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2014年3月17日 (月)

シューマンのピアノ協奏曲イ短調Op.54聴き比べ〜本命はグリモー旧盤とリパッティ盤・・・

先日、大型書店のクラシック音楽に関する書籍コーナーで、
ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』という本を見つけました。
著者は青山通という方。出版社はアルテスパブリッシングです。
(↑著者によるブログ記事あります。ブログ名:東京エンタメ日記
ウルトラセブン関連の記事が多数あります。他に、コンサートの記録などです。)


 



 


 


内容は、著者が7歳の時にリアルタイムで放送していた、
「ウルトラセブン」の最終話に使われていた音楽である、
シューマンのピアノ協奏曲の第1楽章の音源を探し当てるまでの奮闘がメインです。
(ウルトラセブンが好きな人にはオススメかも・・・)
当時はインターネットはおろか、VHSビデオさえまだ存在しない時代です。
そんな中で試行錯誤しながら、なんと7年もの年月をかけて、
ようやく探し当てたのが、
リパッティのピアノ、カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏だった・・・
その執念には敬服しました。
リパッティの演奏については後で述べるとして、
確かに幼い頃再放送で見たウルトラセブン最終回では、
シューマンの音楽が始まると同時に、光と影のコントラストになり、
非常に忘れがたいものがありました。
今回改めて動画で見ても、特撮の名場面の一つではないかと改めて認識しました。


 


 


ウルトラセブンとシューマンのピアノ協奏曲イ短調


 


 


さて、本題の、シューマンのピアノ協奏曲の聴き比べに移りましょう。
つい先日まで我が家にあるシューマンのピアノ協奏曲のCDは4種類でしたが、
上記で紹介した本に触発され
(結局本は買っておらず、立ち読みで済ませたわけですが・・・)、
リパッティ(P)/カラヤン指揮フィルハーモーニア管弦楽団盤も買って、
5種類となりました。


 


録音の古い順→各楽章の演奏時間を記載します。


 


リパッティ(P)
カラヤン指揮フィルハーモニア管(1948)MONO EMI
1;14:24
2;05:05
3;10:12


 


アニー・フィッシャー(P)
クレンペラー指揮フィルハーモニア管(1960、1962)EMI
1;15:16
2;05:39
3;11:21
(クレンペラーの「協奏曲集」CDBOXに収録)


 


ネルソン・フレイレ(P)
ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘン・フィルハーモニック(1968)
1;15:16
2;05:34
3;10:46
(カップリング;グリーグ:ピアノ協奏曲)


 


エレーヌ・グリモー(P)
ジンマン指揮ベルリン・ドイツ交響楽団(1995)
1;14:54
2;05:05
3;10:30
(カップリング;R・シュトラウス:ブルレスケ)


 


エレーヌ・グリモー(P)
エサ=ペッカ・サロネン指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2005)
1;15:00
2;05:40
3;10:26
(カップリング;クララ・シューマンの歌曲、ブラームスの曲)


 


この曲に思い入れがある人なら、
たぶんアルゲリッチ盤とか、リヒテルやツィメルマン盤を挙げるかもしれません。
実は、リパッティ盤とグリモーの旧盤を除けば、
シューマンの曲を聴きたいからではなく、
カップリングでシューマンのピアノ協奏曲が入っていた、という程度でした。


 


アニー・フィッシャー(P)クレンペラー盤は、
一回聴けば十分かな・・・
胃もたれするようなテンポ感で、ブラームスの曲みたいです。


 


グリモーの新盤は、結構期待していたのですが、
オーケストラが冷たすぎるというか、
美しいけれど血が通っていない演奏です。
(1枚のCDを構成するやり方はグリモーの美学があって独特ですが・・・)
この2枚については推薦なしです。


 


意外によかったのが、ネルソン・フレイレ(P)、
ケンペ指揮ミュンヘン・フィルハーモニク盤です。
このCD、グリーグのピアノ協奏曲を聴くためだけに買ったもので、
今回初めて、このCDのシューマンのピアノ協奏曲を聴きました。


 



 


 


ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」に対して、
「ピアノ協奏曲の女王」的なイメージ
(初演者がクララ・シューマンだし・・・)があるのは事実です。
しかしこのCDは、きわめて剛毅な、男性的な演奏です。
なおかつ繊細さも併せ持つ、隠れた名演ではないでしょうか。
オーケストラ伴奏も質実剛健です。


 


グリモーの旧盤は、長らく私の愛聴盤でした。
この曲の素晴らしさに初めて気付かされたCDです。
特に第2楽章から第3楽章への高揚感、
第3楽章終盤の美しさは何度聴いてもすばらしいものです。
(シューマンのピアノ協奏曲で一番好きな楽章は、
第3楽章です。特に終盤、
だいたい9:30〜10:00ぐらいのところは、
美しい夕焼けをバックに川のそばを走っていく人が見えるようです。
たぶん、青春のイメージなのでしょうね・・・)
ちなみに、カップリングのR・シュトラウス;ブルレスケは、
未だに聴いていません・・・


 



 


 


リパッティ盤は、第1楽章、第2楽章が名演です。
もちろん第3楽章も、前述のところ以外なら名演といえます。
(その部分だけちょっと残念・・・)
モノラル録音とは思えないほど状態のいい録音です。
ピアノの素晴らしさでは他を圧倒すると思います。
カラヤンの指揮もスケールが大きく、見事なサポートとなっています。


 


リパッティの名前は以前から知っていましたが、
モノラル録音というのがネックになって、
どうも敬遠していました。
(演奏が素晴らしくても、
たとえばパブロ・カザルスによるバッハの無伴奏チェロ組曲などは、
音が悪くて聴くのが苦痛です・・・)
今回手に入れた7枚組のCDBOXでは、
EMIに残された録音の集大成となっています。
今回紹介したシューマンのピアノ協奏曲や、
ショパンのワルツなどは絶品です。
(モノラル録音であるのも忘れるほど・・・
時々音の濁りが出てふと現実を思い出しますが・・・)


 


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