カトリック新聞の見識を疑う〜ヘイトスピーチのような読者の「声」を載せる時代錯誤・・・
先日、カトリックの知人から、
カトリック新聞のバックナンバーを頂きました。
たいして読む記事などないですが、一応目を通しました。
その中で、一般の新聞での「読者の声」に相当する、
「声」という欄を何気なく読んでいると、
こんな投書があったのにはびっくりしました。
2013年9月22日発行のものです。
氏名を除いて、参考までに、投書を全文掲載します。
(引用)
プロテスタント容認は教会否定
(所属・氏名・年齢が実名で書かれています)
7月21日付本欄(注:この「声」欄)に掲載された「分裂した教会の一致を切に願う」と題する投稿の中の「ルーテル教会でもカルヴァン・改革派でも、とにかくカトリックと同じキリスト教・・・」という認識にはびっくりしました。
キリスト教の名に値する教会は「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」のみであり、この条件を満たさない宗教組織はいかにキリスト教を自称しても、「似非(えせ)キリスト教会」でしかありません。
アウグスティノ会の一修道司祭マルティン・ルーテルが、時の教皇レオ10世の教導に従わず「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」から飛び出して以来、マルティン・ルーテルとその亜流の人々は自らを権威の座に付けて、さまざまなプロテスタント教会を創設してきましたが、プロテスタント教会はまさに「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」ではないので、「カトリックと同じキリスト教」ではありません。
「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」を信じる、と言いながら、プロテスタント諸教会を容認することは、いかにも寛大で人道的な態度に見えますが、実は「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」を否定しているのです。
(引用終)
この投書をした人、自ら正統なカトリック信者を自称しながら、
第2ヴァチカン公会議の精神を全然理解しない偏狭な人なのでしょう。
たとえば、ルーテル教会とカトリック教会は、
1999年に、「義認に関する共同宣言」に調印しています。
お互いが異端呼ばわりする時代は、時代錯誤のものなのです。
→ルーテル世界連盟とバチカンが宗教改革500周年を前に歴史的文書を公表
(日本福音ルーテル教会のHPから)
→「義認の教理についての共同宣言」の調印
(南山大学図書館カトリック文庫通信)
義認の教理に関する共同宣言
それはともかく、個人レベルでは、
投書した人とたいして変わらない考え方をしている人が多いのは事実でしょう。
(プロテスタント的なものはなんでもNG・・・のたぐい。
※残念ながら、福音派や聖霊派で、
カトリックを異端扱いするところもありますけど・・・)
だからといって、こういう投書を、
カトリック新聞という、
日本のカトリック教会の公式声明ともいえる所に載せる必要があるのでしょうか?
私は投書主の考えを批判するつもりはありませんが、
これを掲載したカトリック新聞社の見識を疑いました。
いただいたカトリック新聞は2013年7月〜9月のものなので、
他のも読むと、同じ投書主による、
似たような内容の投書が2013年8月18日にも掲載されていました。
厳密に考えてみましょう。
投書主が主張する、
「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」というのに、
現在のカトリック教会が本当に該当するでしょうか?
たとえば、1600年代に成立した「イエスの聖心」のような信心、
過度なマリア信仰・聖人崇敬のどこが「使徒継承の」といえるでしょうか。
「一にして」は、歴史的に言えば、
1054年以来の東西教会の分裂以来、存在しないものなのです。
正統性、というなら、正教会の方がよほど「使徒継承」に近いといえます。
投書がこんな類のものしかない、極めてお粗末な状態だ、というなら、
無理して載せる必要がないはずです。
ヘイトスピーチ(憎悪表現)さながらの投書でも載せないと、
紙面が埋まらない、とでも言うのでしょうか。
カトリック教会とプロテスタント・正教会のエキュメニズムが進められることこそ、
時代の趨勢のはずなのに、
第2ヴァチカン公会議以前の「(カトリック)教会以外に救いなし」を主張するなら、
ヴァチカンの意向とも反するはずです。
カトリック新聞の編集長は即刻辞任すべきなのでは、とさえ思いました。
時代錯誤な考えを掲載して熱心さと勘違いする、
日本のカトリックの恥さらしをやめるべきです。
兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。
(新約聖書ローマの信徒への手紙12:10新共同訳)
カトリック、プロテスタント、正教会は、
キリストにあって兄弟なのです。
強調点の違いはあっても・・・
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