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2014年9月の13件の記事

2014年9月28日 (日)

映画「ロバと王女」と、CD「ミシェル・ルグランをうたう」(原題:Entre elle et lui)

先日、ナタリー・デセイ(Natalie Dessay)と、
ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)のコンサートが、
NHKBSプレミアムで放映されていたのを、
録画して観た記事を書きました。
(※「ナタリー・ドゥセ」が正しいそうです。)
NHKBSプレミアム・プレミアムシアター
「ナタリー・デセイ&ミシェル・ルグラン・イン・ベルサイユ」
(2014年9月22日放送)

コンサートの中では、映画「ロバと王女」からの作品も3曲歌われていました。

今回、ようやく、映画「ロバと王女」(原題:Peau d'ane)
(※"d'anu"の"a"にはアクサン・シルコンフレクスがつきます。
文字化け防止のため外しました。)のDVDを、
TSUTAYAでレンタルして妻と一緒に観ました。
原題を直訳すると「ロバの皮」です。
原作はシャルル・ペローの童話です。

ロバと王女(DVD)

ロバと王女(Blu-ray)

完訳 ペロー童話集 (岩波文庫)

映像は少し古臭い感じがしますが、
すぐにそのシュールというかキッチュなというか・・・
独特な映像世界に引き込まれてしまいました!
ディズニー映画のプリンセスストーリーを、
一旦フランス化して、その上で実写にしたような感じ、
とでも言いましょうか・・・

映像の小道具のこだわりは、
おとぎ話をホントに実写にしたらこうなるよ!
といった、真剣すぎて笑えてしまうものになっていました。

王様の国の下僕達は顔まで青、
王子様の国の下僕達は赤・・・
王様の玉座は妙にカワイイ大きな白猫(もしかしてライオン?)。

昔話・おとぎ話のはずなのに、
突然20世紀の詩人(アポリネール、コクトー)の作品が出てきたり、
亡くなったお妃を治めた棺がSF的なデザインだったり・・・
ツッコミどころ満載の映画なのです。
極めつけは、最後のシーンの手前で、
なんと本物のヘリコプターが登場するところ!
これには唖然としました・・・
コメディなのか、子供向けに本気を出したのか・・・
こんな調子だからこそ、すごく楽しい作品に仕上がっています。

この作品の中でたぶん一番耳に残るナンバーである、
「愛のケーキの作り方」(Recette pour un cake d'amour)のシーン。
NHKEテレの「グレーテルのかまど」でも紹介されていました。
2014年6月6日放送「”恋する王女”のケーク・ダムール」
王様からの求婚から逃れるため、普段は醜いロバの皮を身にまとい、
村人から蔑まれる王女が、
王様に作ってもらった太陽のドレスを着て、
歌いながらケーキを作るシーンです。
こんな豪華なドレスを着てケーキを作るわけないよね・・・
と思いつつも、映像としては見事でした!

私の妻は、ドレスの見事さに感心していました。
王女が元々着ていた水色のドレスもすばらしいですが、
王女が妖精と結託して王様に作らせた、
空のドレス、月のドレス、太陽のドレスはどれも素晴らしすぎ!
妻は特に月のドレスが気に入ったとのこと・・・
カトリーヌ・ドヌーブ演じる王女も美しさの極み!

映像はまさに20世紀の詩人が歌うシュールな風景のような世界です。
そして音楽!
ミシェル・ルグランの音楽がとても心地よく響いてきます。
監督は「シェルブールの雨傘」と同じ、
ジャック・ドゥミ(Jacques Demy)監督。
(「シェルブールの雨傘」と監督、音楽、主演が同じですね。)

話は変わって、
先日の「ナタリー・デセイ&ミシェル・ルグラン・イン・ベルサイユ」を観て、
すぐさまCDを注文しました。
「ミシェル・ルグランをうたう」というCDです。
輸入盤の方が安いですが、
私はフランス語を読むのはほとんど無理なので、
訳詞・解説がついている国内盤を買いました。
実にオシャレなアルバムといます。

ミシェル・ルグランをうたう

ところで、映画を観終えてから、
このCDの「愛のケーキの作り方」を聴いた後、
妻は、「映画版の声の方が、かわいらしい感じでスキ」と言ってました・・・

参考として・・・
映画「ロバと王女」の映像がどんな感じかよくわかるブログ記事です。
『ロバと王女』――『美女と野獣』+ジャン・マレー作品へのオマージュ
※王様の国が青で、王子様の国が赤、最後の結婚式のところは白・・・
つまり、フランス国旗を表している・・・という読み解きはスゴイと思いました!

2014年9月25日 (木)

NHK・クローズアップ現代「おなかいっぱい食べたい ~緊急調査・子どもの貧困~」(2014年9月25日放送)〜対症療法も必要だが・・・

日本の家庭はいつからこんな貧乏になったのか・・・
日本政府が発表した子どもの貧困率は、16.3%とのこと。
2014年7月15日のニュース及び番組でのナレーションによる。)

2014年9月25日放送のNHK・クローズアップ現代では、
おなかいっぱい食べたい ~緊急調査・子どもの貧困~」と題して、
深刻化する日本の貧困家庭に暮らす子どもたちについて取り上げていました。

番組HPから放送内容を転載します。
(引用)
夏休みが終わる頃、体重が減る子どもがいる」学校教育の現場では、給食がない夏休みに食事を十分取れず、体調を崩す子どもの存在が危惧されている。背景にあるのは、貧困世帯における「食の貧困」だ。7月の厚労省の調査では、「相対的貧困」状態にある子どもの割合は6人に一人と、過去最悪の値。今回、貧困問題に取り組むNPO、新潟県立大学と共同で調査を実施したところ、「子ども一人当たりの食費が一日329円」と、子どもの成長に必要な栄養が取れないほどにまで食費が圧迫されている実態が見えてきた。食の貧困はなぜ起こり、どのように子どもに成長を脅かすのか。調査で明らかになってきた実態を分析するとともに、どうすれば貧困の連鎖を断てるのか、学校や地域で始まった先進的な取り組みを合わせて紹介する。
(引用終)
(参考)→番組スタッフのブログ記事「これは日本の話です

番組では、NPO法人が食糧援助をしている様子や、
貧困家庭の増加により、
ついに全市的に給食費を無償にして、
とりあえず子どもたちの食を保障した自治体などを紹介していました。
貧困ゆえに不登校になった子どもたちも出ていました。
子どもの貧困に関する予備知識なしにこの番組だけ観ると、
日本はそろそろユニセフの援助でも受けねばならないのか?
などと考えさせられます。
しかし果たしてそうなのでしょうか?

番組でのNPO法人の取組や、給食費の無償化など、
対症療法的なものは確かに有効です。
高邁な理想よりも、日ごとのパンの方がはるかに切実な問題なのです。
しかし、番組で取り上げられるケースをよく精査すると・・・
生活保護以下の経済状況(ワーキング・プア)であるシングルマザーの家庭は、
仕事で車が必要だから、生活保護を受けない、
とのことでした。

政令指定都市や首都圏では、公共交通が発達しているので、
車がなくても十分に生活できますが、
たとえば北海道でいえば釧路市や帯広市ぐらいの、
人口10万人以上の都市でさえ、
車がないと生活にかなり支障をきたす場合があります。
いわんや、小さな町や村ならなおさらです。
生活保護は全国一律で、車はダメといった制度上の欠陥は見直すべきでしょう。

生活保護制度の充実と、
それ以上に、職業訓練の充実といった、
社会保障の整備が、抜本的な貧困家庭の救済につながるのではないでしょうか。

行政というか、政治における弱者切り捨ての論理という、
根源的なところが解決されない限り、
対症療法的に貧困児童・生徒を本当に救うことはできません。
今回の番組の視点は貴重ですが、
物足りなさを感じたのも事実でした。

とはいえ、学校でも今や3分の1は生活保護世帯か準保護世帯というのが実態の中、
なんらかの手を打たねばなりませんね。
学ぶよりも前に、まずは命を維持するために食べることが大事です。
給食制度の改革が必要なのかもしれません。
(小さい市町村ならともかく、政令指定都市まで無償化適用は現実的ではありません。
ただ、将来の有権者のための政策、と割り切ればいいのかもしれませんね。)
安倍サンが、「女性の活用を!」といいながら、
ますます貧困層のシングルマザーが増えていくのは皮肉なものです。

以前、子どもの貧困問題について記事を書きましたので、
よろしければお読みください。
衝撃的な広告~日本の貧困(2010年の記事)
※この記事では、「7人に1人」でしたが、
今では「6人に1人」とは・・・

2014年9月24日 (水)

ラヴェル・弦楽四重奏曲ヘ長調聴き比べ〜アルバン・ベルク四重奏団(Alban Berg Quartett)とアルカント・カルテット(Arcanto Quartett)

先日、NHKBSプレミアムの「クラシック倶楽部」で、
パシフィカ弦楽四重奏団によるラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調を視聴し、
すっかり気に入りましたので、
CDを2枚買ってみました。
(過去記事→パシフィカ弦楽四重奏団(Pacifica Quartet)によるラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調〜NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部(2014年9月12日放送)
定評ある、アルバン・ベルク四重奏団の盤と、
2010年度レコード・アカデミー賞大賞銅賞を受賞した、
アルカント・カルテット(Arcanto Quartett)による盤です。
どちらもカップリングはドビュッシーの弦楽四重奏曲です。
(アルカント・カルテットは他にデュティユーの作品「夜はかくの如し」。)

アルバン・ベルク四重奏団盤(以下「ABQ盤」と略記)

アルカント・カルテット盤(以下「AQ盤」と略記)

ABQ盤の各楽章の演奏時間です。
第1楽章:7’38”
第2楽章:6’52”
第3楽章:9’19”
第4楽章:4’43”

AQ盤の各楽章の演奏時間です。
第1楽章:8’00”
第2楽章:6’36”
第3楽章:8’55”
第4楽章:4’41”

どちらも甲乙つけがたい名演ですが、
今の私としては、AQ盤の方を上としたいです。
第4楽章の冒頭は、ABQ盤の方が激しく、
ここだけはABQ盤に軍配をあげます。
しかし全体通して聴くと、
やはりAQ盤の方がわずかに勝ると思います。
この曲が好きな人なら、どちらも揃えておいて損はないでしょう。
(ちなみに、ドビュッシーの曲においても、AQ盤は名演です。)

この曲で好きな楽章の順は、
第1楽章→第4楽章→第2楽章→第3楽章です。
特に第1楽章の優美さ!
どうして今までこの曲の価値に気づかなったのだろう・・・
第2楽章のピチカートも楽しいです。

2014年9月23日 (火)

NHKBSプレミアム・プレミアムシアター「ナタリー・デセイ&ミシェル・ルグラン・イン・ベルサイユ」(2014年9月22日放送)

2014年9月21日深夜(9月22日)に、
NHKBSプレミアムの「プレミアムシアター」で、
「ナタリー・デセイ&ミシェル・ルグラン・イン・ベルサイユ」と題して、
2014年6月にベルサイユ宮殿の庭園で行われたコンサートを放映していました。
録画して視聴しました。
ソプラノ歌手として有名なナタリー・デセイ(Natalie Dessay)
(※フランス語読みでは、「ナタリー・ドゥセ」が正しいそうです。
日本語表記は英語圏での読み方とのこと。
ただ、今回の記事ではNHKでも使用している、
「ナタリー・デセイ」で記述します。)が、
映画「シェルブールの雨傘」で知られる作曲家、
ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)の曲を歌うコンサートです。
メインはナタリー・デセイの歌声ですが、
ミシェル・ルグランのジャズ的なインスト曲もありました。
ジャズファンにはたまらないのでしょうが、
私はあまりジャズが好きではないので、その部分は飛ばしてしまいました・・・
クラシック・コンサートを期待して視聴するなら失望しますが、
ジャズファンやシャンソン・ファンなら十二分に堪能できるのではないでしょうか。

曲目は以下のとおりです。
インスト曲は※をつけました。

・人魚の魂
・リラのワルツ
・「映画「ロシュフォールの恋人たち」から デルフィーヌとランシアン」
・「映画「愛のイエントル」から パパ見守ってください」
・「映画「ロバと王女」から 愛のケーキの作り方」
・「シネマ」
・「映画「ロシュフォールの恋人たち」から ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング」
・「ディンゴ・ロック」※
・「赤と黒」
・「映画「ロバと王女」から リラの妖精の助言」
・「映画「ロバと王女」から 王子と王女の秘密の夢」
・「映画「ハッピー・エンド/幸せの彼方に」から これからの人生」
・「シャンソン」
・「映画「華麗なる賭け」から 風のささやき」
・「映画「おもいでの夏」から おもいでの夏」※
・「映画「おもいでの夏」から 夏は知っている」
・「あなたへ続く道」
・「映画「ロシュフォールの恋人たち」から 水夫、友達、恋人、または夫」
・「セルジュとナタリー」
・「映画「シェルブールの雨傘」から ギイとジュヌヴィエーヴの二重唱(ガレージの前で)」
・「私の最後のコンサート」
・「映画「ロシュフォールの恋人たち」から デルフィーヌの歌」

ナタリー・デセイはソプラノの歌唱ではなく、素のきれいな声で歌っていました。
(オペラは引退したそうですね・・・)
圧巻はやはり「シェルブールの雨傘」の曲でした!
映画の中のワンシーンがありありと目に浮かぶようでした。
お相手役で「ローラン・ナウリ」という男性が歌っていました。
頭ははげていましたが、声はよく、
ナタリー・デセイとのやりとりは映画そのものか、
もっといえばオペラみたいでした。
(※後で後で調べてみたら、夫君とのこと・・・失礼!)
切実な歌唱に思わず感涙でした・・・
歌の最後の盛り上げはやはり作曲者だからできるアレンジなのでしょうね。
約1時間40分ほどのコンサートでしたが、
この歌の部分だけでも十分に観る価値があります。
歌だけなら元々の映画の声よりも断然素晴らしいですよ。
あと、「おもいでの夏」の「夏は知っている」も素晴らしかったです。
本格的なシャンソン歌手かと思うほどでした。
ナタリー・デセイが歌うとなんとフランス語ってきれいなのだろう、
とつくづく感じました・・・

キリ・テ・カナワやジェシー・ノーマンといった有名ソプラノ歌手が、
ミシェル・ルグラン作品のCDを出していますが、
試聴してみたところ、オペラや歌曲のついでにやっていますよ、
という感じはぬぐえません。
しかし、ナタリー・デセイの場合は違います。
歌そのものが結晶化したような、まさに歌の妖精の歌なのかもしれません。

映画「シェルブールの雨傘」は、
私にとってはフランス映画のベスト3に入れたい作品です。
(あとは・・・「アメリ」と「Taxi」かな・・・
「望郷」とか「太陽がいっぱい」などもステキですが・・・)
何度観てもステキな作品です。

有名な「ギイとジュヌヴィエーヴの二重唱」のところは、
歌うその時のシーンの感情は切実なものですが、
後の展開を考えると、恋のはかなさを思い知らされます・・・

シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]

なお、ナタリー・デセイとミシェル・ルグランが組んだCDアルバムが発売されています。
日本語盤では、「ミシェル・ルグランをうたう」となっていますが、
元々のタイトルは”Entre elle et lui”(彼女と彼の間)です。
曲目はだいたい今回のコンサートと重なっています。

輸入盤

国内盤

映画「ロバと王女」はNHKEテレの「グレーテルのかまど」で取り上げられて以来、
気になっている作品ですが、まだ観たことはありません(2014年9月現在)。
そのうち観てみたいです。
”恋する王女”のケーク・ダムール(2014年6月6日放送)
カトリーヌ・ドヌーブ主演のミュージカル映画です。
「ロバと王女」の「愛のケーキの作り方」という歌は、
全体の3分の2近くが、ただ単に散文的なレシピを歌っているだけですが、
なんとかわいらしい歌に仕上がっていることか!

ロバと王女 デジタルニューマスター版 [DVD]

※2014年11月追記
この放送のBlu-ray版とDVD版が発売されましたので紹介します。

Entre Elle & Lui-Live at the Chateau Versailles [Blu-ray] [Import]

2014年9月17日 (水)

パシフィカ弦楽四重奏団(Pacifica Quartet)によるラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調〜NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部(2014年9月12日放送)

以前はよく視聴していた、NHKBSプレミアムの朝の番組、
「クラシック倶楽部」。
再放送ものが多いので、新しい演奏会の放映のみを録画して観るようにしています。
2014年9月12日には、
パシフィカ弦楽四重奏団 演奏会」として、
2014年6月16日に
武蔵野市民文化会館小ホールで行われたコンサートの様子を放映していました。
番組では、
ハイドンの「弦楽四重奏曲 第78番”日の出”」の第1、3,4楽章と、
ラヴェルの弦楽四重奏曲へ長調の全曲を放映していました。
(ハイドンの曲の第2楽章はカット・・・)
実際には、上記2曲の他に、
ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第2番と、
アンコールとして、
バルトークの弦楽四重奏曲第4番Sz.91 より 第4楽章が演奏されたとのこと。
武蔵野市民文化会館のコンサート情報

さて、実は今回の放送、ハイドンの曲の方はスルーしました。
ラヴェルの作品のみについて述べます。

弦楽四重奏曲は、私にとってはクラシック音楽の中で少し苦手なジャンルです。
(一番苦手なのは、オペラ・・・一部の作品を除けばひたすら退屈なだけ?)
我が家のCDコレクションの中では、ベートーヴェンの後期の作品集と、
ブラームスの弦楽四重奏曲があるだけです。
(しかも、ブラームスの方は、室内楽全集に入っているというだけで、
一度も聴いたことがありません。触手がのびないというか・・・)
ラヴェルの作品は、前にもしかすると聴いたことがあるかもしれませんが、
あまり印象に残らなかったか、敬遠していたかのどちらかだと思います。

今回、NHKBSでの放映で、思いがけず、
ラヴェルの弦楽四重奏曲の美しさ、すばらしさに開眼しました。
特に第1、第4楽章。
どちらか一つをとるとしたら、迷わず第1楽章です。
金髪美人が髪を洗っているような光景でしょうか???
(奇妙なたとえでゴメンナサイ・・・)

パシフィカ弦楽四重奏団の名は、今回初耳でした。
AmazonでCDを調べてみると、
ショスタコーヴィチと、
アメリカの作曲家エリオット・カーターの作品の録音がありました。
それなりの実力ある団体だと思われます。
(チケット料金を見ると???ですが・・・)

ラヴェルの弦楽四重奏曲の名盤としては、
アルバン・ベルク弦楽四重奏団の演奏が筆頭のようです。
そのうちぜひ手に入れて聴いてみたいです。
試聴した限りでは、第4楽章の熾烈さは、
アルバン・ベルクSQのが最もすごかったですよ。

ドビュッシー & ラヴェル:弦楽四重奏曲集(クラシック・マスターズ)

2014年9月15日 (月)

映画「フォーチュン・クッキー(原題:Freaky Friday)」

フォーチュン・クッキー(原題:Freaky Friday)」という映画を観ました。
2003年のアメリカ映画です。
2014年9月14日に、BSのDlife(BS258)で放映されていました。
録画して妻と一緒に観ました。

原題を直訳するなら、
「おかしな金曜日」とか「サイアクな金曜日」といったところでしょうか。
元々、1976年にジョディ・フォスターが主演した、
「Freaky Friday」という映画のリメイクだそうですが、
邦題では、物語の重要な小道具である、
「フォーチュン・クッキー(おみくじクッキー)」をタイトルにしています。
※「フォーチュン・クッキー」といえば、
AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」という歌のタイトルにもなっていますね。
映画とは関係ありませんが・・・

価値観が合わない母娘は、いつもケンカばかり。
母は婚約者との挙式を2日後に控えて大忙し。
そんな中、ある中華料理店に行った二人は、そこでも争います。
すると、店のオーナーの母親が、二人にフォーチュン・クッキーを差し出します。
同時に食べた二人は、地震の後(二人にしかわからないものでしたが)、
朝目覚めると、中身が入れ替わってしまいます。

二人の中身が入れ替わってしまう、という内容の映画としては、
日本の「転校生」に負けず劣らず楽しい作品です。
互いの立場を思いやるようになって、二人は元に戻り無事ハッピーエンドを迎えます。
そこまでのドタバタが最高です!

何年か前にNHKBSプレミアムでも放送されたことがあり、
その時は字幕版で、吹替なしでした。
今回は、吹替(+字幕放送)版で観ました。
字幕版の時よりも言葉の細かいニュアンスがわかって、
1.5倍楽しめました。
ファミリー映画の傑作といえます。

フォーチュン・クッキー 特別版 [DVD]

映画「転校生」は男の子と女の子の入れ替わり、
ドラマ「パパとムスメの7日間」は父と娘でしたが、
こちらは母と娘。
似たような作品として、今年(2014年)にNHKBSプレミアムで放送された、
今夜は心だけ抱いて」というドラマがあります。
やはり母と娘が入れ替わる作品です。
こちらはコメディよりはシリアス調でした・・・
(ネタバレになりますが、最後は元に戻って終わりでしょう?
という期待を見事に裏切ってくれました・・・)
結構楽しめた作品でしたが・・・

今夜は心だけ抱いて(原作)

雑誌「教室ツーウェイ」2014年10月号No.467で反・学び合い特集!〜学び合い、止めますか?それとも、教師、辞めますか?・・・

「学び合い」・・・
学習成果を産まないインチキ教育法が今、全国の小中学校にはびこっています。
「子供たちの輝く瞳!」、「子供たちがイキイキと学びあう」
とかのロマンティックだが空虚なキャッチフレーズにダマされ続け、
「学び合い」にひざまづかないと、場合によっては、
管理職から脅しをかけられる、という、まさに「裸の王様」です。
※ハダカのくせに威張っている?

明治図書の雑誌「教室ツーウェイ」2014年10月号No.467では、
特集 学び合いーTOSS授業技量検定で何級?」として、
徹底した批判記事を掲載しています。
TOSS授業技量検定云々はさておき(相当厳しい評価ですが・・・)、
これを読んでなお、「学び合い」をまだやりたいというなら、
欠陥商品を売りつけるセールスマンか、
霊感商法のたぐいに等しいのではないでしょうか?
特に、発達障がいの子・低学力の子たちへの対応という面で、
「学び合い」はヒドイものです。→特にP.18,19の記事。
(教えるー教えられるの固定化は、
しまいにはいじめの構造化につながるかもしれません・・・)
その部分を告発する記事が特に心を打ちました・・・
そもそも、ふつうの子たちに対しても、「子どもの事実がない」
つまり机上の空論にすぎないものだということです。
「STAP細胞はアリマス!」レベルのものなのです!

記事の中でも何度も指摘されていますが、
「交流する」も「学び合う」も、すべては学習内容を習得する、
という目的に沿ってのみ有効なのであり、
「交流する」、「学び合う」のは手段であって、目的ではありません。
しかし「学び合い」の授業では、結局それらが目的となってしまい、
真に学習内容を習得するものにはならないことが多いわけです。
(特に発達障がいの子や低学力の子・・・
できる子たちの「踏み台」でしかありません。)

学び合いの授業で典型的な机の配置である「コの字型」にも、
痛烈かつ適切な批判が「子どもの事実」を通して書かれています。
学級活動の話し合いなどで、「コの字型」にするのはアリだと思いますが、
いつでも「コの字型」にしておくのはデメリットがありすぎます。
(子どもの視野を無視・・・→P.21)

本文全88頁中28頁も費やして「学び合い」を徹底批判した、
「教室ツーウェイ」2014年10月号。
「学び合い」という「裸の王様」に支配されつつある教育界に、
なんとか真実の声を届けたいものですね。
ぜひ手にとって読んでみてください。
こんなバカげた教育方法がまかり通っているのか・・・と
あきれるか、憤るか・・・
(それでも、「学び合い」はスバラシイ!というなら、
「学び合い」教に「洗脳」されているのでしょうね・・・)
※他に気になる特集としては、
「ミニ特集 一部教師の看過できない利権構造」もあります。
学校のヤミ構造・・・

学び合い、止めますか?それとも、教師、辞めますか・・・
(昔の有名なCMのパクリです)
※実際、教師が教えるよりも、子どもたち同士で教える方が、
教育効果が上がる、と主張しているなら、教師は不要ではないですか?
教えるのはコドモ大先生たちに任せてしまえばいいわけですから・・・

「教室ツーウェイ」2014年10月号

※「学び合い」については、以前記事を書いていますので、
よろしければお読みください。
「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』(MSN産経ニュース2012年11月24日掲載)

「学びあい」という美名の下の教育の堕落~NHKEテレ・ETV特集「輝け二十八の瞳 ~学び合い 支えあう教室~」(2012年2月5日放送)

2014年9月11日 (木)

自然災害と臨時休校・出勤免除〜香港の事例から

2014年9月11日、札幌は未明から集中豪雨に見舞われました。
雷鳴が鳴りやまず、あまりよく眠れませんでした。
ひどい雨だな、とは思っていたものの、
まさか、大雨特別警報が出ているとは・・・
朝NHKニュースを観てビックリ仰天でした。
札幌市内の公立校は全校臨時休校になりました。
札幌に住んでから初めての経験となりました。
(ケイタイに防災速報が来るよう登録していなかったので、
今回登録することにしました・・・)

さて、こういう時に、学校は休みになって当然ですが、
職場はそうはいかないですよね。
(学校だって、児童生徒は臨時休校でも、
教職員は出勤しています。)

東日本大震災級の自然災害までいかなくても、
たとえば台風や今回のような集中豪雨、
暴風雪など、出勤するのに場合によっては命がけになることもあります。
NHKニュースなどでは不要な外出は避けるように言いますが、
仕事だから出勤せねばなりません。
しかし、命あっての仕事なのかな〜とも思います・・・

香港では、台風が来ると、その危険度(5段階)に応じて、
学校は休みになり、職場も原則出勤免除になるそうです。
(シグナル8以上。最高はシグナル10。)
シグナル8(シグナルエイト)
香港の台風警報シグナル8について
大雨の時は色による段階分けがあるそうです。
(黄色→赤色→黒色の3段階で、黒色は原則出勤免除とのこと。)

日本は昔から地震や台風など、自然災害が多いところですね。
人命尊重ゆえに、日本でもこういう出勤免除の制度を作っては、と思いました・・・
子育て家庭にも優しい制度なのではないでしょうか?
学校が臨時休校になった場合、親がいない間、
どうやって子どもを安全に過ごさせるか、頭が痛いところではないでしょうか?

2014年9月 6日 (土)

伊福部昭のCD「協奏三題」と「釧路湿原」(fontec)

NHKEテレの「伊福部昭の世界~「ゴジラ」を生んだ作曲家の軌跡~」
(2014年8月30日放送)を観て、
伊福部昭のCDをタワーレコードのサイトで3枚買った、というのを、
8月31日の記事で書きました。
NHKEテレ・伊福部昭の世界~「ゴジラ」を生んだ作曲家の軌跡~(2014年8月30日放送)
さっそくそのCDが届いたので聴いてみました。
なお、Amazonのサイトのを紹介していますが、
タワーレコードで買った方が断然安いですよ。


・伊福部昭: 協奏三題(ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ, ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲, 二十絃筝とオーケストラのための交響的エグログ)<タワーレコード限定>
井上道義指揮東京交響楽団他


・伊福部昭: 釧路湿原 交響的音画<タワーレコード限定>
大友直人指揮新星日本交響楽団


・伊福部昭: ヴァイオリン協奏曲 (ピアノ・リダクション) -第1番(協奏風狂詩曲), 第2番
佐藤久成 (vn)、 岡田将(p)


このうち、特に気に入った曲だけ取り上げます。

「協奏三題」には、
「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」、
「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲(ヴァイオリン協奏曲第1番)」、
「二十絃箏とオーケストラのための交響的エグログ」
の3曲が収録されていますが、おすすめはなんといっても、
「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」です。
ミニマル・ミュージック風の、反復が多い(オスティナート)メロディは、
意外にも聴きやすく、聴いていて飽きません。
時折、伊福部昭のサインのような、
「ゴジラのテーマ」みたいなところが出てくるのはご愛嬌です。
(ヒッチコックが自分の作品に出てくるようなもの?
あるいは、バッハがB-A-C-Hを、ショスタコーヴィチがD-S-C-Hを
自分の作品に織り込んでいるようなものでしょうか?)
全編演奏するのに相当な困難を覚えるような曲ですが、
聴いていると、音でサッカー(かラグビー)をやっている感じです。
20世紀後半のピアノ協奏曲の名曲なのかもしれませんね。
(今まであれば、吉松隆のピアノ協奏曲「メモ・フローラ」と、
マイケル・ナイマンのピアノ協奏曲を挙げていましたが・・・)
ジェットコースターで地中を駆け抜けていくような感じです。

交響的音画「釧路湿原」は、全曲通して聴いても30分ほどです。
(ちょっとCDとしてはもったいないかも・・・)
おすすめは「春」です。
収録順では、一番最後ですが、収録順にこだわらず、
春→夏→秋→冬(→春)の流れで聴いた方がいいのでは?と思いました。
音だけで情景が豊かにひろがってきます。
ほぼ映画音楽みたいなものです。

ヴァイオリン協奏曲の方は、まだ好きになるまでには至っていません。
「ゴジラのテーマ」の原曲なんだ、程度の認識でしょうか・・・

2014年9月 5日 (金)

JR北海道の一日散歩きっぷ(道央圏用)で小樽、岩見沢への旅205.4km

先日(といっても、既に先月の事ですが・・・)、
JR北海道の一日散歩きっぷ(道央圏用)で、
妻と一緒に小樽と岩見沢等へ行ってきました。
乗車キロ数合計は205.4㎞、
正規の運賃は4970円(※特急料金含む。後述)ですが、
1日乗り放題で2260円でした。

ルートは以下のとおりです。

札幌9:31→南小樽10:06 32.2㎞ 640円

小樽運河近辺を散策、昼食。小樽駅へ。

小樽13:11→岩見沢14:44 74.4㎞ 1450円

中央バスでいわみざわ公園バラ園へ。
岩見沢ターミナル発15:03
いわみざわ公園発16:24

岩見沢17時頃
特急スーパーカムイ(鉄道事故のため)→新札幌→上野幌
54.4㎞ 840円+1140円(特急料金)

徒歩で「(北広島)天然温泉森のゆ」へ。

上野幌19:32→手稲→ほしみ20:12 29.1㎞ 540円

徒歩でネパールカレー店「STAR」へ

ほしみ21:40→札幌22:03 15.3㎞ 360円

帰宅


天気は雨まじりでした。
南小樽駅到着〜

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乗っていた列車です。

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南小樽駅

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南小樽駅から坂道を下りて小樽運河の方へ。
オルゴール堂でオルゴールを買ってから(後述)、
ルタオ本店に行きました。

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注文したケーキセット。

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小樽のボンネットバス。

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散策は続きます。

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奇妙なレリーフ・・・

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旧手宮線跡の公園。

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ベンチも鉄道アート?

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老舗「みよ福」というすし店に行きました。
メニューは3種類のみ。
とてもおいしかったですよ。

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小樽駅・・・

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小樽駅から乗り換えなし(いしかりライナー)で岩見沢へ。
岩見沢でのばん馬はなくなりましたが、
駅のホームにこういう像が残っていました。

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岩見沢駅。
駅の中は複合施設になっています。

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中央バスに乗ってばら園へ。
KitacaもSuicaも使えなかった・・・
ばら園前の道です。

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ばら園にて。

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帰りの列車はちょっと変則的でした。
実は、旅行した日に、札幌〜小樽間で人身事故があり、
ダイヤの大幅な乱れがありました。
駅員さんが、「札幌に行くなら(特急料金なしで)特急に乗れますよ。」
と言ったので、特急に乗ることになりました。
下は、旭川行きの普通列車です。
古そうな車体ですね・・・

20140815_railway_trip25

岩見沢駅に特急スーパーカムイ(札幌からは快速エアポートとなる)が入ってきた所。

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札幌に到着後、快速エアポートとなって、新札幌まで乗りました。
その後、新札幌から普通列車に乗り換えました。
上野幌駅にて。
上野幌駅から100メートルほど歩くと、そこはもう北広島市です。
駅から歩いて7〜10分ほどのところに、
「天然温泉森のゆ」があります。
たまに行きますよ。

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上野幌駅で見かけた雲。
コアラの顔に見えませんか?
20140815_railway_trip28

温泉に入った後、
札幌で一番東のJR駅である上野幌駅から、
一番西にあるほしみ駅へ。
ほしみ駅から歩いて100メートルほど行くと、
そこは小樽市です。
国道5号線沿いに、お目当てのカレー店である、
「STAR」があります。
注文したカレーセットです。
なかなかおいしかったですが、やはり遠いですね・・・

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ほしみ駅に戻ると、
駅の近くでは今まで観たことがないほどの大きな月と、
キタキツネを見ることができました。

小樽のオルゴール堂で買ったものです。
室蘭の「ボルタ」と小樽のオルゴールが合体したものです。
指揮する姿が可愛いと思い、ついつい私が買ってしまいました・・・
小鳥の飾り物は妻が選んだものです。

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恵みに包まれた一日でした・・・

恵み深い主に感謝せよ。慈しみはとこしえに。
(旧約聖書詩編136:1新共同訳)

2014年9月 2日 (火)

映画「新しい靴を買わなくちゃ」〜40代女子のおとぎ話?

2012年の日本映画「新しい靴を買わなくちゃ」が、
2014年9月2日に、NHKBSプレミアムで放映されていました。
主演は中山美穂、向井理。監督は北川悦吏子です。
全編パリを舞台にした、3日だけの束の間の恋の物語です。

『新しい靴を買わなくちゃ』DVD[通常版]

観光に来た20代の青年、セン(向井理)と、
パリ在住の40代の寂しさを抱える女性、アオイ(中山美穂)との恋と、
若い男女の恋(綾野剛、桐谷美玲)を対照的に描いていますが、
中山美穂の方の恋愛話だけで十分では?と思ってしまいました。
(中山美穂自身を彷彿とさせる役柄みたいかも、と思ってしまいました。)

一緒に観ていた妻曰く、
「40代の女性にとっては夢みたいな物語ね!」と好評でした。
相手はイケメンだし・・・
ある意味、40代女子のおとぎ話といえます。

性描写はおろか、キスシーンさえありませんが、
アオイがセンに自分の苦悩を語るシーンは、
2人の心が深く結びついた、性愛よりも癒しになるシーンなのでは?

ただ、センを求めるアオイの姿は、
かなり痛々しいものを感じてしまいました・・・
(R・シュトラウスのオペラ「ばらの騎士」みたいな関係?)
2人の別れのシーンは、あっけなくも切ないものでした。
ドロドロ、メソメソにならないからこそ、
かえって深い余韻となりました。

ストーリーを別にしても、パリの普段着の様子が実にステキでした。
控えめな音楽もよかったです。

映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(原題:Good Will Hunting)」に見る人とキリストとの関係

映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(原題:Good Will Hunting)」が、
2014年8月22日に、NHKBSプレミアムで放映されていました。
先月8月に亡くなった、ロビン・ウィリアムスの追悼番組的なものです。
アカデミー脚本賞と、助演男優賞(ロビン・ウィリアムス)の2部門受賞作です。
録画しましたが、放映されてしばらく経ってからようやく先日観ました。

天才的な頭脳を持ちながら、過去のトラウマゆえに、
心を閉ざし、刹那的に生きる青年ウィル(演:マット・デイモン)と、
最愛の妻を亡くした喪失感から立ち直れない
精神分析医ショーン(演:ロビン・ウィリアムス)との心の交流を描いた作品です。

主人公ウィルの才能を見出した数学教授ランボーは、
暴力沙汰を起こしたウィルを保釈する条件として、
週に1回数学の問題を解くために教授の部屋に来ることと、
週1回カウンセリングをすることをウィルに課します。

数学の方は順調な一方、カウンセリングは難航しました。
どのカウンセラーに対してもウイルは馬鹿にした態度を撮り続け、
カウンセラーはウイルを見放します。
そんな中、ショーンのカウンセリングを受けます。
最初は反発しあうウィルとショーンですが、
徐々に信頼関係が築かれていきます。

最後の方で、
いつまでも本当の自分の心に向きあおうとしないウィルに向かって、
ショーンは根本的な問いかけを突きつけます。

映画そのものは、ロビン・ウィリアムスが出てくるシーンはすばらしいですが、
全体としては、少しつまらないかな、とも思いました。
それは、頑なに周りの人の愛を拒み続ける主人公の態度そのものに、
観ていて不快感を感じるからでしょう。

それはさておき、ウィルとショーンの関係は、
まさに聖書における人と神との関係そのものではないか、
と映画を観ながら思いました。

素晴らしい才能(タレント。聖書では「タラント」)をいただきながら、
周りから愛と援助を受けながら、
ひたすら刹那的に生き、感謝の念もなく、
たくさんの知識を持ってはいても、
本当に何をしたいかもわからず、
どこに向かっていくかも知らずに生きているウィルの姿は、
まさに神から離れた人間の姿、放蕩息子さながらの生き様ではないでしょうか?
逆に、時には感情をぶつけながらも、
ウィルを受容し続けるショーンの姿は、
受けた傷によって癒しをもたらすキリストの姿のようにも見えました。
心の傷を持つ同士だからこそ、わかりあえる世界・・・
ウィルがついに心を開くシーンはこの映画の白眉です。

(キリストは)十字架にかかって、自らその身にわたしたちの罪を担ってくださいました。わたしたちが、罪に対して死んで、義によって生きるようになるためです。そのお受けになった傷によって、あなたがたはいやされました。
(新約聖書ペトロの手紙Ⅰ2:24新共同訳)

ほかならぬ、私自身も、結果的にウィルのような生き方をしていないだろうか・・・
鏡をつきつけられた感じがありました。

原題の「Good Will Hunting」の「Will Hunting」は主人公の名前ですね。
でも、「善いウィルのハンティング(獲得)」とも読めますね。

グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち [Blu-ray]

(参考)
グッド・ウィル・ハンティング

※この記事で通算1600本目となりました。
神様に感謝!

2014年9月 1日 (月)

2014年8月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

2014年8月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.テレビ東京系・カンブリア宮殿
【ハーゲンダッツの濃厚ミルクの産地!奇跡を起こした“闘う農協”】
(2014年8月14日放送)

二位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』
(MSN産経ニュース2012年11月24日掲載)

三位.ウコンは肝臓に悪い?~NHK・ためしてガッテン「肝臓の健康を守れSP」
(2011年6月29日放送)

四位.NHKBSプレミアム・本棚食堂 第1回・ニンニク編(2014年8月18日放送)
五位.NHK総合・はに丸ジャーナル(2014年8月13日放送)
〜見た目はカワイイけど実はスルドイ・・・

六位.道東旅行記2014年夏(その1)〜旅行の経緯と旅行プラン
七位.「代受苦」と十字架~瀬戸内寂聴さんの青空説法から
八位.ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調〜アリス=紗良・オットの演奏と、
アルゲリッチ旧盤、グリモー盤

九位.道東旅行記2014年夏(その2)〜出発、十勝ヒルズ、愛国から幸福へ・・・
十位.NHK総合・週刊 ニュース深読み
「“子どもと向きあえない…” 超多忙!学校の先生」
(2014年8月23日放送)〜求められる教育の質の改善

先月はテレビネタがベスト10の中で7本ありました。
七位の「代受苦・・・」は、2011年の記事ですが、
突如してアクセス数が増えたものです。
おそらく、瀬戸内寂聴さんが「代受苦」について語った番組が、
どこかで放映されたのかもしれません(詳細不明です。)
旅行記事が2本ランクインされたのはよかったです。

札幌は、はや秋の気配かも・・・
今月もご愛読よろしくお願いします。

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