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2012年6月16日 (土)

書評:小玉ユキ作『坂道のアポロン』1~9巻(附:アニメ版について)

坂道のアポロン』という作品を初めて知ったのは、
2012年4月から始まったアニメ放映からでした。
北海道では、BSフジのノイタミナ枠で4月28日から放映開始でした。
ジャズの演奏シーンがスゴイ、という評判と、
音楽が菅野よう子さん、ということだったので、
少し期待していました。

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アニメ 坂道のアポロン オリジナル・サウンドトラック

アニメ版の第1話で、千太郎がドラムを叩くシーンは実に見事でした!
ジャズの魅力もよかったですが、それ以上に、
60年代の地方都市での人間ドラマに引き込まれました。
2話目を観たあたりで、すっかり作品に魅了され、
原作のマンガを少しずつ買って読むようになりました。
そしてようやく、9巻を読み終えました。

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坂道のアポロン (9) (フラワーコミックス) [コミック]

今時珍しいぐらいの王道作品です。
主題は男同士の友情です。
ジャズと淡い恋心が通奏低音となり、
60年代の時代背景、佐世保という地方都市、
高校生活、カトリック教会、学生運動、
そして映画「サウンド・オブ・ミュージック」が豊かな装飾音になっています。
(特に9巻におけるカトリック教会と「サウンド・オブ・ミュージック」・・・
おっと、これ以上書くとネタバレになってしまいますネ(^-^;)

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アニメはオトナ向けの落ち着いた味わいがあり、魅力的ですが、
それ以上に、音がなく色も白黒しかないはずの原作マンガがさらに魅力的です。

たとえば・・・
3巻での主人公・薫と律子との糸電話越しの会話(アニメでは第5話)。
この切なさはマンガに軍配を上げたいデス。
(律子というキャラの清純さはとっても魅力的です~)

どの巻の話もそれぞれ短編小説のような味わいがあり、
人物像がしっかりと描かれており、
まるで自分自身が60年代の青春を追体験しているかのような錯覚に陥ります。
(もちろん私はもう少し若いデスヨ(*^-^))

1~3巻まで読んだらもう後は自動的に全巻読みたくなるはずですが、
それ以降で特に感動するのは5巻、8巻、そして9巻です。
誤解やすれ違い、別れを経ての友情の復活(というよりは再燃!)が胸を熱くします。
8巻の最後あたりはちょっと汚点かな、とも思いましたが、
9巻の大団円は静かで深い余韻がありました。
初めておいしいと思ったブラックコーヒーの味にたとえられるでしょうか・・・

原作でもアニメでも、ジャズが作品の基調音なわけですが、
私にはジャズではなく、
なぜか、本来場違いな、
ブラームスの「間奏曲集」の数々が読みながら次々に頭に聞こえてきました。
私にとっての「青春」のイメージの曲だからなのでしょうね・・・

ブラームス:間奏曲集/4つのバラードより/2つのラプソディ

※6月19日追記
アニメの第7話「ナウズ・ザ・タイム」は、5巻の薫と千のすれ違いと、
和解を描いています。
文化祭でのロックバンドの電源トラブル発生と、
場つなぎとして始まった薫と千のセッションのシーンは、
さすがにアニメ版に軍配をあげます。
演奏の見事さと、セッションを通じての友情の復活のところは、
深い感動を覚えました。

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

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