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2012年10月26日 (金)

夢心地の歌声~NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部- サンドリーヌ・ピオー ソプラノ・リサイタル -(2012年10月26日放送)

なんという美しい歌声!
久々に声楽のプログラムなのに聴きほれてしまいました・・・
(普段は声楽のプログラムはたいていパス、なのに・・・)
2012年10月26日放送のNHKBSプレミアム・クラシック倶楽部
サンドリーヌ・ピオー ソプラノ・リサイタル」です。
収録は、2012年9月20日、東京・王子ホールです。

放送されたプログラムと、実際のプログラムを転載します。

放送版
(NHK番組表から引用※演奏者は省略)
「月の光 作品46 第2」
(作曲)フォーレ(作詞)ヴェルレーヌ
「夢のあとに 作品7 第1」
(作曲)フォーレ(作詞)ビュシーヌ
「夜の歌 作品71 第6」
(作曲)メンデルスゾーン(作詞)アイヒェンドルフ
「もう一つの五月の歌(魔女の歌)作品8 第8」
(作曲)メンデルスゾーン(作詞)ヘルティ
「魅惑と魔法の森で 作品36 第2」
(作曲)ショーソン(作詞)モレアス
「時間 作品27 第1」
(作曲)ショーソン(作詞)モクレール
「あすの朝 作品27 第4」
(作曲)リヒャルト・シュトラウス(作詞)マッケイ
「ひめごと 作品17 第3」
(作曲)リヒャルト・シュトラウス(作詞)シャック
「夜 作品10 第3」
(作曲)リヒャルト・シュトラウス(作詞)ギルム
「セレナード 作品17 第2」
(作曲)リヒャルト・シュトラウス(作詞)シャック
「絞首台の歌から 月での出来事」
(作曲)ヴァンサン・ブーショ(作詞)モルゲンシュテルン
「絞首台の歌から 水」
(作曲)ヴァンサン・ブーショ(作詞)モルゲンシュテルン
「絞首台の歌から 絞首台の子供の子守歌」
(作曲)ヴァンサン・ブーショ(作詞)モルゲンシュテルン
「C」
(作曲)プーランク(作詞)アラゴン
「華やかな宴」
(作曲)プーランク(作詞)アラゴン
「なぐさめる人もなく」
(編曲)ブリテン
「何故にイエスは」
(編曲)ブリテン

(引用終)

(実際のプログラム)※下線部は放送されたもの
(銀座 王子ホールのコンサート情報から引用)
(引用)
フォーレ(1845 - 1924):
 水のほとりで Op.8-1/月の光 Op.46-2/ゆりかご Op.23-1/夢のあとに Op.7-1
メンデルスゾーン(1809 - 1847):
 夜の歌 Op.71-6/新たなる愛 Op.19a-4/眠れぬ瞳に宿る光/魔女の歌 Op.8-8
ショーソン(1855 – 1899):
 過ぎ去りし愛 Op.8-2/魅惑と魔法の森で Op.36-2時間 Op.27-1
R. シュトラウス(1864 – 1949):
 あした Op.27-4ひめごと Op.17-3夜 Op.10-3セレナーデ Op.17-2

********** 休憩 **********

ヴァンサン・ブーショ(b.1966 - ): 「絞首台の歌」
  月での出来事/カワカマス/真夜中のねずみ//絞首台の子供の子守歌
プーランク(1899 - 1963): モンパルナス/ハイドパーク
            : ルイ・アラゴンの二つの詩  セーの橋華やかな宴
ブリテン(1913 - 1976): 柳の園/なぐさめる人もなく彷徨いつつ思う

(引用終)

「クラシック倶楽部」では時々声楽プログラムを放送しますが、
たいていは、視聴をパスします。
しかし今回は、ちょっと聴いただけでも、その非凡な歌声に魅せられました。
ベンジャミン・ブリテン編曲の2曲(なぐさめる人もなく、何故にイエスは)を聴いただけで、
「これは録画していてよかった~!」と思わせられました。

夜、テレビがつまらない時を見計らって、番組全体を通して視聴しました。
サンドリーヌ・ピオー自身が語る今回のプログラムのコンセプトも興味深かったです。
テーマは「夢」。夢の世界を「夜」と「昼」にわけて、
フォーレやメンデルスゾーン、R・シュトラウスらのロマンティックな曲と、
ヴァンサン・ブーショ(現役の作曲家!)、
プーランク、ベンジャミン・ブリテンらの曲を対比させています。

冒頭のフォーレの「月の光」!歌が始まってすぐに「なんと美しい声!」と嘆息・・・
フォーレの代表曲「夢のあとに」も絶賛に値します。
美しい夢よもう一度・・・というのがこの曲の主題ですが、
この歌声も、そんな気持ちを引き起こさせてくれました。
エリー・アーメリンクの名唱も忘れるほど・・・

メンデルスゾーンやショーソンの歌曲(今回初めて聴きましたが・・・)に続いて、
耽美的なR・シュトラウスの4つの歌曲。
特に「あすの朝(Morgen!)」の美しさ!
フランス歌曲はもちろんのこと、ドイツリートまで絶品とは・・・

途中、流し聴きしてしまいましたが、歌詞対訳にかじりつかなくとも、
心地よい歌声が続いていました。

今回の放送で最も印象に残ったのは、
ベンジャミン・ブリテン編曲の「何故にイエスは(彷徨いつつ思う I Wonder as I Wonder)」でした。
アパラチア地方の民謡をブリテンが編曲したものです。
歌詞と寡黙な伴奏、そしてピオーの祈るような天へのまなざしが、
忘れがたい印象を与えました。

その歌詞の訳をNHKでの放送から引用します。
(一時停止をかけて書き留めました。)
(引用)
この空の下をさまよいつつ思う
イエスは死ぬためにやってきたのか
あなたや私のような貧しく不幸な人々のために

この空の下をさまよいつつ思う
イエスは死ぬためにやってきたのか

マリアはイエスを牛小屋で産んだ
賢者と農民と羊飼いがともにいた
だが いと高きところ
神おわす天からは 星の光が降り
そして長年の約束が 思い出された
ほんの少しでも
イエスが欲したならば
空の星でも羽ばたく鳥でも
神に仕える すべての天使の歌声でも
望みはかなえられるだろう
イエスこそが王なのだから

(※字幕はここまで)

この空の下をさまよいつつ思う
イエスは死ぬためにやってきたのか・・・

(引用終)

歌が終わる間際、ピオーは客席に背を向け、
天井の方へ頭を上げ、まるで祈るか、
神と対話するかのような沈黙の演技を見せました。
伴奏者のスーザン・マノフも同調して祈るようなまなざしを天井へ向けました。
その余白が、深い余韻につながりました・・・

このコンサートを実際にホールで聴いた人が書いたブログ記事をいくつか読みました。
どれもそのすばらしさを絶賛していました。
(参考)
【演奏会 感想】サンドリーヌ・ピオー リサイタル ~夢のあとに~  スーザン・マノフ(P)  (2012.9.20 王子ホール)(ブログ名:Langsamer Satz)
サンドリーヌ・ピオー・・武蔵野市民文化会館
(ブログ名:あれも観たい! これも聴きたい!)

今回のコンサートと同じ曲目(ただし演奏順は違います)のCDが出ています。

Apres un reve(※輸入盤)

APRES UN REVE ~ 夢のあとに(※国内盤)

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コメント

ジークフリートせいちゃん 様、コメントありがとうございます。
実際にコンサートへ行かれたのですね!
いいなぁ・・・うらやましい限りです。
テレビで観ただけと、実際に生で聴くのは、
感動の質が違いますよね。
ドイツ語も堪能とはすばらしいですね~

こんにちは。私はこの王子ホールのコンサートに行きたかったのですが、とっくに売り切れでもうダメと観念していた所、上野にフェルメールを見に行った時、たまたま立ち寄った東京文化会館大ホールのチラシ置き場で、代々木白寿ホールでの追加公演を見つけ、飛び付きました。そして白寿に参りましたが、ほんとに素晴らしい歌で、久々に美しいフランス歌曲(フォーレ)と、私の大好きなリヒャルト・シュトラウス(明日)を堪能致しました。その場でCDを買い求め、サインをして貰いましたが、その時にドイツ語で話しかけるとドイツ語も随分とお上手でした(フランス人にドイツ語なんて失礼かも・・ですが)。いくつかYou Tuheにも載っていますので、是非ごらんになっては?(Sandrine Piauで検索)

この記事へのコメントは終了しました。

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