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2013年6月13日 (木)

根拠薄弱な実験を報道したNHKの怠慢〜NHKニュース「「人は本来は善人の可能性」の実験結果」(2013年6月13日放送)

2013年6月13日早朝のNHKニュースを、朝の支度をしながら見ていると、
???と思うような内容の報道がありました。
「人は本来は善人の可能性」の実験結果」というものです。

(NHKサイトからニュース記事全文引用)
赤ちゃんに図形を使っていじめの様子を見せたところ、赤ちゃんはいじめられた側に関心を示すとする実験結果を京都大学の研究グループが明らかにしました。グループでは「赤ちゃんが弱い立場の側に同情的な態度を示した結果で、人は本来、善人である可能性を示唆している」としています。

これは、京都大学大学院の鹿子木康弘特定助教らの研究グループが発表したものです。
研究グループは、ある図形が別の図形を攻撃していじめている様子をアニメ-ションで描き、生後10か月の赤ちゃん20人に見せました。このあと、赤ちゃんにアニメーションと同じ図形を選ばせたところ、80%に当たる16人がいじめられた側の図形を選んだということです。
研究グループでは、弱く苦しい立場の側に同情的な態度を示した結果と解釈できるとしています。グループでは、大人を対象に同じような実験を進めていて、大人では、いじめられた側に同情する割合が少なくなる傾向があるということで、鹿子木特定助教は「人は本来は善人である可能性を示唆している」と話しています。

(引用終)

報道された内容は、上記ニュース記事の元記事に、動画がありますので、
ぜひご覧になってください。

京都大学大学院の方が発表したからといって、
何でも信頼できるわけではない、という見本のような報道です。
素人目に見ても実に根拠薄弱な実験と言うしかないですね。
性善説を唱えた孟子が生きていれば、喝采するかもしれませんが・・・
「はじめに結論ありき」の実験ではないでしょうか?

青い球が黄色い四角を追い立てていく、時に攻撃するものを、
生後10ヶ月の子が、そもそも「いじめ」と認識できるのでしょうか?
映像だけみても、それは研究者の思い込みに過ぎないものでしょう。
まして、「人は生まれつき善人である可能性」なんて結論にはなりえないものです。
言葉による刷り込みだって可能性があります。
せいぜい、この実験から導きだせるのは、
乳幼児は追われるものを好む、というぐらいの結論が妥当でしょう。

銭形警部がルパンⅢ世一味を追いかける、
あるいは「トムとジェリー」でトムがジェリーを追いかける
というシチュエーションに置き換えてみれば、
必ずしも強いものが弱いものを追う=いじめ、という図式は成り立たなくなります。

いじめ問題で研究をすれば政府かどこかの宗教団体とかあたりから、
研究費・補助金でももらえるから、こんな実験を発表したのでしょうか?
水は答えを知っている
(水にきれいな言葉や音楽を聴かせると、きれいな結晶ができ、
乱暴な言葉やロックを聴かせると、きちんと結晶しない・・・
→写真を撮っている人の主観的な選択が強いもので、客観性がありません。)
とかのトンデモ科学と大差ないと思います。

水は答えを知っている(サンマーク文庫)

一方、日本では憲法上学問の自由が保障されています(第23条)。
こういう研究がなされてもいいとは思います。
むしろ、報道する側に問題があるといえます。
原発事故の時に東大教授とかを引っ張りだして、
放射能汚染の問題を過小評価させた大罪を忘れたのでしょうか?
「東大話法」そのもの(研究者は京大ですが・・・)です。
NHKの見識を疑った報道でした。
いじめ問題を議論している政府に媚を売るにはいい報道なのかも知れませんが・・・

人の本質は善か、悪か・・・
古くは「性善説」の孟子や、
「性悪説」の荀子の論争から、
ルターとエラスムスの論争(自由意志か奴隷意思か?)とか、
諸説たくさんあります。
聖書的人間観はどちらかというと性悪説に近いものがあります。
そもそも善とは何か、悪とは何か、正義とは何か・・・
あるいはもっと限定して、
いじめとは何か・・・
こんな恣意的な実験で結論できるようなものではないことは確かです。

人の心は何にもまして、とらえ難く病んでいる。誰がそれを知りえようか。
(旧約聖書エレミヤ書17:9新共同訳)
善のみ行って罪を犯さないような人間は
この地上にはいない。

(旧約聖書コヘレトの言葉7:20新共同訳)
私自身は・・・性善説、性悪説どちらもとりません。
(もちろん、人の善なる部分を信じてはいますが・・・)
むしろ、快不快原則とか、功利主義的人間観に近いかもしれません。

この記事でちょうど1400本目となりました!
主なる神に感謝!
読んでくださっています読者の皆様にも感謝します。

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