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2012年3月の32件の記事

2012年3月31日 (土)

NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部-クラシック・アラカルト(12)曽根麻矢子+ルノー・カプソン-(2012年3月29日放送)

2012年3月29日放送のNHKBSプレミアム・クラシック倶楽部では、
クラシック・アラカルト(12)曽根麻矢子+ルノー・カプソン」と題して、
前半は曽根麻矢子の東京・第一生命ホールでのコンサート(2011年2月2日)、
後半はルノー・カプソン(「カプソン」よりも「カピュソン」が正しいそうですが・・・)の、
東京・紀尾井ホールでの2011年6月10日のコンサートの、
それぞれ一部を放送していました。
実は、どちらのコンサートも、約1時間分は昨年放送されており、
今回の放送はその未放送分、というわけでした。
録画して視聴しました。

演奏曲目は以下のとおりです。NHK番組表から転載します。
【演奏】曽根麻矢子【演奏曲】ファンダンゴ(D.スカルラッティ)/スキタイ人の行進 ハ短調(ロワイエ)/ゴールトベルク変奏曲 BWV988からアリア(バッハ)【収録】2011年2月2日/東京・第一生命ホール 【演奏】ルノー・カプソン、ダヴィッド・カドーシュ【演奏曲】バイオリン・ソナタ 第1番 イ長調 作品13(フォーレ)/タイスのめい想曲(マスネ)【収録】2011年6月10日/東京・紀尾井ホール

実際のコンサートのプログラムは、以下のとおりです。
下線部が今回放送分です。

曽根麻矢子
630コンサート~充電の1時間~
曽根麻矢子(チェンバロ) ゲスト:古部賢一(オーボエ)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番ハ長調BWV846よりプレリュード
D.スカルラッティ:ファンダンゴ、ソナタ ニ長調K.492、ソナタ 二短調K.517
★G.F.ヘンデル:ソナタ ヘ長調op.1-5
P.ロワイエ:アルマンドハ短調、スキタイ人の行進ハ短調
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988より「アリア」、「第30変奏曲」
★J.S. バッハ:ソナタ変ホ長調BWV1031
★印:オーボエ&チェンバロ・デュオ

ルノー・カプソン
ルノー・カプソン ヴァイオリン・リサイタル
出演  ルノー・カプソン (ヴァイオリン) / ダヴィッド・カドゥシュ (ピアノ)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 op.12-2
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 op.13
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 op.24「春」
ラヴェル:ツィガーヌ

※アンコール曲⇒マスネ:タイスの瞑想曲

曽根麻矢子の演奏は、期待していた通り華やかですばらしいものでした。
チェンバロの装飾は一級の芸術品という感じでした。

今回の放送で特にすばらしかったのは、
フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番の演奏でした。
その存在は知っていたものの、
食わず嫌いで今まで聴いたことがなかった作品でした。
カプソンの演奏を録画したものを、2日間で既に5、6回繰り返して視聴しています。
こんなにロマンティックでステキな作品を今まで知らなかったなんて・・・
すっかり気に入ってしまいました。

昨年の放送では、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ等をやっていました。
いい演奏だとは思ったものの(一応録画保存してありますが)、
繰り返して視聴するまでには至りませんでした。
今回の放送で、改めてルノー・カプソンのすばらしさを決定的に認識しました。

ルノー・カプソン他によるフォーレの室内楽全集(5枚組)CDです。
Faure: Complete Chamber Music For Strings And Piano※輸入盤

HMVで買った方が安いです・・・

フォーレの室内楽演奏といえば、古くからの名盤は、
ジャン・ユボーのピアノ、ヴィア・ノヴァ四重奏団による演奏ですね。
(私もピアノ五重奏曲他のCDを持っています。)
室内楽全集の第1集が、ピアノ四重奏曲&ピアノ五重奏曲、
第2集が、ヴァイオリン・ソナタと弦楽四重奏曲、ピアノ三重奏曲です。

フォーレ:室内楽全集第2集(通常盤)

フォーレ:室内楽全集第2集【SHM-CD仕様】

その他に試聴してみたのは、千住真理子のCDです。
これも良さそうかも・・・

心に残る3つのソナタ
~フランク、フォーレ&モーツァルト・ヴァイオリン・ソナタ集~ [CD+DVD]

2012年3月30日 (金)

NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部「ザ・ジョン・ケージ」(2012年3月30日放送)~音楽?音が苦?

NHKもずいぶんと冒険したものだな~と、別な意味で感心しました。
2012年3月30日放送のNHKBSプレミアム・クラシック倶楽部では、
ザ・ジョン・ケージ」と題して、
20世紀アメリカを代表する作曲家、strong>ジョン・ケージの作品を紹介していました。
冒頭はケージの代表作「4分33秒」。
第1楽章、第2楽章、第3楽章すべて休符だけ、という、
音が無い音楽(静寂のうちに聞こえるのが音楽?)という、
ある意味究極の「ゲンダイオンガク」です。
さすがに4分33秒丸ごと「演奏」したら、
放送事故になってしまうかもしれないので(?)、
番組ではジョン・ケージ研究家の白石美雪さんが作品を解説して、
演奏は「中断(?)」され、次の曲へ移りました。

次は日本を代表するハープ奏者・吉野直子さんの演奏による
ある風景の中で」。
意外とまともな曲ですが、ずっと聴いていると退屈するか、眠くなる曲です。
この放送の中で、一番音楽らしい作品でした。

続いては、作曲家・一柳慧さんの演奏による、
プリペアド・ピアノ(ピアノにミョーな改造をほどこしたもの・・・
ピアノがカワイソウ・・・)による作品、
危険な夜」。ダンス付。もうここからついていけない・・・

その後は、「居間の音楽」、「バリエーションズ6」という、
「音楽」の概念そのものを問うような当惑させる作品が続き、
(自称音楽家がやれば、なんでも音楽になってしまう、家のおしゃべりや洗濯まで・・・)

続いて、笙の作品「One9」と「0分00秒」・・・
ピーとかいう音が10分近く間歇的に鳴るだけ・・・

ジョン・ケージの作品は、アイデアとしては面白いものの、
果たして再生に耐える真の意味での「音楽」とはいえないというのが、
改めてはっきりわかった番組でした。
「音楽」ではなく、「音が苦(おんがく)」・・・

あえて評価すべきは、この番組を作ったNHKの冒険心でしょうね・・・
白と黒を基調としたセットつくり(中国の陰陽?)とか、
バリエーションズ6」の映像表現などは
称賛に値するものといえましょう。
演奏者も結構豪華メンバーですし・・・
(中身はともかくとして・・・)

2012年3月29日 (木)

スコーンにはミルクジャムが英国流?~ABCテレビ「朝だ!生です旅サラダ」2012年3月24日放送から

我が家の土曜の朝のお楽しみは、
ABCテレビ(テレビ朝日系⇒北海道ではHTB)の「朝だ!生です旅サラダ」の、
だいたい9時ぐらいから始まるコーナー「海外の旅」を観ることです。

2012年3月24日放送分では、イギリスの湖水地方を紹介していました。
番組HP
ピーターラビットの故郷であり、風光明美なところですね。
まだ行ったことはありませんが、いつか訪れてみたい場所です。

その地方で、リポーターの方が、
ユー・ツリー・ファーム」(Yew Tree Farm)というB&Bに宿泊し、
スコーン作りを体験する、というのをやっていました。
スコーンが焼きあがって、さて「いただきます」のとき・・・
スコーンにつけるといえば、生クリームかフルーツジャムが定番ですね。
なんとそこの「ユー・ツリー・ファーム」では、
ミルクジャム、しかも北海道産のものをつけて味わっていました。
十勝しんむら牧場のミルクジャム、とはっきり画面に映し出されました。
ミルクジャム「さくら」を使用)
イギリスのファームステイと、北海道十勝の牧場が提携しているなんて・・・

さっそく「英国流」(?)を実践してみようと思い、
(札幌市営地下鉄)大通駅地下街にある、丸井今井の「きたキッチン」で、
十勝しんむら牧場のミルクジャムを探して買いました。
十勝しんむら牧場のHPでは、味が何種類もありましたが、
店頭では、プレーン味のみ置いてありました。
スコーンにつけて、紅茶と一緒に味わうと、確かにおいしかったですよ~
練乳よりももっと濃い味なのですが、意外とさっぱりしています。
もちろんパンにつけてもおいしいです!

番組で紹介されたことについて、
十勝しんむら牧場のブログにも掲載されていました。
『TVに』  朝だ!生です旅サラダで、ミルクジャムさくらが紹介されました。
十勝しんむら牧場のHPから購入可能で、全国発送もしています。

一応、Amazonでも購入可能なのですね・・・
ミルクジャム【プレーン】

余談ですが、札幌で「スコーンと紅茶」といえば、
私ども夫婦は札幌駅前にある東急百貨店6Fの、
ローラアシュレイティールームがお気に入りです。
クラシックの曲が流れていて、内装がいかにも英国風で、
ちょっぴりイギリス気分を味わえます。
(だいたい女性客ばかりなので、男性が初めて行くと少し気まずいかも?
といいつつも、私はもう慣れてしまいましたが・・・)

2012年3月28日 (水)

NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「実録 “英国王のスピーチ”」(原題:The Real King's Speech)/「ジョージ6世の親友 ~ライオネル・ローグの足跡~」(原題:The King's Speech-Revealed)

先日(2012年3月25日)に、映画「英国王のスピーチ」について記事を書きました。
映画「英国王のスピーチ」(原題:The King's Speech)
ちょうどいいタイミングで、NHKBS1の「BS世界のドキュメンタリー」で、
2夜に渡って、映画「英国王のスピーチ」に関連する番組を放送していました。
1つは「実録 “英国王のスピーチ”」(原題:The Real King's Speech)、
もう1つは「ジョージ6世の親友~ライオネル・ローグの足跡~
(原題:The King's Speech-Revealed)です。
どちらも録画して観ました。
2つとも、2011年に英国で制作され、昨年の7月に1度放送されたものの再放送です。
映画「英国王のスピーチ」に感動した人ならば、ぜひ観ることをオススメします。
映画をジョージ六世の立場、ライオネル・ローグの立場でより深く知ることができます。

どちらが感動するか、と問われたなら、
実録 “英国王のスピーチ”」の方と答えます。
実際にライオネル・ローグの患者だった人のインタビューや、
ジョージ六世のスピーチの実際の様子をよく知ることができます。
(公式な演説の映像は、実は編集されていて、
言葉に詰まっているところはカットされて、
流暢にスピーチしているようにしていた、など・・・)
スピーチが苦痛だったのが痛いほどわかりました。

英国王ジョージ六世という公的な立場よりも、
一人の吃音症に苦しむ患者としての立場に興味が行きました。
実際、放送の中で、ある吃音症の人が、
「牢獄の中に入っているような感じだった」と、
ローグの治療を受ける前の事を語っていました。

ジョージ6世の親友~ライオネル・ローグの足跡~」では、
ライオネル・ローグの孫にあたる人が、
祖父の面影を訪ねてローグの出身地オーストラリアに行ったり、
イギリスでの活動の場を訪ねたりする内容でした。
こちらでは、映画でライオネル・ローグ役を演じたジェフリー・ラッシュとのインタビューや、
映画「英国王のスピーチ」からのいろいろなシーンが出てきます。
ちなみに、最後のシーンに出てくる、ライオネル・ローグの葬儀が行われた、
ロンドンの「ホーリー・トリニティ・プロンプトン教会」は、
現在では国際的に知られる宣教プログラム「アルファ・コース」発祥の地として有名ですよ。

2つのドキュメンタリー番組と映画を見比べて、
コリン・ファース演じるジョージ六世と、
ジェフリー・ラッシュ演じるライオネル・ローグは、
それぞれ実物に似ていないなぁ~とも思いました。
(ただし演技は一級品でした!)
その他の人物、たとえばエドワード八世やシンプソン婦人などは、
結構実物と似ていました~

英国王のスピーチ(Blu-ray)

英国王のスピーチ(DVD)

The King's Speech: The Shooting Script (Newmarket Shooting Script)

The King's Speech
ライオネル・ローグの孫、マーク・ローグ他著)
※「ジョージ6世の親友~ライオネル・ローグの足跡~」に出演。

2012年3月27日 (火)

ヘイリーのCD「祈り~ヘイリー・シングス・ジャパニーズ・ソングス ベスト」(THE BEST of HEYLEY sings JAPANESE SONGS)

ヘイリーの新しいCD
祈り~ヘイリー・シングス・ジャパニーズ・ポップス ベスト
THE BEST of HEYLEY sings JAPANESE SONGS)を楽天ブックスで予約購入し、
本日(2012年3月27日)届きました。
(※一般発売日3月28日)
私が買ったのはDVD付の方です。

祈り~ヘイリー・シングス・ジャパニーズ・ソングス ベスト(初回限定盤)(DVD付)

祈り~ヘイリー・シングス・ジャパニーズ・ソングス ベスト(通常盤)

ヘイリーが日本の歌を歌った2枚のCD(後述)からのベスト盤ですが、
4曲新録音が追加されています。
※付が新録音です。

1. アメイジング・グレイス デュエットwith 本田美奈子.
(作詞・作曲:トラディショナル 日本語詞:岩谷時子)
2. 瑠璃色の地球 (※)
(作詞:松本 隆 作曲:平井夏美 English Lyric: Seiji Motoyama & ヘイリー)  
3. 翼をください
(作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦  English Lyric: ヘイリー)  
4. ハナミズキ
(作詞:一青 窈 作曲:マシコタツロウ English Lyric: Suzi Kim & ヘイリー)
5. 三日月
(作詞:絢香 作曲:絢香、西尾芳彦 English Lyric: ヘイリー)
6. 未来へ
(作詞・作曲:玉城千春   English Lyric: ヘイリー)
7. 春よ、来い (※)
(作詞・作曲:松任谷由実 English Lyric: Seiji Motoyama & ヘイリー)
8. 千の風になって
(作詞:不詳 訳詞・作曲:新井 満)
9. 蕾(つぼみ)
(作詞・作曲:小渕健太郎 English Lyric: ヘイリー)
10. 秋桜(コスモス)
(作詞・作曲:さだまさし  English Lyric: ヘイリー)
11. I believe
(作詞:絢香 作曲:絢香、西尾芳彦 English Lyric: ヘイリー)
12. ねむの木の子守歌(日本語詞)
(美智子皇后陛下御作詞 作曲:山本正美)
13. ワールド・イン・ユニオン(「ジュピター」から)(日本語)
(作詞:チャーリー・スカーベック 作曲:グスターブ・ホルスト
訳詞:伊藤曜子、佐藤空子)  
14. あすという日が (日本語)(※)
(作詞:山本瓔子 作曲:八木澤教司)


1、3、4、8、11の5曲はアルバム「純~21歳の出会い」から、
5、6、9、10、12の4曲はアルバム「」から、
残る2、7、14がこのCDのための新録音で、
13は「ワールド・イン・ユニオン 2011ラグビー・ワールドカップ公式記念アルバム」に
収録されているものですが日本盤では日本語の歌唱となっています。

純~21歳の出会い


ワールド・イン・ユニオン 2011ラグビー・ワールドカップ公式記念アルバム

私がこのCDで特に期待していたのは、
松田聖子の名曲「瑠璃色の地球」でしたが、ちょっと残念な出来でした。
声の伸びや透明感が、今までのCDよりも少し落ちる感じがしました。
また、「♪瑠璃色の地球~」という歌詞を、
"♪The mountains to the deep blue sea"と訳していたのはちょっと???でした。
前作CD「癒しのピュア・ヴォイス」(エンニオ・モリコーネの曲集)から、
少し声の美しさが減じたように思えるのは、気のせいならいいのですが・・・

癒しのピュア・ヴォイス

Paradiso(輸入盤)

(参考)松田聖子SUPREME
※「瑠璃色の地球」収録CD

今回のアルバムの中でベスト3の曲は、
ハナミズキ
未来へ
千の風になって
です。
日本語で歌われる「あすという日が」がその次ぐらいかな・・・
(東日本大震災以来、有名になった曲ですね・・・
紅白歌合戦で夏川りみと秋川雅史が歌っていましたね。)

あすという日が仙台市立八軒中学校吹奏楽・合唱部|)

あすという日が -絆と卒業のうた-


アルバム「純~21歳の出会い」からの曲はどれもすばらしいです。
純~21歳の出会い」はヘイリーのCDの中で一番好きです。
今回の「祈り~・・・」には含まれていない曲では、
中島美嘉の「雪の華」や、
60~70年代のフォーク曲「白い色は恋人の色」が気に入っています。
祈り~・・・」と「」、「」の3枚のうち、どれか1枚だけ買うなら、
迷わず「」です。

以前、ヘイリーのCDについて2つ記事を書いていますので、紹介します。
ヘイリー"Winter Magic"(冬の輝き~恋人たちのピュア・ヴォイス)
ヘイリーの"The Water is Wide"と讃美歌21・104「愛する二人に」※MIDI付

NHK・アニメ ガッ活!(1~5話)~小気味良いバカバカしさ

先日深夜(たしか3月23日深夜)、たまたまテレビをなんとなくつけていて、
チャンネルをNHKEテレに合わせると、
ガッ活!」という5分間のアニメを放映していました。
5分間に詰め込めるだけセリフを詰め込み、
小気味良いバカバカしいやり取りを展開します。
結構面白かったです。
ちょうど、2012年3月26日深夜(27日午前)に、
NHK総合で「ガッ活!」の1~5話を一挙放送すると知り、
録画して観ました。
1話「あのぽっこりって何なの?」、
2話「学校でアレしちゃいけないの?」、
3話「宇宙人はなんで地球に来るの?」、
4話「母親のこと、何て呼んでる?」、
5話「留学生の帰る国は?
(※2話の「アレ」は、下系ですが、NHKなのでH系ではありません、念のため・・・)
どれもバカバカしいですが、セリフと展開が面白く、
5分間が10分間ぐらいに感じつつもあっという間に過ぎていきます。
もともと、NHKワンセグ2で2012年4月から放送予定の作品です。
ケイタイでの暇つぶし視聴にいいかもしれませんね。
キャラはかなりミョーなのばかりで、インパクトがあります。
特に主人公・高千穂ちほの目の描き方・・・

(参考記事)
NHKで“学級活動”=ガッ活をテーマに初のワンセグアニメ

2012年3月26日 (月)

NNNドキュメント’12「マザーズ~「特別養子縁組」母たちの選択」(2012年3月26日放送)

2006年に、ドラマ「14才の母」が放送されて、
賛否両論を巻き起こしましたね。
(もっとさかのぼれば、「3年B組金八先生 」の
十五歳の母」というシリーズがありましたが・・・)

14才の母 愛するために 生まれてきた DVD-BOX

今回取り上げるNNNドキュメント’12の、
マザーズ~「特別養子縁組」母たちの選択
(2012年3月25日深夜(3月26日午前))では、
実際の14才の母と、産まれた子が引き取られて特別養子縁組するまでを放送していました。
(その他に、23歳の母もいましたが・・・)
※深夜番組なので、録画して妻と一緒に観ました。

特別養子縁組制度の仕組みや、
この制度を通して養子あっせんを行っている、
愛知県のNPO Babyぽけっとという団体を紹介していました。
14才の母」では、中学生の女の子が子を産み、育てる決断をして、
家族がサポートする、という形でしたが、現実はそう生易しくありません。
(ちなみにこの現実の「14才の母」の「父親」は、中学生でした・・・)

子供の利益を最大限に守ることを目的とする特別養子縁組制度
できればこういう制度によらずに、実の母親が子供を幸せにできたら、
一番いいのでしょうね・・・
こういう番組、何度か放映されていますが、
その都度、安易で無責任な性行動への憤りを覚えます。

以前、NHKでも別な団体(NPO法人環の会)について取り上げて放送していました。
その際に私が書いた記事です。
NHK・ヒューマンドキュメンタリー「私の“家族”」(2010年5月7日放送)

番組で取り上げたNPO Babyぽけっとという団体のサイトを見てみると、
スピリチュアル話」(要は心霊現象)という項目がありました。
キリスト教の方で望まない妊娠について相談、
あるいは特別養子縁組について知りたいならば、
小さないのちを守る会」へのコンタクトを断然オススメします。

2012年3月25日 (日)

映画「英国王のスピーチ」(原題:The King's Speech)

先日TSUTAYAに行くと、
2011年度のアカデミー作品賞、主演男優賞などを受賞した、
映画「英国王のスピーチ」が準新作扱いで、100円でレンタル可能だったので、
迷わず借りました。
日本での劇場公開から1年ぐらいなのに、
もうDVDで観ることができるとは・・・
(ますます映画館に行く必要性を感じなくなりつつあります・・・)

吃音症に悩むヨーク公アルバート王子(後のジョージ6世)が、
オーストラリア出身の言語聴覚士ライオネル・ローグに出会い、
幾度も反発したり、治療を投げ出したりしながら、
吃音症と向き合いつつ、王となってから、
ナチスドイツとの戦争を布告する歴史的なスピーチを成し遂げるまでを描いています。

王室ドラマというよりも、吃音症を克服しようとする必死なドラマとして、
実に見ごたえがありました。
モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲やクラリネット協奏曲、
ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章、ピアノ協奏曲第5番などのクラシックの名曲が、
効果的に使われていました。

私も人前でのスピーチは苦手な方なので、
(原稿があれば雄弁に語ることはできるものの・・・たとえば教会での聖書朗読等)
コリン・ファース演じる主人公の心情がよくわかりました。
コリン・ファースが自信なさげで繊細な心の主人公を見事に演じきっていました。
アカデミー主演男優賞は当然だと思いました。
イギリスの現代史をあまりよく知らない人でも十分に楽しめる内容でした。

英国王のスピーチ(Blu-ray)

英国王のスピーチ(DVD)

なお、2012年3月26日 月曜深夜[27日火曜午前 0:00~0:50]に、
NHKBS1で、「実録 “英国王のスピーチ”」が放映され、
翌日深夜(2012年3月27日 火曜深夜[水曜午前 0:00~0:50])には、
同じくBS1で「ジョージ6世の親友~ライオネル・ローグの足跡~」が放映されます。
(いずれも再放送)
興味があるので、録画して観たいと思います。

※2012年3月28日追記
上記「実録 “英国王のスピーチ”」、
ジョージ6世の親友~ライオネル・ローグの足跡~」について、
記事を書きましたので、御覧ください。
NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「実録 “英国王のスピーチ”」(原題:The Real King's Speech)/「ジョージ6世の親友 ~ライオネル・ローグの足跡~」(原題:The King's Speech-Revealed)

映画「ウォーリー」(原題: WALL-E)~29世紀のアダムとイヴ&ノアの箱舟

2012年3月24日に、NHKBSプレミアムで、
ピクサー/ディズニー映画の「ウォーリー」(原題: WALL-E)が放映されていました。
(どうして民放でやらないで、NHKが放映するのかと疑問でしたが・・・)
ちょっと失念して最初の15分ぐらいを見逃してしまいましたが、
後からみても、十分に楽しめました。
セリフは少ないですが、言葉が足りなくても、
気持ちはとても伝わりました。

私が観始めたのは、EVE(エヴァ)の登場のあたりからでした。
白いデザインと、鳥のように飛行する姿と、
植物を見つけて母船に戻るところから、映画を観ているうちに、
これは旧約聖書創世記の「ノアの箱舟」の話に出てくる、
鳩(創世記8章)のような存在なのだとわかりました。
ノアは鳩を彼のもとから放して、地の面から水がひいたかどうかを確かめようとした。しかし、鳩は止まる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰って来た。水がまだ全地の面を覆っていたからである。ノアは手を差し伸べて鳩を捕らえ、箱舟の自分のもとに戻した。更に七日待って、彼は再び鳩を箱舟から放した。鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。
(旧約聖書創世記8:8~11新共同訳)
この「鳩」は絵画では伝統的に白鳩として描かれています。
母艦アクシオムは当然、未来版ノアの箱舟です。

EVE(エヴァ)の役割は、名前にも表れていますね。
もちろん、「アダムとイヴ」の「イヴ」です。
すると、主役のウォーリーは、アダム、ということになります。
主なる神は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、
人がそこを耕し、守るようにされた。

(旧約聖書創世記2:15新共同訳)
最初のアダムは土を耕す人でしたが、
29世紀のアダムは、ごみを片付ける存在、というわけですか・・・
29世紀のアダムは勇敢ではあるもののあまりに非力なのに対して、
29世紀のイブは凶暴なぐらい強いツンデレキャラでした~

後半部分で足の機能がかなり退化して肥満体になり、
自力歩行できない人間達が描かれますが、
人間達よりもロボットの方がよほど人間的に描かれていました。

艦長が自分の足で立つところの音楽など、
映画「2001年宇宙の旅」のパロディがちらほら出てきました。
子供よりもオトナの方が楽しめる作品かもしれませんね。

ウォーリー [Blu-ray]

ウォーリー DVD

2012年3月22日 (木)

NHK・歴史秘話ヒストリア「上杉鷹山 天災と戦う なせばなる!奇跡の復興物語」(2012年3月21日放送)

山形県米沢市では、今も「上杉鷹山」と呼び捨てにすることは御法度で、
鷹山公」と「公」をつけて敬意を払うそうです。
本稿でも、米沢市民に倣って、その業績に敬意を表し、
原則「鷹山公」と呼ぶことにします。

2012年3月21日放送のNHK・歴史秘話ヒストリアでは、
上杉鷹山 天災と戦う なせばなる!奇跡の復興物語」と題して、
鷹山公の200年前の行政改革をコンパクトにまとめていました。
200年前の話なのに、どうしてこんなに現代性があるのか、驚くほどです。

放送内容については、NHK番組表から転載します。
(引用)
江戸時代、破綻寸前の米沢藩(山形)を財政改革で立て直した名君・上杉鷹山。しかし、その知られざる功績は、天災や飢きんで傷ついた人々と農村を復興したことだった。徹底した倹約と武士まで農作業に投じる発想の転換、そして“ゆりかごから墓場まで”の福祉政策、特産品開発プロジェクト…さらに非常食マニュアルまで!?度重なる災害や改革に反発する勢力と戦い、鷹山が今なお人々に希望を与えるリーダーとなった秘密に迫る。
(引用終)

番組では、下の3つのエピソードを基に、鷹山公の業績をまとめていました。
エピソード1 デストロイヤー鷹山 倹約改革による悲劇
エピソード2 お年寄りを大切に! 鷹山 立て直しの秘策
エピソード3 ヒット商品が国を救う 奇跡の復興物語

今日的にいえば、倹約改革は、小泉内閣における構造改革に相当します。
倹約改革に反対した家臣に切腹を命じるほど、断固たる改革を志した鷹山公
(デストロイヤー、という名称は、悪役プロレスラーみたいデスネ・・・)
しかし倹約だけでは、藩は再生しませんでした。
これは、まさに現代にも同じことがいえると思います。
財政再建をするために、消費税増税を図ろうとしている民主党政権は、
ぜひ過去の教訓に学んでほしいものです。

赤字構造の解消や倹約の徹底を成した上で、
老人や子供がいる家庭など、弱者を大切にした政策で、少しずつ藩は再生していきました。
番組の中では、アニメを使った「米沢藩ニュース」というので、
その様子を紹介していました。
これも、今の政治に欠けていることだと思います。
日本に生まれてよかった、子供を産んでよかった、
年をとったり障がいを持っても安心・・・
そういう世の中になるならば、喜んで国家のために働き、税を納めるようになるのでは?
残念ながらそうでないから、高齢者はひたすら貯蓄して消費にまわらず、
若い世代は子作りをためらうわけですね。

弱者を大切にする社会は、藩の財政の豊かさがバックになって成り立ちます。
特産品の絹糸・絹織物ができるまでのエピソードや、
飢饉対策の話も、現代性があり、示唆に富むものでした。
改めて、鷹山公のスゴさを認識しました。

ところで、私が鷹山公の事をきちんと知ったのは、
1998年1月2日にNHKで放送された時代劇「上杉鷹山-二百年前の行政改革-」でした。
日本にこんなすばらしい政治家がいたということに感激しました。
(幸い、NHKのこのドラマはDVD化されています。)

上杉鷹山-二百年前の行政改革-

その後、原作者・童門冬二さんの
上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件』などの本をいくつか読みました。

上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件

小説 上杉鷹山 全一冊 (集英社文庫)

実はもっと前に、内村鑑三の名著『代表的日本人』は読んでいましたが、
その時にはあまり印象に残りませんでした。
(むしろ、クリスチャンの内村鑑三が、
日蓮を「代表的日本人」として取り上げたことに注目していました。)
その後改めて『代表的日本人』を読み返しました。
ケネディ大統領にも感銘を与えるほどの人物だったのですね~

代表的日本人(岩波文庫)

対訳・代表的日本人

名著「代表的日本人」を読む: 日本とは何か、そしてどう生きるか (知的生きかた文庫)

童門冬二著『内村鑑三「代表的日本人」を読む』 (PHP文庫)

鷹山公は、日本国民にもっと広く知られるべき偉大な政治家ですね~
政治家を志す人、現在政治家として活躍している人はぜひ知ってほしいものです。

小学校の卒業式今昔雑感~ゴスロリで卒業式?

3月といえば卒業式シーズンですね。
高校、中学の卒業式が終わり、
ここ数日間で、小学校の卒業式もピークを迎えましたね。

私の時代の小学校の卒業式といえば、
進学する中学校の制服を着て、厳かな気持ちで迎えたものです。
最近では、テレビニュースを見ると、大学の卒業式みたいに、
男女とも袴を着てくる子も増えているようですね。
そんなに見苦しいものではありませんので、
これは容認できます。
(経済的な格差を見せつける、と言う意味では、
教育上配慮が必要かもしれませんね・・・)

ところで先日、音楽関係のブログを読んでいると、仰天しました・・・
なんと、ゴスロリ服で卒業式に出た子を見たそうです!
【私のシューベルティアーデ・156】
シューベルト/ピアノ作品集 -3 ~ イリーナ・メジューエワ(P)

(ブログ名:Langsamer Satz
そのブログ著者が娘さんの卒業式に行ったら、そういう子がいたそうです。
(引用)
 しかし、ある親子だけは違っていました。(断じて私たち親子ではない)娘さんはバリバリのゴスロリ・ファッション、そしてお母さんは超ミニスカート。その娘さんが入場して来た時は、思わず会場がざわめいたくらい。

 私も目を疑ってしまいました。私は心の中で叫びました。彼女らが目立ちたいという気持ちは分かるのです。他人の注目を一身に浴び、称賛されたい、その気持ちは分かる。でも、なんでその服なの?なんでその色に、そのフリフリなの?と。そう、その服のセンスに同意しかねたのです。
(引用終)
※著者は非難して書いているわけではありません、念のため・・・

今までは、卒業式の服と言えば、ある種の暗黙の了解があったと思いますが、
やはり明文化する必要があるのかもしれませんね・・・

ところで余談ですが、どうして小学生は制服がなくて、
中学生から制服があるのでしょうか?
むしろ、小学生こそ、制服を着た方がいいのでは、と考えます。
生活保護世帯が増えている中、経済的に苦しいので、
何日も同じ服を着ている子がいますが、
差別やいじめにつながりかねないのでは、と危惧します。
制服なら、そういう格差があまりバレないように思いますが・・・

2012年3月21日 (水)

2012年3月のNHKBSプレミアム「クラシック倶楽部」から~タリス・スコラーズ、ユリアンナ・アヴデーエワ、デニス・コジュヒン、リーズ・ドゥ・ラ・サール・・・

NHKBSプレミアムの「クラシック倶楽部」と共に、私の一日は始まります。
今月放送の「クラシック倶楽部」のうち、既に2本の放送については、
記事を書いていますので、
(⇒NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部
-ギル・シャハムが奏でるバッハ無伴奏-(2012年3月6日放送)

ラ・ストラヴァガンツァ東京のオドロキな「冬」
~NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部
-ラ・ストラヴァガンツァ東京 演奏会-(2012年3月7日放送)

それ以外の放送で、録画保存したものについて今回は取り上げます。

タリス・スコラーズ演奏会(2012年3月12日放送)
ただ一言に尽きます。「美しい!
曲目はスペインの作曲家ヴィクトリアのレクイエム他でした。
人間の声がここまで美しく響きあうとは・・・
ルネサンス期のポリフォニー音楽は、天国の響きを予感します。

タリス・スコラーズでは、
アレグリの「ミゼレーレ」と
パレストリーナの「教皇マルチェリスのミサ」を収めたCDが代表盤です。
耳の法悦郷、かも?
初めて聴いた時は衝撃でした・・・

Miserere / Palestrina / Missa Papae Marcelli

今回放送された、ヴィクトリアのレクイエムも代表盤の一つです。
エル・グレコの「オルガス伯の埋葬」をCDジャケットに使っているところもステキです。

Requiem

アラカルト(5)ポール・ルイス/ユリアンナ・アヴデーエワ(2012年3月20日放送)
ポール・ルイスの名は初耳でした。
巨匠ピアニスト、アルフレッド・ブレンデルの弟子とのこと。
4つの即興曲D.899の演奏は模範的なものですが、
それ以上の印象は残りませんでした。
注目すべきはユリアンナ・アヴデーエワの演奏です。
既に、2012年1月31日に、記事を書いています。
NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部
-ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル-」(2012年1月30日放送)


その時の放送では収まらなかった部分の放送でした。
演奏はショパンの「舟歌」とマズルカ作品33-2、ノクターン作品62ー2でした。
前回の放送と同様、今後の活躍が期待できそうなすばらしい演奏でした。

クラシック・アラカルト6 デニス・コジュヒン/リーズ・ドゥ・ラ・サール
(2012年3月21日放送)

お目当てはフランスの若手女性ピアニスト、リーズ・ドゥ・ラ・サールでしたが、
意外にも、デニス・コジュヒンが掘り出し物でした。
デニス・コジュヒンの名は初耳でした。)
コジュヒンの演奏曲目はブラームスのピアノ・ソナタ第1番作品1でした。
ブラームスのピアノ作品といえば、地味で晦渋、とっつきにくい、というイメージがありますが、
コジュヒンの演奏は若々しく、少しも暑苦しくない形で、
この作品の魅力を引き出していました。
テクニックは抜群でした。
この演奏は2012年2月25日、東京の浜離宮ホールでの収録です。
当日のコンサートを聴いた人のブログを見つけましたので紹介します。
類稀な才能、デニス・コジュヒン Denis Kozhukhin, an Amazing Talent, Performs in Tokyo

ブラームスのピアノソナタ第1番について書いたところだけ、
この方の記事から引用します。
(引用)
ここで自分は、あまりのコジュヒンの演奏の素晴らしさにすっかり気分が高揚し、ブラームスはどんなことになるのか、リストは、と期待で踊りださんばかりであった。

ハイドンで、すでに彼の技術的な完成度の高さは見え隠れしていたが、ブラームスの冒頭、なぜか弾きにくそうな面持で始める。しかしすぐに軌道を戻す。早すぎず、遅すぎないテンポで、再び完全にコントロールされたタッチでこの勇ましい曲を進めていく。第一主題の和音の連打は、これもまた、リズム感とセンスが全てを決定する様な音楽であり、面白くも、非常につまらなく(つまりダサく)もなり得る音楽である。コジュヒンは、決してぶっ叩かないし、(この曲は派手に演奏すれば取りあえず恰好がつく)、早く弾くわけでもなく、あくまで凛とした態度で、考え尽くされた構成を持って荘重に音楽を造り上げる。そして彼のセンスは抜群である。繊細かつ清澄でクールなルバート、そして、水晶調の音色がちりばめられ、色彩が変転する。そして、彼の技術があまりにも優れているために、技術は完全に音楽に従属し、彼の意のままになる。それらの全てが、ひたすら彼の音楽的感性の豊かさから奇跡的なバランスを保たれているのである。
誰が聴いても、文句のつけようがないだろう。何たる才能、魅力だろう。一点だけ、重箱の隅をつつけば、彼は派手に弾き上げないため、最後のコーダだけはもう少し大音量でもいいかな、とボンヤリ思った程度である。
それにしても、ペダルの扱い、つまり残響そして音の重なりの扱いは、ここ数年で聴いたピアニストの中でも、最高レベルである。深い響きを鳴らしながら、決して濁らない。音の重層を隅々まで的確に響かせ、明確に和音の美しさの粋を伝えてくる。これは凄いことである。

もう自分は、この時点で大満足であり、メインであるはずの超絶は、もはや聴かなくてもいい、とすら感じていた。素晴らしい演奏に、単純に胸が詰まり、後半がどうあれ、このピアニストは紛れもなく天才であるし、必ずまた聴きに行くし、後半を聴くまでもなく、この数年に自分が訪れたピアノリサイタルの内でも最高のものの一つだ、と確信し、感動していたのである。
(引用終)

大絶賛ですね。
私もこの演奏を聴いて、才能を確信しました。
あまり人気のないこの曲を、名曲だと思わせるとは・・・

お目当てのリーズ・ドゥ・ラ・サールの演奏はといえば・・・
リストの超有名曲「愛の夢第3番」では、
高音部のピアニッシモがとても美しいとは思ったものの、
音が強いところでは、ただガンガン弾いている、という印象しか受けなかったです。
「ダンテを読んで」は、テクニックが圧倒的でしたが(特に終盤!)、
「ダンテを読んで」自体を名曲だとは思うことができませんでした。
(ただ、リーズ・ドゥ・ラ・サールが没入型のすごいピアニストだというのはわかりました。)
これも、以前放送した際に、放送できなかった部分をやっただけです。
30分で一人、という中途半端な放送は少し残念です。

リーズ・ドゥ・ラ・サールのCDはいくつも出ています。
思わずジャケット買いしてしまいそうなものばかりですね・・・
2011年7月に放送されたものを視聴した人のブログを見つけました。
リーズ・ドゥ・ラ・サール"Lise De La Salle" ピアノ・リサイタル 2011
◆♪◆箱庭的ピュアオーディオシステムの薦め AUDIO STYLE◆♪◆
その中で紹介されている、
彼女の動画(プロコフィエフのロミオとジュリエットからモンタギュー家とキャピュレット家)は、
圧倒的な迫力がありました。
今回の放送ではまだ全貌がわからなかった、ともいえますので、
また演奏を観てみたいものです。

Lise De La Salle(リスト作品集)

上記国内盤
リスト:ダンテを読んで - ソナタ風幻想曲、他

ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21/バラード第1番ト短調 Op.23 他
[輸入盤・日本語解説書付]

W.A.モーツァルト、プロコフィエフ;W.A.モーツァルト:ロンド イ短調 K.511 他 (2CD/DISC-2はデュアルディスク仕様(裏面がボーナスDVD)、ドキュメンタリー26分収録(PAL)) (Piano Works by Mozart & Prokofiev [includes DVD])

バッハ、リスト;バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903 (Lise de la Salle plays Bach, Liszt)

ショスタコーヴィチ、リスト、プロコフィエフ;ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 (Shostakovich: Piano Concerto No. 1; Liszt: Piano Concerto No. 1; Prokofiev: Piano Concerto No. 1)

映画「ハーヴェイ」(原題:HARVEY)を聖書で読み解く~巨大なウサギの正体とは?

2012年3月15日に、ジェームズ・ステュアート主演の映画「ハーヴェイ」(原題:HARVEY)が、
NHKBSプレミアムで昼間に放映されていました。
1950年の映画で、
主人公の姉役を演じたジョセフィン・ハルがアカデミー助演女優賞を受賞しています。
ただ、あまり聞いたことのないタイトルだったので、
その時の放映は録画しませんでしたが、
妻が放映を観ていました。
妻が熱心に映画のストーリー展開を語るので、
私も興味を持ち、先日TSUTAYAでDVDをレンタルして観ました。

ハーヴェイ」について紹介しているサイトから、あらすじを転載します。
(引用)
祖母の遺産でのんびりとした毎日を送るエルウッド。 彼は身長192センチの巨大空想ウサギ、ハーヴェイを連れ回り、相手構わず他人に姿の見えないハーヴェイを紹介していた。 弟の奇怪な行動が娘の縁談に影響するのではないかと恐れた姉のヴィータは、エルウッドを精神病院に入れようとする。 しかし、病院の医師や看護婦たちはエルウッドの純真さの虜となり、彼らも巨大ウサギを見るようになってしまう・・・。 味気ない生活を送る家族や医師たちが、空想好きの楽天家に翻弄される姿をほのぼのと描いたハートウォーミング・コメディの佳作。
(引用終)

映画の中で、巨大ウサギのハーヴェイは一度も出てきません。
二つの穴が開いた帽子と、
主人公エルウッドと共に描かれた絵という形で示唆されるだけです。
しかし、主人公エルウッドは、
あたかもそこに実際にハーヴェイがいるかのような行動をとり続けます。
(そこが見事な演技!)
しまいには、精神科医にもハーヴェイが見えるようになったり・・・
(「伝道」の結果?)

この映画を、ただの精神異常者の物語、と片付けることもできます。
しかし、作品が訴えたいこととは違うように思えます。
想像力の大切さが主題なのでしょう。

これは私の考えですが、見えない巨大ウサギのハーヴェイの正体とは、
「信仰の対象物(神様や仏様・・・)」を戯画化したものではないでしょうか?
新約聖書にこういう言葉があるのを想起しました。
信仰によって、モーセは王の怒りを恐れず、エジプトを立ち去りました。目に見えない方を見ているようにして、耐え忍んでいたからです。
(新約聖書ヘブライ人への手紙11:27新共同訳)

目に見えない方を見ているようにして」というのがポイントです。
目に見える信仰の対象物(仏像等)を拝む宗教ではなく、
目に見えない存在を信じる宗教(キリスト教等)を考えてみましょう。
神様は目に見えない存在であり、声を聞くことも触れることもできませんが、
信じる者にとっては、確かに存在するお方なのです。
目に見えない方が常に共におられ、私たちを絶えず導いておられる、
というのが信仰の核心です。
だからこそ、人が見ていようが見ていまいが、
神様を畏れ、愛し、従う生き方をしているわけです。

映画の話に戻りましょう。
ハーヴェイが見えるようになった主人公エルウッドは、
誰に対しても親切で、初対面の人にも名刺を渡し、
自宅に誘ったり、一緒に酒を飲む約束をします。
まさに、「回心」といった感じです。
仏教風に言えば、法華経の常不軽菩薩のような存在になった、ともいえます。
(Wiki「常不軽菩薩」より転載⇒常不軽菩薩は自身が誹謗され迫害されても、他人を迫害するどころか、仏法に対する怨敵などと誹謗し返さなかった。この精神や言動は、宗派を問わず教理を越えて、仏教徒としての原理的な行動・言動の規範としてよく紹介引用される。

「ハーヴェイ」は巨大ウサギという形ではなくとも、
私たちのすぐ近くにいます。
それは「法」や「正義」、「信仰」という概念や、
あるいは「亡くなった人」などの形として・・・
目に見えない存在を「信じる」すばらしさを知る作品です。

ハーヴェイ(DVD)

2012年3月20日 (火)

映画「モンゴル」~壮大なノンフィクション風フィクション

2012年3月20日に、NHKBSプレミアムで、
映画「モンゴル」が放映されていました。
2008年度アカデミー賞外国語映画賞ノミネートされたこと、
外国映画( ドイツ/ロシア/カザフスタン/モンゴル)なのに、
日本人の浅野忠信さんが主演したことで話題となった作品です。
(2008年度のアカデミー賞外国語映画賞は、「ヒトラーの贋札」でした。)
広大なモンゴル帝国を築いた男、
チンギス・ハーンがモンゴル統一を成し遂げるまでの話です。
モンゴルの雄大な風景に圧倒されました。
(行ってみたいかも・・・)

史上最強の統率者となったチンギス・ハーン(劇中では「テムジン」)の物語だから、
さぞ勇壮で華々しいエピソードが羅列されるかと思いきや、
いい意味で、見事に期待を外してくれます。

敵の部族に捕らえられたり、矢で背中を射られたり、
しまいには奴隷として売られ、何年も幽閉生活を送るとか・・・
苦労と忍耐の連続の中、それでも誇りを失わないこと、
妻を愛し続ける姿には心を打たれます。
(あまりに負け続ける姿に幻滅を感じてしまいますが・・・)
最後の最後で、ようやく大勝利を収めて幕を閉じます。

映画を観終わってから、チンギス・ハーンについていろいろと調べると、
史実は映画とはかなり異なっているのを知りました。
(例:映画では、ライバルであり、最後の決戦で戦ったジャムカを逃がしますが、
史実では当然、殺してしまったのこと・・・)
この作品で、セルゲイ・ボドロフ監督は、
チンギス・ハーンを旧約聖書のダビデのような人物として描きたかったのかもしれません。
(日本風ならば、徳川家康?)

全編モンゴル語なので、セリフがうまいのかどうかはわかりませんが、
少なくとも浅野忠信さんは、見事にモンゴルの英雄を演じきっていたと思います。
この作品での浅野忠信さんの撮影秘話等は、
メイキング・オブ・モンゴル 浅野忠信、新たな挑戦」というDVDになっています。

メイキング・オブ・モンゴル 浅野忠信、新たな挑戦

モンゴル

2012年3月17日 (土)

ワタミ会長、聖書を語る~BSジャパン・小林麻耶の本に会いたい「渡邉美樹」

BSジャパンの「小林麻耶の本に会いたい」という番組、
いつもは観ないのですが、
2012年3月16日の新聞夕刊のテレビ欄を観ていたら、
渡邉美樹 聖書」と出ていたので、
興味を持って観ました。
ワタミと聖書?どういう関係があるのだろうか?

番組では、渡邉美樹さんの意外な過去が本人の口によって語られました。
中学時代には、本は聖書しか読まなかった、とのこと。
そして、(ちょっと信じられない話ですが)中学2年の時に、
宣教師の資格を取り、中3には牧師の資格を取った、と述べていました。
(中学生で牧師の資格がもらえるって、一体どこの教派なのでしょう?
普通はありえません・・・)
しかし、高校になってすぐ、キリスト教から興味は社長になることへ移り(残念!!!)、
社長になるための準備のためにビジネス書を読み漁ったそうです。
「私はキリスト教信者ではない」と初めに明言しつつも
(※ただし、中学時代にバプテスマを受けた、とも語っていました・・・)
企業理念「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」の中に、
聖書の「黄金律」として有名な「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい。
(新約聖書ルカ6:31新共同訳)を生かしている、というのがわかりました。

番組では、渡邉美樹さんのおすすめする本として、
文語訳の聖書と、『論語』、天童荒太さんの『悼む人』の3冊を挙げていました。

舊新約聖書

論語(岩波文庫)

悼む人(上)

悼む人(下)

ビジネスの基本は結局、黄金律に集約されるのかもしれませんね。
ところで、最近ビジネスと宗教に関する興味深い記事を読みました。
マザー・テレサに習う経営術
(引用)
・マザー・テレサは、8つのリーダーシップ原則を実践することで、慈善活動を世界的事業にした
・ビジョンと行動を一致させることは極めて重要である。自分が説き進める価値観を実行に移すこと
・倫理的決断を迫られた時は、自分の倫理基準と目標を思い出すこと。それらと選ぶべき道を意識的に比べること
・成功は、「気持ちの準備」、「経済的準備」そして「実行する準備」によってもたらされる
・不安を受け入れること。さもなければ、不安は身のすくむほどの恐怖をあおることがある
・「己を律する喜びを見出し、喜びの中で己を律する」ことが出来た時、人は最高の働きをする
・効果的なコミュニケーションは、信頼、感情移入、明確なビジョンを必要とする
・会う人全員を大切に扱い、その時間、世界で最も重要な人物であると思ってもらえるようにすること
・優れたリーダーは定期的に静かに黙とうする時間を取り、内なる声に耳を傾けている
・マザー・テレサの8つの原則を、宗教的教えだと思わないこと

(引用終)
マザー・テレサと経営術、と聞くと???と思いましたが、
こういう応用方法もあるのですね・・・

原著
Mother Teresa, CEO: Unexpected Principles for Practical Leadership (BK Business)

(まだ邦訳は出ていないようです・・・)

余談ですが、『論語』に関する本では、
最近『世界一わかりやすい「論語」の授業』(一条真也著、PHP文庫)という本を読みました。
論語』が現代的になって大変わかりやすくなっています。
マンガも混じって、とても読みやすいです。
なるほど~と思わされるところが多くありましたよ。

世界一わかりやすい「論語」の授業

2012年3月16日 (金)

映画ドラえもん「新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」

映画ドラえもん「新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」が、
2012年3月16日にテレビ放映されました。
(ドラえもんの映画は劇場公開後1年経てば必ずテレビ放映されますね。)
旧作「ドラえもん のび太と鉄人兵団」が傑作なので、期待していました。
劇場公開後の評判も上々でした。

実際、観終えると、旧作に劣らず傑作だと思いました。
細かいところは旧作からの変更が多いですが(例:新キャラとしてピッポを追加)、
大筋は旧作と変わらない上、映像が美しく(例:雨上がりの水たまりの描写)、
旧作よりもちょっぴりロボットアニメらしい描写(例:鉄人兵団との最終決戦でのミサイル迎撃等)もあり、
旧作とは違った面での魅力を感じました。
とはいえ、旧作が傑作だったことが、この作品の成功の最大要因だと改めて認識しました。

機動戦士Zガンダムの「百式」に似ている「ザンダクロス」は、
旧作よりもバージョンアップしてカッコよくなっていました。
ラストシーン近くでボロボロにされてものび太たちを守る姿は、
機動戦士ガンダムの名シーンである「ラスト・シューティング」を連想しました。

MG 1/100 MSN-00100 百式

リルルの「神様に文句を言ってやりたい気分よ」という一言にヒントを得て、
しずかちゃんとリルルは、
タイムマシンで3万年前にメカトピアを創った神様=博士のもとに行き、
人を思いやる心をロボットが得ることによって、歴史が変わり、
圧倒的な兵力の鉄人兵団もろともリルルやピッポが消滅する、
という、「鉄腕アトム」流の自己犠牲によって、
のび太たちと地球は圧倒的な鉄人兵団の侵略から救われます。
この辺の展開はまともに観ていると泣きそうになったので、
平静を装いつつパソコン画面に向かってテキトーにインターネットしながら、
声だけ聞いていました。
(涙もろい性質なので・・・)

博士がロボットたちの未来を聞いて、嘆くところは、
旧約聖書・創世記の神様の嘆きを連想しました。
主は、地上に人の悪が増し、
常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、
地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。

(旧約聖書創世記6:5~6新共同訳)
生存競争に徹した世界観への強烈な皮肉ですね。
(進化論的な世界観に立つならば、鉄人兵団の意見は正論であり、
憐れみなどは無用なはずです。)
また、階級闘争や奴隷解放など、世界史の暗部の縮図も出てきます。
観ている子供たちがどれぐらいわかるか疑問ですが、
心のどこかに残ってほしいものです。
こうなってはいけない、と・・・

ラストシーンは旧作同様感動的でしたが、
エンディングテーマに限っていえば、旧作の方が断然すばらしいです。
大杉久美子さんの歌う「わたしが不思議」が流れる中、
天使になったリルルが現れる旧作には涙ボロボロになってしまいましたが、
今作のBUMP OF CHICKENの「友達の唄」は、
明るく朗らかな締めくくりにはピッタリだと思いましたが、
あまり感動はありませんでした。
(「わたしが不思議」が切なすぎる、ともいえますが・・・)

BUMP OF CHICKEN友達の唄

映画ドラえもん25周年 ドラえもん映画主題歌篇
(※「わたしが不思議」が含まれています。)

この作品からついにドラえもん映画もBlu-ray化されています。
映像が美しいので、ぜひ高画質でどうぞ!
また、ぜひ旧作と見比べてみてください。

新作Blu-ray版

新作DVD版

旧作DVD版

原作マンガの他に、なんと、小説版(2011年2月刊)まで出ているのですね・・・
小説版の作者はホラー小説「パラサイト・イヴ」を書いた人でもあります。

原作マンガ

小説版

パラサイト・イヴ(新潮文庫)

2012年3月15日 (木)

NHKBSプレミアム「名曲探偵アマデウス」・モーツァルト「ピアノソナタ第11番”トルコ行進曲付”」~名曲探偵アマデウスの再放送、終わりなの~?

今回の「名曲探偵アマデウス」は、再放送で、
モーツァルトのピアノソナタ第11番「トルコ行進曲付」でした。
事件ファイル#79「ばあや見参!消えた家宝の行方」。
ウィーンの天出家の教育係(=ばあや)が来て、
家宝のゴールドディスクを捜してくれ、との依頼。
モーツァルトのピアノソナタ第11番を通して、
名曲探偵天出臼夫の知られざる過去が次々と明かされる、といった回でした。
再放送終了にふさわしい(?)内容だったかもしれません。

番組では、小倉貴久子さんのピアノ演奏が紹介されていました。
なかなかいい演奏だと思いました。
また、作曲家の千住明さんによる解説もなかなか興味深かったです。
有名な第3楽章のトルコ行進曲に、オーケストラの響きがする、という指摘。
のだめカンタービレ」でのだめがこの曲を演奏する際に、
軍楽隊のパレードが見える、というシーンがありましたが(第14巻lesson82)、
そんなイメージを彷彿とさせました。

のだめカンタービレ14巻

さて、第3楽章のトルコ行進曲だけなら、キワモノ盤が3つありますので、
紹介しましょう。

第1に、グレン・グールドによる演奏です。
止まりそうなぐらい遅いテンポで、しかもスタッカート気味に弾いています。
およそモーツァルトの曲が求める様式感とは異なる演奏ですが、
「名演」(というよりは怪演)として知られています。
宇野センセイはこの演奏を絶賛しています。
(引用)
(グールドの演奏は)「『モーツァルトにおいては、絶対にこのように弾いてはいけない』ということを全部行なって、しかも成功を収めている。音をポツポツ切った非人間的な弾き方!普通の人がこのまねをしたら下手くそで聴いていられないだろう。
 ところがグールドは逆手を使い、わざと機械的に弾くことによって、メルヘンの世界を創造したのだ。ちょうどザルツブルクのマリオネット。このグールドのピアノを伴奏に、おもちゃの兵隊が行進したら、どんなに愉しいだろう。
 しかも彼はそのメルヘンティックな表現の中に孤独感をさえたたえているのだ。メカニックに弾きながら、最も人間的な淋しさを描き出したグールドは、まさに天才の名に値する。このCDを初めて聴いたとき、僕はなぜかヘルマン・ヘッセの『メルヒェン』の第一話「アウグストゥス」の最後の場面を思い出したのであった。

(『宇野功芳のクラシック名曲名盤総集版』P.87から引用)

宇野功芳のクラシック名曲名盤総集版

ヘルマン・ヘッセメルヒェン』(新潮文庫)

(※高校生の時に何度も読みました・・・)

ただし、グールドのモーツァルトは悪評高いものですので、
他の楽章についてはさすがに宇野センセイも酷評・・・
グールドによるモーツァルトのピアノ・ソナタ集CDを買うのは、
よほどのグールド好きでないとオススメできません。
グールドのさまざまな録音からエッセンスを集めた、
イマージュ」というCDの2枚目に含まれていますので、
そちらで聴くことをオススメします。
(私も持っています。)

イマージュ

第2は、同じく宇野センセイおすすめの、
アンドレアス・シュタイアーによる演奏です。
フォルテ・ピアノによる演奏だから、いかにも古楽器の古めかしい演奏かな、
と思ったら大間違い!
「トルコ行進曲」中間部はジャズみたい!
最初に聴いたときはかなりオドロキました。
(ただ、何度も聴くと面白さは半減・・・)

アンドレアス・シュタイアー

第3は、私の好きなピアニスト、ファジル・サイによる、
トルコ行進曲”JAZZ”」です。
現代にモーツァルトが生きていたら、サイの演奏のように自由奔放に弾くのでは?
こちらは何度聴いても楽しい演奏です。

ブラック・アースファジル・サイの自作自演CD)

※5曲目が「トルコ行進曲”JAZZ”」です。
テレビでも取り上げられた演奏ですね。

トルコ行進曲“JAZZ”~伝説の東京ライヴ!(DVD)

ピアノソナタ第11番全体のオススメCDは、
ファジル・サイの演奏(フツーに弾いています。)と、
内田光子の演奏です。
昔は内田光子盤が愛聴盤でしたが、
今はもっぱらファジル・サイの演奏で聴いています。
内田光子盤は内向的で、サイ盤は聴いていて愉悦感にあふれています。

ファジル・サイ

内田光子

ところで、「名曲探偵アマデウス」の再放送、終ってしまうのですね・・・
非常に残念です。
熱心に観ていた番組だったので・・・

同じような思いを抱いている記事を紹介します。
ブログ「ミニ音楽評」の
名曲探偵アマデウス 本当に終ってしまうのか」(2012年3月12日記事)です。
NHKさん、民放では「題名のない音楽会」という例外を除いて、
名曲探偵アマデウス」のような番組は作ることができませんので、
ぜひ、「名曲探偵アマデウス」の新しいシリーズか、
あるいはもうちょっと違った形でもいいですので、
クラシックの名曲を分析しつつもわかりやすい番組を作ってください!

2012年3月14日 (水)

NHK・よる★ドラ「本日は大安なり」~ドロドロドラマだけどコメディ

NHKのよる★ドラ「本日は大安なり」、やっと終わりました~
ある結婚式場での5組の新婚カップルと、
会場スタッフを巡る特別な1日のドラマです。
最初に、披露宴会場でスプリンクラーが作動して、
披露宴に集った人たちが会場の外へ逃げ出すシーンから始まりました。
その犯人は誰か?
遡ること5時間前から、ドラマはスタートします。

5組のカップルそれぞれ一癖も二癖もあります。
新郎の愛を試そうと、双子の姉と入れ替わった花嫁。
わがまま放題のクレーマー花嫁。
母の再婚に複雑な思いの少年。
重婚サギ男との結婚(これが一番サイアクの話)。
父親に反対されながらも結婚式を挙げようとするカップル(一番印象が薄い・・・)。
次々に浮上する容疑者・・・
主人公のウェディング・プランナー・多香子自身にも人に言えない過去が・・・
昼ドラ真っ青のドロドロな展開なのですが、カラッとしたコメディに仕上がっていました。
優香さんのポジティブでさわやかな笑顔が魅力でした。

非常に面白い展開で、毎回欠かさず観ていましたが、
さすがに、全10回は長かったのでは、と思います。
「真犯人は誰か」を引っ張りすぎでした。
全6回ぐらいが適切な分量だったのかな、と思いました。
(ちなみにネタバレは書きませんよ~)

最終回では、ついに真犯人が明かされ(だいたい9回目で予想できていましたが)、
登場人物総出で真犯人を説得して、大団円を迎えます。
なんとかハッピーエンドでよかった~と思いました。

このドラマ、原作があるのですね。
辻村 深月さんの同名小説『本日は大安なり』です。

エンディング曲は結婚式にふさわしい、いい歌ですね。
BENIさんの「永遠」です。

2012年3月13日 (火)

映画「マイ・フェア・レディ」~NHKBSプレミアム放送版とDVDを見比べて

映画「マイ・フェア・レディ」は、
私にとってミュージカル映画ベスト5に入る作品です。
「踊り明かそう」(I Could Have Danced All Night)と
「君住む街角で」 (On the Street Where You Live)は特に好きなナンバーです。
昔はサウンドトラック盤やヴォーカル・スコアを持っていたほどです。
昨日(2012年3月12日)NHKBSプレミアムで午後10時から放映していましたので、
(もちろん録画しました。)
映画と同時に英語で歌いながら楽しんでいました。
(0時で観るのはやめましたが・・・)

輸入盤サントラ

マイ・フェア・レディ」は3時間近くの長い映画だし、
終盤はあまり面白くないので、最初の2時間だけ観ました。
実は、全体をきちんと観た回数は少ないです。
せいぜい2、3回です。
どうも、ラストが納得がいかないというか・・・
なんであんな偏屈なオジサマ(ヒギンズ教授)をイライザは選んでしまうのか?

それはともかくとして、「マイ・フェア・レディ」の音楽は実にすばらしいです。
映画全体よりも、サウンドトラック盤に出てくる歌のシーンを見るだけでも満足します。
あと、ヒギンズ教授の家の内装が実に見事!
アカデミー衣装デザイン賞を受賞したファッションの数々も魅力です。

ところで、我が家には現在、この映画のDVDがあります。
DVDがあるから、別に録画しなくてもいいわけなのですが、
たぶん放送版の方が、DVDより画質がいいのでは、と考え、
録画してみました。

ちょうど妻がDVD版を観ていたので、
(英語字幕付で、歌を覚えたかったそうです。)
「スペインの雨」~「踊り明かそう」の場面で、
NHKBS放送版とDVD版の画像を見比べてみました。
すると、DVD版よりも、NHKBS放送版の方が映像が鮮明で自然でした。
DVD版は、レックス・ハリソン演じるヒギンズ教授の顔が赤みがかっていたり、
細部がNHKBS版に比べるとわずかにぼやけていたり・・・

DVDを購入した当時は、鮮明な映像に驚いたものですが、
いまやテレビ放送でもDVDを凌駕してしまっている時代なのですね。
それなら、Blu-ray版なら、なおさらすごいのでしょうね~
ということで、Blu-ray版をAmazonや楽天ブックスで調べたら、1700円弱だったので、
思わず買ってしまいました。
来るのが楽しみです。

マイ・フェア・レディ Blu-ray版


ちなみに、私にとってのミュージカル映画ベスト5は・・・
1.サウンド・オブ・ミュージック
2.マイ・フェア・レディ
3.オペラ座の怪人
4.ウエスト・サイド物語
5.メリー・ポピンズ
以上です。

メリー・ポピンズ以外はBlu-ray版が出ていますね。

サウンド・オブ・ミュージック

オペラ座の怪人

ウエスト・サイド物語

2012年3月11日 (日)

Pie Jesu【自作曲】~東日本大震災1周年によせて

今日(2012年3月11日)で東日本大震災から1周年・・・
慎んで犠牲者への哀悼の意を表します。

久々に自作曲を紹介します。
ちょうど今日の午後2:46頃、帰宅途中にふと与えられたもので、
急いで入力しました。

テキストは、フォーレの「レクイエム」に使用されている、
Pie Jesu(慈愛深いイエスよ)」です。
ラテン語テキストと、日本語対訳は以下のとおりです。

Pie Jesu Domine,  慈愛深いイエスよ、主よ、
dona eis requiem,  与えてください、彼らに、安息を、
sempiternam requiem.  いつまでも続く安息を。

メロディはグレゴリオ聖歌のイメージで歌うと効果的です。

メロディ(midiファイル)と楽譜(PDFファイル)とは、
下記からダウンロード願います。もちろん無償です。

「20120311_pie_jesu_in_latin.MID」をダウンロード

「20120311_pie_jesu_in_latin.pdf」をダウンロード

深い淵の底から、主よ、あなたを呼びます。
主よ、この声を聞き取ってください。
嘆き祈るわたしの声に耳を傾けてください。

(旧約聖書 詩編130:1~2新共同訳)

NHK・3月11日のマーラー(2012年3月10日放送)

東日本大震災からはや1年・・・
震災関連番組は数多いですが、その中でも異色の存在といえる番組であり、
音楽関係での第一級のドキュメントでした。
2012年3月10日放送のNHK「3月11日のマーラー」を観ました。
大震災発生により次々とコンサートが中止になるなか、
数少ない例外の一つとして、
すみだトリフォニーホールでの新日本フィルのコンサートは定刻どおり行われました。
指揮者・オーケストラあわせて94人に対して、観客は105人・・・
本番に至るまでの演奏者・観客の「ドラマ」、
本番が始まってからの「ドラマ」に胸を打たれました。
新橋から墨田区の会場まで10キロメートルの人波をかきわけて、
本番45分前にやっと到着したホルン奏者のエピソードや、
まばらなコンサートホールの様子を思い出す観客・・・
津波の映像に言葉を失う楽団員たち・・・
それでも、ただ一人のお客さんしかいなくても、
演奏を行う、と決断した事務局の判断はスゴイ!

 

当日の指揮者、ダニエル・ハーディングさんや、
楽団員、観客が次々と当日の胸の内を語っていく姿・・・
第1楽章の葬送行進曲や第2楽章の荒れ狂う様子に、
地震や津波の映像に重ね合わし、無事を祈るしかない・・・
演奏最中にも余震がきても、なお平然と演奏は続きました。
まさに極限状況に近い中での演奏といえます。
記録映像が残っていたのは幸いでした。
指揮者をはじめ、楽団員や事務局の人たちの演奏への意気込みは、
まさに「プロフェッショナル」そのものでした。

 

当日の演奏プログラムが、マーラーの交響曲第5番だったというのは、
偶然とはいえ、まさにぴったりでした。
(たとえばウィンナ・ワルツとかだったら、中止した方がよかったでしょう。)
葬送行進曲から始まり、有名な第4楽章のアダージェットを経て、
輝かしいフィナーレで終ります。
苦悩から歓喜へ、といった交響曲の王道ですね。

 

この番組を観ながら、音楽の力、というものを考えさせられました。
タイタニック号が沈没しようという中で、
乗客たちが平静を少しでも保てるように演奏し続けた楽団員のことを想起しました。
非常時にこそ、「日常」を保つようにするというのは、
実に大変な努力ですね。

 

なお、当日のチケットは完売でしたが、ほとんどの人が来ることができなかったため、
払い戻しと、当日来ることができなかった人のために、
昨年6月に代替公演が行われました。
NHKでもその様子の一部が放映されていました。
代替公演に行った感想が書かれているブログを見つけましたので、紹介します。
この方も、曲を聴きながら大震災のことなどさまざまなことを思い巡らしていたそうです。
【演奏会 感想】ダニエル・ハーディング指揮新日本フィル
チャリティ・コンサート(2011.6.20 すみだトリフォニーホール)
(nailsweetさんのブログ「Langsamer Satz」)
番組の中で、観客の方の一人が、
当日はすばらしかったけど、翌日以降大震災のあまりの凄惨さを知るにつれて、
コンサートに行ったことに対して罪悪感さえ抱いてしまったことも紹介されていました。

 

ところで、この番組を観る前に、
久しぶりにマーラーの交響曲第5番の第4・5楽章を聴いてみました。
(普段はどちらかというと苦手な曲なので、滅多に聴かないのですが・・・
特に第1・第2楽章・・・)
今手元にあるのは、ショルティ指揮シカゴ交響楽団の演奏です。
バーンスタイン・VPOの演奏のような粘っこさはありません。
しかしスッキリとした魅力ある演奏といえます。

 

ショルティ盤

 

被災地の復興はマーラーの交響曲第5番でいえば、
まだ第2楽章にすぎないのかな、と思います。
早く第3楽章、いや輝かしいフィナーレへ向かうことができる日が
1日も早く来ることを願ってやみません。

 

(追記)
よく読んでいるブログ「ミニ音楽評」の3月11日記事、
震災の日に演奏したマーラー」で知ったのですが、
新日本フィルのHPで、
6月の代替コンサートの際にハーディングさんが寄せたメッセージが公開されています。
Music Partner of NJP ダニエル・ハーディングよりメッセージ ハーディングさんの当日の記憶、演奏への思いも、インタビューとして公開されています。
2011年06月03日ハーディング最新インタビュー
「この交響曲を演奏するたびに、私は3月11日を思うことでしょう」

 

(2012年5月14日追記)
この放送が2012年3月期の「ギャラクシー賞月間賞」に選ばれたそうです。
放送批評懇談会が選ぶベスト番組【ギャラクシー賞月間賞】
奇跡の重なりが生んだ珠玉の一本~NHK「3月11日のマーラー」
(GALAC2012年6月号)

2012年3月10日 (土)

BS朝日・「小澤征爾さんと音楽で語った日〜チェリスト・宮田大・25歳〜」(2012年3月10日放送)

宮田大という若手チェリストの名前、今回が初耳でした。
「○○コンクール優勝、すごいねぇ~(だから?)」で普通は終ってしまいますが、
世界のオザワと共演、しかもドキュメンタリー番組になる、というなら、
観ないわけにはいきません。

BS朝日で2012年3月10日に放送の、
小澤征爾さんと音楽で語った日〜チェリスト・宮田大・25歳〜」を観ました。
本日(3月10日)の読売新聞朝刊のテレビ欄でも写真付で紹介されていました。
若手チェリストと、世界のオザワが2012年1月に共演するまでのドキュメンタリー番組です。
本来は、2011年1月に共演予定だったのですが、
小澤さんの体調不良により、約束は1年後に伸びました。

番組では、小澤さんはあくまで脇役で、主役は宮田大さんです。
巨匠との音楽的な語り合いを通しての成長がよくとらえられていました。
宮田大さんの心の声(ナレーション)を、斉藤由紀さんが語っていました。
女性が男性の心の声を語るのは、少し違和感がありましたが・・・

番組では貴重なリハーサル風景や、
小澤さんが自転車で会場に来る姿などを映していました。
残念なのは、水戸芸術館やサントリーホールでの演奏の様子が、
静止写真で終っていることでした。
(⇒関連記事:天皇、皇后両陛下:小澤征爾さん指揮のハイドン鑑賞
小澤さんの動く指揮姿をほとんど観ることができなかったのは特に残念・・・
さらに残念なのは、撮影が許された倉敷での演奏会でも、
全曲ではなく一部カットされて放映されたことです。
宮田大さんの演奏、
水戸室内管弦楽団の演奏(指揮者なしでもすばらしいアンサンブル!)
ともどもすばらしかったのに・・・
楽章の間にCMを入れてもいいから、なんとか全曲演奏してほしかったです。
保存映像にできそうだったのに実に残念!
構成でクラシックファン向きの配慮をしてほしいものですね。

小澤征爾さんは先日3月7日に、
1年間活動を休止する、と発表しましたね。
小澤征爾さん:1年間、指揮せず…体力回復に集中
早く復帰してほしいものです。

ところで、水戸での公演の2日目、小澤さんは体調不良のためキャンセルしました。
会場でそのことを発表すると、険悪な雰囲気に。
そこで、水戸芸術館館長の吉田秀和さん(98歳!)が出てきて、
なんとか会場を納得させました。
テレビでその部分が放映されていました。
98歳にも関わらず、未だにお元気ですね~!
(NHKFMの「名曲のたのしみ」という番組、
今も続いているのですね~!昔聴いていました。)
70代の小澤さんよりも元気そうに見えてしまいました・・・
(吉田秀和さんのレコード芸術での記事連載もたまに読んでいます・・・)

宮田大さんのCDです。

⇒詳しい内容はHMVのサイトの方がいいです。

宮田大さんは「音楽で」小澤征爾さんと語りましたが、
村上春樹さんは「音楽について」小澤征爾さんと話をし、
本にしましたね。
⇒『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)

※2012年6月17日追記
NHKEテレの「ららら♪クラシック」でも、この時の演奏が取り上げられていましたね。
BS朝日での放送を補って余りある放送内容でした!

2012年3月 8日 (木)

フクシマの未来への示唆~NHK・放射能と生きること~26年目のチェルノブイリ被災地~(2012年3月8日放送)

3・11の東日本大震災からもうじき1年・・・
NHKでは、東日本大震災関連番組をたくさん放送していますね。
2012年3月8日放送の「放射能と生きること~26年目のチェルノブイリ被災地~」もその一つです。
史上最悪の原発事故であるチェルノブイリ原発事故。
放射能汚染地帯で、普通の日常を取り戻すまでの取り組みは、
フクシマの未来を示唆しているといえます。
短いながらも好番組でした。

放送内容をNHK番組表から転載します。
(引用)
26年前のチェルノブイリ原発事故で放射能に汚染されたベラルーシ。今も、農業の再生や人々の健康を守る懸命の取り組みが続いている。汚染された大地に生きる人々の記録。

1986年のチェルノブイリ原発事故で、国土の4分の1が放射能で汚染されたベラルーシ。今も毎年、国家予算の2割を費やして懸命な回復事業が続けられている。番組では、原発に最も近いゴメリ州で、セシウムが残る畑での農業再生にむけた格闘や、地域の子どもたちの健康を守る取り組み、食品の安全を確かめるシステムなどを取材。これまでの成果と、新たに浮かび上がった課題を通じて、汚染された大地に生きる人々の姿を伝える。
(引用終)

ベラルーシ政府の進んだ取り組みと、日本の遅れた現状との違いは、
情報公開の差です。
日本政府はできるだけ被害を小さく見せることにやっきで、
本当に人々を守る気があるのでしょうか?
危険なものを「安全だ!」といいくるめて、
(御用学者まで動員して・・・)
できるだけカネをかけないやり方で済まそうとしています。
これは欺瞞であり、人命軽視です。

ベラルーシでの26年の取り組みを見ると、
きちんと放射能汚染の実情を公開したり、
子どもにも「正しく恐れる」ことを教育しています。
やり方しだいでは、ベラルーシの例のように、
放射能汚染地区でも農業を復活できる希望がある、というのは福音ですね。

子どもの放射能汚染対策も徹底しています。
年に一度内部被曝チェックを義務づけたり、
被曝が高いレベルにある子は国の費用で外国に療養に行ったり・・・
これは、日本でも必要なことです。

対して、フクシマの現状は・・・
中部大学の武田邦彦教授が、2月26日に
教育は戦前の暗黒時代へ・・・教育関係者の魂に期待する」という記事を書いています。
戦前の、B29に竹ヤリで立ち向かうみたいなバカげた教えに近いことが、
今、フクシマで行われているらしい、というのは、耳を疑いたくなります。

(引用)
福島では小学校教育でまるで戦前に戻ったかと思う教育関係者の発言が見られる。

ある小学校では、福島から避難することを口にした児童を教諭がみんなの前で名前をよび、「あなたは日本国民ではありません、裏切り者です」と言った。

さらにある小学校(特定しています)では登校時にマスクをした児童に対して、先生が、「マスクを取りなさい! その様な行為が風評被害を招くのです!」と叱った。

・・・・・・・・・

こんなことが今の時代にあるのか?!とビックリするが、これに類したことは原発事故以来、かなり多く、私も直接(校長先生からのメールなど)、間接(読者の方からのご連絡)に接してきた。戦後、「日の丸、君が代」も拒否し、ひたすら「民主教育」、「個人の尊厳」を中心にしてきた学校はどうなってしまったのだろうか?

また、朝日新聞をはじめとしたマスコミもおおかたは「個人の尊厳、民主的教育」を支持してきたのではなかったか? 

今回の原発事故は、そのものが「原子力安全審査における不誠実」が一つの原因になったのは間違いない。私たちはここで「福島原発事故の教訓を活かして、どんな場合でも誠実な日本人であること」が求められており、さらに教育、医学、行政などの分野でより強く意識しなければならないのは当然でもある。

福島の汚染地帯にいる子供たちは「違法に滞在している状態」である。子供たちは法律を知らないが、教師は法律や規則を勉強して子供たちを守る立場にある。ここに上げた二つの例は、いずれも土壌汚染が1平方メートルあたり4万ベクレルを超える地域であり、学校の先生は法律の規定に従い、学校の放射性物質を除去することを東電に求めて子供を守る必要がある。

(引用終)

「風評被害」云々よりも、正しい情報をきちんと伝えることこそ必要なのです。
変な「検閲」があるから、なおさら疑心暗鬼になるのです。
チェルノブイリ原発事故という過去の大きな教訓を、
ぜひ日本でも生かしてほしいものです。

ラ・ストラヴァガンツァ東京のオドロキな「冬」~NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部-ラ・ストラヴァガンツァ東京 演奏会-(2012年3月7日放送)

2012年3月7日に、NHKBSプレミアムの早朝番組「クラシック倶楽部」で、
ラ・ストラヴァガンツァ東京 演奏会
(【収録】2012年1月26日/東京・王子ホール)が放映されていました。
録画して視聴しました。

演奏曲目は以下のとおりです。
NHK番組表から引用します。
すべてヴィヴァルディの作品です。
(引用)
「シンフォニア 第15番」
「合奏協奏曲「調和の霊感」から第11番」
「ソナタ「ラ・フォリア」」
「「四季」から 冬」
「合奏協奏曲「調和の霊感」から 第7番」

(引用終)

ラ・ストラヴァガンツァ東京という団体、初耳でした。
どんな団体かを、
ラ・ストラヴァガンツァ東京のCD『ヴィヴァルディスム』(協奏曲集)を紹介した
HMVのサイトから引用します。

(引用)
 松野弘明(ヴァイオリン)と黒木岩寿(コントラバス)をリーダーとし、ヴィヴァルディ大好き人間が集まり創設されたチェンバロとリュートを伴った弦楽アンサンブルで、本ディスクと東京文化会館小ホールでの公演(木越洋の音楽博物館2008年11月30日)がデビューとなります。
 アンサンブル名の<ラ・ストラヴァガンツァ東京>は、ヴィヴァルディの作品4のヴァイオリン協奏曲集「ラ・ストラヴァガンツァ」からとったもので、「奇妙な」とか「風変わりな」という意味をもつイタリア語です。
 ヴィヴァルディには、膨大な数のシンフォニア(弦楽のための協奏曲)、合奏協奏曲があり、「四季」は余りにも有名ですが、演奏されることが稀な傑作が数多くあります。こうしたヴィヴァルディの知られざる作品の演奏にも力を注いでいきます。
 ヴィヴァルディ、バッハなどのバロック期からモーツァルト、ベートーヴェンにいたる時代の弦楽器の奏法の解明はここ数年で飛躍的に進み、弦楽器と弦楽アンサンブルの表現の幅は飛躍的に拡大しました。<ラ・ストラヴァガンツァ東京>は、いわゆるモダン楽器を使用していますが、古楽器奏法も参考にしつつ、世界新しい潮流も見据えて独自の響きを追求。生き生きと湧き上がる、多彩な響きが持ち味です。
 <ラ・ストラヴァガンツァ東京>は、自らを<ヴィヴァルディびと>とも称し、ヴィヴァルディの生きた17-8世紀を遡ること1000年も昔の万葉集の時代に生きた、日本人の源流とも言える<万葉びと>の感性を演奏に反映しようと試みています。

(引用終)

ヴィヴァルディスム(CD)

ヴィヴァルディ専門の団体なのですね。
ヴァヴァルディの作品はきれいですが特に好きというわけではないので、
映像つきのBGMとして番組初めから聴いていました。
アンサンブルのすばらしさは特筆に値しますが、
これといって特に印象に残らない曲ばかり・・・
なんとなく聴き流していました。

ところが、超有名曲である「四季」の「冬」には驚かされました。
第1楽章と第2楽章は休む間なく推移しました。
装飾音でつないでいました。
かなり早めのテンポであっという間に甘美な楽章は過ぎていきました。

問題なのが第3楽章!
突然、通奏低音を担当するチェンバロ奏者が、
いすを叩き始めます!
最後には、ひざを叩く音と動作が出てきます。
思わず!!!(何だこりゃ!?)となりました。
「冬」にこんな指定があったっけ?
現在家にあるCD(チョン・キョンファのCD)と、
昨年12月に録画して保存してある、
樫本大進&ベルリン・バロック・ゾリステンによる「四季」の「冬」を聴きなおしてみました。
やはり打楽器的なものは入っていません。
しかし、演奏としては意外性がありつつも、きちんと音楽的でしたので、
ラ・ストラヴァガンツァ東京の演奏はすばらしいと思いました。
古楽器、モダンといった区別にとらわれない、いきいきとした演奏が魅力でした。
リュートが合奏に加わっている、というのも新鮮でした。

このコンサートに実際に行った感想が書かれたブログを見つけましたので紹介します。
ラ・ストラヴァガンツァ 東京 と ティツィアーノ・スカルパ著『スターバト・マーテル』

ヴァイヴァルディの「四季」はいろいろな盤が出ていますね。
この曲が特に好きなら4~5種類(あるいはもっと多く)もっていて損はないですが、
たった1枚だけ選ぶなら、チョン・キョンファのCDがオススメです。

チョン・キョンファの「四季」

「四季」の「冬」の第2楽章はとても美しいメロディなので、
いくつもの歌詞がつけられています。
ヘイリーの歌う"River Of Dreams"もその一つです。
ユニバーサル・クラシックスのヘイリーHPから試聴できます。)
とても美しい歌です。

ヘイリー"River Of Dreams"輸入盤

アメイジング・グレイス~ヘイリー・ベスト(国内盤)

2012年3月 7日 (水)

NHK・クローズアップ現代「アニメを旅する若者たち “聖地巡礼”の舞台裏」(2012年3月7日放送)

今回の「クローズアップ現代」は、
オープニングからいきなり「たまゆら」というアニメの登場人物が登場~
広島県の竹原を舞台にした作品です。
(関連記事⇒
たまゆら : アニメ業界異例の地方都市“完全舞台化”で話題 
「安芸の小京都」にファン集う
)(まんたんWEB)
(北海道では放送されていないので、全然存在を知りませんでした。)
らき☆すた」の「聖地巡礼」で一躍全国区の知名度になった
埼玉県久喜市にある鷲宮神社(新聞記事にもなりましたね・・・)を筆頭に、
いまや「聖地巡礼」の対象地は全国で400箇所以上あるそうです。

2012年3月7日放送の「クローズアップ現代」では、
アニメに出てくる実際の場所を探す「聖地巡礼」の地元への経済効果や、
現在放送中のアニメ作品に地元が積極的に関わる例などを紹介していました。
番組HPから、放送内容を転載します。
(引用)
特別に有名な名所があるわけでもない地方の町に、突然、若者が大挙して訪れる。そんな現象が全国各地に広がっている。共通しているのはアニメの舞台となったこと。その地を“聖地”になぞらえ、“聖地巡礼”ブームが広がっているのだ。今や“聖地”は全国400カ所以上、10億円の経済効果に湧く町もある。聖地を生み出しているのは登場人物の生活を、実際の町のたたずまいを背景に描く「日常系」と呼ばれるアニメ。放送前から特産品や観光名所を登場させてもらおうと奔走したり、4カ国語に翻訳し海外のファンを狙ったりする自治体もでてきた。ブームの裏には、経済環境の悪化で苦境に立つ制作会社の戦略がある。実在の町をモデルにすれば、架空の町をゼロから構築する場合に比べ、時間も経費も削減できるという。“聖地巡礼”ブームの謎を解き、コンテンツ立国を目指す日本の現状と課題を探る。
(引用終)

「聖地巡礼」がなぜ全国に広がっているか、という背景を番組で説明していました。
深夜アニメの増加にともない、町並みや舞台背景などを新たに創造するよりも、
現実の町並みを写真で撮影し、それをアニメに取り込むやり方の方が、
作成コストと制作日数を短縮できるからだそうです。

あるアニメ(たしか「true tears」でしたか?)では、
富山県南砺市の制作会社P.A.WORKSの会社周辺の町並みが
上記の手法でアニメに使われ、ついに「聖地」になったとか・・・
番組では他に、冒頭で紹介した「たまゆら」の例も紹介していました。

千葉県鴨川市を舞台にした、
現在深夜に放送しているロボットアニメ「輪廻のラグランジェ」では、
(北海道でも放送しています)
積極的に地元の人々が制作に関わり、
作品中で「鴨川」を連呼し、あざといほどに地元の名物を紹介しているとか・・・
さすがにこれはやりすぎなのでは、とアニメファンならずとも思いました。

作品の舞台を巡ることは、そのファンにとっては大きな喜びです。
それがアニメであれ、映画であれ、小説であれ、差はないはずです。
(私も映画「ローマの休日」や「サウンド・オブ・ミュージック」の
ロケ地巡りをやったことがあります。)
アニメの「聖地」だからといって、もはや特別視する必要はありませんね。
むしろ、地方の活性化につながることですから、
大いに歓迎すべきことではないでしょうか。
ただし、あまりにも露骨な、新たなる「聖地」作りは好ましくないですね。
背景はやはり背景にすぎないのですから、控えめでいいのでは、とも思いました。

日本国内の「聖地巡礼」に関するおすすめサイトです。
アニメファンならぜひ行きたい!聖地巡礼ツアー

番組スタッフによる「スタッフの部屋」で今回の放送についての記事があります。
2012年03月06日 (火)各地に誕生する"聖地" その背景には!?


私なら、「世界名作劇場」の「アルプスの少女ハイジ」や
「赤毛のアン」の「聖地巡礼」ならぜひやってみたいなぁ・・・

2012年3月 6日 (火)

NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部-ギル・シャハムが奏でるバッハ無伴奏-(2012年3月6日放送)

2012年3月6日に、NHKBSプレミアムの早朝番組「クラシック倶楽部」で、
ギル・シャハムが奏でるバッハ無伴奏」が放送されていました。
世界的なヴァイオリニストのギル・シャハムが、
東京の「ツキ シュール ラメール」で東京湾の夜景をバックに、
バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番、第3番と、
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番の一部を演奏する、という内容でした。

演奏はちょっと速め・軽めですが、もちろん合格点でした。
録音もすばらしいです。
コンサートホールのざわつきがなく、純粋に音楽を楽しめます。

今回は演奏そのものよりも、映像の使い方を評価したいと思います。
東京湾の美しい夜景をあえてぼかし気味に撮って、
幻想的な雰囲気を醸し出していました。
ギル・シャハムが演奏する姿からは、都会のクールさと孤独感、
音楽する喜びを感じました。
絵になる演奏風景、といった感じです。

ギル・シャハムによるバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ集のCDを探してみたのですが、
残念ながら見つかりませんでした。

いくつかギル・シャハムのCDを試聴してみました。
他ではなかなかないコンセプトのCDを2つ紹介します。

Fiddler of the Opera※輸入盤

オペラの名アリアを使ったヴァイオリン曲集です。
国内盤CD(現在廃盤?)の方がジャケットが楽しいです。
ギル・シャハムが「魔笛」のパパゲーノのコスプレをしています。

(参考)国内盤

パガニーニ・フォー・トゥー ヴァイオリンとギターのための作品集
Paganini for Two※輸入盤

ギターとヴァイオリンという組み合わせです。
トラック15が美しいですよ。

なお、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータについては、
以前記事を書いていますので、よろしければお読みください。
ヒラリー・ハーンのバッハとバーバー

2012年3月 5日 (月)

映画「シーズンチケット」(原題:Purely Belter)~笑えないけど、笑うしかない物語

2012年3月3日深夜(3月4日午前)に、
テレビ北海道で映画「シーズンチケット」(原題:Purely Belter)が放映されていましたので、
録画して妻と一緒に観ました。
ブラス!」、「リトル・ヴォイス」のマーク・ハーマン監督作品です。

シーズンチケット」DVD

あまり知られていない作品なので、録画予約するかどうか迷ったのですが、
マーク・ハーマン監督作品ということと、
あらすじを読んで、なかなか面白そうだと思ったから、
録画することに決めました。
実際、録画して正解でした!

あらすじをgoo映画の紹介ページから転載します。
(引用)
イングランド北部の町、ゲーツヘッド。15歳の少年ジェリー(クリス・ベアッティ)は、病弱な母親(チャーリー・ハードウィック)、姉クレア(トレイシー・ウィットウェル)の赤ん坊と共に粗末なアパートで暮らしている。2番目の姉は家出し、父親(ティム・ヒーリー)も姿を消していた。学校にも行かず、2つ年上の親友スーエル(グレッグ・マクレーン)とつるむジェリー。今日もニューキャッスルを見下ろす丘で、2人は名門サッカー・チーム、ニューキャッスル・ユナイテッドの試合をスタジアムで観ることに思いを馳せていた。シーズン中にお気にいりのチームの試合がいつでも観戦できるシーズンチケットは、1人500ポンド。ジェリーとスーエルは、これを買うために毎日色々な手で小銭を稼ぎはじめる。だが、ジェリーが姿を現わした父親に金を奪われたりして、いつまでたってもチケットは買えない。やがて、家族の問題、恋愛の問題などで、すっかり心身ともに傷ついた2人は、どちらからともなくガーディアン・エンジェルの丘に来ていた。彼らは最後の希望であるシーズンチケットを手に入れるため、銀行強盗を企てる。だがあっさり失敗。2人は裁判にかけられるが、初犯なので実刑は課せられず、代わりにひとり暮らしの老人宅へ食事のケイタリングのボランティアをすることになった。老人の公共団地に毎日食事を運ぶジェリーとスーウェル。するとその最上階の部屋からは、彼らがあれほど願ったスタジアムでの試合が一望できるのだった。
(引用終)

主人公ジェリーの家庭環境が実に複雑です。
一日中煙草をふかしている病弱な母親と、
一児の母(未婚?離婚?)である長姉、
次姉は家出して行方知れず(ドラッグ中毒者・・・)。
父親はDV男で、母親の居所を探しては暴力をふるい、
金目のものをまるごと持っていくような非道な人物です。

家庭環境がすさんでおり、学校にも行かず、
親友のスーエルとつるむ日々。
そんな中、応援するサッカーチーム、
ニューキャッスル・ユナイテッドのホームゲームのシーズンチケットを
手に入れたいと思い立ち、
合法・非合法あらゆる手段を使って、
1枚500ポンドのチケットを2枚分手にするために奔走します。

ジェリーとスーエルは、まるで漫才のボケとツッコミみたいな関係です。
(スーエルがボケ、ジェリーがツッコミ)
やっていることの大半は悪どいことなのですが、
なぜか笑えてしまう・・・
20世紀最後のイギリス版「ハックルベリー・フィンの冒険」といった感じです。
紅茶を飲みながらホームグラウンドでサッカー観戦、という夢・・・
いかにもイギリスらしいですね。

最後にはついに銀行強盗にまで手を染めて(非常にマヌケなやり方で・・・)、
裁判にかけられ、労働奉仕の刑を命じられます。
(日本でも、少年院や刑務所に隔離するやり方だけではなく、
こういう社会奉仕的な刑も導入検討した方がいいのでは、と思いました。)
最後のシーンは、思いもがけず、ついに念願がかなうところで幕を閉じます。

イギリス貧困層の諸問題がいろいろ浮き彫りになりますが、
映画はそんな中でもポジティブに生きる少年たちを描き、
観終わるとさわやかな印象が残りました。
どれだけ笑えない状況でも、笑うしかない物語・・・

なお、映画の原題は「Purely Belter」(本当にサイコー!)ですが、
映画の原作の原題は、
日本語の映画タイトルと同じ「The Season Ticket 」です。

原作(邦訳は絶版?)※洋書
The Season Ticket (By Jonathan Tulloch )

マーク・ハーマン監督の作品は、
「ブラス!」と「リトル・ヴォイス」を観たことがあります。
どちらも、ユアン・マクレガーが出演していますね。
「リトル・ヴォイス」の方が作品として面白く、オススメです。

ブラス!(DVD)

リトル・ヴォイス(DVD)

リトル・ヴォイス(Blu-ray)

この映画をもう少し詳しく知りたいなら、
次の記事がオススメです。
シーズンチケット(ブログ名:愛すべき映画たち

2012年3月 4日 (日)

映画「タイタニック」のジャックとキリスト

2012年3月3日に、NHKBSプレミアムで、
映画「タイタニック」が放映されていました。
録画もしましたが、結局そのままオンタイムで観てしまいました。

私はこの映画を観るのは3度目で、
妻は主題曲の「My Heart Will Go On」を覚えてしまっているほど何度も観ているそうです。
約3時間15分の映画ですが、あっという間のように展開してきます。
何度観てもすばらしい映画です。
同じジェームズ・キャメロン監督の「アバター」も大ヒット作品ですが、
断然「タイタニック」の方が圧倒的な感動があります。

NHKなので、余計なCMは入らないし、
高音質、高画質のノーカット二ヶ国語放送は良かったと思います。
欲を言えば、字幕放送もつけてほしかったな、と思いました。
(もっと言えば、吹替はいらないので、字幕スーパーだけにしてほしかった・・・)

過去2回観たとき、
ラストシーンのタイタニック号でのジャックとの再会のシーンを観て、
思わず涙がどっとあふれ出てしまいましたが、
さすがに今回は、隣に妻がいるので、泣くのを我慢・・・

ところで、ディカプリオ演じるジャックの存在は、
ケイト・ウィンスレット演じるローズにとって、
まるでキリストのようだと思いませんか?
以前から私はそのように思っていました。

生きる希望を失っていた時に希望を与え、
生きる喜びを与え、
苦しみの時にも共にいてたえず励まし、知恵と力で導き、
最後には彼女を救うために自分の命を捨てる・・・
そして、彼女に新しい生き方を残しました。

この話を妻にしたところ、
「ジャックはローズを救ったけど、他の人は救わなかったわ」と反論。
確かに、そのとおりですね。
しかし、信仰の話で考えてみますと・・・

キリストはすべての人を救ったから信じる、
という証は聞いたことがなく、
むしろ、キリストがこの私を、
確かに救ってくださったからこそ信じる、のではないでしょうか?
すべての人が救われていたとしても、この私が救われた、
という実感がなければ、信じるに値しないものです。
キリストはすべての人を救ってくださった、というのは神学の問題です。
(事実そのとおりなのですが・・・)

だから、同様にこの映画において、
ジャックはローズにとっての「救い主」といえるはずです。
ジャック=(イコール)キリスト、ではもちろんありませんが、
ジャックを通して、キリストのイメージが透けてみえるように思えます。
(ついでに言えば、旧約聖書の人物の高貴なところから、
キリストが透かし模様のように現れている、ともいえます。)
ちょっと強引な解釈デスネ・・・

しかし、憐れみ豊かな神は、わたしたちをこの上なく愛してくださり、その愛によって、罪のために死んでいたわたしたちをキリストと共に生かし、――あなたがたの救われたのは恵みによるのです――キリスト・イエスによって共に復活させ、共に天の王座に着かせてくださいました。
(新約聖書 エフェソの信徒への手紙2:4~6新共同訳)

今年の4月14日でタイタニック沈没からはや100年・・・
(今年4月には3D版の「タイタニック」が上映されるとのこと。)
タイタニックは「不沈船」と言われ、万が一の用意をおろそかにしていたため、
1500名以上の乗客が死亡する大事故になりました。
同じようなことが、昨年の原発事故にもいえますね・・・
科学技術への過信は「バベルの塔」のようなものになりかねないのは、
100年経っても変わらないようですね。

タイタニック(DVD)

2012年3月 3日 (土)

キラキラネームと交ぜ書き~小学校での漢字指導と命名の法規制

希星」、「来桜」、「絆星」、「」・・・
さて、何と読むでしょうか?

正解は、
「希星(きらら)」「来桜(らら)」「絆星(きら)」「月(あかり)」でした・・・
読めなくて当たり前ですね。
こういうのを「キラキラネーム」というそうです。
以前は、「DQNネーム」とも言われていましたが、
最近では、社会的にも「キラキラネーム」で認知されるようになっているようです。
(「キラキラネーム」を率直に言えば、「おかしな名前」ですが、
そこは日本語。できるだけ婉曲な言い方をするわけですね・・・)

キラキラネームの弊害はさておき、
キラキラネーム(や普通の名前)に使っている漢字の、
小学校での指導についての記事を読みました。

キラキラネームの増加で「名前の3分の1も読めない」と教師(2012.3.2)
「習ってない漢字使うな」指導で自分の名前を書けない子供も(2012.3.1)
(いずれも「NEWSポストセブン」⇒※女性セブン2012年3月15日号

小学校では、学習指導要領により、各学年で覚える漢字が決められています。
だからといって、たとえば小1の子が小4や中学生で習う漢字を使ってはいけない、
というのはおかしいですね。
特に、自分の姓名に使う漢字ならなおさらです。
しかし、上記記事によると、そういう指導をしている教師がいるとのこと。

(引用)
 <最近、自分の名前であっても学校で習ってない漢字を使ってはならないと先生が指導するという。おかしい。だって名前の漢字はすべて学校で習うとは限らない。ならばいつまでも自分の名前は漢字で書けない。名前は親が指導し、学校では友達の名前を読めるように指導すべきと思う>
 立命館小学校副校長で大阪府教育委員も務める陰山英男さんがツイッターに書き込んだつぶやきが、大きな議論に発展している。あまりの反響の大きさに、陰山さん自身驚いているようだ。
「ツイッターでは、大阪府の教育基本条例の問題なども取り上げているのですが、漢字と名前の問題の反響はそれよりはるかに大きいものでした。あまりにも多数の声が次々に届くので、何かの間違いではないかと思ったくらいです」
 反響の理由を、陰山さんはこう分析した。
「保護者の声で最も多かったのは、書ける漢字を書かせないという“ブレーキをかけること”への反発でした。この問題に保護者がここまで熱くなっている背景には、学校への不信があります。これまで教師がよかれと思って指導してきたことが、保護者目線で見るとズレていることがあるんです」
「漢字と名前」問題が浮き彫りにした、いまの学校教育の問題とは──
 例えば「陰山英男」さんが新入生として小学校に入学したとしよう。最初は漢字を習っていないので、すべて平仮名で「かげやまひでお」。1年生のうちに「山」と「男」を習うので「かげ山ひで男」と書くよう指導される。4年生になると「英」の字を習い「かげ山英男」と書くが、「陰」の字は小学校卒業まで書かないことになる。これが名前の「交ぜ書き」だ。
 ツイッターで指摘しているとおり、子供が漢字で自分の名前を書けるにもかかわらず、「平仮名に直せ」と指導されるケースが少なくないことがわかった。つまり、子供は「陰山英男」と書けるにもかかわらず、「かげ山」と書きなさいと教えられていたのだ。東京都在住のAさん(44才・主婦)がいう。
「子供には“小学校に上がる前に漢字で名前が書けるように”と漢字を覚えさせ、子供も名前を漢字で書けるようになったことで自信がついたのか、学校に行くのを楽しみにしていました。ところがある日、『習ってない漢字は平仮名で書かなきゃダメなんだって』とションボリして帰ってきたんです。思わず“ダメってどういうこと? 自分の名前なのになんで漢字で書いちゃいけないの?”と声を荒らげてしまいました」

(引用終)

(引用)
 ある小学校の教師は、こういい切った。
「フリガナをふればいいだけの話で、漢字を書かせない理由にはならないはずです」
 交ぜ書き問題に警鐘を鳴らす立命館小学校副校長の陰山英男さんは「書いてもいい」からさらに一歩進んで、「書かせるべき」という立場を取る。
「たしかに、いまは当て字が多いので、初めて目にするとどう読むのかわからない名前もあります。でも、読めないならその場で教えればいいし、子供同士で教え合ってもいい。当て字であろうが、漢字でつけられたものであれば、漢字で書かれたのが本当の名前。相手を尊重するという意味でも、その漢字を読めるようにすべきです」(陰山さん)
 そのうえで、こう続ける。
「1年生のうちは漢字で書くことが難しいこともあります。しかし、2年生になったら漢字で書かせるべきです。あまり知られていないかもしれませんが、低学年の『生活科』の授業では、自分の名前の由来を学習する時間があります。親がどんな思いで子供の名前をつけたのか。それを知ることで、自分の名前を大切にしようというのが狙いです。教師が名前を漢字で書かせないのは、こうした名前の指導をしていないということにほかなりません」

(引用終)

大阪府教育委員であり、
立命館小学校副校長の陰山英男さん(百ます計算で有名)の主張はもっともです。
確かに読めない、わけわからない当て字にしかすぎない名前であっても、
親は特別な思いを込めて名づけたわけです。
漢字があるなら、それを尊重するのが、相手を尊重することになりますね。
学習指導要領を機械的に適用すべきものではないですし、
振り仮名さえつければ、難しい漢字だってどんどん読ますといいのです。
交ぜ書きのような見苦しいものは教育現場でやめてほしいものです。

キラキラネームの弊害に戻ります。
あまりにもひどい、日本語の漢字の読み方を無視する命名は、
親の無知・無教養・非常識をさらけ出すようなものであり、
子供にとっても後々負担になる場合が多いと思われます。
(親が「キラキラ」しているから、子供も「キラキラ」している場合が、
残念ながら多いようです・・・)
正しい日本語を守るため、
命名で使う漢字の読み方にそろそろ法規制をすべきでは、
と考えています。
どなたか政治家の方々、立ち上がっていただけませんか?・・・
常用漢字の読み方にないものは受理しないとか・・・
他の人が読めない、勝手な当て字をするぐらいなら、
全部ひらがなかカタカナで表記してほしいものです。

以前、子供の命名について記事を2つ書いています。
よろしければお読みください。

ビューティフル・ネーム?(2009年7月17日記事)
DQNネーム検定(2010年3月23日記事)

2012年3月 2日 (金)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番の名盤~グリモー、ペライア、内田光子、バレンボイム、アシュケナージ・・・

先日、マレイ・ペライアのピアノと指揮によるモーツァルトのピアノ協奏曲全集を、
タワーレコードのサイトで予約購入しました。
初回限定版のみの発売、
12枚組の正規盤でなんと2190円!という激安価格でした。
(現在品切れ中・・・)
ペライアのピアノと指揮によるモーツァルトのピアノ協奏曲のCDとしては、
以前から第17番・第18番のアルバムを愛聴していました。
26番の演奏も名盤として名高いです。
どちらもオススメできるCDです。
(単品CDならコチラ↓)

 

ピアノ協奏曲第17番・第18番(輸入盤)

 

ピアノ協奏曲第26番他(輸入盤)

 

購入したピアノ協奏曲全集はそのうち全部聴いてみるつもりではいますが、
現在までに聴いた中で、上記以外の名盤を見つけました。
それが、今回取り上げるピアノ協奏曲第23番です。

 

(全集・通常版)※輸入盤

 

ペライアの演奏はかなりゆったりとしていて優雅です
遅すぎると思えるぐらいですが、その分細部がモノを言うような演奏といえます。

 

改めて、既にあるバレンボイムのピアノ・指揮による全集と、
内田光子/テイトの全集にある同曲、
さらには、昨年購入したエレーヌ・グリモーのピアノ・指揮による演奏とも比較してみました。
各楽章の演奏時間を列記します。

 

(いずれも輸入盤)
バレンボイムによる全集

 

内田光子/テイトによる全集

 

グリモー盤 (ピアノ協奏曲第19番、第23番他)

 

 

第1楽章
グリモー盤 10:42
バレンボイム盤 11:02
内田光子盤 11:23
ペライア盤 11:43

 

第2楽章
グリモー盤 7:38
バレンボイム盤 7:34
内田光子盤 7:19
ペライア盤 8:34

 

第3楽章
グリモー盤 7:56
バレンボイム盤 7:27
内田光子盤 7:45
ペライア盤 8:52

 

どの楽章をとっても、ペライア盤はダントツの遅さですね。

 

改めて聴き直してみると、印象深いのは、
グリモー盤とペライア盤です。
名演が多いバレンボイムと内田光子による全集盤でのこの曲はの演奏は、
合格点には達しているものの、スゴイとは思えません。
(他ではいろいろオススメできるのに・・・)

 

グリモー盤は速いテンポでこの曲をリフレッシュさせています。
第1楽章はブゾーニのカデンツァ使用や
標準的な演奏よりも速いスピードが賛否分かれるところですが、
第2楽章以降は名演といえます。
なお、このCDのカップリングは、あまり人気のない第19番と、
あまり知られていない、
劇唱「どうしてあなたを忘れられようか」とロンド「恐れないで、愛する人よ」 K.505 (ソプラノ:モイカ・エルトマン)です。
K.505は実にすばらしい演奏です。
声とピアノとオーケストラの饗宴・・・

 

DGによるグリモー盤のピアノ協奏曲第23番第2楽章の動画がありますので紹介します。

 

この曲を初めて聴いたCDは、
アシュケナージのピアノと指揮による演奏です。
中庸かつロマンティックで、標準的な演奏といえます。
現在手元にありませんが、改めて試聴すると結構イイ演奏なのでは、
と再認識しました。

 

アシュケナージ盤(国内盤)

 

アシュケナージによる全集盤(輸入盤)

 

モーツァルトのピアノ協奏曲全集は、
名演奏のもの(バレンボイム、内田光子、アシュケナージ、ペライア・・・)でも
かなり安く買えるようになってきています。
全集だけでも2、3組持っていても損はないと思いますよ。

 

(2012年3月8日追記)
CDの棚を整理していたら、
昨年買ってあまり聴いていなかった、
ファジル・サイのCDが出てきました。
演奏時間を書いておきます。
第1楽章:10:14
第2楽章:6:09
第3楽章:7:53

 

どの楽章もグリモー盤よりも短いですね。
しかし実際に聴いてみると、そんなに早さは感じません。
むしろ、オーソドックスな演奏かな、と思いました。
ファジル・サイらしさはあまり出ていない演奏で、
むしろ、模範的とさえいえるようなものといえます。
難点を言えば、オーケストラの方で、
一部首をかしげたくなるような箇所がいくつかあります。
このCD、輸入盤3枚組の中の1枚ですが、
国内盤CD1枚分よりも安い!というオトクなものです。
モーツァルトのピアノ協奏曲のCDよりも、
ベートーヴェンのピアノソナタ集の方がオススメです。
他のCDはハイドンのピアノ・ソナタ集です。

 

Fazil Say Boxed Set

2012年3月 1日 (木)

2012年2月のアクセス数ベスト10記事一覧

2012年2月のアクセス数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.「学びあい」という美名の下の教育の堕落~
NHKEテレ・ETV特集「輝け二十八の瞳 ~学び合い 支えあう教室~」
(2012年2月5日放送)

二位.NHK・クローズアップ現代「思いが伝わる声を作れ
~初音ミク 歌声の秘密~」(2012年2月28日放送)

三位.ウコンは肝臓に悪い?~NHK・ためしてガッテン「肝臓の健康を守れSP」
(2011年6月29日放送)

四位.NHK・歴史秘話ヒストリア「“カワイイ”に恋して
~中原淳一と“カーネーション”の時代」(2012年2月15日放送)

五位. リサ・バティアシュヴィリによる
ブラームス&ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲~
N響アワー-端正にして情熱的~バティアシュヴィリのブラームス~-
(2012年1月29日放送)

六位.NHK・クローズアップ現代「大人がハマる“数学ブーム”の謎」
(2011年7月27日放送)

七位.NHK・特集ドラマ「風をあつめて」(2011年2月11日放送)
八位.NHKBSプレミアム・谷村新司のショータイム
「リチャード・カーペンター」(2012年2月11日放送)

九位.人はパンだけで生きるものではない~
NHK・マイケル・サンデル 究極の選択 「お金で買えるもの買えないもの」
(2012年2月18日放送)

十位.映画「しあわせのパン」~主役は洞爺湖畔の風景とおいしそうな食事?

ベスト2位まではアクセス数1000件越えでした。
ベスト10のうち、9位までがNHKネタでした・・・
2位のクローズアップ現代の初音ミク特集についての記事は、
月末に書かれた記事にも関わらず、一気にアクセスが集中しました。
恐るべし、初音ミク・・・

2012年3月もご愛読よろしくお願いします。

おすすめ記事~シンポジウム「北海道の『学力危機』を考える」(2012年2月28日読売新聞朝刊掲載)

このブログにしばしばコメントを下さる釧路の教育界の雄、
釧路の教育を考える会」副会長 三木克敏さんが、
読売新聞北海道支社主催のシンポジウム
北海道の『学力危機』を考える
(於:2012年2月18日・札幌市中央区の読売新聞北海道支社)に出席し、
基調講演を行いました。
北海道教育長の高橋教一さん、元北海道教育大学長・村山紀昭さんと対談し、
その様子が2012年2月28日の読売新聞北海道版朝刊に掲載されていましたので
記事と三木克敏さんご本人のブログ記事を紹介します。

読売新聞掲載記事
シンポジウム「北海道の『学力危機』を考える」

三木克敏さんのブログ記事(ブログ名:情熱空間
釧路発「善意の輪」、北海道へ!(読売新聞全道版)
(上記関連記事)
報酬は「子どもの笑顔」か?


釧路での地道な活動が、ついに全道で注目されるようになったというのは、
実にうれしいことです。

さて、記事を読んでの感想です。
釧路という地方都市の学力低下問題、
実は単に学校の成績がいいとか、悪いとかが問題ではないのです。
基礎学力が保障されないことが、
後々、就職難や生活保護増加につながるという社会構造を見据えているから、
真剣に取り組まねばならない問題なのです。

現場の教師(もっといえば、学力向上に反対する教員組合)が、
「テストだけがすべてじゃない」、「学校は勉強だけじゃない」などときれいごとを言って、
学力向上から逃げていることが、
後でどれだけの苦労を子どもたちに背負わすことになるのか・・・
道教育長の高橋さんが、学力向上、教員の資質向上を推進しているのは、
よい傾向かな、と思いました。

釧路だけでなく、札幌や函館、旭川といった大都市や、
小さな町村でも、こういう草の根的に発生した運動が起きれば、
北海道全体の未来は明るくなるはずです。

なお、新聞記事の中で、
三木さんが「基礎学力」を「小学4年生レベルの読み書き計算能力」と定義し、
紙面でも簡単に説明していますが、
もう少しきちんとした根拠を
学習の面と実社会からの面で書いている記事がありますので紹介します。

なぜ小学校4年生なのか(学習指導からの逆算)(2012年2月26日記事)
なぜ小学校4年生なのか(実社会からの逆算)

学力向上、
といったら「東大合格者を増やす⇒受験戦争に勝つ」みたいなイメージがつきまといます。
確かにそういう一面もあるでしょう。
しかし、もっと大事なのは、読み書き計算に差支えがないよう教育する、という
本来公教育が目指すべき当たり前のことを、当たり前に行うことです。

何十回研究授業をしても効果があがるはずのない
「算数の問題解決型授業」などにこだわるのは、
特に経済的に苦しい子どもたちの未来を潰すようなものです。
(塾に通える子はまだ救済策がありますが、
生活保護を受けている世帯で、しかも親が教育に関心がないならば、
救いようがない場合が多いのです・・・)
最低限、読み書き計算だけは、しっかりと子どもたちに定着させるのが、
公教育の教育者として最低限の義務ではないでしょうか?

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