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2012年3月21日 (水)

映画「ハーヴェイ」(原題:HARVEY)を聖書で読み解く~巨大なウサギの正体とは?

2012年3月15日に、ジェームズ・ステュアート主演の映画「ハーヴェイ」(原題:HARVEY)が、
NHKBSプレミアムで昼間に放映されていました。
1950年の映画で、
主人公の姉役を演じたジョセフィン・ハルがアカデミー助演女優賞を受賞しています。
ただ、あまり聞いたことのないタイトルだったので、
その時の放映は録画しませんでしたが、
妻が放映を観ていました。
妻が熱心に映画のストーリー展開を語るので、
私も興味を持ち、先日TSUTAYAでDVDをレンタルして観ました。

ハーヴェイ」について紹介しているサイトから、あらすじを転載します。
(引用)
祖母の遺産でのんびりとした毎日を送るエルウッド。 彼は身長192センチの巨大空想ウサギ、ハーヴェイを連れ回り、相手構わず他人に姿の見えないハーヴェイを紹介していた。 弟の奇怪な行動が娘の縁談に影響するのではないかと恐れた姉のヴィータは、エルウッドを精神病院に入れようとする。 しかし、病院の医師や看護婦たちはエルウッドの純真さの虜となり、彼らも巨大ウサギを見るようになってしまう・・・。 味気ない生活を送る家族や医師たちが、空想好きの楽天家に翻弄される姿をほのぼのと描いたハートウォーミング・コメディの佳作。
(引用終)

映画の中で、巨大ウサギのハーヴェイは一度も出てきません。
二つの穴が開いた帽子と、
主人公エルウッドと共に描かれた絵という形で示唆されるだけです。
しかし、主人公エルウッドは、
あたかもそこに実際にハーヴェイがいるかのような行動をとり続けます。
(そこが見事な演技!)
しまいには、精神科医にもハーヴェイが見えるようになったり・・・
(「伝道」の結果?)

この映画を、ただの精神異常者の物語、と片付けることもできます。
しかし、作品が訴えたいこととは違うように思えます。
想像力の大切さが主題なのでしょう。

これは私の考えですが、見えない巨大ウサギのハーヴェイの正体とは、
「信仰の対象物(神様や仏様・・・)」を戯画化したものではないでしょうか?
新約聖書にこういう言葉があるのを想起しました。
信仰によって、モーセは王の怒りを恐れず、エジプトを立ち去りました。目に見えない方を見ているようにして、耐え忍んでいたからです。
(新約聖書ヘブライ人への手紙11:27新共同訳)

目に見えない方を見ているようにして」というのがポイントです。
目に見える信仰の対象物(仏像等)を拝む宗教ではなく、
目に見えない存在を信じる宗教(キリスト教等)を考えてみましょう。
神様は目に見えない存在であり、声を聞くことも触れることもできませんが、
信じる者にとっては、確かに存在するお方なのです。
目に見えない方が常に共におられ、私たちを絶えず導いておられる、
というのが信仰の核心です。
だからこそ、人が見ていようが見ていまいが、
神様を畏れ、愛し、従う生き方をしているわけです。

映画の話に戻りましょう。
ハーヴェイが見えるようになった主人公エルウッドは、
誰に対しても親切で、初対面の人にも名刺を渡し、
自宅に誘ったり、一緒に酒を飲む約束をします。
まさに、「回心」といった感じです。
仏教風に言えば、法華経の常不軽菩薩のような存在になった、ともいえます。
(Wiki「常不軽菩薩」より転載⇒常不軽菩薩は自身が誹謗され迫害されても、他人を迫害するどころか、仏法に対する怨敵などと誹謗し返さなかった。この精神や言動は、宗派を問わず教理を越えて、仏教徒としての原理的な行動・言動の規範としてよく紹介引用される。

「ハーヴェイ」は巨大ウサギという形ではなくとも、
私たちのすぐ近くにいます。
それは「法」や「正義」、「信仰」という概念や、
あるいは「亡くなった人」などの形として・・・
目に見えない存在を「信じる」すばらしさを知る作品です。

ハーヴェイ(DVD)

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