愛しているからアタリマエ、でいいのか?〜NHKEテレ・エデュカチオ!「子どもと話せてますか?レンアイと性のこと」(2014年2月22日放送)
NHKEテレで月に1回放送されている、
「エデュカチオ!」という番組をたまに観ています。
(自分が興味ある回だけですね。)
2014年2月22日放送では、
「子どもと話せてますか?レンアイと性のこと」と題して、
現代の中高生の性事情や、学校での性教育について特集していました。
私は番組の最初の方で、
俳優の東山紀之さんが、
「性について自分の子に教えるとしたら」を語っていたのが、
すごく妥当な意見だと思いました。
本来、「性」は「心」を「生」かすと書いて「性」なのですね。
良く用いれば、とてもすばらしい、神様からの贈り物なのです。
(あっ、とりあえずは、一旦キリスト教的見解はおいておきます。
後で述べます。)
番組では、
「我が子に何歳ぐらいで性体験をしてほしいか?」(だったかな?)
という独自アンケートを子を持つ親たちに実施していました。
それによると、10代後半ぐらいというのが圧倒的な意見でした。
親もトンデモナイのかな・・・
ついでに、「誰が性教育をすべきか?」というアンケートも。
「学校」という回答が一番多かったです。
親の責任放棄?
あと、10代の娘の妊娠に気づかない親の事も取り上げていました。
親子関係の希薄化ですね・・・
性感染症やデートDV、番組終盤ではおじからの性的いたずら、
性同一性障害の事も少しだけ触れられていました。
早すぎる性体験については、「自己肯定感の欠如」が原因、
という指摘はもっともだと思いました。
学校での性教育については、戦前からの純潔教育を批判的に取り上げ、
「性の自己決定権」と「正しい科学的知識」が大切、とまとめていました。
避妊具の使い方を教え、正しい避妊ができれば、
誰とセックスしてもOK、愛していればアタリマエ・・・
NHKさん、今回の放送を裏読みすれば、
「正しい避妊の知識を得て、安全なセックスを10代から楽しみましょう!
愛していればセックスなんてアタリマエじゃないですか」
ということを言いたいのでしょうか・・・
学校での性教育は、現在では「性の自己決定権」にもとづき、
男性器・女性器の仕組みと、避妊・中絶の仕方を教えるのが多いようです。
私自身は、性器の概略及び体の変化と、
あってはならないけど、
避妊の仕方は必要悪として一応教えておいた方がいいかと思います。
(学校で教えられているにも関わらず、
10代の妊娠・中絶が多いのは残念です。効果に乏しい、という証明ですね。)
しかしそれ以上に、本当の意味で、
自分を大事にする、相手を大事にするとはどういうことかを、
きちんとおしえなければいけないと思います。
本来、未成年者のセックスは飲酒・喫煙並に有害である、ということです。
性行為をする→子どもが生まれるかもしれない→
経済的基盤・本当の意味で自己責任をとれるか?
当たり前のことですが、キレイ事の「愛」だけでは、
子どもは育てられないわけです。
カレを引き止めたいから、望まないけど、仕方なくセックスする、
というのが、本当に幸福なことなのでしょうか?
それはカレの性欲処理のはけ口に自分を貶めていることになります。
セックスの切れ目が縁の切れ目になりかねません。
本当にそれが、相手が自分を大切にしてくれている、ということでしょうか?
親の役割としては、男女の付き合い方とか、
家庭を持つことの責任と幸福、そういった、学校では教えられないことを、
(学校では、一般的な知識は教えられても、
「何が幸福な生き方か」までは、教えられないわけです。)
しっかりと伝える必要があります。
番組の話から離れます。
キリスト教的視点から観た、性教育について少し触れておきましょう。
今回の記事を書く前に、
国際基督教大学の町田 健一氏の研究論文
「危機に立つキリスト教主義学校の性教育 ~キリスト教
学校・カトリック学校調査から可能性と課題を考える」を読みました。
キリスト教主義の学校でさえ、性教育は形骸化している実態を暴いたものです。
著者の以下の主張はもっともだと思いました。
論文から引用します。
(引用)
第三に,キリスト教教育としての性教育の重要な使命,伝えねばならないメッセージをどう捉えているかである.自信を持って「ABSTINENCE」,結婚まで待ちなさいと言い切る指導をしているキリスト教学校が少ないことが気になる.キリスト教学校が最も大事にすべき教育課題,それゆえ,聖書科教師に負う所が大きいのであるが,「避妊教育」でもなく,「性感染症・エイズ脅し教育」でもなく,「人を愛する」とはどういうことなのか,キリスト教の倫理観・価値観に根ざした,“相手に最も誠実になるべき”「性」について語って欲しい.それらは,繰り返すがキリスト教教育の重要な教育課題である
(引用終)
論文の註で出ているところも気になりました。
(引用)
事例として,キリスト教学校の現高校3年生からの手紙の抜粋を記す.「付き合っている2人でいたらすることってセックスくらいしかない,と友人が言っていて,・・・大人が知っているよりはるかに現実男女交際は乱れています.保健の授業でもコンドームの用い方は念入りにするのに,人格的な性の交わりや愛の話しはこれっぽっちもなく,授業後先生に話しにいったら,それはちょっと堅すぎるんじゃない?と軽く流されました.キリスト教主義の学校でさえ,表では異性と外泊したものは退学と言いながら,授業では責任を持ってしっかり避妊をして,などと教えているのです.現代の若者(大人たちも?)の性の乱れは,正しい性教育(価値観や倫理観の部分を含め))がされていないことが大きいなと思ったのです」また,ICUには多くのキリスト教主義学校出身者が在席しているが,それぞれの学校における同様の問題を指摘する学生が多い
(引用終)
聖書的な家族観をとる「ファミリー・フォーラム・ジャパン」では、
「アブステナンス教育」(結婚するまで性交渉を待つ)を主張しています。
「今こそ必要とされる「アブステナンス教育」 椙井小百合 & 編集部」
という記事から引用します。
(引用)
「若者の性行動の活発化が目だってきた」と言われて久しくなります。文部科学省、厚生労働省では、それぞれの立場に立った若者の性教育を行なっていますが、その効果の程は…?と言われると、さしたる成果は上がっていないように思えます。
実際、10代の性感染症、望まない妊娠、中絶など統計上の数字も上がっています。(近年、10代の中絶数は若干下がりましたが、それでも、先進国の中では高い数値です。)当然、子どもの教育に直接たずさわっている教師の中にも、この事態を何とかしたいという思いが起こっています。
それなのに、学校での性教育は、「性の自己決定力をつける教育」つまり、性感染症、望まない妊娠を避けるために「いつ、誰と、セックスをするのか、しないのか、その力をつける教育をするべきだ」という考え方がいまだに一般的です。この「自己決定力」を与える教育は、1960~70年代にアメリカで行われていた道徳教育で、今日のアメリカでは「失敗」とされている教育方法です。
「教師(大人)には、何が正しくて何が悪いのか教える権利は無い。」
この考え方が性教育にも取り入れられているのです。生徒たちは、中学生、高校生の性行為はいけないとは教えられません。その代わりに、「知識として科学的に『性』を教え、権利としての『性の健康』を保障すれば、子ども達は自分で価値観を身につけ、自分で責任をもって性行動をとっていく。だから性交に関しても避妊に関しても、包み隠さず、科学的に教育していくことが大切だ。それも早い時期から始めれば、子ども達は『自己決定』して行動できるようになる」というのです。
一般的には「包括的性教育」と呼ばれているものですが、これは善悪の基準も、異性との付き合い方も「自分」で決めるわけですから、望まない妊娠、性感染症を避けるためにはコンドームを使うこと、ピルの服用を勧めるこが欠かせないものになってきます。そして、この中に結婚についての学びはありません。
むしろ、従来の「結婚観」に縛られた考え方をしないように教育します。避妊と人工妊娠中絶も個人の権利だ、という考え方が一般化してきた現代、性行為が結婚や出産とは切り離されているのです。そして、ただ、「権利」として性の快楽を求める性行為が、当たり前のように浸透しています。
(中略)
性教育の講演会が子ども対象にあったら、たとえ父兄の参観を呼びかけていなくても、子どもと一緒にその話を聞けるよう、学校にお願いしてみましょう。
ただ頭ごなしに、学校の性教育を批判するのではなく、親も一緒に話を聴き、学校から帰ってきた子と「今日の話、どう思った?」などと会話をすることです。その中で、親から子へ聖書に基づいた価値観、道徳観を伝え、世の中の問題にどう対処していったらいいのか、子どもと一緒に話し合う機会を多く持つのです。そうすると、子どもの中に親に対する信頼感と安心感が生まれます。性の話題に限らず、「親との会話の多い子には、性行動が少ない」という統計があります。
「自分は失敗したから、子どもにえらそうなことは言えない」と感じる人もいます。しかし、失敗から学ぶことが出来るのも、人間の素晴らしい所です。親のすべての過去を子どもに言う必要はありませんが、正直な告白ができたなら、子どもの魂に必ずや残ることでしょう。親の訓練によって、子どもの中に、神に従い善悪を判断し、行動する人格が育ちます。そして、成長していく我が子から親も教えられます。神さまを土台とした、人格のふれあいの中で、神のみこころにかなった人間性が育ちます。
思春期、青年期に一番誘惑の多い「性」に対する教育で、親としてはっきりとしたいのは、「アブステナンス」の立場、「結婚するまで性交渉を持たないこと」です。
(引用終)
性感染症を避ける一番いい方法は、避妊よりも、「しない」ことです。
最近、子宮頸がんワクチンの副作用が問題になっています。
→子宮頸がんワクチン「サーバリックス」副作用の真実
→HPVワクチンとアブステナンス教育
10代での性体験を前提としたワクチン接種で、下手すると一生を棒に振るよりも、
結婚するまで待つ(最低でも「オトナ」になるまで待つ)方が、
よほど確実ですばらしいことだと思いますが、いかがでしょうか?
参考までに・・・ティーン向けの性についての本を一冊紹介します。
クリスチャンの助産院院長の方が書いた本で、私も感銘を受けました。
『ティーンズのための命のことが分かる本 ~生と性のはなし~』
(いのちのことば社)です。
ティーンズのための命のことが分かる本 ~生と性のはなし~
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