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2014年8月30日 (土)

NHKBS1・BS1スペシャル 「憎しみとゆるし~マニラ市街戦 その後~」(2014年8月29日放送)

我らに罪をおかす者を、我らがゆるすごとく、
我らの罪をもゆるしたまえ。

(「主の祈り」文語・プロテスタント版)
「憎しみとゆるし」・・・
人生における大きな転換であり、決断を迫られるものです。
自分の家族を奪った人たちを果たしてゆるせるか・・・

2014年8月29日に放送された、
NHKBS1・BS1スペシャル 「憎しみとゆるし~マニラ市街戦 その後~」を観ました。
自らの家族を日本兵に殺されながらも、
日本兵戦犯全員に恩赦を与えた、フィリピンのキリノ大統領の話です。
まるでキリスト教の番組かと思わせるほど、
「ゆるし」について語る、感銘深い番組でした。

NHKの番組表による番組内容は以下のとおりです。
(引用)
1945年、廃虚と化したマニラの街で娘の遺体を抱きしめ立ち尽くす男がいた。のちにフィリピン大統領となるキリノ。日米両軍が戦ったマニラ市街戦で妻と3人の子を失い、日本軍を激しく憎む。しかし8年後、キリノは大きな決断をする。憎しみからゆるしへ。反対を押し切って、日本人BC級戦犯全員に恩赦を与える。なぜ大統領は決断したのか?遺族やマニラ市街戦の生存者の貴重な証言を積み重ねて、その真相を描く。
(引用終)

冒頭、キリノ大統領が治療先のアメリカの病院で、
ベッドに横たわりながら、
「日本人によって妻と子どもを殺された私は
彼らを最もゆるしがたい立場にあった。
だが私はゆるすことにした」とフィリピンと日本に向かって、
恩赦を宣言します。
どうしてこのような経緯に至ったのか、
番組ではマニラ市街戦のところから語りつつ、
「信仰ゆえに」「日本との将来を見据えて」
日本人戦犯への恩赦を与えるところまでを描いていました。

日本人戦犯が突然14名処刑されてしまうという事態に対して、
戦犯の家族がフィリピンに人形を送る運動をしたことなども
取り上げられていました。

日本人戦犯の中には獄中で洗礼を受ける者もいました。
憲兵だった方が、戦中に拷問を加えた相手にゆるされるという経験を通して、
愛にふれ、回心にいたった、というところもすばらしかったです。
「私は魂をキリストに捧げました。ゆるすと決めた信念に従います」

マニラ市民や元戦犯の方々の証言を交えながら、
キリノ大統領の恩赦の核心に迫っていきます。

キリノ大統領の言葉
「もしゆるすことができなければ穏やかな人生が訪れることはないんだ。」
「我々はゆるすことを学ばなければならない」
と、その娘にあたる方の言葉
「ゆるすことがなければ、前には進めない」は、
とても重い言葉でした・・・

番組の最後には、
フィリピンのカトリック教会で主の祈りを祈る姿が映しだされていました。
Sa nagkakasala sa amin(我らに罪を犯した人を・・・)
「憎しみではなくゆるしを選んだが、忘れることはない」
実際、過去は変えることはできませんね・・・
しかし、「あえて」ゆるしを選ぶことはできます。
ゆるす時、ゆるされるのです。
憎しみは新たな憎しみを引き起こします。
どこかでその連鎖を断ち切れねばならないのです。

(参考記事)
日本人戦犯帰国60周年
 第3回 ・ 戦時下の受難、「赦し」の背景。キリノ大統領の恩赦令
(まにら新聞)
怨みに報いるに徳を以てした比国大統領(中外日報)

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