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2012年4月26日 (木)

退職すると訴訟?!社畜から奴隷へ?ブラック企業の恐怖・・・~NHK・クローズアップ現代「やめさせてくれない~急増する退職トラブル~」(2012年4月26日放送)

2012年4月26日放送のNHK・クローズアップ現代では、
やめさせてくれない ~急増する退職トラブル~」と題して、
最近増えている退職拒否の問題を取り上げていました。
「まるでヤ●ザ」並みのひどい事例がいくつか紹介され、
耳目を疑うほどでした。

番組HPから、放送内容を転載します。
(引用)
厳しい雇用情勢が続く中、全国の労働者支援の窓口に意外な相談が増えている。「会社をやめたくてもやめさせてくれない」というものだ。長年労働者を支援してきたNPO法人・労働相談センターには、“退職拒否”に関する相談がこの2年で3倍に急増。退職する権利は法律で守られているが、会社側が失業保険の申請に必要な「離職票」を出さない、「やめたら研修などで投資した額や、営業で出た損失を損害賠償請求する」という脅しをかけるなど、様々な手法で社員をやめさせず、トラブルに発展するケースが相次いでいる。一つ一つの事例からは、新たな人材を雇い入れる資金や体力すら失い、都合良く働き続ける社員を手放さない企業の姿と、棚上げされる労働倫理の今が浮かび上がる。なぜやめられないのか、そしてなぜやめさせないのか。急増する“退職拒否”の実態を報告する。
(引用終)

番組の中で最もひどいと思ったのは、
「退職したら会社から損害賠償2000万円の訴訟を起こされた」というケース。
これは、裁判所から逆に退職した人へ未払い賃金等約1000万円の支払い命令が出て、
現在、控訴中だそうです。
課長クラスの人材がうつになるまで酷使され、
退職したら今度は訴訟・・・
その企業は最早ヤ●ザですね・・・

番組ではほかに、懲戒解雇の濫用(会社のカネを使いこみしたとかでないのに・・・)や、
退職してから失業保険の給付に必要な「離職票」を渡さない、
「会社に損害を与えた」という理由で数年間も給与から20万以上天引きされている上、
退職させてもらえないケース、
などの悪質なケースも紹介していました。

番組を観て痛感したのは、雇用側も労働者側も、
基本的な権利を知らないことでした。
番組で何度も強調されていたことを、番組スタッフのブログから引用します。
(引用元:2012年04月25日 (水)「やめられない」時代!
もうひとつあるのは、働く側が、雇用についての基本的な知識がないという点ですね。

ここで確認ですが、
民法627条では、雇用期間が決まっていない場合、
労働者が退職届を出すなど、
辞職の意思を示せば、2週間経過後には労働契約は終了すると定められています。

つまり、会社側の承認は必要ないということです。

VTRでは、実際に損害賠償で訴えられたケースのほか、
失業保険に必要な「離職票」をなかなか発行されなかったり、
退職理由に、事実と異なる事由が書かれるケースも紹介しています。

(引用終)

私は労働組合が政治的主張を展開するのをあまり良く思っていませんが、
労働組合が「労働者の労働環境の改善」という本来の目的に邁進するのは応援します。
こういう事例こそ、労働組合の力が必要ですね。
(同時に、弁護士の力も大いに必要ですが・・・)

番組スタッフのブログで、退職拒否の問題解決に役立ちそうなサイトを2つ紹介しています。
当ブログでも紹介します。

労働問題相談室(労働相談Q&A): TOKYOはたらくネット
Q47 辞めさせてくれない
労働相談Q&A:NPO法人労働相談センター
04退    職
(上記サイトから一部引用)
0404
<「どうしても辞めるのであれば懲戒解雇にする」といわれた>

Q:私は正社員として雇用されていますが、会社を辞めようと思い、就業規則に定めてある通り1ヶ月前に辞表を提出しましたが退職を認めてくれません。それどころか社長は「どうしても辞めるのであれば懲戒解雇にする」といわれて困っております。この様なことはできるのでしょうか?

A: できません。そもそも社長が言っていること自体、憲法で認められている「職業選択の自由」を侵害しています。

 また、労働契約法 15 条により権利の濫用として無効と判断されます。

 正社員(雇用契約期間のない労働者)の場合、もし就業規則に「会社が退職を認めた場合」とか「6ヶ月前に辞表を出すこと」等が定められていたとしても、前述と同様に無効となります。
(引用終)

最後にもう一度、番組スタッフのブログ記事から一部引用します。
(引用)
辞めさせてくれないことに関する相談は、東京都の労働相談の窓口には、
年間に668件あり、ここ数年で、4割上昇したというのです。

こうしたことが今、問題になっていることに、正直驚きました。

しかし、なぜ「やめさせてくれない」のかを見ていくと、
ひとつには、企業側が、長期化する景気の低迷で、
低賃金でまじめに働いてくれる「都合のいい労働者」を
失いたくないということがあるようです。
専門家は、労働者が会社に対して奴隷化するというのです。

奴隷化という言葉で表現されるほど、状況は悪いんですね。

もうひとつあるのは、働く側が、雇用についての基本的な知識がないという点ですね。
(引用終)

安易に退職するのは決してオススメできませんが、
退職するのは労働者の正当な権利です。
”奴隷”となって過労死したり、うつになって働けなくなる前に、
自分の権利をきちんと知っておく必要がありますね。
(学校教育でもきちんとこういう権利は教えておくべきではないでしょうか?)

「ブラック企業」でヒットした本を3冊紹介します。
(『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という本と、
それを原作にした映画もありますが、今回は紹介しません。)

ブラック企業の闇―それでもあなたは働きますか? (晋遊舎ブラック新書 8) [新書]

就職先はブラック企業―20人のサラリーマン残酷物語 [単行本]

人生を無駄にしない会社の選び方


(余談)
今回の記事で通産1200本目の記事となります。
かなりダークな内容となってしまいましたが・・・
書く知恵と勇気を与えてくださる神様と、
読んでくださる皆様に感謝!

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コメント

コメントと情報提供ありがとうございます。
マイケル・ムーア監督のその映画、
タイトルは知っていますが、残念ながらまだ観ていません。
機会があれば観てみます。

マイケル・ムーア監督が制作した映画「キャピタリズム ~マネーは踊る~」をご存知でしょうか?
全てはあらゆる経済活動の大元締めである(金融)資本主義とその思想に行き着きます。
(朱に交わる者は赤くなる、という諺もありますが…)。
因みに、監督はカトリック教徒だそうです。

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