ベートーヴェン・「第9」聴き比べ2012〜フルトヴェングラー・バイロイト盤(EMI)は今も「永遠の名盤」なのか?
師走の定番の一つといえばベートーヴェンの「第9」。
日本人はなんでこんなに「第9」が好きなのでしょうか。
クリスマスの宗教儀式に代わる擬似宗教なのかもしれませんね。
大阪では毎年「1万人の第9」なる一大イベントが開かれますね。
今年で30年目だそうです。
北海道でもテレビ番組として放送されていました。
演奏の光景をベートーヴェンが見たらどう思うのでしょうか?
少なくとも、私にとっては、やりすぎかな、と思います。
演奏が終わって、出演者たちが自分で「ブラボー!」と叫ぶ・・・
オーケストラを使った大規模なカラオケ大会、というのが実態なのでは?
(発音はいかにもカタカナですし・・・)
日本での第9の普及、という面では大きく貢献したイベントですが、
そろそろ役割を終えていいのでは、とさえ思ってしまいました。
それはさておき・・・
「第9」の名盤、といえば、
フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団(1951)のEMI盤ですね。
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」(フルトヴェングラー/EMI)
私も一昔前はこの盤こそ最高と疑わなかった方でした。
しかし、今年、十数年ぶりに、
「第9」のいろいろな盤(DVD・放送含む)を集め、聴き比べてみたところ、
バイロイト盤は今も「永遠の名盤」などといえるのか、と思いました。
(聴き比べたのは、妻が「第9」の合唱団員として歌うからでした。)
合唱はぼやけているし、最後のプレストはいくらなんでもやりすぎです。
ベートーヴェンだって、しっかり鳴らしてほしいから、
あのような楽譜にしたのでしょう。
某評論家から「交通整理だ」と揶揄されようとも、
ベートーヴェンの書いた楽譜を忠実に再現することこそ、
演奏家の使命ではないでしょうか。
今、手持ちのCDはバイロイト盤も含めて8枚、
DVDは3枚、NHKの放送録画は2作です。
(これでも、マニアから比べると全然少ないですね・・・
マニアだと、フルトヴェングラー指揮だけで十数枚、あるいは全部持っている、
といった人さえいます。「第9」だけで何十枚・・・)
フルトヴェングラー指揮のは2種類あります。
バイロイト盤よりも、
フィルハーモニア管弦楽団(1954)盤の方が録音・演奏ともすばらしいです。
ただ、昔ほどフルトヴェングラー指揮だから・・・ということで、
あまりありがたがることはなくなってしまいました。
「昔の演奏家は偉大だ!」とこだわる方は別として、
一般的には、録音のよい演奏をおすすめします。
ステレオ録音のCDなら、
次の4枚があれば十分でしょう。
1.バーンスタイン指揮ウィーン・フィル(DG)
堂々たる演奏で、祝祭的です。
SHM-CDなどの国内盤もありますが、この盤はSACDハイブリッド盤で、
しかも安価なのでオトクですよ。
5.1チャンネルサラウンド対応です。
2.ショルティ指揮シカゴ交響楽団(1986 DECCA)
私にとっての「第9」の標準的な演奏です。
3.フリッチャイ指揮ベルリン・フィル(DG)
バリトンのフィッシャー=ディースカウが空前絶後のうまさ!
これ以上の「O Freunde」はありえないです。
合唱はアルトパートがよく聴こえてきます。
輸入盤は1000円弱です。
4.ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ北ドイツ放送交響楽団
ソリストこそ存在感が薄い感じがありますが、
合唱、オーケストラ共に上記の中で今最も心ひかれる演奏です。
合唱をやる人なら、各パートがこの演奏ほどよく聞こえるのはないかも?
DVDは、アバド・BPO(2000)(※合唱は最美かも?)、
ヤンソンス・バイエルン放送交響楽団(2007)(※ローマ教皇の前での演奏)
というのもありますが、
最も気に入っているのは、
パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのものです。
これこそ、21世紀のスタンダードな「第9」演奏だとオススメできます!
年末には、毎年恒例のN響の「第9」が放映されますね。
今年は12月31日放送です。
今年の指揮はロジャー・ノリントン!
実際に2012年12月23日のコンサートに行った人のブログを
いくつも拝見しましたが、演奏が期待できそうな内容のようですね。
歴史のゴミをきれいに拭い去った、リフレッシュされた演奏のようです。
実に楽しみです!
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