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2012年11月20日 (火)

学校は部活や学校行事のためにあるのか?~釧路市の基礎学力保障条例への反対コメントの数々を読んで

以前、釧路市の基礎学力保障条例(案)について応援するための記事を書きました。
釧路市議会の「学力保障条例」案可決を応援しよう!
~釧路から、北海道から、全国のスタンダードへ!

釧路市議会にこの条例案を提案予定の、
釧路市議会基礎学力問題研究議員連盟が、
Yahoo!ブログでパブリックコメントを求めていました。
この記事を書いている現在、64ものコメントがありました。
(※注 11月21日以降、記事そのものが削除されたため、
本文、コメントともに見ることができません。)

一般市民の方は賛成の意見が多い中、
明らかに教員や大学関係者の方々は、揚げ足取りのような理由や
教員は忙しい」(!!!!)、といった理由で反対意見を書き込む方が多いようでした。
(ちなみに私は、釧路市民ではないので、コメントは控えました。)

この中で、一つだけすご~~く気になったコメントがありましたので、
紹介します。
みなさん、どう思いますか?

(引用)
部活で忙しく、学校行事で忙しく、帰宅は午後7時すぎです。
こんなに忙しいのに、これ以上なにかをやれというのは困ります。
教師だって人間です。労働者です。もっと休ませてください。
土日ないんです。学力向上なんてやっている時間ありません。
2012/11/10(土) 午前 0:40[ 無名 ]

(引用終)

何のために児童生徒は学校に行くのでしょうか?
部活のため?学校行事をこなすため?
あたりまえのことですが、勉強するために学校に行くわけですよね。
部活や学校行事は二の次、三の次です。
部活や学校行事が主で、勉強がおろそかになるなら本末転倒です!

帰宅は午後7時すぎです」とありますが、
民間企業と比較すれば、恵まれすぎているといえないでしょうか?
(教員でも、夜8時、9時までクレーマー親の対応をしているような人もいますし、
夜10時近くまで授業案に取組むような人も中にはいるようです。
一方、定時で帰る人もいますが・・・
定時で帰るか、残業をするかよりも、子どもたちの学力が保障されるのが大事ですね。)
生徒の学力向上よりも「もっと休ませてください」を求めるなら、
永久の休み(=退職)をいただいた方がいいのでは?

そもそも、本来おまけでしかない部活動が、
教師の土日返上、学力向上を妨げるようなものになっているなら、
是正する必要があります。

生徒ができるようになる・わかるようになる・テストでいい点がとれる、
という目に見える事実こそ、教師が自らの仕事の価値を実感する時です。
学力向上なんてやっている時間ありません。」なんてコメントは、
教師として自ら失格だ、と告白しているようなものです。

あと、学習指導要領の要求が高すぎる、などと書いた人も見受けられました。
これも現状認識ができていないものといえましょう。
現在の学習指導要領は、「最低基準」なのですから・・・
小学校に限って言えば、ただでさえ薄い教科書を、
たとえば算数なら1時間で1問だけ解くとかの
学力低下を招く教え方(算数の問題解決型授業)や、
壁新聞とかくだらない感想文を書かせて終わりとかの教え方こそ、
問われるべきものなのです。

現役教員は、上記コメントを書いたような人ばかりではないことを私は期待しています。

それはともかく、条例案ブログへのコメントは、
条例案そのもの対するコメントよりも、
何だかコメント者の持論の展開の場になって、
あまり建設的な意見がないようにも思えました。
教育関係者(と思われる方々)の志の低さにはガッカリでした・・・

ぜひ、ブログ「情熱空間」の記事もあわせてお読みください・・・
かみ合わぬ議論
(引用)
忙しい。
大変だ。

いいなぁ、忙しくて。
うちの会社は、残念ながら最近はヒマでさ。
うらやましいなぁ、忙しくて。

民間社会人同志の、ごくごくあたり前の会話です。

《追記》
ebisuさんのコメント。
なるほど、「常識」があまりにも違いすぎるわけですね。

議論がかみ合わないのは、ベースになっている「常識」に大きな違いがあるから。

教職員の常識と世間一般の常識が違いすぎる。
独りよがりで、論理的に破綻している世間知らずな議論が、基礎学力保証条例案のパブリックコメントに並んでいます。
おそらく危機感を感じた一部の党派に属する教職員関係の方々でしょう。

反対論には学力向上へ具体論(代替案)を述べたものがありません。
どういう常識をお持ちで、世間一般の常識とどれほどずれているか、これほど明確にした論の羅列は滅多にない。
学力問題の「抵抗勢力」のレベルがよくわかります。

問題は、一部の教職員の方々と一般社会人の間に「常識」の違いがあるということのようです。
釧路の教育を考える会にはじつにさまざまな職業の人々が学力問題に危機感をもちそれぞれ偶然の機会で集っています。教育の関心のある一般市民の代表と言えるでしょう。

(引用終)

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コメント

TOSS末端教師様、コメントありがとうございます。
当記事で紹介した、
「釧路市議会基礎学力問題研究議員連盟」の
条例案は、Yahoo!ブログで公開され、
コメントを受け付けていましたが、
コメント受付期間終了と共に、
記事自体が削除されてしまったのは、
実に残念なことです。
コメント受付ができないような形にして、
保存しておくべきだったのでは、と考えます。

釧路市の学力状況については、
ZAPPERさんのブログ「情熱空間」が詳しいです。
なぜこのような条例案を出すことになったのか、
手に取るようにわかりますよ。

北海道の公立学校における学力低下を、
北教組や部活動至上主義から解放するには、
もはや教師の個人的な良心に頼るだけでは
ムリであって、政治介入しかないのでしょうね・・・
TOSS教師のような存在が、
飛躍的に増えてくれるなら別なのでしょうけど・・・

 公開されていないのは残念です。見てみたかったです。
 TOSSなら基礎学力を保障する方法はみつかります。今年は本当に学力の低い子が多いのですが、漢字まとめテストでは33人中31人が90点以上とることができました。(2人は明らかに特別支援学級レベルです。写すのがやっとの子です。テストを受けさせるのはかえってマイナスと考え、写すだけにしました。もちろん親の了解は得ています。)

 
  忙しさをどう切り抜けていくかの仕事術も、TOSSの本やwebではいろいろ紹介されています。やる気になればできるはずなのに。
 私と考え方のベクトルがどこかちがうのでしょう。
 

 向山氏が、「オジジ」教師が若きTOSS女性教師を酒の席でいたぶったというセクハラ事件を本で糾弾したのもわかる気がします。ちなみに北海道での出来事だそうです。きっとごく一部の教師でしょうが。

ebisu様、コメントありがとうございます。
本当は、地道に学力向上を願い、
実践している教員の方も少なからずいるはずです。
しかし、声の大きい輩ほど、
何もしようとしない言い訳を実に巧妙に叫ぶワケですね・・・

今、読売新聞北海道版で連載中の「学力危機」でも、
「語彙数の不足」を問題にしていますね。
そもそも言葉の意味がわからないまま授業をすすめても、理解が図られないわけです。
今や本やマンガはおろか、テレビさえ見ないで、
ひたすらゲームに励む子も増えつつあります。
語彙数不足が授業の進度を妨げてしまうこともあるようです。
良質のテキストの音読を習慣づけるだけでも、かなり効果的だと思います。

もう少し建設的な意見が混ざっているものと期待していましたが、職業倫理が問われるようなひどいものが並んでいました。
現場には、生徒の学力向上に真剣に取り組んでいてくれている校長先生や教頭先生、それぞれの強化担任や放課後補習をしてくれているクラス担任がいらっしゃいます。
そういうかたたちは意見をあまり言うことなく、己の仕事をたんたんとこなしていらっしゃるのでしょう。
PTAと校長先生や他の先生達が協力するだけでやれることがあります。小学校の週3回の放課後音読授業です。良質のテクストを選んで小4に音読指導を1年間するだけで生徒達の学力は見違えるように変わることでしょう。

コメントありがとうございます。
結局、学力向上を妨げているのは誰なのか、
当事者の「生の声」を拾うことができた、
という意味では貴重でしたね・・・
お疲れ様です。

ご紹介ありがとうございます!

あきれるほど低レベルなコメントの数々には、ただ苦笑するのみでした。
まぁ、墓穴を掘ったわけですが。^^

この記事へのコメントは終了しました。

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