アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団によるベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」~NHKBSプレミアム・プレミアムシアター(2012年9月10日放送)
2012年9月10日(9月9日深夜)放送のNHKBSプレミアム・プレミアムシアターは、
前半がクラウディオ・アバド指揮ルツェルン音楽祭管弦楽団他による、
モーツァルトの「レクイエム」他で、
後半は、アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団他による、
ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)」でした。
録画して視聴しました。
⇒放送曲目・ソリストはコチラ
前半のアバド指揮の方は、
ベートーヴェンの「エグモント 作品84」という珍しいプログラムもありましたが
(「エグモント序曲」だけなら演奏機会が多いですが・・・)、
ここは視聴せずにパス。
モーツァルトの「レクイエム」は合唱・ソリスト共にレベルの高い歌唱を聞かせてくれましたが、
オーケストラ(というよりも指揮者)がイマイチ・・・
軽すぎる音色でした。
(途中で聴くのをやめてしまいました・・・)
モーツァルトの「レクイエム」なら、カール・ベーム指揮のが定番ですね。
重量級の演奏を聴かせてくれます。
さて、今日の主題である「ミサ・ソレムニス」の方へ移りましょう。
アーノンクール指揮の演奏は、今年4月19日・20日の収録とのこと。
さすがに年をとったなぁ~という印象でしたが、
指揮する姿は力にあふれていました。
アーノンクール指揮による「ミサ・ソレムニス」は、CDで以前聴いたことがあります。
古楽器奏法の演奏の中ではオススメの1枚です。
※上記は廃盤のようですので、
現在は「アーノンクールのベートーヴェン名演集(14枚組)」
に含まれているのが手に入れやすいです。
アーノンクールの指揮は劇的ではなく、むしろおだやかです。
激しい「グローリア」のところでも汗一つみせないような感じというか・・・
迫力不足は否めませんが、それでも、感動したところがありました。
(アーノンクールの指揮、というよりは、作品そのものに・・・)
ベートーヴェンは「クレド」の部分の終盤、
「Et in Spiritum Sanctum, Dominum et vivificantem, qui ex Patre (Filioque) procedit. Qui cum Patre et Filio simul adoratur et conglorificatur: qui locutus est per prophetas. Et unam, sanctam, catholicam et apostolicam Ecclesiam. Confiteor unum baptisma in remissionem peccatorum. Et expecto resurrectionem mortuorum, 」
(「わたしは信じます。主であり、いのちの与え主である聖霊を。
聖霊は、父と子から出て、
父と子とともに礼拝され、栄光を受け、
また預言者をとおして語られました。
わたしは、聖なる、普遍の、使徒的、唯一の教会を信じます。
罪のゆるしをもたらす唯一の洗礼を認め、
死者の復活と」)
の部分はかなりテキトーに流してしまっていますが
(早すぎて聞き取れないぐらい・・・)
続く「Et vitam venturi saecli. Amen.」
(「来世のいのちを待ち望みます。 アーメン。」)。
では神秘的で悠然としたフーガを展開します。
「なぜベートーヴェンはこのテキストにこんなにこだわったのだろうか?」
私はふと思いました。
すると・・・
私は「ひざまづくベートーヴェン」が見えたように思えました。
ベートーヴェンの信仰は、確かに正統なものからは逸脱していたらしいですが、
カトリック教会といった狭い枠を超えた普遍的な信仰を抱いていたのではないでしょうか?
テキストの掘り下げは他の作曲家の作品以上です。
「来世のいのちを」切に希求し、祈り、ひざまづくベートーヴェンの姿・・・
私はアーノンクールのこの演奏のこの箇所を聴いて、
思わず涙が出そうになったほどでした・・・
まさに「心より出で-願わくば再び-心に向かうよう」(スコア冒頭に書かれている言葉)、
作品そのものが持つ力が心に直接訴えかけてきたのでしょうね・・・
ちなみに、この演奏会での合唱の配置は、ちょうどハート型になっていたのは印象的でした。
「ミサ・ソレムニス」の名盤といえば、
クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のCDがあれば十分です。
通常CD盤
SACDハイブリッド盤
SACDシングルレイヤー盤(発売予定)
クレンペラー盤のような超重量級の演奏ではなく、もう少しあっさり聴きたいなら、
上述のアーノンクール盤か、ジンマン盤をオススメします。
ジンマン盤
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