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2013年3月15日 (金)

書評:奥田健次著『メリットの法則』(集英社新書)&『子育てプリンシプル』(一ツ橋書店)〜不登校問題等への有効なアプローチとなるか?

先日、著者の奥田健次氏がNNNドキュメントに出ていて、
その働きぶりに興味を持ち、
著書の『子育てプリンシプル』(一ツ橋書店)と、
メリットの法則』(集英社新書)を買ってみました。
(過去記事があります。)
NNNドキュメント’13「口は悪いが腕はいい…自閉症の子を救う男わが子に起きた奇跡」(2013年2月18日放送)

著者は、「行動分析学」を使って、次々と不登校や、
5歳未満の子の自閉症・発達障がいに伴う問題行動を次々と解決してきました。
不登校の問題といえば、いじめとか世の中の変化、
その他様々な「心の問題」が原因とされるのが定説ですね。
「心の問題」だから、「もう少し様子を見ましょう」といった、
「時がすべてを解決してくれる」かのような処方が出されやすく、
結局、不登校を長期化させている面があります。

メリットの法則』の、
第5章「行動は見た目よりも機能が大事」のP.129〜154において、
特に不登校の問題と、その解決方を見事に提示しています。
(もちろん、学校でイジメがない、というのをしっかり確認する必要がありますが・・・)
カウンセリングとか薬物治療といったものではなく、
親のしっかりとした意思さえあれば、おそらくどんな家庭でも実践可能なものです。
(ぜひ読んでみてください!)

従来、「心の原因」とか、「小さい頃のトラウマ」といったものに、
心理的な原因を求める事が多かった心理学。
しかし、難解な分析がたとえできても、
その人の問題行動を変えることができなかったら、意味がないか、
あきらめで終わってしまいますね。
「行動分析学」では、「心の中身」よりも、
行動に伴うメリットを探り、それを強めたり、弱めたりすることによって
(「アメとムチ」ならぬ「アメとアメなし」と著者は表現しています。)
行動を変える確かな指針を提案しています。
『メリットの法則』は「行動分析学とは何ぞや?」という入門書として、
とてもオモシロイものだと思います。

子育て世代の方々にとっては、
子育てプリンシプル』(一ツ橋書店)がオススメです。
「プリンシプル」とは「原理・原則」です。
子供のいいなりになる甘やかし親にとっては、実に耳の痛い本です。
要は、ルールが大事、ということなのです。
たとえば、「おやつのグミは1個だけ」と子に約束したら、
どれだけわめこうと、暴れようとも、「1個だけ」を徹底して守る・・・
(P.25〜31参照)

「子供は二十歳になったら家から出てけ」を3,4歳から子に言い続け、
自立を促す(P.85〜96)といったところなど、
今日の引きこもり・ニート対策に役立つと思いました。

メリットの法則』では、「好子」、「嫌子」、「行動随伴性」といった、
行動分析学の専門用語がたびたび出てきて、少しわかりにくいところもありますので、
子育てプリンシプル』から読む方をおすすめします。
不登校や子供のワガママに悩む親への「福音」となるかもしれません。


メリットの法則――行動分析学・実践編 (集英社新書)


子育てプリンシプル

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