NHK総合・週刊 ニュース深読み「“子どもと向きあえない…” 超多忙!学校の先生」(2014年8月23日放送)〜求められる教育の質の改善
NHK総合の「週刊 ニュース深読み」で、
「“子どもと向きあえない…” 超多忙!学校の先生」
という特集を2014年8月23日に放送していました。
番組全体73分のうち、43分をかけていました。
取り上げていたのは主に中学校の内容です。
朝7時頃に出勤し、夜7時まで勤務する中、
授業の用意ができるのは朝の1時間弱のみ。
日中は授業をし、夕方からは会議や部活、保護者対応など・・・
あぁ〜忙しい、日本のセンセイは・・・
といった感じで紹介していました。
教師の勤務時間については、OECD(経済協力機構)の調査で、
日本の教師は世界一勤務時間が長い、
と今年(2014年6月)報道されました。
まず報道された元データを精査してみましょう。
文部科学省のHPにあります。
→OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2013調査結果のポイント
または、
→日本の先生、働き過ぎ? 「授業以外」に追われ、
仕事時間最長 OECD国際教育調査(MSN産経ニュース2014年6月25日)
→多忙な教員 その実態は(2014年7月29日NHKおはよう日本)
ここで言う対象になった教員は、中学校の教員です。
(明らかになったのは、小学校や高校もすべて、
ということではないことに注意!)
1週53.9時間(参加国中唯一50時間超え!)の中で、
授業に使った時間は17.7時間で、参加国中最も短い一方、
課外活動や事務処理にかかる時間が他の国に比べて長い、
という指摘がありました。
OECD調査はあくまで「勤務時間」についてであって、
「多忙感」といった心の感じ方についてではないことに注目です。
下記記事はそこに注目しています。
→【寄稿】教員は「忙しい」なんて言ってない
―国際教員指導環境調査(TALIS)をどう読むか―(BLOGOS)
多忙感=教師の能力不足、といった教師の個人的能力を問うのではなく、
政策的提言をするのが、調査の目的のようです。
さて、番組では現場の実態を紹介した上、
いくつかの提言や分析をしていました。
私がみた中では、
「教育にかける予算が対GDP比で少ない」→
「教育は政治家の票にならない(子どもは有権者でないから)」→
「それよりは、お年寄りにかける福祉の方が票になる」
といったやりとりが「そうだよね〜」と思いました。
教員の給与(どれだけ残業しても時間外手当なし)についても触れていました。
あと、校務分掌(校内研修や様々な文書作成から雑用的なものまで)は、
別に事務員を置くか増やすなどして、
教員を授業に専念できるようにする、といった意見もありました。
その他では地域人材の活用とか、
本来親がやるべきことを教員に押し付けている等の指摘もありました。
番組ではほとんど触れられていませんでしたが、
教員(特に中学校・高校)にとって最も負担が大きいのが、
部活動です。
たとえば、身近な例で言えば、
買い物をするためにスーパーへ行く途中、
夜8時過ぎても中学校のグラウンドがライトアップされて、
野球かサッカーの練習をしている光景はよくあります。
夜8時半頃地下鉄に乗っていると、
大きなスポーツバッグを抱えた高校生たちが、
疲れた様子で椅子に座っているのをよく見かけます。
いつ晩御飯を食べるのやら・・・
それ以上に、いつ勉強するのやら・・・
もっと言えば、部活動を指導している先生は、
いつ帰宅できるのでしょうか・・・
部活動は教師の本来業務ではないと思います。
本来業務でないものが、
最もなすべき仕事である授業を圧迫していることになります。
これは文部科学省とか、
各市の教育委員会レベルで対応できることだと思いますが、
たとえば夕方5時以降の部活動は原則禁止とする通達や条例を出せば、
教師にとっての本来業務である授業、
児童生徒にとっての本来業務(?)である勉強(や遊び)をもっと大事にできます。
諸外国(ヨーロッパ等)では、スポーツ活動は地域のスポーツクラブが担います。
放課後、学校から離れた場所で、ほかの学校の児童生徒と一緒に、
やりたい人はスポーツ活動をすればいいわけです。
学校で部活動を半ば強制するから、
それがいじめの温床にもなりやすいのでは?
番組では、もっとこの面にも着目してほしかったし、
もっと言えば、甲子園の高校野球を頂点とした、
学生スポーツのあり方にも言及(というより、自己批判)してほしかったです。
(朝日新聞やNHKが感動するスポーツとして高校野球を報道し続けるのが、
部活動体制の元凶ともいえます。)
番組を観て思った、教育環境の改善策としては・・・
①学校からスポーツ系の部活動を切り離す。
地域のスポーツクラブを育てる。
(これは番組には出てきませんでしたが・・・)
②様々な文書作成や会議の時間、不必要な研修を短くする。
雑用に近い校務分掌は事務員や用務員を増やすなどして対応する。
③教育にかける予算を増やすことが政治家の票につながるようにする。
(有権者の意識改革ですね!)
④長時間労働がしにくい環境作り
(夜7時を超えると超過勤務手当を支給→できるだけ減らすよう圧力)
⑤地域の協力(地域人材の活用など)
⑥最後は、授業力ですね!
(番組のシメにも出てきました。)
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