書評:谷岡一郎著『「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ』 (文春新書) 〜人間、この騙され易き者・・・
本来は社会学というおカタイ分野の本なのですが、
オモシロイので、つい一気に読んでしまいました。
谷岡一郎著『「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ』 (文春新書) です。
新聞やテレビなどで報道される社会調査の過半数は「ゴミ」だ、と著者は断言します。
本書で取り上げられる統計ネタは1990年代までのものがほとんどですが、
ネタは変われども新聞社・マスコミ・官公庁や学者、
一部の社会運動グループのあざといやり方は全然変わっていないのだと、
呆れ返ってしまいました。
人間、この騙され易き者・・・
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
各種世論調査、性体験・セクハラの数、反戦平和活動、
米軍基地の移設問題・・・
いろいろな統計やアンケートが発表・報道されますが、
本当に世論を反映したものといえるのかが根本的に問われています。
実のところ、「初めに結論ありき」ではないでしょうか?
結論に合うデータをうまく誘導(場合によっては捏造?)しているだけ・・・
本書では、出てきた統計の根拠をとことん追求し、
実は「ゴミ」(本来無意味な・作為的なデータ)に過ぎないことを論証します。
大新聞社の調査を「ゴミ!」と一刀両断する爽快さ!
一方で、いかに私自身、これらの本来は根拠が無い統計数字に踊らされていたか、
恥ずかしい限りでした・・・
たぶん私も、東日本大震災と福島の原発事故がなければ、
新聞やテレビから垂れ流される情報を鵜呑みにしていたままだったと思います。
しかし、マスコミは実は「マスゴミ」でしかなく、
受け取る我々が情報をきちんと精査する必要があることを痛感しました。
だからこそ、今回読んだ『「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ』 のような本のスゴさが、
ようやくわかるようになった次第です。
著者が第5章「リサーチ・リテラシーのすすめ」で述べているように、
できるだけ多くの人が、ぜひ本書を手にとって、
マスゴミや政治団体の、
根拠が乏しい数字に踊らされないようになってほしいと願います。
統計数字の根拠を疑え!
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