映画「サガン -悲しみよ こんにちは-」(原題:Sagan)と、旧約聖書の「コヘレトの言葉」〜人生を満たすものとは?
2013年9月22日(21日深夜)に、テレビ北海道で、
フランス映画「サガン -悲しみよ こんにちは-」(原題:Sagan)
が放映されていました。
先日紹介した映画「ルルドの泉で」(原題:LOURDES)で、
難病女性を演じたシルヴィ・テステュー(Sylvie Testud)が、
20世紀後半のフランスを代表する作家、
フランソワーズ・サガンのデビュー当初(18歳!)から最晩年までを演じています。
DVD
小説『悲しみよこんにちは』
ベストセラー小説『悲しみよこんにちは』で一躍富と名声をモノにしたサガン。
しかし晩年は度重なる浪費の末に生活は困窮していたようです。
映画冒頭は、老いさらばえたサガンが住み慣れた屋敷を手放すところから始まります。
老いたサガンが生涯を回想する、という形で映画はあれよあれよと進みます。
まるで走馬灯のように・・・
展開の速さに多少ついていけない面がありました。
莫大な富と名声があっても、心は常にむなしく、
ドラッグやギャンブル、酒、派手な交友、男女の愛人など、
金にモノを言わせてやりたい放題の日々ですが、悦びはつかの間・・・
どこまでも心は満たされることはありません。
主演のシルヴィ・テステューの演技が見事です。
作家の心の空洞、倦怠感などを見事に体現していました。
しかし映画そのものは、どうも主人公サガンにまったく共感できないまま、
没落の道を歩むだけ、というなんとも観ていてやりきれなくなってしまいます。
最後の方はさすがに退屈してきました。
サガンの実生涯と映画はまた別物なのかもしれませんが、
映画を見終わってから、旧約聖書の「コヘレトの言葉」を思い出しました。
伝統的にはソロモン王が著したものとされますが、
実際のところはわかりません。
「コヘレト」とはわかりやすく言えば、現在の牧師みたいな人といえます。
人生のむなしさや不条理を深く知った賢人が書いたものでしょう。
2章では、あらゆる快楽や事業、知恵を追求した果てに得たのは、
「しかし、わたしは顧みた
この手の業、労苦の結果のひとつひとつを。
見よ、どれも空しく
風を追うようなことであった。太陽の下に、益となるものは何もない。」
(コヘレト2:11新共同訳)
「太陽の下、労苦してきたことのすべてに、わたしの心は絶望していった。」
(コヘレト2:20新共同訳)
「まことに、人間が太陽の下で心の苦しみに耐え、労苦してみても何になろう。」
(コヘレト2:22新共同訳)
という悲嘆でしかありませんでした。
作家フランソワーズ・サガンの心の中の叫びのようにも思えます。
結局、どれだけの富や名声があったとしても、
心のなかに、感謝の心・足る事を知る心がなければ、
むなしいものなのです。
食べる物と着る物があれば、わたしたちはそれで満足すべきです。
(新約聖書テモテへの手紙一6:8新共同訳)
たくさんの善いもので満たしてくださっている神様に感謝!
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