『赤毛のアン』(Anne of Green Gables)再読〜松本侑子訳で
『赤毛のアン』は私の読書人生を語る上で、
ぜひとも外せない一冊です。
中学3年の冬、村岡花子訳の『赤毛のアン』(新潮文庫)を
ふと書店で手に取ってから、
私の世界文学踏破の旅が始まりました。
それ以前もある程度の読書家ではありましたが、
(星新一のショートショートとか大好きでしたが・・・)
『赤毛のアン』を読んでから、
すっかり海外小説のトリコになってしまいました。
(文学史に残る海外の小説を読むことを通して、
ついには永遠のベストセラーである『聖書』に辿り着いたわけです・・・)
それはさておき、『赤毛のアン』は、
実は高校生の時以来、一度も読み返したことがありません。
(原作を読んでから、世界名作劇場のアニメを全話観ましたが・・・)
最初に読んだ時の印象があまりにも鮮烈であり、
あえて神聖なものにしたかったからかもしれません。
頭の中に、すっかりアヴォンリーの地図が描けるような感じでした。
でもそれは遠い昔のこと。
最近では記憶が色あせてしまいました。
妻に、2013年のクリスマスプレゼントとして、
世界名作劇場の「赤毛のアン」のDVDセットをプレゼントしたことは、
既に記事を書きました。
→世界名作劇場「赤毛のアン」DVDボックス、ついに購入〜!〜妻へのクリスマスプレゼント2013第一弾
プレゼントしてから第1話のみ、一緒に観ましたが、
(手に入れた安心感からか、後はまだきちんと観ていません・・・)、
美しい映像を観ているうちに、やはり原作をもう一度読んでみたい、
という気持ちになりました。
再読するなら、既に読んだ村岡花子訳ではなく
(思い出深いものがありますが・・・)、
詳細な注で知られる、松本侑子訳(集英社文庫)でぜひ読んでみたいと思いました。
松本侑子訳は、記憶にある限りの村岡花子訳と比べると、
少し冷めた感じがしました。
しかしだからこそ、『赤毛のアン』が単なる少女小説ではなく、
普遍的な価値を持った、大人も十分に堪能できる立派な文学作品であることを、
改めて実感しました。
この訳のすばらしいところは、やはり豊富な訳注です。
聖書やシェークスピア、当時の有名な詩から諺まで、
見事なまでに文の背景にある引用元を明らかにしています。
『赤毛のアン』を初めて読む人は、あえて訳注を読まなくても、
十分に物語を楽しむことができますので、
よほどでない限り訳注は読み終わってから読むことをオススメします。
既に読んだことがある人は、章を読む前か後にまとめて訳注を読んだ方が、
物語の流れを損なわずに作品の奥深さを知ることができます。
たとえば、第36章の見出しが「栄光と夢」とあるのがどうしてか、
私にとってはようやくわかりました。
松本侑子訳で『赤毛のアン』を読み返してみると、
私も年をとったせいか、
アンの心情よりも、
マリラやマシューの心情の方により深く共感しました。
また、物語後半からの、アンのギルバートへの思いも、
昔読んだ時よりも切実さ、せつなさが実感できました。
100年以上も読み継がれ、
そしてこれからも読み継がれるであろう傑作であることを再認識できました。
松本侑子訳の『赤毛のアン』とは関係ありませんが、
そういえば、2014年4月からのNHKの朝ドラは、
「花子とアン」ですね。
"Anne of Green Gables"を「赤毛のアン」と意訳した慧眼が、
日本における「アン」人気の源なのでしょうね。
(原題の「緑の切妻屋根のアン」そのままだったら、
日本でこれほどの人気作になっていたでしょうか?
ネーミングというのは大切ですね。)
松本侑子訳(集英社文庫)
村岡花子訳(新潮文庫)
世界名作劇場「赤毛のアン」DVDーBOX
村岡恵理著『アンのゆりかご―村岡花子の生涯 』(新潮文庫)
※NHK朝ドラ「花子とアン」原作
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