へ帰る際、岩見沢付近が大変な積雪でした。
一気に降りましたね・・・
無事に帰ることができたことを神様に感謝!

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